現代艦しか建造されない鎮守府(仮)   作:秋月艦隊

34 / 42
第33話 艦隊が鎮守府に帰還しました【提督side】

艦隊からの帰還報告から早数時間、艦娘たちは大した被害もなく泊地に接近した。

 

「…で、あの後ろに連れているボロボロの艦娘はどちら様?」

 

帰還と友軍救援のため鎮守府付近の深海棲艦を攻撃した等の報告は貰っていたが、拾ってきた捨て猫のごとく引き連れて来るとは聞いていなかった事もあり衝撃を受ける。

 

「いや、助け合いも大事だが…頼むから過激派と兵器派の鎮守府から来た艦娘でないことを祈る」

 

――過激派と兵器派――

 

艦娘の存在を深海棲艦と同列に考える過激な派閥と艦娘を人や仲間と考えず人間が使役し運用する兵器(もの)と考える派閥であり、現在の日本海軍内において半数以上の人間がこの派閥やそれに類する派閥に属している。

勿論、すべての派閥がここまで極端な考えをしているわけではなく、過激派の多くは脅威派とも呼ばれる考え方が大半で、艦娘は人類の仲間ではあるがその力は大きな脅威であり、いずれ大きな火種となり人類に不利益をもたらすと言う主張をしており、民間でも一定の支持者がいる。

次に兵器派では艦娘を利用するという考え方と協力するという2つの派閥が主導権を争っており、どちらも一貫して人間が指揮権を有することを前提としつつも前者は作戦目標を達成するためであればどれだけの被害を出してもいいと考えている中、後者は仲間や友とは言えないが部下として可能な限り被害を出さず協力して戦うという派閥である。

…どちらの派閥も俺からすれば論外であるが現在は兵器派の中でも利用を前提とする…いわゆるブラック鎮守府が多いのはこれまでの数年間嫌になるほど知っている。

 

特に艦娘を利用する連中は…思い出したくもない、言葉に出すことも憚れる行為も勝つためと平然とやってのける、到底理解できないな。

そんな連中がここに干渉して来るのは御免だ。

 

「ていとくさん!かんたいがきかんしましたよー」

 

「ん、そうだな――ん゙っん゙っ…うむ、行こう」

 

そんな事を思い出していると艦隊が帰港した。

俺は気持ちを切り替え、帰還した彼女達を出迎えるため移動を開始した。

 

【艦娘side】

 

「見えてきました、あれがショートランド泊地です」

 

視点は代わり、鎮守府まで数分の場所まで近ずいた艦娘達の艦隊。

ブルーリッジは全体を代表してトラック鎮守府の艦娘達に正面のショートランド泊地を紹介する。

 

「え、えぇ、あれが…」

「どうかしましたか?」

「い、いえ、立派な鎮守府だと思いまして」

 

大淀、一世一代のお世辞であった。

実際に見えてきたショートランド泊地は大淀たちトラック泊地の艦娘達からしてみれば予想外の外見であった。

これだけ精強な艦娘たちを複数運用し、今回のい号作戦でも裏で動いていたであろう艦娘たちの母港、そんなショートランド泊地を彼女達はおそらく大本営や軍令部、または国際的な機関直属の鎮守府で深海棲艦に対する反撃の為に整備されている重要な拠点だと考えていた。

しかし、実際に見えてきたのは四角いコンクリート造りの建物が3つか4つ見えるだけで、あとは多少整備された滑走路が1本あるだけのいかにもな前線拠点であり、広い太平洋のあちらこちらに点在する拠点と同じような外観をしていた。

これに比べ、トラック鎮守府は内地の横須賀や呉とそれほど変わらない規模感で多少の差はあるがおおよその基地機能は変わらないレベルで整っている。

それこそ、ラバウルの方がマシな建物がある程には何も無い。

 

