鎮守府の片隅で   作:ariel

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今回は少しボリュームのある料理を登場させようと思い、料理を豚の角煮にしました。この料理、作るのに少し時間がかかりますが、美味しいですよね。何故か知りませんが、脂分が結構入っているはずなのに、あっさり食べられてしまうこの料理…私にとってはかなり危険な料理の一つです。


第ニ九話 扶桑と豚の角煮

「鳳翔さん、丁度良かった。今日は凄く良い豚バラの塊が二つ入っているけど、どうする?」

 

「あら、お肉屋さん。これは素晴らしい豚バラの塊ですね。勿論、二つとも買わせてください。こんなに良い豚バラでしたら、美味しい角煮が作れそうですから。」

 

その日、いつも仕入れをしているお肉屋さんに勧められて、白い脂の層がしっかり入った、それは素晴らしい豚のバラ肉の塊を購入する事が出来ました。今回に限らず、良い豚バラの塊が手に入った日は、臨時で豚の角煮をメニューに追加するのですが、これ程素晴らしい塊が手に入ったのは、本当に久しぶりです。ですから今日のメニューに豚の角煮が追加される事は決定ですし、豚の角煮は多くの艦娘達の大好物の一つですから、2kg近い塊を二つ購入出来ましたが、あっという間に無くなってしまうでしょうね。

 

 

豚の角煮に、きちんと味を染み込ませるためには、じっくりと煮込まなければいけません。ですから、急いで料理を始めましょう。まずは、ばら肉の塊にしっかり火を入れて柔らかくしなくてはいけません。普通はそのまま日本酒などで煮込むのですが、今日手に入った豚バラ肉は非常に良い肉ですから、少し手間をかけましょうか。そのため今回は、脂部分がより美味しく食べられるように、豚肉の塊を蒸す事で肉全体に火を入れます。豚肉の塊を、少し底が深めの大皿に載せて、ここに日本酒、ネギ、そして生姜を入れて、このまま蒸し器に入れます。今日はまだ開店まで時間がありますので、3,4時間かけてじっくり蒸して、しっかり火を通しておきましょう。蒸し器に入れたら、後は待つだけですから、今のうちに豚の角煮と一緒にお出しするゆで卵を準備して…他の料理の下準備もしてしまいましょうか。

 

 

そろそろ、よろしいでしょうか。蒸し器から豚肉を取り出しますと、豚肉の塊にしっかり火が通っていますし、脂の部分はプルッとした感じになっています。菜箸で刺してみると、スッと箸が入りましたから、肉の柔らかさは十分ですね。とはいえ、流石にこのまま味付けをして角煮を作ってしまっては、脂身の部分が多すぎますから、少し取除いて脂分の調整をしましょうか。手で持てる程度に冷えましたら、お湯を使いながら丁寧に余分な脂身を取除き、美味しく食べられる程度の脂身だけを残します。この時、あまり脂を取除き過ぎますと、折角のトロッとした脂身を角煮と一緒に楽しむ事が出来ませんし、残し過ぎますと脂分が強くなり過ぎてしまいます。ですから、この作業は慎重に行わなくてはいけません。…外側の脂の層は粗方取除いて…まだ肉の内部には脂の層がしっかり入っているので、これくらい残せば大丈夫でしょうか…。それでは次にこの肉の塊を、味を染み込ませるために煮込みますので、一口大の大きさに切り分けて、味付けの最中に崩れないように爪楊枝を真ん中に突き刺します。

 

さて、主役の豚のバラ肉を一口大に切り分けましたし、いよいよ角煮に味を染み込ませる番になりました。まずは鍋に水と日本酒をたっぷり入れて生姜や大根と共にバラ肉を、1時間程じっくり煮込みます。

 

 

それでは、ここに醤油と砂糖を少し薄味になる量だけ投入して、しばらく煮込んだら、次に味を濃くするために再び醤油と砂糖を追加して、今度は味付けを仕上げます。豚の角煮は最終的にコッテリした味付けにしたいですし、しっかり味を染み込ませたいですから、二段階に分けて味を濃くする事で、短時間で味を染み込ませる事が出来るのです。それでは最後に、準備したゆで卵も鍋の中に入れて…後はこのまま煮込めば、美味しい豚の角煮の出来上がりです。この角煮でしたら、今日の臨時メニューとして存在する事を、来店した艦娘達が知れば、すぐに注文が殺到して無くなってしまうでしょうね。先着何人まで食べられるでしょうか…。

