鎮守府の片隅で   作:ariel

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今回は外伝ですから、主人公は鳳翔さんです。とはいえ、実際の主人公は妖精さんだったりするのですがw。


外伝2 鳳翔さんの航空弁当

「鳳翔さん、支援艦隊の伊勢から入電。敵空母棲姫からの攻撃により、千代田と千歳、愛宕が中破、日向は小破なれど戦闘に支障なし。どうするか指示を求めているようだ。」

 

「長門さん、伊勢さんの支援艦隊に撤退命令を伝えてください。支援艦隊のおかげで、こちらは陸奥さんと大井さんに小さな被害がありますが、ほぼ無傷で済みました。位置的には、これで敵本隊まで遮る敵艦隊は居ないでしょうから、伊勢さんの支援艦隊は既に任務を十二分に果たしたと判断します。」

 

「そうだな、鳳翔さん。すぐに伊勢に命令を伝える。」

 

私達は現在、南鳥島の北を南東に向けて航行中です。深海棲艦の大艦隊が本土に向って進撃中との知らせを受けて、鎮守府を出航した私達ですが、既に敵の先遣隊は我が本土周辺に展開中だったようです。そのため敵本隊と戦う前に敵艦隊との戦闘で、支援部隊が引き返さざるを得ない状態になりました。敵本隊の位置は、南鳥島基地の二式大艇により正確な位置が判明していますので、奇襲される心配はありませんが、ここからは私達の本隊だけで戦う事になりそうです。

 

「鳳翔さん、南鳥島海軍基地航空隊から通信です。私達の付近に敵は見当たらないようですから、今の内に小休止しませんか?」

 

「そうね、翔鶴さん。全艦隊へ、私達の艦隊は最低限の警戒をしつつこのまま南東に向かって前進します。敵との距離を考えると、4時間後には敵本隊に対して攻撃隊を発艦させますので、各空母の搭乗員は3時間後に各飛行甲板に集合してください。それと今の内に配食を行いますが、戦闘状態は解除出来ませんので、第二戦闘配食とします。各戦闘班の代表者は、烹炊所(ほうすいじょ)に戦闘食を受領しに行ってください。また航空兵は各自航空弁当の受領をお願いします。」

 

私達の艦隊から攻撃隊を出すまでおよそ4時間。幸いな事に付近に敵はいないようですから、今の内に戦闘食を出して食事を済ませてしまいましょう。一度戦闘が始まってしまうと、ゆっくり食事は無理ですから…。

 

さて戦闘食ですが、今回は私の艦の烹炊員の妖精さん達が頑張って握飯を作っているようですね。私の艦の妖精さん達は、他の空母娘達の妖精さんよりもベテランが揃っていますから、あまり大きな声では言えないのですが、物資を手に入れてくる事が非常に上手なようです。今回も出撃にあたり、いつのまにやら大量の牛肉の大和煮の入った缶詰や、パイン缶を積み込んだようで、戦闘食として配られた握飯が、牛肉の大和煮と野菜が一緒に入った炊き込みご飯で作られていますし、各員にパイン缶まで配られました。私も早速いただきましょうか。

 

あら…なかなかいけますね。牛肉の大和煮は兵員達の間でも人気の缶詰。しっかりした味のついた濃い目の牛肉の煮物は、炊き込みご飯として握飯に入ってもその美味しさは全く変わりません。これは食が進みますね…私も今度、自分の料理屋で真似をしたいと思うくらい美味しい握飯でした。おそらく、一緒に作戦行動中の航空母艦である翔鶴さんや瑞鶴さんの所も今頃、戦闘食として握飯が配られていると思いますが、うちの戦闘食程美味しい物は配られていないのではないでしょうか。

 

「鳳翔さん、うちの握飯はいかがですか?今回も腕によりをかけて作らさせてもらいましたので、満足していただけると思いますが…。」

 

