現代艦しか建造されない鎮守府(仮)   作:秋月艦隊

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第5話 始まりは唐突に【提督side】

 

「はぁはぁ…」

 

謎の艦娘に抱きつかれて死にかけた俺だがギリギリの所でブルーリッジに助けられた。

まさか…生まれて直ぐに提督の命を狙ってくる艦娘がいるとは衝撃だが、そういえば俺は艦娘に嫌われていると思い出して納得と悲しさが溢れてきた…だが、俺は提督だ決して逃げることは出来ない。

 

「よし、改めて名前を聞いていいか?」

 

「あぁ、済まない…少し感極まってな──改めて、元ロシア海軍北方艦隊旗艦【Киров】だ、よろしく頼む」

 

「キーロフ、か…兵装を教えてくれ」

 

とりあえず、目的の艦娘を建造する事が出来たようだな…と、すると兵装は18cm連装砲四基と言った所だろうか?下手したら魚雷なんかも搭載しているかもしれないな。

 

「わかった、私の武装はP-700グラニート・Ak-130連装砲 1基・Ak-630 30mmCIWS 8基・RBU-6000 12連装対潜ロケット 4基・魚雷発射管 2基だ…場合によってはヘリも3機搭載可能だぞ」

 

「ふむ…?ふむ?」

 

ミサイル?しーうす?対潜ロケット?ヘリコプター?…何故だ?俺は軽巡洋艦を建造したはずなのに、いつの間にミサイル戦艦を建造していたんだ?

 

「どうだ?提督」

 

真っ白な白銀の長髪に灰色の瞳。

漆黒のロングコートに紺色の軍服に短いスカート…足には高いヒールと黒タイツが履かれており何処と無く大人びた印象を受ける。

ブルーリッジと並べば対比で面白いことになるだろう。

 

ふむ…これはこれでアリだな。

 

「て、提督…そう見つめられると照れると言うか…困惑するんだが…」

 

「ん、あぁ!すまん!」

 

俺が頭の中で少々ゲスいことを考えていると白い肌を真っ赤にしてキーロフが不満をあらわにした。

下手したら…いや、下手をせずともセクハラで訴えられてしまいかねない状態だ…やっと提督になれたというのに…。

 

「て、提督!わざわざ頭を下げる必要などないッ!す、少し困惑しただけだ!」

 

「ほ、本当か?」

 

「あぁ、心配ならば私の顔をしっかりと見ろ」

 

そうしてキーロフの顔を見ると…顔をそらされた。

あーうん、多分恥ずかしいんじゃないか?俺も小学校の頃とか担任の先生の顔を恥ずかしがってよく見れなかったからな…おそらくそんな所だろう。

 

「と、とりあえず、よろしく頼むぞ提督」

 

「…あぁ、よろしく頼む」

 

未だにそっぽを向いたままのキーロフの手を握りしっかりと握手をする。

なんてことは無い行為だが、不思議と心が軽くなった。

 

「んっんっんっ!」

 

「「!」」

 

「おふたりとも…お話は終わりましたか?」

 

キーロフの真後ろ…ブルーリッジが冷ややかな目をしながら俺たちを見ていた。

ヒッ!これがタマヒュンってやつか?と言うかなんでブルーリッジは怒ってるんだ?

 

「ブルーリッジ?なんで怒ってるんだ?」

 

俺は馬鹿正直に聞いた。

するとブルーリッジはニコッと先程と一転して笑みを浮かべると数歩前に出ると言った。

 

「怒ってなどいませんよ?ね?キーロフさん(海鷲さん)?」

 

「──あぁ、そうだなブルーリッジ(骨董品)

 

「そ、そうか…それならいいんだが」

 

2人の間に走る冷ややかなる戦い…言わゆる冷戦が始まった。

本当に大丈夫かと心配になりながらも俺はなんとも曖昧な笑みを浮かべることしか出来なかった。

 

提督と言うものは存外むずかしいものだと思った。

 

「何故笑っているのですか、提督?」

 

「ふむ、提督にはそのような趣味が…」

 

「いや、違うからな」

 

この何気ない日常が続けばいいと思った…だが、世の中はそんな上手く出来てない、そう思い知った。

 

──ブー!ブー!ブー!──

 

「「「ッ!」」」

 

けたたましく鳴り響く緊急のブザー。

俺たちが何事かとブザーの鳴っている通信機を見ると荒い音声ながら衝撃的な話が出てきた。

 

