彼女達を助けた理由…言ってしまえば成り行き。
…勿論、泊地の安全を考えてなどのそれらしい理由はありましたが、既に作戦目標を完遂し帰還するだけだった私達にはわざわざ戦う必要はありませんでした。
泊地にも最低限の防衛設備はありましたし、帰還すれば即座に補給を受けより効率的に敵艦隊を殲滅できるのは自明の理でした。
ですが、彼女達を救うことで得られるメリットや貸しは大きいものとなると判断したからこそ救援を出しました。
「これより敵機動部隊を叩きます」
インディペンデンスがわざわざ相手に伝えた理由は彼女達にも手伝ってもらうため。
万全の状態であれば深海棲艦の大艦隊を複数消し飛ばしても余りある戦力を有すると言えど、現在は多くの弾薬を消耗し敵を取りこぼす恐れがある…だからこそ、彼女達の純粋な砲撃力に目をつけました。
有視界で敵と殴り合う必要こそありますが、多数の大口径火砲を有する彼女達ならば私達では処理しきれない数の敵と強固な装甲目標を容易く処理できる、それだけの理由です。
「貴官らには残敵掃討をお任せしたいのですが…よろしいでしょうか?」
『――現状の損害では困難かと、一度付近の鎮守府に寄港したいのですが…』
「では、損害の少ない艦娘のみで結構です」
『…他の艦娘と相談する時間をいただけますか?』
「わかりました――そうですね、30分後にまた連絡します」
通信を終了し、ショートランド泊地の艦娘たちは一度陣形を崩し近くによる。
「――乗り気ではなかったな」
「それもそうでしょう、有視界での砲雷撃戦など損害が増えるばかりで到底やる意味はありませんからね」
「妥当ですね…提案しておきながら拒否される予感がしてなりません」
少々悲観的な大型艦の面々に対し護衛艦は…
「…敵潜水艦撃沈のため接近するのは当たり前では?」
「長距離攻撃で仕留められないなら‥後は水雷戦闘じゃない?」
斜め上の答えを出しているがおおよそ敵艦に自分から近づくのは基本的に限られた状況でなければ、まずありえないと言うのが常識である。
「最も…強固な守りの艦隊に近づいて対艦ミサイルを発射しようとしていたあなた達へ言っても伝わらないでしょうが」
「…どこかの国の領海付近に接近して体当たりをされたり、自爆ボートにご自慢のイージス艦を中破させられた奴らに言ったところで伝わらないだろうがな」
「「アッ゙?」」
「2人とも一応戦場ですよ?」
「そこは言い切れ」
「…うんうん」
アレコレしている内にも時間は過ぎる。
いつの間にか30分は過ぎており通信が入ってきた。
『先程のご提案、そちらが敵の航空戦力を抑えてくださるのでしたら損傷の少ない艦娘で援護をさせていただきます』
「承りました――ですが、航空戦力に関してはご安心下さい」
――既に敵空母は洋上にはおりませんので――
先の第一次攻撃で敵空母の大半は撃沈、あるいは大破炎上しており制空権は完全に掌握されていた。
直に攻撃を完遂したトムキャットとホーネットが帰還してくるだろう。
「存分にその力を発揮してください」
『!、了解しました!』
通信が終了し、一同は安堵のため息を吐く。
一番の懸念事項が呆気なく消え解けかけていた緊張の糸が解けた。
艦隊は残りの残敵掃討を任せ一足先に帰還の準備を開始した。
【トラック艦娘side】
「行くネ〜!!バーニングラァーブッ!!」
「気合い入れて!行きまーす!」
金剛・比叡の35,5cm連装砲が喝を叫ぶ。
敵艦めがけて撃たれることよりもっぱら、敵航空機に対して使用する機会のほうが多い大口径砲であるが、その本領発揮とばかりに多数の徹甲弾を放つ。
「四水戦、突撃する!続けーっ!」
「敵艦発見!合戦準備!」
「それ、ワンツー!酸素魚雷と踊りなさい!」
