鎮守府の片隅で   作:ariel

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そろそろ戦艦で書いてみたいな…と思っていました。金剛さんも候補に入っていたのですが、やはり今は作戦中…ですから留守番組の戦艦娘という事で、まだ書いていないキャラで留守番組となると一人しかいませんので…今回は山城が主役の話です。そして…あとがきにも書きましたが、今回はオリ艦を登場させる事に…。料理の方は今回は完全に郷土料理です。


第六○話 山城と鶏飯

「け…鶏飯(けいはん)ですか?作る事は出来ますが…」

 

「それじゃお願い、鳳翔さん。今回の作戦にお呼びがかからなかった不幸な私と姉さまが、少しでも幸せな気分を味わえるようにお願いするわ。」

 

「分かりました。それでは今日の夜にお待ちしていますね。」

 

これから今日の仕込み用の材料を購入するために買い物に出ようとしていた矢先、航空戦艦の山城さんに呼び止められ、今夜は鶏飯という料理を作ってほしいとお願いされてしまいました。なんでも、以前佐世保鎮守府に所属していた霧島さんから、『鶏飯』という美味しい料理があるという事を聞いていたようです。そして今回の作戦では運悪く改装中のため鎮守府居残り組となってしまった自分と姉の扶桑さんを慰めるため…という名目で、この機会に食べてみたいと思ったようですね。鶏飯自体はそれ程大変な料理ではありませんし、これで山城さんと扶桑さんの気が晴れるのであれば、喜んで作りましょう。

 

鶏飯とは、どんぶり飯の上に、鶏肉のささみや椎茸の甘煮、人参の千切り、そして錦糸卵などをのせてから、鶏の出汁スープをサッとかけて食べる、豪華版出汁茶漬けのような鹿児島の郷土料理です。この料理は鶏出汁のあっさりしたスープを使っていますし、肉類も鶏肉のささみのためあっさりしており、一気に食べる事が出来てしまいます。また、ただあっさりしただけの料理ではなく、椎茸の甘煮など、旨みがグッと詰まった具材も乗せますし、三つ葉など香の良い物も最後に乗せますので、あっさり食べつつも満足感を与えてくれる素晴らしい料理です。ですから、たしかに山城さんが言っていたように『幸せな気分』を味わう事が出来ると思いますから、今回お二人のために作る価値は十分ありそうですね。今日の買い物の具材を少し変更しておきましょうか。

 

 

さて、それでは早速鶏飯の準備をしましょう。まずは鶏のささみに火を通さなくてはいけませんね。鶏のささみを茹でて完全に火が通りましたら、一度冷やして丁寧に縦に割きます。ここで出来た茹で汁は鶏の出汁がしっかり入っていますので、ここに鶏ガラスープの素と醤油、そして日本酒を入れる事で、鶏飯の上からかける鶏の出汁スープにします。

 

次は他の具材の準備ですね。始めは椎茸の甘煮です。これは干し椎茸がありましたから、これをまずお湯で一気に戻してしまい、ここに醤油、砂糖、みりんを入れてしっかり味付けをする形で煮込みます。こちらも出来上がったら冷やして細切りにすれば良いですから、この状態で準備は完了です。そして人参も千切りにしてからサッと茹で、茹であがったら塩とごま油を使って軽く味付けをします。最後は錦糸卵ですね。

 

錦糸卵は、色合いが大事ですから焦がさないように気をつけなくてはいけません。まずは卵を割り、しっかり溶いてから砂糖と塩、そして日本酒を入れます。そしてダマを完全に取り除くため、一度ザルを使って玉子汁をこします。それでは卵の薄焼きを作りましょうか。フライパンを熱っしたら油をひき、玉子汁を流し込んだら均等に薄く広げます。そしてここからが大事なのですが、玉子汁がある程度固まったら蓋をして、火からフライパンを上げて蒸し焼きの状態で、表面に焦げ目がつかないように気をつけなくてはいけません。ですから、そのままの状態で蒸し焼きをしてしまいますと下部が焦げる可能性があるため、下に濡れ布巾を置いてからフライパンを置く事で、余分な熱を取り除きます。後はこのまま1分程待てば、表面に焦げ目のない綺麗な黄色い薄焼き卵の完成です。最後に出来上がった薄焼き卵を四角く畳んで長方形の形にしたら、細く切っていけば綺麗な錦糸卵の完成です。