 

「鳳翔さん、今日も赤城手伝いに来ましたよ。あっ、それは豚の角煮!早速味見を…。」

 

「鳳翔さん、今日は任務があったからちょっと遅れたけど、瑞鶴も来たよ…って、それ豚の角煮じゃん!それ瑞鶴大好物なんだよね~。ちょっともらってもいい?」

 

…お客さんに出す前に無くなってしまいそうな二人が来ましたね…。しかしこれは売り物ですし、ここ最近この二人をかなり甘やかしていた気がしますので、今回はお預けです。…いえ、折角ですからちょっとしたお遊びをしてみましょうか。

 

「何を言っているのですか二人とも。これは大事な商品ですから、貴方達が食べたら駄目ですよ。…ですが、今日はちょっとしたお遊びをしませんか?この豚の角煮、臨時のメニューですから張り紙をするつもりですが、店の何処か一箇所だけに張り紙をしようと思います。張り紙を貼る場所は二人に任せますが、誰にも張り紙が気付かれずに閉店したら、売れ残った角煮は全部二人にあげますよ。ただし、張り紙は必ず店内に貼る事。どうですか?」

 

私のお店に来る艦娘達の中には、食べ物にはかなり意地汚い子が多いですから、張り紙が気付かれないという事はないと思いますが…たまにはこんなお遊びをしても面白そうですね。それに…どの子が一番最初に張り紙に気付くのか?というのも興味深いところです。

 

「!!分かりました、鳳翔さん。約束ですよ。瑞鶴あなたの方が私よりも運が良いですから、あなたに貼る場所は任せます。もし誰にも気付かれなかったら…ジュルリ…この間、瑞鶴が割った加賀さんの湯のみの事、加賀さんに黙っていてあげますよ。」

 

「な…なんで赤城さんがあの事知っているの!だ…黙っていてよ?…バレたら大変な事になっちゃいそうだから。…鳳翔さん、店の中なら何処でもいいんだよね?だったら…。」

 

瑞鶴さん…相変わらずですね。それに…たしかに私のお店の中なら何処でも良いとは言いましたが…カウンターテーブルの下は、流石にないのではないでしょうか。一応ここは小料理屋で、食べ物が売れないと、困るのは私なのですが…。まぁ、一応約束は約束ですからいいでしょう。そこに貼ったとしても、気付く子は居るような気がしますから。さぁ、それでは開店しましょうか。

 

 

「鳳翔さん、串カツをもらえないか?伊勢はどうする?」

 

(よし!まずは日向さんと伊勢さんは、気付かなかったわね。あの二人は勘がいいから要注意だったけど、まずは関門を一つクリアーってとこね。)

 

 

「鳳翔さん、肉じゃが四人分お願いします。翔鶴…あなたも少しは腕をあげたようだから、今日は私が奢ってあげるわ。…そこの錬度が低い方の五航戦…早く持ってきて頂戴。」

 

(加賀さんも気付きませんでしたか…。慢心は出来ませんが、上々のすべり出しね。)

 

 

「鳳翔さん!焼き鳥、適当に四人分焼いてね!さぁ、今日も一杯食べるわよ!羽黒、ボトルキープしてあった焼酎持ってきて。」

 

(足柄さん達もクリアー。あの重巡洋艦四姉妹も要注意だったけど、ここまで誰も気付いていないみたい。今のうちに一杯飲んで、そのまま帰って欲しいよね!?)

 

 

「鳳翔~、我輩今日は焼き魚が食べたいのじゃ。何か我輩と筑摩に焼いてくれぬか。」

 

(あの食い意地の張った利根さんも気付きませんでしたね。流石にカウンターテーブルの下ですから…あの利根さんの索敵にも引っかからなかったようね。このままいけば…豚の角煮…はぁ…閉店が楽しみです。)

 

 

あらあら…赤城さんも瑞鶴さんも、事情を知っていれば何を考えているのか直に分かりそうな顔をしていますね。そんなにソワソワしていますと、雰囲気で何か隠し事をしている事がばれますよ?あら、次のお客さんが来店ですね。

 

「いらっしゃい、扶桑さん山城さん。カウンターにどうぞ。」

 

「こんばんは鳳翔さん…今日はお腹が空いているので、よろしくお願いしますね。山城、今日は一杯食べるわよ。」

 

(この不幸姉妹は、マークしなくても大丈夫だよね?体は大きいから、カウンター席に座ってもらえば、張り紙が隠れて更に安全…これは、本当にいけるかも!)

