現代艦しか建造されない鎮守府(仮)   作:秋月艦隊

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第37話 ショートランド要塞【提督side】

作戦が成功し、ショートランドからトラックの艦娘が帰還してから早3日。

護衛としてトラックまで付き添ったすずつきとふゆつきが先日帰還して鎮守府はとりあえずの落ち着きを取り戻しつつあった。

――しかし、事件や問題は往々にして唐突に起こるものだ…特にここでは(最前線)。

 

「「聞いてますかッ提督!!」」

「う、うむ…もちろん聞いていたぞ」

 

現実逃避から引き戻された俺は所属の艦娘たちから詰め寄られていた。

その陣容はブルーリッジ・キーロフ・インディペンデンス・すずつき・ふゆつきである。

そして今回詰め寄られている理由は⋯

 

「――では何故バージニアがこの鎮守府に居るのか説明を求めます

「流石に黙っていたのは⋯傷ついた」

 

興奮気味のブルーリッジとキーロフに変わり、インディペンデンスとふゆつきが問い詰める。

 

「い、いや…作戦中の奥の手として建造を行ったのだが…」

が?なんなんだ指揮官?」

 

目が笑っていないすずつきに薄ら笑いで詰められる。

―――いや〜うん、普通に怖いです。

全体的に自分が悪いとは言え、誰一人として味方がいないのは肩身が狭い…肝心のバージニアは別室で待機していて助けを得られそうにないし…。

 

「――諸君らが非常に有能だったため出撃する機会がなかったのだ」

「ほう、だが紹介くらいはできたんじゃないか?」

「いや、トラックからの来訪者もあって鎮守府が全体的にごたついていたからな、結果的に落ち着くのを見計らって紹介しようと思っていたんだ」

 

自分でもよく動く口だと思うが、最早なりふり構わず言葉を吐く。

鎮守府がごたついていたのは本当、落ち着くのを待っていたのも本当、紹介しようと思っていたのは…完全にもう知っているものだと思っていたから嘘である。

 

――つまり完全な言い訳だ――

 

「ふむ、一応筋は通っていますね」

「少々言い訳がましく聞こえもしますが…これ以上事を荒立てても仕方ないでしょう」

 

一応は納得した様子の一同に安堵し姿勢を正す。

多少荒れた提督机の上にある書類を整え、バージニアも呼ぶよう一番近いブルーリッジに頼み艦娘たちを見やる。

外観上は目立った傷もなく、表面上は疲労もなさそうに見える。

 

「お呼びですか指揮官」

 

数分がたちブルーリッジとバージニアが部屋に戻ってきた。

 

「あぁ、ちょうど全員が揃ったようだし、みんなの意見を聞かせて貰いたい」

 

切り替えて行くため、普段よりも声を低くして話す。

全員が声は出さないが、こちらに視線を向け姿勢を正したタイミングで話を始めた。

 

「今回の議題は鎮守府の今後に関しての話だ」

今後、ですか?」

 

バージニアが疑問符を浮かべる。

他の艦娘とは対象的な光景だが、鎮守府に来て間もないから無理もない。

通常、一般的には今後の方針などは鎮守府の提督と大本営などの更に上の組織が計画的に進めるものだからだ…しかし我が鎮守府では厳格な会議もなく、意見交換だけで今後の計画が決められているのは衝撃を受ける光景に違いない。

 

「そうだ…今後の鎮守府の設備についてや本格的な遠征などに関して全員の意見を聞きたい」

 

バージニアの疑問に答えて改めて全員に意識を向けて向き合う。

 

「――であれば私からいいでしょうか」

 

一番最初に反応を返してくれたのはブルーリッジだった。

特段問題もないため、即座に頷く。

 

「私からの意見は他でもなく、鎮守府の防衛強化です」

「ふむ、防衛とは具体的には?」

「前回の作戦を通じて、本鎮守府はあまりにも防衛体制が脆弱であり提督の安全を守ることができないと判断しました」

「あ、あぁ…確かに皆が出撃している際は防備が薄くなるな⋯だが、その程度――「ですのでッ!」」

 

――バンッ!――

 

「こちらをご覧ください」

 

ブルーリッジがいつの間にか取り出した書類を目にも止まらぬ早さで叩きつける。

その際発生した音にビクッと震えながら書類に目を通す。

 

「”ショートランド要塞計画?”」

 

書類の表紙にデカデカと複数の言語でその単語が印刷されていた。

軽くページをめくり流し見る。

最初に制作者名前と目次があり次のページからは防衛戦略に必要な設備、かかる期間や資源の数量に同等の性能を有する各種兵器の諸元の早見表に実際に使用された例などが整然と並べられており、最後のページまで述べ432ページもの量である。

 

「……チラッ」

 

