雄英1-A全員がクラス転移をしてしまった。というお話です
少し極端なザッピング形式で視点変更だらけのため少々読みにくいかと思います。ご容赦を

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伝奇系アニメの導入CM的な感じで


僕らの異世界召喚アカデミア

 

国立雄英高等学校ヒーロー科

そこは偏差値79超を誇る超エリート校であり、現役プロヒーロー達による授業が受けられるヒーロー育成の最高峰である

中でもこの年最大の目玉、№1ヒーロー・オールマイトによる初めての授業が行われた。その翌日

朝のホームルーム中にそれは起きた。

 

 

雄英1-Aの生徒20名は担任の相澤により前日の戦闘訓練について講評を受けていた

「上鳴。お前は個性の制御法を考えろ。状況が悪くて個性使えないはいつまでも通じねえぞ」

「ウス……」

「次に耳郎――」

怒涛のダメ出しによって次々ぺしゃんこにされてゆく、そのさなか

 

――ひとつ (くろ)き杯に影を差す――

 

突然、黒い光とでも言うべき何かが教室の床と天井に浮かび上がった

「なにこれ?」

「え、また何かのサプライズ?」

その黒光は瞬きの間に収束し、円に囲まれた星形のような図形を描き出す

「チィッ!」

「全員教室を出ろ!すぐにだ!」

爆豪が床の図形へ爆発を放ち、相澤が指示を出しつつ髪を逆立て天井を睨むが光に変化はない

 

――ふたつ (しろ)き杯に蜜を注ぐ――

 

「ノン!なんだいこれ!?」

「先生!ドアを開けられません!」

素早く扉に駆け寄り退路を確保しようとした飯田、青山の目前で扉が……否、扉のある壁全体が白い光に包まれ触れることができない

振り返ってみれば逆側の窓も同じ光に包まれていた

そしてその白光も床の黒光に似た図形を描き出す

 

――みっつ (あか)き杯に火を灯す――

 

迷う間もなく、続けて教室前後の壁にも赤い光が浮かぶ

「全員、個性の使用を許可する。どこを壊してもいい。脱出しろ!」

「!!」

「やぁっ!」

「ハンマーですわ!みなさん!」

「シュガードープ!おっらぁ!」

相澤の言葉に答えて氷山が、酸が、剛力で振るわれる鉄槌が、扉を、壁を、窓を破らんと叩きつけられる。だがそのいずれにも何の手ごたえもない

 

――青き杯は溶け崩れ 魂の緒は宙に浮く 継がれし運命は汝を見失わん――

 

「みんな、どいて!」

「デクくん!?」

「やめたまえ、君の腕はまだ」

そして緑谷が己の片腕を捨てる決断を下した

同時に爆豪が合わせた両掌を腰だめに構えて窓前に立つ。その両手は最初の爆破を跳ね返された直後からずっと重ね合わせられ、小さく弾ける音を立てていた

「SMAAAAAAAAASH!!」

「ぶっとべやゴルァあぁぁぁぁ!!」

それぞれが反動による自傷をいとわない、現時点における最大威力を叩きつける

しかし

「「――!?」」

反動も、周囲に発生するはずの衝撃波すらなく、その力は虚空へ吸い込まれた

同時に上下左右前後、六方の円陣が回転と前進を始めた

 

――弾け繋げ破裂せよ固結せよ 縁業一切抹消せよ創造せよ――

 

「しまった、まさか!」

「わたしたちの個性を吸って動いてますの!?」

「え、いや、まさか。これってアレ?」

接近する円陣によってクラスの21名は次第に教室中央へ押し固められてゆく

 

――来たれ 音より疾く 呼び声に応え――

 

「っ、止ま、らん」

「キャンッ」「黒影(ブラックシャドウ)ゥ!?」

力自慢がどれほど力を振り絞ってもその進行を欠片も押し留めることはできず

しかし誰一人として押し潰される苦痛を感じることもなく、どこかありえない方角へ押し出されるような奇妙な感覚のみを感じていた

 

――来たれ 雷より疾く 帰るべき現身は此処に――

 

そして

「クソがあぁぁぁ!」

爆豪の怒声を最後に、対面の円陣と円陣とが重なる

 

――来たれ 光より疾く 凍天の七星よ――

 

直後、謎の光は消え失せ、後には無人の教室のみが残った

 

 

