現代艦しか建造されない鎮守府(仮)   作:秋月艦隊

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第6話 ミサイル攻撃【艦娘side】

 

ソロモン諸島【ソロモン海】

 

提督の作戦開始の合図の後…大急ぎて出撃した私たちの前に広がっていたのはこれまで以上の重圧と暖かな南風だった。

 

「…敵はソロモン海の何処かにいるのだよな?」

 

「──正確な場所がわかるならば最初から苦労してません」

 

私は少し前を進むキーロフの曖昧な問いかけを冷ややかな面持ちで答えた。

元より仲良くする気などないが…とりあえず第七艦隊の各艦が集まるまでの辛抱だ、その時こそアメリカ海軍の優秀さを知らしめロシアの艦艇など後方にでも送り込んでしまいましょう。

 

「──今更だが、お前かなり腹黒いな」

 

「そうですか?普通だと思いますが」

 

やはりロシアの船は失礼ですね。

これだから彼らは嫌いなんです、身勝手ですしわがままですし…何よりも彼女が私と同じように提督を潤んだ瞳で見つめるのを見ると何故か殺意が湧きます。

 

「殺意が湧くような船で悪かったな」

 

「あれ?声に出てましたか?」

 

「顔に書いてあったぞ」

 

いけませんね、もっと落ち着いて冷静に対応していかなければ勝てる戦いも勝てなくなってしまいます。

…それはそうと、深海棲艦の中規模艦隊ですか…普通に考えれば駆逐艦・軽巡洋艦・軽空母程度の艦艇が50隻ほどですが、最前線も最前線のソロモン諸島に現れる敵がそれだけとは思えません…少なくとも重巡洋艦が複数存在すると考えた方が良さそうですね。

 

「──おっと、どうやらお出ましのようだぞ?」

 

「そのようですね」

 

私が思考の海に沈んでいる間にキーロフと私は敵を発見しました。

 

「はぁぁ、レーダーに映っている物だけでも重巡洋艦2隻・軽巡洋艦8隻・駆逐艦20隻・軽空母6隻…か、かなりの数だな」

 

「数だけですよ…張子の虎?ウドの大木?こう言うのどう言うんでしたっけ?」

 

「鎧袖一触とかじゃないか?」

 

私とキーロフはここが戦場であるとは思えないような、なんてことの無い普通の他愛もない話を行っていました。

別に警戒してないわけでも慢心しているわけでもありませんよ?ですが距離にして600kmも離れた場所にいる古臭い敵艦隊を脅威に思えと言う方が難しいですからね。

 

「…とりあえず、軽空母・重巡洋艦を第1目標として攻撃しますか?」

 

「そうだな、敵艦隊の編成を考えるに空母を叩くのは既定路線だからな」

 

「はい、現在の我々では空母と潜水艦が最も脅威ですからね」

 

さすがにシベリアで頭が冷え固まった船でも、優先攻撃目標位はわかりましたか…いえ、バカにしているわけではありませんよ?ですが頭ごなしにミサイルを大量に撃てばいいと考えているような国家の船は信用できませんので。

 

「…ふむ」

 

「どうかしましたか?」

 

「敵艦隊はどうやら、相当固まって動いているな」

 

それがどうかしたのでしょうか?私としては大した問題であるとは思えないのですが、空母を中心とした輪形陣、機動部隊ならば当たり前のようにとる陣形のひとつですし、一体どういう…「よし、ミサイル飽和攻撃をしよう」…は?

 

「いやいやいや…何を言っているんですか?別にミサイルによる精密攻撃で十分じゃないですか?わざわざ飽和攻撃なんて…」

 

「いや、理由はある、一番の理由は敵に一切の情報を与えないことにある」

 

「は?」

 

「そうだ、お前も分かっているだろうが奴らを少しでもうち漏らせば間違いなく報復に来るぞ、ましてや対艦ミサイルに適応されようものなら私達は一気に活躍の場を失ってしまいかねない!!」

 

適応…これまでは考えてこなかったけれど、深海棲艦も生物?ならば適応する可能性は十分にある。

もしも、などの事を考えるならば確かに考えられない戦術では無い…しかし、私はキーロフが決して理論的にこの戦術を取ろうとしているようには見えなかった。

 

「…ただ自分がやってみたいからじゃないんですか?」

 

「そうとも言うな」

 

「却下です」

 

「何故だっ!?」

 

やはり、彼女は凍てつく氷の大地にでも閉じ込めておいた方がいいのでは無いでしょうか?まぁ、彼女の考えも分からなくは無いけれど、今の私達はいかに効率的に敵を撃滅するかよ…ただでさえ物資の不足が心配になる最前線なのにそんな消耗はできないわ。

 

「くっ!正論だ…」

 

「分かったら、そのグラニート?で順番に攻撃してください、細かい誘導作業はこちらから実行します」

 

「…分かった、今は提督の不安を排除することを優先するとしよう、精密誘導は任せた」

 

キーロフがそう言うと、巨大な艤装を水平に持ち上げミサイル発射管を全て開閉させた。

発射管内部に覗く弾頭は私達、アメリカの艦艇に搭載されていた物より一回りもふた周りも大きく重苦しい威圧感を感じさせた。

 

「東南の方角、目標敵主力艦…」

 

「距離290海里…命中まで約7分」

 

本来ならば衛星などが無ければ行えない誘導を私が肩代わりすることで大雑把なれど十分な射程での運用を可能とした。

かなり無理やりなため、命中率はお世辞にも高くは無いが…それはキーロフに搭載された大量のミサイルの数によってカバーする。

 

「…攻撃開始」

 

てぇぇぇッ!!

 

多数のミサイルが続々と発射され敵艦隊に向かって突き進む。

マッハ2越えのミサイルは音速の壁を軽々と突き破り亡霊の艦隊に向かって死を与えるため前進する。

 

「───次弾装填、次をやるぞ」

 

「次は軽巡洋艦・駆逐艦の2目標ですか?」

 

「当たり前だ」

 

キーロフの艤装がギィィと言う特徴的な音を立てながら次のミサイルを装填する。

私は更にレーダーの精度を上げ周囲の軽巡洋艦と駆逐艦を誘導目標とした。

 

「徹底的にやるぞ」

 

「ッ…そうね」

 

キーロフから聞こえてくる底冷えするような闘志と殺気…明らかに先程と違う姿に少々衝撃を受けながらも、これがロシアの船か…と納得するような感覚を感じながら笑みを浮かべる。

 

「──攻撃開始

 

──ソロモン海が鉄色に変わる──

 

 




感想・評価ありがとうございます。
次は提督視点です。

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