「あら、烹炊長さん。非常に美味しいですよ。牛肉の大和煮の缶詰を何処からこれだけ手に入れたかについては敢えて聞きませんが、それを使った炊き込みご飯で作ったこの握飯は本当に美味しいと思います。これなら皆元気に戦えそうですね。」

 

「ありがとうございます。うちは、主計長が出来る奴なので、上手に物資をちょろまか…ではなく、交渉して手に入れることが出来まして…。ですから、今回も料理の腕を存分にふるえましたよ。それに、鳳翔さんの艦で不味い飯など絶対に出せませんからね。これでも、空母機動部隊の中では一番飯が上手い艦として、航空機搭乗員や乗員達の中では評判ですから。」

 

…出港準備時にそんな事があったのですか。ですが、あまり物資を正規の手続き以外で手に入れることは褒められた事ではないので、一度主計長の妖精さんにはそれとなく注意しておかなければいけませんね。それにしても、私が小料理屋をやっている事もありますが、うちの艦の食事は美味しい事で有名になっているようですね。

 

「そうだな~、烹炊長。今回出撃している空母三艦で考えたら、うちの食事が最上で、次が翔鶴のお嬢ちゃんの所かな。瑞鶴のお嬢ちゃんの所は…俺は乗りたくないな…ワハハハ。」

 

「艦長、違いないですね。実際、瑞鶴勤務の若い乗員の奴ら、今回の出撃に合わせて非常準備食の乾麺麭(乾パンの事)を各自で持参しているようですからね。乗艦していく時の若い奴等の諦めきったような顔は、今思い出しても笑えてきますわ。それに、あそこの若い奴らに話を聞いたんですけど、なんでもこの間、瑞鶴のお嬢ちゃん自らが烹炊所で料理をした結果、大量に飯が余ったようですよ。腹を空かせた若い奴らですら、食べられなかった料理など、想像したくないですな…ハハハ。」

 

「おぃおぃ、航海長。あんまり酷い事言っていると、鳳翔さんに怒られて、瑞鶴勤務にされてしまうぞ…ワハハハ」

 

…瑞鶴さん、鎮守府に戻ったら一度呼び出して料理の特訓ですね。それにしても、艦によって食事にそれだけ大きな差があるのは、少し問題かもしれません。あの人は、こういう事には無頓着ですから、私の方で何かマニュアルのような物を準備した方が良いかもしれませんね。流石に長門さんや陸奥さんの所などは、うちと一緒でベテランの主計長や烹炊長が居ますから食事も美味しいと思いますが、まだ戦歴が少ない翔鶴さんや瑞鶴さんの所は、全てが若手中心。しかも同じ若い空母でも、翔鶴さんの所は、翔鶴さん自身が料理が上手いので烹炊員達も鍛えられているのでしょうが、瑞鶴さんは…。

 

「烹炊長さん、そういえば、今回の航空弁当は何を準備したのですか?あれも、艦載機搭乗員達には評判が良いようなので、こちらとしては本当に助かっているのですが。」

 

「鳳翔さん、それも抜かりはありませんよ。今回もきちんと主食箱と副食箱、両方準備しています。主食箱の方は赤飯、副食箱の方は卵焼きと煮しめ、そして骨を除いた塩鱒の焼き魚を入れています。後は、各搭乗員には飴玉とサイダーを持たせる予定です。まぁ、うちの航空隊の搭乗員達は味に五月蝿い奴が多いので、副食箱を持たせなかったらストライキが起きてしまいますからね。」

 

どうやら、航空弁当の方もしっかり持たせる事が出来そうですね。艦によっては、握飯だけやサンドイッチだけを持たされる空母もあると聞きましたから、そのような空母に比べればうちの航空弁当はかなり充実しています。それに…ベテラン搭乗員揃いのうちは、味にも五月蝿い搭乗員が揃っているようで、烹炊長も苦労しているようですね。

 

「烹炊長、うちの航空弁当は、そんなに充実しているのか?俺の後輩が艦長をしている翔鶴のお嬢ちゃんの所も、航空弁当への搭乗員からの評判はいいみたいだが。」

 