  * * *

 

 

次に彼らの目に映ったのは薄暗い部屋だった

石造りの部屋で、()()の級友と共に黒い円と七芒星で形作られた魔法陣に降り立った飯田は、そこに居た長い銀髪の少女へ注意深く問いかける

「君は何者だ。他の皆はどこにいる」

「ςελ ιτ; ιτ; ニホンゴ?――おねがい です たすけて わたし」

黒の陣営、7名

蛙吹梅雨・飯田天哉・耳郎響香・瀬呂範太・常闇踏陰・緑谷出久・八百万百

 

白い魔法陣の刻まれた白塗りの部屋で、爆豪が金髪の優男を前にわめく

「あ゛ァ゛?何モンだてめぇ!ぶっ殺されてぇか!」

「Ketré mes tózs yge. Nav jab. すこし れいせい たのむ しよう とりひき」

相手もどこか困惑しているようだった

白の陣営、7名

青山優雅・尾白猿夫・上鳴電気・口田甲司・障子目蔵・葉隠透・爆豪克己

 

赤い魔法陣の刻まれたレンガ造りの部屋では、6人の生徒を背にした相澤が美髯を蓄えた壮年の外国人男性を睨みつける

「日本語ははわかるか」

「――アア。きみたち したがえ わたしに」

「ふざけるな。貴様は何者だ。我々を帰してもらおう」

赤の陣営、7名

芦戸三奈・麗日お茶子・切島鋭児郎・砂藤力道・轟焦凍・峰田実、および相澤消太

 

 

彼らは7人ずつに分かれ、大きく離れた場所にいた

だがお互いにそれを知らず、ゆえに慎重に交渉しようとする

ただ、ちょっとだけ浮わついている者もいた

 

 

「なあ、これってさ、異世界召喚じゃないのか?」

「ふ。ついに勇者として喚ばれたか」

黒の部屋で瀬呂と常闇が興奮した声を上げる

 

「ざけんな誰が聖女だ真面目に考えろやクソ透明」

「ええー?だって個性犯罪にしたって意味不明すぎない?手際悪いってゆーか、誘拐ならもうちょっとこう脅す感じになるよね?」

白の部屋では葉隠がその根拠を口にする

 

「っしゃキタキタキタキタァーッ!オイラのチートハーレム伝説、開・幕!」

「お前は何を言っているんだ」

そして赤の部屋では峰田が奇声を上げ、呆れた目を向けられていた

「なあ。異世界?償還?ってなんだ?」

ついでにその方面にまったく疎い者もいた

 

「ナルニア国物語のようなものでしょうか?ええと貴女がわたくし達をここに呼び寄せたのですか?なぜですの?」

黒の部屋の中では多少なりとも英会話の心得のある八百万が問いかける

「!はい、えいゆうに せいはいを あつめて もらおうと」

「聖杯ですか?それは如何なる物ですの?」

「むう、なる むずかしい はなし」

 

「チッ!ワケなんざ関係ねえ!連れて来たのがてめぇなら、ぶちのめして帰させる!」

BOBOBOBOM!

白の部屋で、短気を起こした爆豪が爆風に乗って殴りかかろうとする

「…ア゛?」

しかし突進している感覚はあるのに、逆走するベルトにでも乗っているかの如く金髪青年との距離は縮まらなかった。振り返ってみれば突然の爆風を浴びて身をすくめる級友たちがすぐそこにいた

 

「少なくともこいつの個性ではない、か」

髪を逆立て、髭の男を睨みながら相澤がつぶやく。彼が飛ばそうとした捕縛布は手の先で急停止していた

一瞬驚いた顔をした壮年の男が笑みを浮かべる

「あー いい か? する かんけい きみたち かえる ほうほう」

「…仕方ない。続けろ」

 

「その まえに、する まほう けいやく。なる かいわ かんたん」

黒の部屋の少女が対話を容易にする方法があると申し出る。しかし

「いや無理」「ダウトだ」

「内容を精査せずに契約なんてありえませんわ」

「Ηε…. Ιασεύετσιπμε εμ νεδ」

召喚に目を輝かせていた男子にすら即座に拒否され、少女はうなだれた

 