 

 

「ふぅ…今日もお酒が美味しいわ。山城?あなたも、もう一杯いかが?」

 

「勿論いただきます、扶桑姉様。それにしても…今日も大変な一日でしたね…私達、いつになったら幸せになれるのでしょうか…はぁ。…姉様?そろそろ本格的に料理を注文しませんか?今日は私もお腹が空いているので、しっかり食べたいですから。」

 

「そうね…今日は何を食べようかしら…あっ…山城、気をつけなさい。」

 

山城さんが手をひっかけて、扶桑さんの箸が床に落ちてしまいましたね。扶桑さんがゆっくり床の箸を拾おうとしてカウンターの下に潜り込み…ゴツン…あらあら大丈夫でしょうか、カウンターテーブルの下に頭をぶつけたようですね。

 

「あら?この張り紙は?」

 

どうやら、扶桑さんがカウンターテーブルの下に貼られた張り紙を見つけたようですね。しかし扶桑さん…自分が不幸だという事を自覚しているようで、本当にそのメニューが本物なのか、何度も張り紙を見直しているようです。それはそうでしょうね…これまで豚の角煮がメニューとしてあった日は、他の艦娘達の注文が殺到し、何故かそういう日に限って出遅れる扶桑さん達の口に、豚の角煮が入った事はこれまで無かった訳ですから。それに引き換え今日は、メニューとして豚の角煮がある筈なのに、周りの艦娘達が誰も注文していません。ですから扶桑さんが慎重になる理由もよく分かります。

 

「あ…あの、鳳翔さん?このメニューは、今日本当にあるのでしょうか?」

 

「姉様?どうしたのです?」

 

ついに意を決したのか、扶桑さんが私に尋ねてきました。私は扶桑さんの質問に、ニッコリ微笑んで無言で頷きます。それを見た扶桑さんは、ビックリしたような表情を浮かべていますね。どうやら自分の幸運がまだ信じられないようです。

 

「山城…これを見て。…私達、今日は幸運なのかもしれないわ。」

 

「これって…えっ!!姉様…今回こそ、私達があの料理を食べる事が出来るのですね。今まで、私達が注文する瞬間に売り切れになるあの料理がついに…もう…不幸姉妹だなんて言わせないし。」

 

「そうね、山城。今回こそ、私達姉妹の完全勝利よ。鳳翔さん、豚の角煮…お願いします。それと…妹の山城の分もお願いしますね。あと…浦霞のおかわりも。」

 

扶桑さんが、私にその注文をした瞬間…それまで騒がしかった私のお店に一瞬の沈黙が流れました。そして…

 

『何…今日は角煮があったのか…。伊勢、私達も急いで注文しよう。』

 

『…油断しました。しかし、これは譲れません。』

 

『羽黒…どうしてあなた張り紙に気付かなかったのよ。角煮が…豚の角煮が私を呼んでいるわ!』

 

『角煮だと!?筑摩、我輩達も急いで注文するぞ!』

 

(あぁぁぁ…そんな…瑞鶴の角煮が…。それに…このままだと、例の湯のみの件も…どうしよう…。)

 

(赤城の角煮が…赤城の角煮が…あの口の中でとろける赤城の角煮が…。)

 

あっという間に、その情報が店中に広がり…角煮の注文が殺到しました。それにしても…不幸姉妹と呼ばれていた扶桑さん達が真っ先に張り紙を見つけ、いつもであれば注文に出遅れる所を、今回は真っ先に注文出来たというのは、珍しい事もあるものですね。

 

「扶桑さん、山城さん、注文された角煮です。それと浦霞です。」

 

 

 

戦艦 扶桑

 

 