「そうですね艦長。まぁ、あそこは翔鶴のお嬢ちゃんの趣味でサンドイッチが出る時は搭乗員からの評判が悪いみたいですが、それ以外の、特に稲荷寿司の航空弁当はかなり評判いいみたいですよ。あと、味はともかく量は非常に充実している赤城のお嬢ちゃんの所も若い搭乗員には評判いいみたいですね。」

 

味はともかく…ですか。赤城さんも、帰ったら私のお手伝いの合間に料理の特訓ですね。しかし、翔鶴さんのところはともかく、瑞鶴さんのところの航空弁当は大丈夫なのでしょうか…。あまり聞かない方が幸せな気もしますが、少し気になりますね。

 

「烹炊長さん…その…ちょっと聞きたいのですが、瑞鶴さんの所の航空弁当はどうなのですか?何か聞いていますか?」

 

うちのベテラン烹炊長であれば、各艦の烹炊員達に様々な伝があるはずですから、きっと実情を知っているでしょう。あら?烹炊長さんが視線をそらせましたね…そんなに酷い航空弁当が出ているのでしょうか…心配になってきます。

 

「あの…瑞鶴さんの所は、そんなに酷い航空弁当が出ているのですか?」

 

「いや…その…鳳翔さん。あまり瑞鶴のお嬢ちゃんを怒らないで欲しいのですが…。あそこは缶詰をそのまま持たせているという話ですよ。」

 

「…」

 

瑞鶴さん…戻ったら、色々とお話をしないといけなさそうですね…。まだ私が空母寮に居た頃に、もう少し料理の手伝いをさせておくべきでした…。今からでも間に合うのでしょうか…。

 

 

「長門さん、そろそろですね。これから攻撃隊を発艦させますが、発艦後は艦隊を二分します。長門さんは前衛の一水戦と、陸奥さん、大井さんと共に敵艦隊に殴りこみをかけてください。私達空母部隊は鳥海さんと摩耶さん、そして五水戦と共に行動します。」

 

「了解した、鳳翔さん。敵艦隊は、この長門が必ず撃滅してみせるから安心してくれ。鳳翔さんの方も、敵航空部隊が出てくるだろうから、十分に気をつけてくれよ。」

 

航空隊が発艦したら、私達空母は敵と距離を取るため一端敵艦隊から離れますが、長門さん達は、このまま前進して敵艦隊に砲雷撃戦を挑む予定になっています。私達もそうですが、それ以上に危険な任務…気をつけて戦ってきて欲しいですね。

 

「翔鶴さん、瑞鶴さん、いよいよ私達の出番ですよ。あなた達も錬度を上げたようですから、実戦でその成果をしっかり見せてくださいね。艦長さん、艦首を風上に向けてください…。風向き…よし。第一次攻撃隊発艦してください。皆さん、御武運を。」

 

正直に言いますと、私と翔鶴さん、そして瑞鶴さんの三艦から出撃する攻撃隊では、敵本隊に対して有効な攻撃をかけることは難しいでしょう。私は敵本隊の大型艦に対して有効な打撃を与える事は難しいと考えましたので、うちの艦爆隊には随伴する小型艦を狙うように指示を出しています。それに、相手からの攻撃隊…こちらの直掩隊だけで防げるかどうか…。

 

「鳳翔さん、大変だ。私の十四号電探に感あり。所属不明の大編隊を東に発見。方角的に敵本隊からの物ではないと思うが…この方位からの攻撃隊の情報もないし…どうしたものだろうか…。」

 

「ありがとう長門さん。一応、直掩部隊を上げますが…先に攻撃隊を全て出してからですね。その飛行隊との距離的には、おそらくそれで間に合うと思います。長門さん達も、艦隊の分離を少し待ってくれませんか。この大編隊が敵だった場合は、ここで迎え撃たなければいけませんから…。今、近くに居る哨戒機を確認に向わせましたので、しばらくそのままでお願いします。」