「くくく、虐げられてきたフツーの少年が、転移後のキッカケひとつで無双する。まさにオイラの為にあるシチュ!」

一方赤の部屋では峰田がノリノリであった

「おい」

「カモンオッサン!オイラが契約してやる!全世界の女どもがオイラにひれ伏す時がきた!」

「やめろ峰田」

相澤に強めの口調で止められた峰田は、一転して少し真面目な顔をした

「だってよお先生ぇー。結局誰か試さねーと本当のトコはわかんねーよ。全員いっぺんにやんのは論外で、先生がおかしくなるのもアウト。他の奴らはもしもの場合に個性がヤベえ。その点オイラならどうにでもなるだろ?」

契約の危険性をあからさまに疑う発言。日本語を完全には理解できていない髭の男もこれには苦笑いするしかない

その様子をじっと見ていた相澤はややあって頷く

「それもそうだな」

「エッ」

同意されるとちょっと躊躇する峰田であった

 

「んでんで、契約ってどうすんの?血でサインとかするわけ?」

白の部屋ではほぼ同じ理屈で葉隠が名乗り出ていた

「チッ!おかしくなる前に言え。即ぶちのめす」

「爆豪おまえ……気を付けて、葉隠さん」

「かんたん。ただ おしえる ほんとの なまえ おたがい」

「んじゃあたし、葉隠透。とーるちゃんって呼んで!」

「本名だっつってんだろが」

「Öszed Ireygem だよ」

 

「……お?」

自身が名乗り、相手の名乗りらしきものを聞いた途端、瀬呂は召喚の時に似たぬるりと押し出されるような感覚を覚え、円陣の外に立っていた

「大丈夫か、瀬呂君!」

「(どうですか、セロ?)」

銀髪の少女は片言の日本語ではなく異国の言葉を口にしたが、その意味がするりと頭に入る

「ああうん、何か言葉のニュアンスが分かるようになった」

「(よかった。皆さんが現れたのは私たちにも想定外でしたので、契約すらできなかったらどうしようかと)」

「狙って呼んだんじゃないってことか?」

「(はい。本来であれば縁の深い、祖先か少なくとも同郷の英雄が呼ばれるはずなのです)」

 

「ふーん。なのにオイラ達が出たから慌ててたのか」

「(そうだ。お前達は子供に見えるがどんな立場の者なのだ)」

「待て。まず契約の効力について確認しろ」

「おっといけねえ。大事なことを忘れてたぜ」

相澤に促された峰田は思い切りキメ顔をして言う

「さあオッサン!オイラのチートは何だっ!」

「おい」

「(うん?ああ特殊能力か。ふむ、凄いぞ?何かあるようだ)」

「っしゃキターッ!」

「(もじもじ?もぎもぎ?聞いたことのない力だな)」

「あああああぁぁぁぁぁ…」

突然飛び上がって喜び、直後に膝をついた峰田を見て、相澤はおおよそのことを察した

(個性を読み取れるのか。だが具体的内容までは把握できていない?)

 

「(まあそれはさておき。この魔法契約の本質は、英雄に星杯争奪戦へ参加してもらうためのものなんだ)」

「え゛。契約しなきゃ帰れたってこと!?」

「んだとコラ」

凄む爆豪に対し金髪青年は両手を立て首を振る

「(いやいや。本来召喚されるのは過去の英雄の影みたいなものでね、契約して初めて肉体を手に入れ、さもなきゃすぐに帰るはずなんだよ。なのに君達は最初から肉体を持って現れ、契約を渋ってる割に帰る様子もない)」

「そりゃ私たちは生身の人間だもん」

「(困ったね。まあ、そういうわけだから君達が心配してるらしい、こっちが命令できるような契約じゃないよ。ご先祖様にそんなことしたくないし、そんなものなくても大抵手伝ってくれる上に裏切らないからね)」

「じゃあ何のためにわざわざ契約なんてするの?必要ないんでしょ?」

「(時代の違う英雄の間で、知らない単語でも意味が何となく通じるようにするためさ。君と会話できてるのはこっちの効果だね」

「こっちの効果?じゃあ他のは何?」

「おっと鋭いね。もう一つは同じ陣営内で争わせないためだよ。ご先祖様同士は仲の悪いこともあるからね)」

 

