現代艦しか建造されない鎮守府(仮)   作:秋月艦隊

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第27話 帰還【艦娘side】

 

――沈んでゆく――

 

巨大な火の粉が舞い上がり甲板が膨大な熱でめくれ上がる。

いくつもの爆発が連続して起こる。

甲板内に格納されていた各種ミサイルが連続的に爆発を繰り返し、船体がぐにゃりと粘土のようにねじりあがる。

 

――シズメ――

 

最早、沈むのを待つ他ない船の両舷を女の造形をした化け物が漆黒の艤装を携えて後方の味方に食らいつく。

 

《…嫌だ…や、めてくれッ!もうッ》

 

沈みつつある船の魂が叫ぶ。

嫌だ…やめろ…もう十分に殺しただろ!と…いくら叫んでも意味など無いというのに声を上げ続ける。

白くて丸い敵の艦載機が背後にいる味方を破壊していく。

艦隊全体を守るイージス艦も対潜能力に優れたヘリコプター護衛艦も長年国を守ってきた汎用護衛艦でさえも…無力に屠られていく。

汎用護衛艦ふゆつきはそんな同胞の姿を眺める事しか出来なかった。

救援に来てくれる艦隊など既になく、かつて共に戦った米艦隊はとっくの昔に我々を見捨てて逃げ出した。

本土への攻撃を防ぐ盾であり反撃の矛でもあった艦隊はその姿を消し、速度において敵に勝っている航空自衛隊の戦闘機を除き深海棲艦に対抗することは出来なくなった。

 

《 私はッ!まだッ!!まだッ!!! 》

 

退艦し遅れた乗組員がふゆつきの艦尾から飛び降りてゆく。

それを深海棲艦が見逃すはずもなく、死に体のふゆつきに大量の艦載機が群がってゆく。

レーダーも効かず、ミサイルの誘導もできず、CIWSの弾すらまともに当てられなくなった哀れな護衛艦群は深海棲艦と言う未知の敵に一方的に屠られた。

何も出来ずに敵艦載機の攻撃を食らい派手に爆発して急激に沈んでゆく。

 

《ま、だ…――ワタ、しは…》

 

――戦える――

 

ふゆつきの魂からの叫びは誰にも知られることなく空を切った。

伸ばした手には何も掴めず、望まれた活躍も出来ず、仲間を目の前で沈められているのに抵抗すらできない。

 

彼女はそうして眠りについた…

 

――はずだった――

 

次に目が冷めた時、私は…いや、私達は人の姿になっていた。

白煙があたりを覆った、しかし私の近くには最後の瞬間には共にいなかったDD-117すずつきの姿があった。

お互いになんとも言えない間抜けな顔で見つめ合う、状況が理解できず半ば放心状態だった。

 

――あの時、私は確かに沈んだ――

 

比喩ではない。

爆発と火炎で歪む船体の軋む音、身体全体が冷たい海に飲み込まれて逝くあの恐怖、何もできず天を仰ぐ事しか出来ない無力感…どれもこれも鮮明に思い出せる。

どれも現実で起きたこと…そのはずだ。

 

「―――」

 

煙の向こうから何処か温かみを感じる。

不思議な感覚だ。

何も守れず、生まれた意味を果たせず無力を嘆いて沈んだと言うのに心臓の鼓動がうるさいほど鳴っている。

生きている…戦える…あの時の無力感や絶望がおかしいくらいな熱がこの身を焦がしている。

 

―――貴官が私の提督か?

 

気づけばそんな言葉を口ずさんでいた。

私の声は震えていないだろうか?上手く声を出せているだろうか?堂々巡りの思考が頭の中を駆け巡り私を奮い立たせる。

 

「…あぁ、俺が提督だ」

 

声が聞こえた。

さっきとは違い、はっきりと聞こえる。

 

「そう…」

「そうか…」

 

私達はほぼ同時に答えた。

この胸を駆け巡る気持ちの正体も同時に分かる。

彼と共に戦いたい…いや、彼の下なら絶望的な戦況だろうと希望をもって戦える…そう思えた。

 

「――あきづき型護衛艦、三番艦・DD-117【すずづき】です…程々にがんばります」

 

「同じく、あきづき型護衛艦、四番艦・DD-118【ふゆづき】だ…艦隊の防空なら任せてくれ。”汎用護衛艦”として何があろうと艦隊を守り抜こう」

 

これは誓いだ。

かつて守れなかった物、守りたかった物を護れる最初で最後のチャンス。

漠然とした…曖昧な物だろうが構わない、彼と戦いたい。

 

――願わくば――

 

――もう一度――

 

あぁ、これからよろしく頼む2人とも

 

――戦うことをお許し下さい――

 

――提督――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ふ…つ――

 

――ふ‥つき――

 

――ふゆつきッ!――

 

「ふゆつきッ!現状報告の時間ですよ」

 

「はっ…す、すまない。――ブルーリッジ」

 

つい考え事をしてしまった。

海域の安全が確保されたことで気を抜いてしまったようだ…インディペンデンスが張り切って大半の艦載機で徹底的な制空権を取っているとはいえ、弾薬の大半を消費し緊急時の対応が困難な私が気を抜くべきではなかった…。