まさか…私達に幸運が舞い込んでくるなんて…今でも信じられないわ。鳳翔さんのお店の豚の角煮、いつも私達姉妹が注文する寸前で売り切れになる、あの料理。妹の山城と何度涙を飲んで、違う料理を注文した事か…。しかし今日、何故か知らないけどカウンターテーブルの下に貼られていたあの張り紙…こんな事もあるのね。伊勢・日向に今回は負けなかったから…それだけも満足よ。さぁ、これまで涙を何度も飲んだ、私達姉妹にとって幻の料理、早速頂きましょう。

 

お皿の中には、小さく和辛子が乗った豚の角煮と大根そして、半身の卵。やっぱり始めは角煮から食べないといけないわね。少しお行儀が悪いですけど、まずは一口で…。はぁ…口の中で…お肉が溶けていくような…いえ、正確に言うと、豚の角煮を軽く噛んだ瞬間、お肉の層と脂身の層がゴロッと分かれて、脂身の部分が舌の上で溶けていくのね…そして残ったお肉の部分も、物凄く柔らかい…。しかも、中までしっかり甘辛い味が染み込んでいるから、最後までお肉の旨味を美味しく堪能出来るのね…。それに…見た目は脂身の層がしっかりお肉に入っているから、もっと脂っこい料理だと思ったけど、こんなにアッサリ食べる事が出来るなんて…。たぶん鳳翔さんが、料理をした時に脂身の量を調整しているから、こんなにアッサリと食べられると思うけど…本当に絶妙なバランスの料理なのね。山城も幸せそうに食べているし…私達だって幸せになっても良いのよね?

 

次は卵を食べましょう。さっきの豚の角煮と同じ甘辛い味が白身の部分にしっかり染み込んで、茶色になった卵。はぁ…ただ単に甘辛いだけではなくて、お肉の旨味も染み込んでいるのね。黄身の部分は勿論美味しいけど、味のついた白身の部分も…半分しかないのが残念だわ…。次…もう一つ豚肉を食べるか、大根を食べるか…迷ってしまうわ。大根もおそらく、この卵と同じように美味しいお肉の旨味と甘辛い味が染み込んでいる事は分かるけど…どうしましょう。…いえ、ここはもう一つお肉を先に食べておきましょう。

 

その前に、さっきまで食べていた脂を舌から一度落としておかないと。この時のために、辛口の浦霞を注文していて良かったわ。お酒を口に含んで、舌の上でお酒を転がして脂を洗い落として…やっぱり、こういう時は私が考えていた通り、辛口の浦霞が本当に合うのね。このお酒と角煮だけで…もう十分だわ。さぁ、舌の上から余分な脂も落とせたし、次の角煮をいただきましょう。…はぁ、またお口の中でホロッとお肉の塊が壊れて、脂身が溶ける感覚が…。次は、少し和辛子をつけて刺激を追加して食べてみようかしら。

 

 

 

鳳翔

 

 

苦労して作った角煮は、最初の予想通りあっという間になくなりました。私の横で悔し涙を流している赤城さんと瑞鶴さんの姿が見えますが、流石に今回はこの二人が食べる分などありません。そして、私の目の前のカウンター席には、幸せそうな表情を浮かべている扶桑さんと山城さん姉妹の姿を見る事が出来ます。これまでことごとく豚の角煮に嫌われていた二人ですが、今回ようやく口にする事が出来た訳ですから、喜びも一塩なのだと思います。

 

それにしても、もっとも運が良い瑞鶴さんが隠した張り紙を、運が悪い扶桑さんが見つけた訳ですから、珍しい事もあるのですね。…いえ、これはおそらく扶桑さんの無欲が呼びこんだ勝利なのだと思います。

 

「扶桑さん、山城さん。角煮はいかがでしたか?凄く幸せそうな顔をしていましたから、喜んでもらえたと思いますが…。」

 

「えぇ、鳳翔さん。今日は本当に幸せです。こんなに美味しい料理を食べる事が出来ましたから。さぁ、山城?今日は帰るわよ。」

 

「えっ?姉様、もう帰るのですか?もう少し食べても良いと思うのですが…。」

 