「(その点では皆様にはあまり必要ありませんでしたね。元々仲よろしいようですし)」

「まあな。それでその()()()ってのは俺達だけか?」

「(いいえ。もちろん私と、私の国に帰属する者すべてを含みます。あなた方が私を攻撃することも、私や周囲の者があなた方を攻撃することもできなくなります)」

「……へえ。けど俺らにはあんた達を手伝う理由もないんだぜ?俺らにとって大事なのは帰ることだからな。そこんとこどうする?」

「(……ううん。おそらく、ではありますが利害は一致しているかと。星杯争奪の儀式完了と同時に参加していた英雄は送還されますので)」

「結局全員で契約しろってことか。このまま粘ってれば時間切れで戻されるってことは?」

「(そうですね。あり得ないとは言えませんし、一日ぐらいは待ってみるのもよいかもしれません。ですがその魔法陣は内と外を隔絶しますので……)」

「メシも風呂も便所も行けない?」

「(はい。申し訳ありません)」

 

「先生。こうなったら仕方ねーよ。みんなで契約しようぜ」

「……そうだな」

切島の提案に相澤は渋面で頷いた

可能な限り引き延ばすべきだと思っていた轟はその判断に意外そうな顔をする

「急にどうした?」

「俺らはまあ、多少頑張ってみるのもいいけどよ。な?」

切島の視線が一瞬後ろを向く

その意味を察した轟は納得したとばかりに頷いた

「ああ、女子のトイレか」

「言うなーっ!」

芦戸ががあ、と吠える

それを尻目に相澤は峰田へ目を向けて言った

「そもそも俺は全員の帰還を確認するまでは帰れん。俺の見てないところでただおとなしく待つとも思えんしな」

 

 

  * * *

 

 

「それで、契約はしたわけですけれど」

「星杯争奪戦とは何なのだ!犯罪に加担する気はないぞ!」

「(三つの陣営が己の主張を通すため星杯を奪い合う魔法儀式です)」

「星杯とは?」

「(奪い合う対象物という意味ではそれです)」

少女の示す先で、7人が弾き出された魔法円がゆっくりと収縮し、床からせりあがる

やがてそれは両手でつかめる程の大きさの脚付杯となった

 

「(でも魔法史的に言えば二千年前ぐらいに成立した天の四星杯のことだね)」

「あ、なんかめんどくさい話の予感」

「美しいイメージだね☆」

「簡潔にしろや」

「(それより昔は魔法のはびこる、安定とは縁のない混沌とした世界だったらしいよ)」

「ん?らしい?」

「(そんな時代を終わらせるために東西南北の賢者が協力して、魔法をなかったことにする大儀式をやったんだ。それが天の四星杯)」

 

「おかしな話だな。魔法とやらが世界の法則だったなら、それをなくすなんてことができるのか」

「(不可能だ。そもそも諸君が見たように魔法そのものは現在も存在する)」

「おいおい、どっちだよ」

「(生物の記憶・認識・常識から魔法を消したのだ。今世の者は魔法を使うことはもちろん、目の前にあっても気付くこともできんし、二千年より前の歴史認識からも魔法にかかわる部分がごっそり失われた結果、古代史は教科書からほとんど失われておる)」

「なくしたのではなく使えなくさせたということか。しかしそれならなぜお前は魔法の事を知っている?」

「(魔法使いだからだ。二千年前の魔法使いも魔法を放棄することに納得した者ばかりではない。多くは直接反抗して倒れたが、ここのような小星杯とでも言うべき結界を用意して己の知識を守ることのみに注力した者もいたのだ。もっとも代を重ねるごとに知識は欠落しつつあるがね)」

 

「(そして千年ほど前、これらを通じて天の四星杯に逆干渉する儀式が考案されました。それが星杯争奪戦――通称、星杯戦争です)」

「魔法を復活させようとしたのか?」

「(いえ。天の四星杯の、人の意識を改変するという機能を流用して紛争抑止装置にしようとしたのです)」

「抑止?戦争なのに?」

「(星杯戦争の勝者は何かひとつの常識を数年間、参加三陣営に対して付け加えたり失わせたりすることができます。これにより弱小勢力でも大勢力に対し張り合える武器を手に入れることとなりました)」

 

「うひょおぉっ!常識改変かよぉ!?」

「(何やら酷く下劣なニュアンスを感じたが、そこまで便利なものではないぞ?自陣営にも同じものが適用される一方、三陣営以外の者には影響せん。加えて効果は途中で変えることもできず、最長四年以内に消える。下手なことを願えば袋叩きだ)」