特型や艦隊型駆逐艦と謳われた艦の名前と魂を背負う艦娘,嵐・野分・舞風が突撃し陣形中央をズタズタにされた深海棲艦の艦隊に突撃する。
その数は目視で確認できるだけでも20を超える駆逐艦の群れであり、所々で軽巡らしき艦影も見える。
しかし、突入を続ける彼女たちの目に悲観は一切存在しない。
金剛型の二人からの支援砲撃があるから?すぐ後ろには熊野を含む重巡洋艦も控えているから?――否、断じて否である、それらの要素も確かに存在するであろうが確かに言えることがある。
それは――
「――この程度の数で
この程度の数で彼女たちは負けないということだ。
史実ではミッドウェーから南方作戦まで戦い続けた舞風、ミッドウェーからソロモン諸島を巡る戦いの全般を最前線で戦い抜いた嵐、そしてミッドウェー、マリアナ、レイテにも参加した歴戦の野分…それぞれが単騎でも小規模な敵艦隊程度なら食い破りかねない猛者であればこその自信である。
ましてや艦娘になってからはMI攻略作戦以前の黎明期からの古株の生き残りである、その練度は現行の艦娘の中でも間違いなく上位帯に食い込んでいる。
「ミーたちも続くネー!」
「はいっ!金剛姉さま!」
――ドォォォォォン!!!――
戦艦2人からの35,5cm砲16問による一斉斉射、残された敵艦も突入した駆逐艦と援護を開始した重巡洋艦の砲撃で数を減らしていった。
「各員、撃ち方辞め」
大淀が砲撃停止を指示するまでの約30分の間に深海棲艦艦隊はそのすべてが水面に消え、海面には油とも血とも言えぬ黒く濁った液体が溢れあたり一面を炎と黒煙で覆っていた。
『…』
静かに大淀の言葉を待つ艦娘たち。
大淀は今一度、辺りを見渡し現状を把握する。
沈没艦無し、大破1隻・中破4隻・小破多数…未だ艦隊は戦闘能力を喪失してはいない――しかし航空戦力の要たる大型正規空母翔鶴・瑞鶴の内、翔鶴は大破し瑞鶴も中破している。
前衛艦の内、駆逐艦は敵艦に切り込んだ為燃料を大幅に消耗し武器弾薬は3分の1程度しか残っておらず、魚雷はほぼ撃ち尽くしてしまった。
航空機運用能力を未だ喪失していない瑞鶴もその搭載航空機の数はごく僅かで、攻撃隊を編成する余力は残されていない。
…本作戦の目標ははソロモンおよび東部ニューギニアの敵深海棲艦、及び敵航空兵力を撃破しその反攻企図を妨げること、ソロモン方面で大戦果を上げ内地の軍令部に反攻作戦を認めさせると言った政治的意図を除けば本来の作戦目標は既に各航空隊による漸減作戦の段階まで進んでおり政治的意図も深海棲艦の空母機動部隊を撃滅したと言う戦果で目標としては十二分と言える。
「…作戦完了、一時体制を立て直すためショートランド鎮守府に寄港し、補給整備を受け休息を取った後トラックに帰還します」
彼女のこの発言が艦隊の決定となり、彼女たちは大破した翔鶴を中心とした対戦警戒陣形を取りながら友軍との合流を目指し艦隊は進路を取った。
それが、後に大きな波乱を呼ぶことになる事を彼女たちはまだ知らない。
書けたので以下略。
特に言うこともないので感想お待ちしております…強いて言うならミサイルとかの戦いよりも砲雷撃戦のほうが描写しやすくて楽しかったです。
次回更新は未定です、気長にお待ちいただけると幸いです。
太字や点滅などのフォント関係
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これまで通りで大丈夫
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無くて良い
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更新速度あげるんだよあくしろよ