 

鶏の出汁スープ、鶏肉のささみ、椎茸の甘煮、人参の千切り、そして錦糸卵。これで具材の準備は完成ですね。後は開店して山城さん達が来店したら、最後の仕上げをすれば美味しい状態で鶏飯をお出しする事が出来ると思います。

 

 

「いらっしゃいませ、扶桑さん、山城さん。扶桑さんもお元気そうですね。」

 

「こんばんは鳳翔さん。…本当は戦いたかったのですけれど、私も山城も改装中…伊勢と日向は元気に戦っているというのに…。」

 

「不幸だわ…。」

 

…なんと言いましょうか。負の空気を体全体に纏っているというのは、まさにこの状態の事を意味するのでしょうね。私のお店に来店する多くの艦娘の皆さんは、たとえ疲れていてもそれなりに笑顔で来店する事が多いのですが、今回の扶桑さん姉妹はまるでこの世の終わりを見た…とでも言うような表情で来店です。たしか…今年の春のインド洋方面での作戦には、戦闘部隊の一員として参加していましたから、いつも鎮守府待機組という訳ではありません。ですから今回の出来事だけで、それ程不幸だと思わなくても良いと、私などは思ってしまいます。ですが、いつも戦闘部隊として前線に立ちたいという思惑、そしてライバルの伊勢さん達が今回の作戦に参加しているという事実が、山城さんや扶桑さんに自らが不幸だと思わせているのでしょうね。

 

「そ…その…扶桑さん、山城さん?鎮守府で待機も立派な任務ですし、今は装備更新のための大改装中なのですから、その…あまり力を落とされなくても…。今日は山城さんがリクエストした鶏飯も用意していますし…これを食べて元気になってください…ね?」

 

「そう…山城、あなたのリクエストなのね。分かったわ…とりあえずいただきましょう。ここで立っていても、他の皆さんの迷惑になってしまいますし…。」

 

「そうですね、姉さま。鳳翔さん、ありがとう。これで私達も少しは幸福になれるといいわね…。」

 

なんとかカウンター席に座ってくれましたね。あのまま入口付近で『不幸だわ』などと大合唱をされては、他の鎮守府待機組の艦娘の皆さんの士気にまで影響してしまいます。最近私のお店に入り浸っている雲龍さん達三姉妹も、来店した扶桑さん達の事をまるで腫物に触るかの様に素知らぬ顔をしていますし…困ったものですね。いずれにせよ、急いで鶏飯の仕上げをして、お二人に食べてもらいましょうか。これで私の思惑通りに元気になってくれると良いのですが…。

 

それでは先程準備していた具材を取りだして、どんぶり飯の上に並べていきます。そして香付けのために、三つ葉と小さく切った柚子の皮を散らして、アクセントとして焼き海苔と柚子胡椒を乗せます。最後に温めた鶏の出汁スープをサッとかけたら…完成です。

 

「扶桑さん、山城さん?今日準備した鶏飯は。とてもあっさりしていて美味しい料理ですから、これを食べて早く元気になってくださいね。」

 

 

 

戦艦 山城

 

 

…不幸だわ。よりにもよって大きな作戦が開始されたこの時期にドック入りだなんて。姉様の台詞ではないけれど、伊勢と日向にだけは負けたくないわ…。それが、伊勢と日向は最前線で戦って活躍しているという報告が届いているというのに、私と姉様は鎮守府で待機…。しかも、敵の陽動作戦に対応するために本来ならば出撃する予定だったリットリオさんまで、私達がドック入りしているせいで、稼働戦艦が本土近海に居なくなってしまう事を政府が恐れてお留守番。リットリオさんの足まで引っ張ってしまうなんて…本当に不幸だわ。