…とは言え、助けてもらった手前相手の機嫌を損ねるような事は言いたくない、ましてやそれが原因で補給の拒否なんてされた日には本当に帰れなくなってしまう。

大淀はそんな気持ちに板挟みにされながら何とかお世辞を言う。

もし仮にイギリス艦娘がこの場にいれば、世辞ではなく皮肉だと嘲笑った(わらった)だろう。

 

「ええ、ここは最高の鎮守府ですから」

 

お世辞など一切気にしないブルーリッジはその言葉に気を良くした。

彼女とインディペンデンスは一応とはいえ、トラック鎮守府を見ているのだが…いかんせん彼女は提督がいる場所であれば例えドレイク海峡であろうと最高の鎮守府になってしまう。

 

真面目に話をするだけ無駄だろう。

 

「…ふん(下手な世辞だな)」

「あ、あはは(お世辞ですね…ブルーリッジは…あれはしばらく戻ってきませんね)」

「…(ノーコメントで)」

「…はぁ」

 

小声で言い合うキーロフ・インディペンデンス・ふゆつき・すずつきの4人は呆れながらも冷静にトラックの艦娘を見やる。

多数が中破して過半数が小破、とてもじゃないが修理や補給を済ませなければ帰ることもできないであろう被害だ。

…いや、もちろん帰る方法もあるにはある、損傷した味方を見捨てる、あるいは囮にすれば逃げられないことも無い。

しかし、彼女達がそのようなことをしないのは確定的だ。

そうでなければ大破した艦娘をわざわざ守って逃げては来ないはずだ。

そして、ショートランド泊地の艦娘達もそんな非情な事をするつもりもさせるつもりもない。

 

「無駄話はそこまでだ、鎮守府に着くぞ」

 

キーロフが再起不能なほど惚気るポンコツ(ブルーリッジ)に代わって艦隊の先頭を進み、泊地の奥へと入っていく。

インディペンデンス達は肩を竦めつつも、なにも言わずその後ろをついて行き、大淀らトラックの艦娘たちもその後を続いた。

 

やがて港の桟橋付近に白い第二種軍服を身にまとった人物が見えてくる。

 

「提督!」

「指揮官!」

 

つい先程まで再起不能だったブルーリッジと先頭を進んでいたキーロフが速度を上げ駆け出していく。

その後に続いてインディペンデンス・すずつき・ふゆつきも声には出さずとも置いて行かれぬよう駆け出す。

 

「―――うむ、全員よく帰ってきたな」

 

中肉中背、お世辞にも筋肉質とは言えず、身長もギリギリ170を超える程度の男がそう答える。

顔は…まぁ、それほど悪くない、新人のモデルと紹介されれば誤魔化せなくもない程度には整っているが、そういった有名人にありがちなオーラのような物は無く、多少眼光が鋭く見える程度のうっすらとしたイメージしか沸かない…良く言えば欠点のない、言ってしまえばありふれた人物であった。

 

「――っ!はい!」

「本艦隊、損傷軽微,作戦目標達成いたしました!」

 

その言葉に嬉しそうにしながらも、切り替えて報告を行うブルーリッジ。

彼女の報告を聞き逃さないようにシッカリと見つめる指揮官の男が大きく頷く。

 

艦隊が鎮守府に帰還しました!これより提督の指揮下に入ります!

 

かくして、長時間(約10時間)に及んだ作戦は完遂され、艦娘たちは自分たちの母港(帰るべき場所)へと帰ってきた。

 

――約20名の所属不明艦を引き連れながら(提督視点)――

 

 

 




書けたので以下略。
とりあえず提督に忘れ去られて今回登場できなかったバージニアのイメージイラスト(仮)を載せておきます…これ艦これと言うかア◯ール◯ーンぽくなっちゃったけど…気の所為だなよしっ!

【挿絵表示】

太字や点滅などのフォント関係

  • これまで通りで大丈夫
  • 無くて良い
  • 更新速度あげるんだよあくしろよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。