入店の時、扶桑さん達は『お腹が空いている』と言っていましたから、まだ満腹にはなっていないと思うのですが、扶桑さんは山城さんを連れて帰ろうとしています。いくらボリュームがある豚の角煮とはいえ、戦艦である二人を満腹にさせるような量ではないと思うのですが…。

 

「いいえ山城。今日は帰りましょう。私達の今日の運は、これで全部使い果たしているわ。今なら幸せな状態で帰ることが出来るけど、これ以上ここに居たら間違いなく何か不幸が来ると思うの…。」

 

何か凄い事を言っていますが、ある意味自分が不幸だという事を自覚している扶桑さんらしい言葉です。そしてその扶桑さんの言葉に思う所があるのか、山城さんも大人しく帰り支度を始めました。私としては、そんな簡単に運・不運が決まるとは思えませんが、本人達がこれが最も良いと思っている訳ですから、引き止めるのは止めておいた方が良さそうですね。

 

「分かりました。それでは扶桑さん、山城さん。次の来店をお待ちしていますね。」

 

その日、扶桑さんと山城さんが、物凄く幸せな表情で戦艦寮に帰っていく姿を、多くの艦娘達が目撃したそうです。それに引き換え…。

 

「あぁぁ…瑞鶴の幸運が…角煮と一緒に逃げていっちゃう…。赤城さん…あの件は、ちょっと…」

 

「赤城の角煮が、赤城の角煮が…。加賀さ~ん…その角煮、一つだけでいいので赤城に食べさせてください。食べさせてくれたら、加賀さんのお気に入りの湯のみを割った犯人を教えますから!」

 

「赤城さん?それは本当?そういう事ならいいわ…一つだけ分けてあげましょう。…それで…誰?」

 

あらあら…こっちはこれからかなりの修羅場になりそうですね。あの張り紙を常識的な場所に貼っていれば、私も助け船を出すところですが…今回は流石に私も庇えません。瑞鶴さん、あなたは少し反省した方が良いですよ…。




再び瑞鶴終了のお知らせが…w。今回は私にとっては珍しい事なのですが、扶桑・山城姉妹を主役にして、こんな感じのお話にしようかな…というのが比較的早く浮かびました。たとえ不幸姉妹と言えども、たまには幸運が舞い込み、完全勝利しても良いと思うのです。それに、もうすぐ改二実装も控えているようですから、ここで一回は幸運を掴むというのも良いかな…と考えて今回のお話にしました。

さて豚の角煮です。これはまえがきでも少し書いたとおり、作るのにどうしても煮込み作業が入りますから時間がかかりますし、まして今回鳳翔さんがやったように本来であれば茹でる最初の工程を、蒸すやり方で作りますと、綺麗に火が入る反面、時間は更にかかってしまいます。とはいえ、このやり方で上手に出来た時の豚の角煮は、それはそれは至高の味でして…これが好きな人は結構居るのではないかな…と思っています。

豚の角煮は、もちろん角煮だけで食べても良いのですが、個人的趣向として大根や卵と一緒に食べるというのが好きです。たしかに豚の角煮の汁で大根を煮ますと、少し辛めかな…とは思いますが、これがお酒とは本当に合いますし、御飯も進む訳でして…ダイエットの天敵であり、非常に問題のある料理だと思います。

また、今回の物語で扶桑が行っていますが、辛口の日本酒で舌についた脂を洗い流しながら角煮を食べますと…これは最高です!よく私の周りで角煮は脂が…と言いながら、脂身を箸で外しながら食べる人も居るのですが、この料理は、肉と共に脂身が舌の上で溶けていく様子を楽しむ料理でもありますから、多少カロリーなどに目を瞑ってでも脂身と一緒に食べる事を強くお奨めします。という事で、時間はかかりますが、非常に美味しい料理なので、まだ作ったことが無い人は是非試してみてください。最近ですと圧力鍋などを併用する事で、比較的簡単に作れるレシピもありますから、是非どうぞ。



豚の角煮  (3-4 人分。一航戦なら一人で食べられる感じ)
豚バラ肉  500gくらい
長ネギ   1/4くらい
生姜    ちょっと
大根    1/4くらい
卵     2個
和辛子   ちょっと

醤油
日本酒
砂糖
(味付けはお好みで、ただし味を染み込ませやすくするために、段階的に投入。みりんは使わない方が良いような…。)

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