 

鳳翔さんからは『こういう事もあるから元気を出してください』なんて言われたけれど、それでも戦うために生まれてきた私達が、この大事な時期に待機するしかないだなんて…。しかも今回は、提督まで最前線に出て指揮を執っているというのに、ここで伊勢と日向だけ目立ってしまうようじゃ、私達姉妹が前線で使ってもらえる出番はさらに少なく…はぁ…不幸よ…本当に不幸だわ。

 

今日はこの不幸を少しでも忘れられるように、出撃前に霧島さんから聞いた九州の美味しい料理を鳳翔さんにお願いしてみたけれど…私達だけこんなに美味しい物を楽しんでいて本当にいいのでしょうか。ですが折角作ってもらった料理ですし、まずは一口食べてみないと。

 

たしか霧島さんの話では、鹿児島の料理だと聞いていたけれど、たくさん具材が乗った出汁茶漬けのような料理ね。でもとても豪華な感じで、色合いも錦糸卵の綺麗な黄色が目立つわね。これだけ具材があると、どこから食べるのか迷いそうだけれど、出汁茶漬けのような料理だから、一口目から具ごと御飯を汁と一緒に掻き込んでみないと…。

 

あら?良い香り…。丼に口を近づけた瞬間に漂ってきた、爽やかな柚子の香、そして海苔から漂う磯の香…良いわね。それに出汁の香も…。はぁ…鶏飯と言うくらいだから、鶏肉がしっかり使われている事は想像していたけれど、この鶏の出汁からとったスープ…凄く落ち着いた味で良いわね…。汁の中から表れるお米の粒々した食感、そして上に乗ったささみのあっさり感…全てがこのスープの落ち着いた感じと本当に合うわ。これだけあっさりした感じで食べられる料理は少ないでしょうね。しかも…この料理、あっさり感だけじゃないわね。これは椎茸の甘煮だと思うけれど、この甘辛くしっかり味の付いた椎茸の煮物を噛むと、周りのあっさり感とは違うしっかりした味と、旨みが染み出てくるわ。そしてこの旨みが鶏出汁スープのあっさりした味と混ざると、新しい美味しさが…。

 

そして人参の千切りも悪くないわね。きちんと一度火を通して少しだけ柔らかくしてあるのも良いのだけれど、食べた時に口の中に広がるゴマ油の香も素敵ね。錦糸卵も凄く綺麗だわ…。これだけ細く、そして焦げ目のない綺麗な錦糸卵。食べた時の甘い味が鶏の出汁スープの美味しさを変化させてくれて、どんどんご飯が進むわね。

 

料理全体の見た目は、綺麗な錦糸卵の黄色が目立つけれど、三つ葉の緑や人参のオレンジ色に、スープの薄い茶色…本当に見事だわ。見た目、味そして食感、三つが全て揃った料理が食べられるなんて…今日は私達幸せなのかも。上にチョンと乗った柚子胡椒も、味覚に緊張感をもたらせてくれて良いわね。こういうあっさりした感じの味の料理は、食べ続けていると、どうしても味覚がボケてきてしまう事があるというけれど、こういう刺激を与えてくれる物が少しあると…本当にいいわ…。

 

この料理なら、ささくれ立った私や姉さまの心を修復してくれそう。霧島さんにこの料理の事を聞いておいて本当に良かったかもしれないわね。後は…私と姉さまの元に、本当の幸運が舞い込んでくれると良いのだけれど…。

 

 

 

鳳翔

 

 

お二人とも今回の鶏飯には、かなり喜んでくれているようですね。先程から何も言わずに鶏飯を掻き込んでいるお二人ですが、顔の表情は来店してきた時と異なり、少し柔らかい物になってきています。そしてそんなお二人の変化に雲龍達三人娘も気が付いたのでしょうか、先程までは我関せずの態度を示していましたが、今は山城さんや扶桑さんが食べている料理が気になっているようで、チラチラこちらの様子を伺っています。この子達も空母娘の端くれ、なんとなく何が言いたいのかは分かりますが、一応聞いておきましょうか。