 

東に所属不明の大編隊ですか…。まさか、私達が本隊だと考えていた敵艦隊以外にもう一部隊出て来ているのでしょうか…流石に二艦隊を相手にするのは、空母三隻の私の艦隊ではかなり厳しい戦いになりそうです。とりあえずは敵ではない事を願いつつ、偵察に向った瑞鶴さんのところの彩雲の情報待ちですね。

 

既にこちらからの攻撃隊はほぼ全機が発艦し、一路南東に向って進撃を開始しています。また先程長門さんから報告があった所属不明の大編隊ですが、こちらもおそらく、あと少しで瑞鶴さんの彩雲が接触すると思いますが、いつでも直援隊を上げられるように準備だけはしておきましょうか。

 

「鳳翔さん、瑞鶴です。彩雲から連絡がありました。味方です!所属不明の大編隊は、一航艦から敵本隊への攻撃隊みたいです。数、およそ200機。」

 

…ふぅ…赤城さん達が間に合ったのですね。多少はミッドウェー島周辺での敵艦隊との戦闘により戦力低下しているとはいえ、このタイミングでの正規空母四隻からなる一航艦の来援は、起死回生の一手になるでしょう。それに消耗していると言っても、200機近い攻撃隊は非常に強力ですし、うちからも150機近い攻撃隊を出していますので、この二派の攻撃隊であれば、敵本隊に対してかなりの打撃が期待出来そうです。

 

「長門さん…味方のようですから、当初の予定どおり、ここで艦隊を分けましょう。武運長久を…。」

 

「了解した、鳳翔さん。そちらも武運を。」

 

 

長門さん達と別れた私達空母部隊は、敵本隊から少し距離をとるような方位に転進しました。おそらく敵本隊も攻撃隊を出しているでしょうから、これからはお互いに何処まで相手の攻撃に我慢出来るか?という事になります。とはいえ、こちらは私達以外にも、位置は未だに不明ですが一航艦が近くまで来ていますから、こちらが多少有利だと思います。既に直援隊も上に上げていますし、対空電探も稼働中。これなら敵本隊からの攻撃隊がいつ来ても問題ありません。

 

「鳳翔さん、空母瑞鶴から電文。十三号対空電探に感あり。方位南東、距離およそ200km。いよいよ来ましたね。」

 

「そうですね艦長さん、それでは操艦をお任せします。通信士さん、直援隊に連絡をお願いします。鳳翔戦闘隊及び瑞鶴戦闘隊は、上空にて敵機の迎撃を。翔鶴戦闘隊は、敵の雷撃機に備えて低空で待機するように。以上です。」

 

「了解です、鳳翔さん。」

 

「艦長さん、対空戦闘の準備を発令してください。」

 

「了解しました、鳳翔さん。総員に告ぐ、総員に告ぐ。対空戦闘用意。」

 

敵編隊との距離、そしてお互いの相対速度を考えれば、おそらく直ぐに敵攻撃隊とこちらの直掩隊が接触すると思います。この時に備えて、私の戦闘機隊は全て新型艦戦である烈風に装備換装済。翔鶴さんや瑞鶴さんの戦闘機隊も烈風装備ですから、敵に遅れを取るような事はないでしょう。

 

「鳳翔さん、直掩隊から連絡!敵攻撃隊に新型機を発見!これまでの敵艦載機に比べて速度や運動性全てが優れているそうです。こちらの直掩部隊も頑張って敵攻撃隊を抑えているようですが、幾つかの攻撃隊に迎撃網を突破された模様です。…翔鶴さんの直掩隊は未だ接敵していませんが、高度を上げさせて迎撃指示を出しますか?」

 

「いえ、敵は必ず雷撃隊を同行させている筈です。翔鶴さんの部隊は、そのまま低空にて待機。艦長、操艦で敵の急降下爆撃機を躱す事になりますが、お願いしますね。…それと、私の艦を前に出してください。こちらに敵攻撃を集中させます。」