 

「いえ…無事なら構いません」

 

「それは…すまない」

 

時間通りに連絡が来ないとなれば、何かあったのかと心配するのは当たり前の事だ…自己嫌悪に陥りつつも冷静に今の現状を報告する。

 

「そう…それならば問題はなさそうですね」

 

ホッとした様子で通信を行う彼女。

少し前までは険悪だったのが嘘のように丸くなっている。

 

いや、原因はわかっている。

もちろん、殴り合いや提督との一件で大きく改善したのは間違いない、だが…我々はお互いに大きな勘違い、いや艦時代に日米両国で何かがあったのだ

私は米海軍は本国に逃げ帰ったと聞いていた、しかしブルーリッジ率いる第七艦隊は横須賀を目指し突き進む深海棲艦の艦隊に戦いを挑み壊滅していた。

理由はどうであれ彼女達は日本のため…いや、人類のために戦いに挑んでいたのだ。

彼女の怒りも本当のものであろう、本来共に戦うべきであった海上自衛隊は事実上、いや確実に彼女達を見殺しにしたのだ、怒りを抱かないほうがおかしい。

 

謝罪の後、どうしても疑問が拭えなかった私は彼女にそのことを聞いた。

しかし、どうもお互いの情報が微妙な位置で食い違う。

第七艦隊が出港した日時はお互い同じ情報を持っていた――しかし、出港理由やその後の行方が食い違う。

私の記憶では第七艦隊はフィリピンを経由して大西洋経由でアメリカ本国に帰還したはずであった、だが進路・目的・その後の行方がすべて合わない。

何より私の記憶でも第七艦隊のその後の行方はアメリカ本国で深海棲艦に対抗するための戦力として再編中であったはずだ。

 

確かに横須賀を出港した後のことは殆どが秘密に包まれていて本当に存在するのかも疑わしかったはずだ。

 

――何者かが日米両国に不和を起こさせようとしている――

 

二人で出した結論はそれだった。

本当は提督や他の艦娘たちにも伝えておくべきなのだが…現状では物的証拠はブルーリッジが沈んで艦娘になっていることと私の記憶でしかない。

仮にショートランド泊地に潤沢な資料があったとしてもここは、あまりにも現場から遠すぎる。

何も出来ないだろう…ならば、現地に行くほかない。

今は無理だろう、だがショートランド泊地は必ず大きくなる。

そうすれば軍令部も国防総省も無視できなくなる、そこまで行って証拠を叩きつければいい。

 

「――物資の積載は順調ですか?

 

「あぁ、弾薬を消費した分だけ載せに載せた」

 

その第一歩である、物資の輸送があと少しで完遂できる。

 

「各資源2000を超える量とは…恐れ入るな」

 

提督の采配と敵の物量その両方が、である。

提督の采配は言わずもがな、これだけの作戦を僅か一日足らずでものにしたのだ、インディペンデンスに手伝ってもらったと言っても彼女だけではこのような作戦は出来なかった。

提督の柔軟な思考と作戦立案能力に舌を巻く。

そして、敵の物量は…

 

「1箇所で各2000の資源が5箇所…」

 

「――私達が攻撃を仕掛けなければ、これだけの資源を使って深海棲艦の大規模侵攻が起きても不思議ではなかったでしょう…まさに紙一重と言うものですね」

 

まさにブルーリッジの言う通り、紙一重だったのだ。

今回の作戦があと1日でも遅れていたらどうなっていたか…敵とは末恐ろしいものだと考えながら、それすら利用した提督の実力を上方修正する。

最初から考えてはいないが、最早あの提督の下以外で戦うことなど考えられない。

 

「…真の敵を必ず見つけるぞ」

 

日米関係の悪化・深海棲艦の大規模侵攻・提督ほどの人物が最前線の辺境に左遷される理由…どれも偶然の一致とは考えられない、何かしらの陰謀が渦巻いている事だろう。

ブルーリッジはそれを理解したうえで通信越しに大きく頷いた。

 

「えぇ、ですがあまり遅れては提督が心配します」

 

「ハハッ!確かにな、早く安心させてやろう」

 

物資を満載したショートランド泊地の艦娘たちが集合地点に集まる。

 

「全作戦目標の達成を確認!」

 

ブルーリッジが堂々たる声で泊地に通信を行う。

 

「これより鎮守府に帰還します!」

 

艦隊は一路、泊地を目指して前進した。

 




かけちゃったよ…投稿しないわけにはいかないじゃん。
言う事で更新します。
続きは…気長にお待ち下さい…。
【現代艦しか建造されない鎮守府(仮)のアイデア募集】
活動報告で受付中です、公共の福祉に反しない範囲で色々意見をもらえると助かります。

次、建造する艦艇

  • アーレイ・バーク(イージス艦)
  • タイコンデロガ(巡洋艦)
  • ワスプ(強襲揚陸艦)
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  • アドミラル・ゴルシコフ(フリゲート)
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