 

「雲龍さんに天城さんに葛城さん?先程からこちらを伺っていますが、どうしたのですか?」

 

「あの…鳳翔さん。私達三人も、それいただけないでしょうか?」

 

「天城も…お願いします!」

 

「葛城もそれ、食べてみたかったんだ~。」

 

やはりそういう事ですか。たしかに、これ程美味しそうに食べている二人の姿を見れば、自分達も食べてみたいと考えてもおかしくないでしょうね。…そうですね。まだ余分はありますから雲龍さん達三人にも出してあげましょうか。こういう美味しい料理は皆で食べた方が更に美味しくなりますから。

 

「分かりました、雲龍さん。それでは貴方達にも出してあげますから、少し待っていてください。」

 

「!!…姉さま…私達もまだ食べたいですよね?私達が食べる分の鶏飯が少なくなって…あぁ…不幸だわ…。」

 

…あの…山城さん?まだ余分はありますし、うちの赤城さんのような台詞は止めて欲しいのですが。流石に扶桑さんは少し苦笑いをしているだけですが、山城さんは半分本気で悲しそうな表情をしているように見えます…本当に困った人ですね。

 

ガラッ

 

「まったく…大の戦艦が、何を『不幸、不幸』言っているんだぃ。こっちまで不幸になっちまうよ。ほら、少しは戦艦らしくデーンと構えていたらどうだい。同じ戦艦として恥ずかしいったらありゃしない。」

 

「み…三笠様、どうしてこちらに。いえ…いらっしゃいませ。」

 

流石の私も驚きました。横須賀に居る筈の三笠様が来店です。三笠様は、今や伝説となった日本海海戦を旗艦として戦い抜いた、英雄とも言える戦艦。もはや現役を引退して、横須賀鎮守府で気楽な隠居生活を送っていると聞いていますが、何か呉鎮守府に用事があってやって来たのでしょうか。いえ…それもそうなのですが、三笠様の姿を見た扶桑さんと山城さんが勢いよく立ち上がり直立不動になっています。たしかに戦艦娘の彼女たちにすれば、三笠様は大先輩と言いますか、親のような存在ですから、緊張しているという事は容易に想像出来ます。

 

「あぁ、鳳翔も元気そうだね。あの坊やと結ばれたそうじゃないか、幸せになれたかぃ?金剛の小娘が坊やに色々ちょっかいをかけているとも聞いているけど、何かあったらあたしに言うんだよ。あの坊やや小娘の頭に拳骨を落とすくらい、あたしには朝飯前なんだから。それにしても…あたしと会うのを避けている坊やが前線に出ていると言うから、久しぶりにこっちの様子を見に来たけれど…戦艦娘ともあろうものが、まったく…。」

 

うちの人も三笠様にかかれば坊や扱いですね。風の噂で、あの人が新任少尉として任官した昔、三笠様に色々と指導を受けていたという話を聞いた事があります。そしてあの人はその当時の話を意図的に避けていますし、三笠様が自分の鎮守府にやってくる事に警戒していましたから、おそらく何か弱みを握られているのでしょうね。まぁ、好き好んであの人の過去を詮索しようとは思いませんが、そのうちあの人の若かった頃の話を三笠様から聞いてみたいものです。

 

「も…申し訳ありません、三笠様。ですが三笠様?私達姉妹も本当は今回の作戦に参加したかったのですが、不幸にもドック入りで…。」

 

「おだまり、扶桑。戦艦たるもの、後方でデーンと構えている事も仕事さね。あたし達戦艦は国の誇りであり、力の象徴でもあるんだ。後方で悠然と構えて国民を安心させる事も任務。何もドンパチばかりしてりゃ良いってもんじゃないと、あれだけ教えただろうに。」

 

「しかし三笠様…悠然と構えると言われても、私も姉様も今回は装備改修のためにドック入りで…」

 