 

「…鳳翔さん、任せてください。航海長、艦を前に出せ。」

 

例え私の艦に被害が出て航空機の着艦が出来なくなったとしても、翔鶴さんと瑞鶴さんが残ればおそらく全ての艦載機の収容は可能です。それを考えれば、私の艦を前に出してこちらに敵攻撃を集中させる事が最も良い選択になるでしょう。それにうちの艦長はベテランです。必ず的確な操艦で敵の攻撃を躱してくれる筈です。

 

「艦長!上空に敵急降下爆撃機!数…1、2、3…3機。回頭しますか?」

 

「まだだ…もう少し待て。…!今だ、操舵手、取舵一杯!」

 

「と~りか~じ」

 

敵急降下爆撃機の3番機が急降下を開始した瞬間を見計らって、艦長さんは取舵による急速転舵を命令しました。急降下爆撃機は急降下中には殆ど軌道修正が出来ません。ですから急降下開始の瞬間を見計らって、敵の狙いを外すための回頭を行った事になります。私の艦は比較的小型ですから、翔鶴さん達に比べると転舵が早く出来ます。ですから、このタイミンであれば問題なく躱せる筈ですが…後は、運を天に任せるだけですね。…! まずは最初の急降下爆撃機は凌ぎましたか。

 

「もど~せ。」

 

「舵戻します。艦長、お見事です。」

 

「まだだ…気を緩めずに上空監視続けろ!あいつらが戻ってくるまで、甲板に爆撃を貰う訳には行かねぇんだよ!」

 

 

「はい、こちら空母鳳翔…ん?…了解した、直ぐに鳳翔さんに伝える。…鳳翔さん、翔鶴お嬢ちゃんの直掩隊が敵雷撃隊を発見、これより迎撃に向かうとの事です。それと先程の敵急降下爆撃隊の攻撃ですが、駆逐艦文月に一発命中、自力航行は可能なれど戦闘継続は不可能。重巡鳥海にも一発命中、こちらは戦闘継続可能との事です。」

 

「文月さんを直ぐに下がらせてください。翔鶴さんと瑞鶴さんの方は大丈夫ですか?」

 

「どちらからも連絡はありませんが、ここから見た限りでは健在の模様です。」

 

あの後、単機で私の艦に敵急降下爆撃機が何度か攻撃を仕掛けてきましたが、流石に単機の爆撃機にやられる程、私の艦の艦長の操艦は下手ではありません。全ての攻撃を躱す事に成功しました。翔鶴さんの直掩隊は、かなり有利に雷撃隊との戦闘を進めているようですし…当面の危機は去ったようですね。

 

「鳳翔さん、こちらの攻撃隊の隊長機から入電。敵本隊に対して攻撃を実施中。敵旗艦と思われる大型艦への攻撃は失敗したようですが、一航艦の攻撃隊と共同で戦艦1に命中弾多数、空母1に命中弾を認む、及び随伴艦と思われる小型艦に被害を与えたようです。」

 

「そうですか…こちらの被害が気になりますが、ある程度の被害を敵本隊に与えたようですね。おそらく時間的にお互いにこれ以上攻撃隊を出す事は難しいですから、後は長門さん達の頑張りに期待ですね。艦長、ご苦労さまでした。それと全乗員に対して対空戦闘の解除命令をお願いします、しかし戦闘態勢の解除はもう少し待ってください。」

 

敵本隊に対して有効な航空攻撃を行った事で、今回の作戦で航空部隊として出来る事はこれで終わったと思います。後は、敵本隊に突撃していった長門さん達の結果次第で、明日もそのまま航空戦を戦うかどうかが決まりそうです。とはいえ、こちらの航空攻撃で相手に対してそれなりの被害を与えたようですから、長門さん達の攻撃でなんとかなるのではないでしょうか。

 