『こちら大本営軍令部、現在地深海棲艦の中規模艦隊がショートランド泊地を含むソロモン諸島に接近中…鎮守府守備隊は鎮守府を維持せよ』

 

「は?鎮守府守備隊?なんだそれ?」

 

『繰り返す、現在、深海棲艦の中規模艦隊がショートランド泊地を含むソロモン諸島に…』

 

「…なるほどな」

 

ふざけた命令だ…あまりに酷くて途中で通信機を切ってしまった。

何せ通信を返せないように秘匿回線を用いて一方的に送り込まれる命令だ…つまり、俺はていのいい捨て駒にされたってことか。

世間的には前線で優秀な提督が1名死亡したって朝のニュースにでも流れるのかな?いや、無能な提督か…。

 

勿論の事ながら鎮守府守備隊なんていないし、本来ならばここに居たのは俺と妖精さん3人だけだ、ブルーリッジとキーロフの2人は大本営からすれば盤外のコマ…要するに存在しないはずの存在なのだからな。

この時点で俺を殺す気満々だな。

 

「…提督、私たちはどうすれば…」

 

「そう、だな…お前たちは逃げてくれ」

 

「なっ!?何故だ!!」

 

不安そうにするブルーリッジと腕を組みじっとこちらを見つめるキーロフに俺は逃げるよう命じた。

正直、悔しいという気持ちはある…だが、少なくとも彼女たちには生きていて欲しいと思ったんだ、だから俺は…「ふざけるな!!」…。

 

「だが、これは俺に出された命令だ…お前たちを巻き込む必要など…」

 

「私たちは!あなたの艦娘だ!兵器だ!それを使わないでどうする!!」

 

「しかしッ!!」

 

「──私たちを侮るなよ提督…こんな窮地、1991年12月26日の絶望に比べれば屁でもないッ!!私を使え提督!!」

 

俺の胸ぐらをつかみあげこちらの目を覗き込んで彼女は叫ぶ、自分たちの存在意義を…提督の存在を。

──そうだ、俺は提督だ…誰になんと言われようが無能と蔑まれようが彼女達の生みの親でたった一人の提督なんだ!なら諦めることなんて出来ない!!

 

「ふっ…やっと良い目になったな」

 

軽く不敵な笑みを浮かべるキーロフ、その目には燃え上がるような闘志が目に見えるほどに浮かび上がっておりまるで空間そのものが歪んでいるように見えた。

 

「あぁ、ありがとうキーロフ、おかげでスッキリした」

 

即座に振り落とされた軍帽を拾い上げ、俺はそれを深々と被り彼女たちを見つめると深く息を吸い込んで彼女たちに初めての命令を発した。

 

「全艦出撃!!ソロモン諸島に接近する深海棲艦中規模艦隊を外洋で撃滅する!!」

 

「「はいっ!」」

 

間違いなく島が連立するソロモン諸島内部に侵入されればたった2隻では迎撃など不可能だ、ならば一か八か打って出て敵艦隊を外洋で撃滅する他ない。

かなり危険だが、俺は彼女達ならばこの絶望的な戦況もひっくり返せるんじゃないかと期待していた。

 

「──そして!!必ず帰ってこい!!」

 

「「はいっ!!」」

 

最後の命令は俺の願望だ…だが、彼女たちにはこんなところで沈んで欲しくない…だから命令でもなんでも沈まないでいてくれるなら何度でも言うつもりだ。

そして、俺は自分の体が許す限り大きな声で作戦の発令を宣言した。

 

作戦開始だ!!

 

──ソロモン諸島が再び鉄色に変わる──

 




すいません、戦闘は次回からになります。
感想・評価ありがとうございます。
今後とも頑張っていきたいと思います。

そしてここいらで、艦娘の装備に関する話をしておきます。
基本的には4スロットあり、埋め込み式のミサイルや魚雷はそれに含まれず補給によって増減することになっています。
そのため、5~8程度の装備を搭載していてもそのうちの半分ほどは船体固定型の兵装でレーダーなんかもそれに含まれます。
よってキーロフの主砲を40cm砲にする事も理論上は可能です…する意味があるかどうかは知らないけど。

太字や点滅などのフォント関係

  • これまで通りで大丈夫
  • 無くて良い
  • 更新速度あげるんだよあくしろよ
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