「山城、あんたの頭は飾りかぃ?まったく。装備を近代化させて、いざという時に体を張って国を守る。それが戦艦の役割さね。それだというのに、装備を強化してもらっているあんた達が不幸?いい加減におし!鳳翔、悪いけどこの二人、少し連れて行くよ。この分からず屋達に活を入れてやらにゃならんからね。」

 

あらあら…山城さんも扶桑さんも、三笠様には全く頭が上がらないようですね。もはや現役を退き、悠々自適の隠居生活を横須賀鎮守府で送っておられる三笠様ですが、怒った時の迫力は現役時と全く変わっていないようです。それに…このお二人に活を入れるのであれば、たしかに三笠様が一番適任かもしれません。しかし…体は圧倒的に扶桑さん達の方が大きい筈なのですが、傍から見ていると三笠様の方が大きく見えてしまう…くらい扶桑さん達が小さくなっていますね。それに三笠様の『活を入れる』という言葉に、扶桑さん達がビクッとしました。

 

「み…三笠様…。申し訳ありませんでした。扶桑心得違いをしておりました。ですから…その…活を入れられるのは…。」

 

「そ…そうです。姉様が言うように、少し拗ねていただけですから、活を入れられるのは…。それに三笠様?三笠様は私達姉妹には特別厳しい気がするのですが…大和にはお小遣いまであげて、あんなに甘いのに…。」

 

「はん、何を訳の分からない事を言っているさね?あたしが現役時代に直接面倒を見ていたあんた達二人は、あたしにとっちゃ出来の悪い娘のようなものさね。それに対して大和ちゃんは、あたしが退役してから面倒を見ていた、いわば孫のようなもの。娘には厳しく孫には甘い。当たり前の事さね。ほら、つべこべ言ってないで、外へ出な。鳳翔、悪いけどこの二人を借りていくよ。」

 

(山城…私達やっぱり不幸だわ。)

 

(姉様…不幸過ぎます。)

 

鶏飯を食べて少しだけ幸せそうな表情をしていた山城さんと扶桑さんですが、またまたこの世の終わりを見たというような表情に逆戻りです。しかし扶桑さん達が出撃出来ずに残念がっている事は事実です。三笠様が相手ですから上手くいくかどうか分かりませんが、扶桑さん達に助け船を出してみましょうか。

 

「まぁまぁ、三笠様?折角こちらに来られたのですから、よろしかったら少し変わった料理を作ってみましたので、食べていきませんか?扶桑さん達へのお説教はその後でもよろしいかと思うのですが…。」

 

「フンッ…鳳翔は相変わらず優しいこった。まぁ、だからこそあの坊やも自分の伴侶に鳳翔を選んだのだろうね。ほらあんた達も鳳翔に助けてもらったのだから礼を言っておきな。さて、横須賀鎮守府でも話題にのぼる、噂に名高い鳳翔のお店だ。今日はあたしも久しぶりに美味しい物を楽しませてもらおうかね…」

 

私が助け船を出したことを百も承知で、それに乗ってくれましたか。いつまでたっても、私も三笠様には適いませんね。しかし私のお店、横須賀でも三笠様の耳に入るほど有名になっているのでしょうか…少し恥ずかしくなってしまいます。さて…折角三笠様がカウンター席に座ってくれましたので、私も今日は頑張って料理を作らなくてはいけませんね。まずは先程の鶏飯をお出しして…。

 

山城さんと扶桑さんもホッとした顔で、こちらに無言で頭を下げてきました。お二人とも、三笠様が美味しそうに私の料理を食べているのを見て、今日のお説教が流れた事を理解したのか、自分達も食べる事を再開するようです。今度こそ幸せな気分になってほしいものですね…。

 

 

その日、三笠様は機嫌よく食事を終えられ、私もお褒めの言葉をいただきました。ただ…お店から出る際、山城さんと扶桑さんの首根っこを捕まえるようにして出て行きましたので…ひょっとしたら、今日は戦艦寮で宿泊するのかもしれませんね。だとすると…山城さんと扶桑さん…今日は少し緊張感のある夜になりそうです。いずれにせよ、あのお二人も帰る頃には、幸せそうな顔に変わっていましたので、私もホッとしました。

