現代艦しか建造されない鎮守府(仮)   作:秋月艦隊

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第30話 激闘!南太平洋沖海戦!前編【艦娘side】

見事な快晴。

雄大な太平洋の海原を13名あまりの少女達が駆ける。

 

「――戦況はッ゙!?

 

小柄な艦娘が叫びながら問いかける。

その声を周囲で対空砲火を上げる仲間たちが聞いた。

 

ちいっ!翔鶴がやられたッ!援軍はまだかッ!!」

まだですっ!後少しでラバウルから戦闘機が来ます!」

 

灰色の短髪を揺らす野分と眼鏡をかけ優等生然とした大淀が戦いながら答える。

周囲には始めの陣形など見る影もない状態でがむしゃらに回避運動を続ける仲間たちで溢れていた。

少し離れた場所では戦艦の金剛,比叡が対空用の三式弾を打ち上げ高高度に居座る深海棲艦の急降下爆撃機の編隊に打撃を与えようとしている。

 

きゃあぁぁッ!!

 

――ドゴォォォォンッ!!! ――

 

金剛姉さま!!

 

しかし駆逐艦や巡洋艦を遥かに上回る対空砲火を受けてなお深海棲艦の急降下爆撃機は止まらず脅威度の高い空母のみならず前衛の戦艦達にも攻撃を加え始めた。

3〜6機前後の編隊を組み突入する敵爆撃機に前衛の6名程度の艦娘たちでは迎撃しきれるわけもなく、金剛は多数の水柱と爆発に包まれた。

比叡が叫び声を上げ金剛に駆け寄る。

 

「ノウ…大丈夫ネ!

 

駆け寄ってきた比叡を手で御しながら黒煙を抜け健在の金剛が現れる。

その様子に取り敢えずは安心した比叡は金剛が立ち直すまでの時間を稼ぐため更に苛烈な対空戦闘を行う。

それに周りの艦娘たちも集まり対空戦闘の密度を厚くする。

 

「チッ!味方の戦闘機はまだかかるのかよ!」

「っ――来ました!ラバウル航空隊です!

 

荒々しい茶髪の艦娘、嵐が不満を口にしたすぐに友軍の戦闘機が救援に現れた。

僅かな雲の合間を抜けて現れた零戦30機あまりは即座に増槽を切り捨てて、白い深海棲艦の戦闘機と黒鉄色の爆撃機に突撃して行った。

上下左右から攻撃を受けた深海棲艦の艦載機は瞬く間に十数機が黒煙をまといながら落ちて行った。

 

「イエーイ!さすが岩本テイトクの航空隊ネ!」

 

続々と落ちる敵機に歓声を上げる艦娘すら現れた。

…しかし、その数では大きく劣るトラック航空隊の零戦は少しずつ…だが確実に数を減らしていた。

 

「――こちら瑞鶴!私は大丈夫だけど翔鶴姉がやられたっ!」

「っ!直ぐに向かいます!」

「承りましてよ!早くしないとこちらも持ちませんわ!」

 

友軍航空隊の参戦で幾らかマシになったとは言え、未だに敵攻撃機の脅威は変わらず後方からは悲鳴のような通信が入った。

急ぎ救援に向かう前衛艦達はトラック航空隊に空の安全を任せ合流を急いだ。

 

「っ!そんなっ!」

「…これはまずいやつネ」

 

各艦の電探が後方の仲間たちとの合流間近で捉えたのは新たな深海棲艦編隊。

その数、およそ50…ただでさえ手一杯なラバウル航空隊は対応できず、翔鶴,瑞鶴両航空母艦の航空隊は度重なる攻撃によって損耗し、唯一直掩機を発艦させられる瑞鶴も精々10機が限度では防ぎきれない。

損傷の少ない艦娘ならまだしも、度重なる攻撃によって損耗している翔鶴や金剛、また疲労の溜まっている状態で防ぎ切ることは”不可能”だろう。

 

「…大淀さん」

「翔鶴さん…どうしました」

 

そんな絶望的な状況で翔鶴が一歩前に出る。

合流した後方部隊で一番損傷がひどいのは翔鶴にほかならない。

他の艦艇も小破相当の被害であるが、彼女は最早大破…いや、率直に言えばいつ沈んでもおかしくない。

そんな彼女が覚悟を決めた真剣な表情で声を上げた。

 

私が囮になります

 

翔鶴が口にした言葉はそれだけだった。

すぐさま皆がギョッとし瑞鶴などは口をパクパクとさせ何かを言おうとして声を出せないでいた。

 

「…認められません」

「それ以外に現状を打開できません」

「なにを言われても変わりません…そんな事絶対に認められません」

 

大淀は頑なに彼女の提案を拒否し続ける。

 

「…そうネ!まだまだ勝負はこれからネ!」

「そうそう、きっと近くの鎮守府から助けが来るって!」

 

希望的観測…しかし、その言葉に場の空気は幾分か和らいだ。

 

「…一番近い鎮守府?」

「大淀?どうかした?」

 

その時、大淀には確かにこの場を切り抜けられるかもしれない情報が浮かんでいた。

トラックで見たショートランド泊地の艦娘たち…彼女達ならあるいは…。

 

「…っ(でも遠い!)」

 

今救援を要請しても速度の速い戦闘機が大急ぎで来てくれたとしても十数分はかかる…艦娘達も現在地まで泊地から全力で来てくれたとしても2時間程度はかかる。

 

――絶望的だ――

 

最早救援は間に合わない…ならば現状の戦力でどうにかしなければ…と考えていた時であった。

 

「電探に感あり!」

「っ!速い!?新手の敵!?」

 

凄まじい速度でこちらに迫りくる編隊。

電探が捉えたその速度は零戦の最高速度の数倍近い音速の壁を超えた超音速で突入した。

 

――ドンッ!ドンッ!ドンッ! ――

 

接近しこちらの対空砲火の範囲内に入りつつあった深海棲艦の艦載機は凄まじい速度の槍に貫かれ瞬く間に数を減らした。

こちらの視界に入った”ソレ”は翼を前後させバレルロールを織り交ぜながら残った敵機に突っ込んで行った。

 

――ダァァァァァァ――

 

その平べったい胴体からチェーンソーの用な破裂音を轟かせ編隊ごと薙ぎ払う。

敵機の旋回すら許さず凄まじい速度で飛び回り、敵機を殲滅する。

やがて深海棲艦の攻撃隊は消え去り、空にはこちらの空母艦載機より遥かに大きい戦闘機がこちらを守るように旋回していた。

 

「一体、何が…」

 

呆然と空を眺める艦娘たち。

そこに通信が入る。

 

『こちらショートランド泊地所属インディペンデンス貴官らを援護します』

「は、はいっ、こちらトラック泊地第一艦隊旗艦大淀、援護感謝します!」

 

窮地を脱した彼女達はほっと息をつく。

見たことのない戦闘機に警戒を示していた者も友軍と知り警戒を解く。

…しかし、本当の苦境はこれからだと言うことを彼女達は知らない…特に彼女達と自身らの決定的な見方の違いを助けられた彼女達は知らなかった。

 

これより、敵深海棲艦機動部隊を叩きます

 

奇しくも彼女達の地獄は始まったばかりであった。

 

 




かけたので以下略。
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