「逆にソレ使って隣国併合しようとする国とか出そうだけど。俺たちは同じ国だーみたいな常識作って」

「(三陣営が三陣営のままでないと儀式の前提そのものが崩壊する。故にその手の望みはかなう前に失敗する)」

 

「ンな単純な話じゃねえだろ」

「(まあね。直接の併呑を願わなくたって相手を弱らせたり好意的にさせたりすれば併合への障壁は下がるし、そもそも魔法儀式である以上魔法使いにしか認識できないから、その知識のない政治家がトップにいたら意味ないよね)」

「そんじゃ結局抑止力になってねーんじゃねーの」

「(それでも本来より紛争を減らしてる自負はあるよ。非魔法使いに存在を()()()()()()手順も確立してるし、星杯戦争に呼べる英雄は勢力の規模と無関係に七星だけだから、大勢力ほど嫌がるんでね)」

「じゃあボクたち以外にも7人ずつ呼ばれたってことかい?」

「(うん?いや。英雄の強さを一つ星から七つ星まで七段階に分けて、その星の合計を七にするって意味だよ)」

「ア゛ア゛?待てやゴルァ!この俺がこいつらと同レベルの最弱だと!?」

「そこかよ」

 

「じゃあ多分みんなはうわっ」

「わたくし達は一つ星ということですのね?星数の多い相手がいたとして差はどれぐらいなのでしょう」

見当たらないクラスメイトについて推測を口にしかけた緑谷が後ろから引っ張られた。そして奪い取るかのように八百万が口を挟む

「(そうですね。相性もあり一概には言えませんが、英雄の力の差は星の差にほぼ等しいと言われます)」

(迂闊よ緑谷ちゃん)

(つつつつゆちゃん?)

緑谷を後ろから引っ張った蛙吹が背中に張り付いたまま囁いた

(彼女を信用しすぎちゃ駄目。彼女には勝って叶えたい願いがあるのよ。なら、他の場所に呼ばれた皆と仲間同士だって知られるのはよくないわ)

(!!)

見れば飯田も瀬呂に肩を組まれ何か囁かれていた

 

「なら七つ星一人呼ぶのが最強じゃないのか?とりあえず負けないよな?」

空気をごまかすように砂籐が少し大きな声を出す

対して相澤がジロリと視線を動かした

「星杯戦争の目的はなんだ、砂籐」

「え、えーと星に願いを掛けるため?」

「メルヘンっ!?」

「星杯を手に入れるため、だろ」

轟の回答に魔法使いが頷く

「(そうだ。どれだけ敵対陣営の英雄を倒しても、星杯を奪われては意味がない)」

「ああー。攻めと守りで二人いるんだあ」

「芦戸もよく考えろ。二人とは限らん」

「ええっと?」

「大勢で襲いかかって、誰かやられてる間に星杯奪う、とかスか?」

「陣営が三つなんも意味あるやんな。かちあっとる間に漁夫の利とりにくるかもしれんし」

戦術的な思考を働かせ始めた生徒たちに相澤もうなずく

「まあそういうことだ。その戦力配分の読み合いが最初の勝負なんだろう」

「ならオッサンはバトルで勝つより裏を掻くこと優先したのか?」

「(いいや)」

 

「(予定ではクラス1-Aと2-B、4-Eで一人ずつ呼ぶつもりだったんだ)」

「……ん?」

「クラスって……?」

青年が口にした、妙に聞き覚えのあるワードに反応する一同

「(うん?星の数と得意な戦い方の略号を組み合わせた、英雄の大雑把な分類だよ)」

「ああ。階級の事か」

「で、()()()()()()()()を呼んだら俺らが来た?」

「(そうさ。いっぺんに七名現れて枠を全部埋めちゃったのは誤算だったけどね)」

(((((それだぁ……!)))))

いささか恨みがましい言い方を聞き流し、クラスの心が一つになる。誤算も何もまんま自分たちを指定してるじゃないか、と

爆豪も顔を歪めるが、それをどうにか抑えて気になったことを聞いた

「ンで、Aってのはどんなタイプだ」

「(アタッカー(汎用型)だね)」

「ん?んん?」

「何だか今、ニュアンスがおかしかったような」

耳から入った、めずらしく意味のわかる単語と翻訳とのミスマッチに一斉に首をかしげる

「……ちな、他のタイプは?」

「(Bがブラスター(近距離型)、Cがクラッシャー(遠距離型)、Dがデストロイヤー(斥候型)でEがエリミネイター(特殊型)だね)」

(((((これ絶対地球人が関わってるヤツ!?)))))