 

さて…一応あの人にも、今日三笠様が鎮守府にやってきたという事は連絡しておいた方が良さそうですね。あの人を通じて金剛さんにも三笠様が鎮守府にやってきた事が伝われば、今頃私が居ない事を良い事に、好き勝手あの人にちょっかいをかけているであろう金剛さんに対しても、良い牽制になりそうですし…。…それにしても、そろそろ鎮守府に帰ってきてほしいものですね…。




オリ艦を出すのは正直いかがなものか…とも思っていたのですが、このお方は一度出したいな…と以前から考えていまして、今回ついに出すことを決意しました。一応これに合わせて『オリジナル艦娘』のタグを追加します。空母娘達には鳳翔さんが居るので、空母娘全体としての話も書きやすいのですが、もう一方の雄である戦艦娘達…こちらは中心になる艦を設定するのが結構難しかったんですよね…。戦力でいけば大和ですし、当時の知名度でいけば長門、そして先任順でいけば金剛なのですが、まさかここで金剛さんが山城達に『Hey、二人とももっとしっかりするネ。Follow me!』では、なんかシックリ来ないんですよねw

という事で、戦艦娘の方も通常の序列からは外れた大先輩に登場してもらう事にしました。三笠様は既に初老の域に入っており普段は温和な方ですが、いざスイッチが入ると目つきは未だに鋭く迫力がある女性…なイメージで書いています。まぁ、こういうキャラ…実際のゲームでカード化されても人気は出ないかもしれませんが、二次小説を書いている身としては、キャラ的に居てもらえるとありがたいんですよねw。一応この物語では、普段は横須賀鎮守府に居るため、呉鎮守府にはまず来ない&新任士官時代の失態を知られているため、色々と弱みを握られている提督が来訪を警戒している…な形にして、普段は物語に出さないようにするつもりです。といいますか、普段このお方が出てきてしまいますと…ヴィッカース社製の後輩にあたる金剛さんが、色々と非常にやり難くなってしまいますので…w

さて、鶏飯(けいはん)。これ本当に美味しいですね。私も家内も鹿児島出身ではないのですが、これは時々作って食べています。なんといいますか、文中にも書いた通り、非常にアッサリした味の料理で食べやすいのですが、単純なアッサリさだけではなく、椎茸の旨みや錦糸卵の甘味などが合わさると、味の変化が出てきて非常に食が進みます。また柚子胡椒も大事!これがあると、更に食が進みます。もし時間がある方、是非一度トライしてみてください。この時期にも非常に合う料理だと思います。

今回は少し変則的な形で山城さんが主人公のお話でしたが、本当は今回のイベントのE5でローマが掘れていれば…リベッチオに連れ出されて鎮守府にやってきたローマさんの話もいいかな…と少しだけ考えていました。とはいえ、E5でローマ…でねぇ~よ!!ww。今回、なんとかE4での堀りにより、待ちくたびれた清霜が出ましたし、海風もポロッと出ましたので、清霜についてはそのうち物語を書いてみたいな…と思っています(武蔵が出るまで待って、武蔵と共にデビューかもしれませんが…^^;)。

来週は私自身がようやく夏のバカンスを取る事が出来ましたので、お休みになりそうです。今年は(も?)、コテージを借り切って涼しい所でノンビリしようと思っていますが…問題は嫁提督の我儘…。物欲弾薬庫が誘爆して、私の財布が大破しないように気をつけなければ…w。今回も読んでいただきありがとうございました。





レシピ(四人分)
御飯:2合~3合

ささみ   :200g
鳥ガラスープ:2個
醤油    :15 mL
日本酒   :30 mL

干ししいたけ:8つ
醤油    :15 mL
砂糖    :10 g
みりん   :15 mL
水     :100 mL

人参    :半分
塩     :適量
ごま油   :適量

卵     :2個
砂糖    :6 g
塩     :1 gくらい
日本酒   :10 mL

三つ葉   :適量
柚子胡椒  :適量
ゆずの皮  :適量
焼き海苔  :適量

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