さて、それでは今日の攻撃はこれで終わりですから、後は戻ってくる攻撃隊の搭乗員や私の艦の乗員を労うための食事の準備をしますか。戦闘食は、完全に烹炊員の皆さんに任せてしまっていましたが、ここからは私の仕事もほとんどないので、久しぶりに自分の艦の烹炊所に立つのも悪くはなさそうです。それに、おそらく後は鎮守府に戻るだけですから、材料を余らせても仕方ありません。丁度豚肉もある事ですし…今回はポークビンズでも作って皆で楽しもうと思います。後は長門さん達次第ですが…少なくとも空母部隊には大きな被害がなかったようで、本当に何よりです。

 

 

その夜、艦隊を分離した長門さん達が敵本隊に対して夜戦を仕掛けたようです。詳しい模様は電文からだけでは分かりませんが、どうやら敵大型艦に対して決定的な打撃を与えたようで、敵艦隊は進路を東に向けて退却を始めたとの情報が伝えられました。今頃は鎮守府でもあの人がホッとしている事でしょう。最後の詰めは長門さんに任せる事になってしまいましたが、なんとか本土を守ることが出来て本当に良かったです。それでは、私達も鎮守府に帰りましょうか。

 

「艦長さん、進路を西へ、私達も鎮守府に戻りましょう。」

 

「そうですね。航海長、進路西へ。」

 

「おも~か~じ。進路西へ。」

 

鎮守府に戻れば、私はまたいつもの料理屋に戻るわけですが、今回私の妖精さん達は久しぶりの戦闘にも関わらずしっかり戦ってくれました。このようなベテラン妖精さん達と一緒に戦える事は、私としては本当に嬉しいのですが、鎮守府に戻りますと、このベテラン妖精さん達は私の料理屋の手伝いに逆戻りです。場合によっては、他の艦への転属を勧めた方が良いかもしれませんね。…もっとも、私が料理屋を始める際に、全員が私のお店の手伝いを選んだ経緯もありますから、おそらく転属は断固拒否するのだと思いますが…ベテランは何処の艦でも欲しがられていると言うのに…困ったものです。




戦闘は書かないと決めていた筈が…。とはいえ、一応前半部分は料理ネタですし、今回は外伝という事で勘弁してください。今回の戦いは夏のイベントE6をモデルとして私の鎮守府の戦いをベースに書いています(一度しかやっていませんがw)。勿論、E6は連合艦隊が組めませんので、実際は本隊6+道中支援6+ボス支援6なのですが、それではちょっとな…と思い、一水戦や五水戦を登場させています。また、ボス支援に何でMI作戦組が…ですが、この部分は私の鎮守府でE6のボス支援に、一航戦+二航戦のサブを投入したという事で、ストーリーとしてはMIから急遽引き返してきた…という事にしました(レベルが一軍よりは低いので、E5の戦闘後に補給を受けていないため、戦力低下状態…という設定にしています)。

さて航空弁当の話ですが、それ系の本(今回の種本は、海軍糧食史です)を見ますと、航空弁当には結構色々なバリエーションがあったようです。特に陸攻のような大型機では、機中で加熱が出来た場合もあるようで、そのような場合は非常に充実した航空弁当だったとか。また戦闘機の場合についても記載されていまして、片手で食べられる物という事で、稲荷寿司などが人気メニュー(サンドイッチは不人気だったようです)だったようです。ただ戦闘機隊でも主食箱と副食箱に分かれた結構本格的な航空弁当も存在していたようで、料理屋の鳳翔さんの所の航空弁当は、一番凝っているこのスタイルにしました。また、瑞鶴の缶詰航空弁当についてですが、このような場合も実際はかなりあったようです。

とりあえず、今回の話でイベントに絡めた話は終わらせようと思いますので、次回からは普通の話に戻るかな…と考えています。とはいえ、来週から長期出張が連続で入るため、投稿が不定期になりそうな…。まぁ、長期出張が連続で入る前に、艦これのイベントに一段落ついて良かったな…と思っていますw

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