彼らの心は再び一つになった

 

 

  * * *

 

 

そして、星杯戦争が始まる

 

 

「よし、お前たち。わかってるな?」

「戦闘は避けて星杯を割りにいく」

「あたしたちに星杯戦争の勝敗は関係ないもんね」

 

「させないよ。轟くん」

「なぜだ。緑谷」

「たとえ出会いが最悪でも、助けを求める人を僕は救けたい」

 

「とりあえずてめぇは逝っとけやデクゥゥゥッ!」

「なんでさかっちゃん!?」

 

    *

 

「チッ、気付いたか?魔法契約ってヤツ思った以上にヤベえぞ」

「どうしたよ爆豪」

「ええと、爆豪くんでも仲間に暴言を言えんくなってるとこ?」

「言われてみりゃやべーな」

「そこじゃねえ!――終わりにするだけなら自陣の星杯砕くのが一番手っ取り早えぇじゃねーか。それが今の今まで思い浮かびもしなかった。思いついたってのに実行する気が欠片も起きねえ」

「そりゃ爆豪が負けず嫌いすぎるからじゃね?」

「ア゛ア゛!?」

「そういえば、星杯が砕ける物だと気付いたのはいつだった?少なくともあの男から聞いた覚えはないが」

 

    *

 

「千年前に異世界から来た魔法使い『エニウェア』?」

「地球の名前だな」

「神隠しヒーロー『エニウェア』!とても珍しい転移系「個性」を持つヒーローだ!転移先を指定できない欠点があるけど、必ず安全などこかへ飛ばす!救助でも戦闘でも一瞬で状況を変えられる凄い個性だ!救けた人や他のヒーローに転移先の事で非難されることも多くてあまり評価は高くなかったけど、本当に緊急性の高い事態では頼みの綱だったって言われてる。でも6年ぐらい前に凶悪な敵集団と遭遇して、味方を逃がしたのを最後に行方不明になってたはず。実はこっちの世界に転移していた?個性事故?それともまさかそうしないと安全が確信できないほどの強敵だったってこと?いやそれ以前に千年前?時間の流れに二百倍近いずれがあるのか。だとすれば僕たちにとってはラッキーかもしれない。こっちでひと月経っても地球では半日しか経ってないことになるし。それに星杯戦争がこの人が作ったシステムなら、帰還の手掛かりを残してるかもしれないぞ。クラス名称のあれは地球人へのあからさまなメッセージだし。ああでもエニウェア自身は戻ってないんだ。じゃあ単純に乗れば帰れる魔法陣とかはないよねブツブツブツブツ

「怖いわ緑谷ちゃん」

 

    *

 

「割っちゃダメだかっちゃん!」

「いい加減気付やクソデクァ!手前ぇらクソ女にいいように利用されてんじゃねえ!」

「そこじゃない!思い出してよかっちゃん!それは僕らを呼んだ魔法陣なんだ!」

「……あ゛?!!」

「僕らがみんなで帰るのには三つとも要る!壊しちゃダメだ!」

 

「無駄なことを。英雄の送還とは仮初の肉体を分解し、人の記憶、魂の影に還すだけの術式。星杯を揃えたとて、あなた方が元の地に帰る手段なんてありません」

「ある!死んでも諦めないのがヒーローだ!」

 

  * * *

 

『いつかこの地に来てしまうかもしれない地球の誰かへ』

『すまない。僕の未練が君の縁をこの地に繋いでしまった』

『星杯を集めてくれ。そして願いの儀式が行われる前に僕を召喚するんだ』

『この名に懸けて僕が君を帰してみせる』

エニウェア(どこか遠く)。母なる地球へ』

 

 





異世界でクラスから排斥された主人公がスキルを得て無双、的お約束を期待なさってた方はごめんなさい。一瞬考えたのですが1-Aの面子が誰かをハブるとか考えられませんでしたので。やるなら緑爆中学時代でしょうが、それ僕アカの必要ある?とセルフツッコミが。でも読みたい気はするので誰か書いて(はぁと)
私はお話を面白く膨らませる才能が決定的に不足してるのでこれが限界でした

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