「提督!こちらです!」
「うむ、今行く」
のびのびとしている彼女をおって急ぐ俺は心地よい海風を感じ、改めてこれが夢でないのだと確認できた。
軽々とした足取りで砂浜を走るブルーリッジ…執務室での1件の後、俺は彼女に連れられながら建造時の媒体となる物を探して海辺を散策していた。
「これは…?」
そして、幸いなことに海辺は大した掃除もされず手付かずのままだった為、色々な物を見つけることが出来た。
「提督、流石です。これはアーレイバーク級のイージスレーダーの1部です」
「ほう…?」
全く分からないが、何かの船のパーツで間違いないらしい。
…まず、アーレーバーク級ってなんだ?フレッチャー級みたいなアメリカ駆逐艦と関係してるのか?いや、もしかしたらイギリスの艦艇かもしれないな、下手したら巡洋艦かもしれない。
「ふむ、他には無いのか?」
「え?他…ですか?」
「あぁ、できるだけ強力な艦娘が良いんだ…それもできるだけ打撃力がある」
「…」
アーレーバーク級なる艦艇がどのような艦艇か分からない以上、ここは唯一理解しているブルーリッジに強力な艦娘を見つけてもらう他ないだろう。
そう思って言った俺だがブルーリッジが黙り込んでしまった事に段々と不安になってきた。
情けない姿は見せられないため動揺しないようにしているがやっぱり不安だ。
「…無いことはありませんが」
「本当か?」
「はぃ…」
不貞腐れたような表情を浮かべ手のひら大のネームプレートのような物を差し出すブルーリッジ。
俺はそれを右手で受け取るとじっくりと眺めた。
「きーろふ?【Киров】?」
多少なりとも英語以外の言語も扱ったことのある俺にはその文字がロシア語で書かれており【キーロフ】と言う事がわかった。
「ッ!まさか!あのキーロフかッ!?」
「はぃッ…あのキーロフです」
俺はブルーリッジからの言葉に確信した。
そう、キーロフ級とは1935年にロシアで建造されバルチック艦隊に配備され戦前から戦後にかけて活躍したソ連海軍の軽巡洋艦に他ならない!!しかし、軽巡と侮るなかれキーロフは18cmと言う軽巡とは思えない大口径砲を搭載した優秀な艦艇だからだ。
確かにこの艦艇ならば十分な打撃力を持つことが出来るだろう。
「よし、ブルーリッジ」
「…なんでしょうか?」
「早速建造するぞ、善は急げと言うしな」
「…わかりました」
何故か不満そうなブルーリッジ…いや、アメリカの艦隊旗艦だったんだからロシアの船を良しとしないのは当たり前か…少しいたわるべきだな。
「ブルーリッジ」
「…なんでしょうか?」
「ありがとう、君のおかげでこの鎮守府はどうにかなりそうだ、改めて感謝させてくれ」
最後の締めくくりに頭を深々と下げる。
すると、ブルーリッジは先程までの不満そうな顔から一転しアワアワと目を泳がせてしどろもどろになりながら言った。
「て、提督!あ、あたま…頭をあげてください!」
「しかし…」
「私は大丈夫です!それに…提督のお側に居られるだけで十分ですから」
「…」
見惚れてた。
ブルーリッジの微笑みに完全にやられそうだ…いや、提督としてだから俺自身に対する信頼とはまた違うか…あぁぁぁ恥ずかしいぃぃ!くそっコレじゃあただの勘違い野郎じゃないか…。
一周まわって冷静になってきた俺は改めて頭をあげると例を言った。
「ありがとう、そう言って貰えると助かる」
「はいっ!」
「───行くぞ!」
やっぱり恥ずかしくなった俺は軍帽を深々と被り直し工廠に向かってブルーリッジの数歩前を歩いた。
その時の俺はなんだか数年前のなんてことは無い日常に戻った様な気持ちがして不思議と不安はなかった。
感想・評価ありがとうございます。
次回は新たな艦娘が登場!!…察しのいい人はわかると思いますが軽巡洋艦のキーロフなんて建造されるわけないです。
現代艦のキーロフって言ったらあれしかないよな?
太字や点滅などのフォント関係
-
これまで通りで大丈夫
-
無くて良い
-
更新速度あげるんだよあくしろよ