驚愕しつつも表面上はさも冷静を装い艦娘達を観察する。

ブルーリッジ,キーロフ,インディペンデンス,すずつき,ふゆつき――書類制作者の欄に名前が載っていた5名はさも平然とした顔でこちらを見ている。

疑う余地なく、期待の眼差しを向けられているのだ。

 

「ふむ、なるほど?(さっぱりわからん?)」

 

期待されたとしても俺は所詮平凡な人間だ…最近になってこの鎮守府の艦娘が通常の艦娘とは違う事を判断して大戦後の各種兵器関連の学習を進めているが、そこまで専門的な知識は有していない。

…とりあえず、防衛戦略の基本概念から確認していこう。

 

「なぜこの防衛戦略を選んだんだ?」

「”島嶼防衛”に関してですね」

「――それに関しては私から説明しよう」

 

インディペンデンスが反応し、それに続いてすずつきが説明を開始した。

 

「この防衛戦略は以前に自衛隊で使用された実績がある、離島防衛用戦略の一つです」

ふむ

「敵の対空ミサイルの射程外から発射が可能なスタンド・オフ・ミサイルに加え、多数の掃海艇や潜水艦を用いた漸減と仮にそれらの防衛体制を掻い潜ったとしても火力支援を行える艦艇を事前に用意することだ」

ふむ???

「⋯また、水陸両用車両などを用いた諸島内における防衛及び時間稼ぎの部隊を編成し、敵に対してのミサイルや航空機による飽和攻撃を用いた殲滅を最終目標にしている」

 

すずつきからの説明を要約すると、長距離からミサイルで侵攻してくる深海棲艦の艦隊を攻撃し掃海艇や潜水艦で仕留める、それを突破してきた場合は高い火力を持った艦艇からの支援を受けながら遅延行為を続け、最終的には対処できない量の攻撃を加えて殲滅すると…ちょっと何言ってるのか理解出来ない。

いや、理屈はわかるが資源がいくらあっても足りないし、明らかに防衛に対して過剰火力すぎる。

 

しかし――これだけ頑張ってるのに否定するわけにも…

 

「なるほど…よく考えられているな」

 

何もアクションを起こさないわけにはいかないので適当にページをめくりながら呟く。

兵器の諸元を見てもピンとこないが射程200km超とは…迎撃能力が無ければほぼ必中のミサイルでこれは、無法とよんでいいレベルだ。

更には潜水艦や掃海艇にも多数のミサイル兵装に鎮守府の航空隊も拡充され、艦隊も今後増強されるとなると…

 

―――やっぱり過剰だよな…―――

 

「――素晴らしい、が」

「…が?」

「ここに名前の載っていないバージニア、君の意見を聞きたい」

 

バージニア、お前に賭ける。

流石に過剰戦力だってことを皆に伝えてくれッ!

 

「これはっ」

「ッ!」

 

俺の切実なる祈りを込めた気持ちは…

 

少々不足なのでは?

 

通じなかった…。(終わった…)

 

「はい、資料の用意中もそう感じてましたが…」

「あぁ、それ以上は鎮守府の運営に差し支える…二度も軍事費で居場所が無くなるのは御免だ」

「…崩壊ボソッ」

「ァ?P-700ぶつけられたいのか?」

「は?第7艦隊とやり合う気ですか?自沈願望でもお有りで?」

「まぁまぁ…ブルーリッジもキーロフもその辺にしておきませんか?」

 

いつも通りの言い争いを始めた二人をインディペンデンスがなだめる。

遠い目をして現実逃避しようと画策するも、二人の会話で現状を直視する。

 

「――とりあえず、この計画は将来的な目標とする」

「はっ了解しました」

「現状は資源量に余裕を持ってできる防衛設備を増やすことで対応するように」

 

全員の意見と期待を裏切らない最大限の努力を示し、ひとまずこの話を終わらせた。

問題の先送りにしかならないとしても、直近で問題が起きることはないだろうと息を吐き次の話に進める。

 

「次に聞きたいのは⋯――」

 

その後、つつがなく終わった翌日…

 

「…どうなってるんだ???

 

自室から見える景色に目を疑った。

多数のミサイル陣地に大幅に拡大した航空基地に昨日まで無かったはずの立派な鎮守府の建物の数々が出来上がっていた。部屋を見渡し廊下に出てみる、先日までのコンクリート剥き出しの外見から内地の鎮守府と遜色ない立派な廊下が広がっていた。ほのかに木の匂いが汎い照明も温かみのある色合いのものに変わっていた。

 

まじで何が起こった⋯

 

その後、俺は艦娘に声をかけられるまで立ち尽くすことになった。

 

 




はい、よくわからないけれど書けました…離島防衛とか調べながら自己解釈して書いたけど間違っている箇所があれば指摘してください(願望)
あと感想を見ていると提督サンがクソボケって意見と内地に行ったらって話が多いので、一段落したらそのあたりの話も入れていく予定です(仮)
⋯次回投稿は未定です。

太字や点滅などのフォント関係

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