鎮守府の片隅で   作:ariel

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今回はカレーの話のため、金曜日に投稿する事にしました。

本来であれば今回は重巡洋艦が主人公になる順番でしたから、三隈か鈴谷で書こうかな…と思っていました。とはいえ、シルバーウィークで比較的自由な時間があった&たまたま頑張る気になっていた…という幸運が重なったため、やはりこの機会に書かなくては次の機会が何時になるか分からない…という事もあり、金剛さんを主役とする回にしました。また金剛さんを主役にする時は、料理はカレーと決めていましたし、大まかな話の流れも決まっていましたので、気合を入れて一気に物語を書くことに…。

この物語では非常に癖が強いキャラ設定のため、もっともお話を書き難い金剛さん+人によってそれぞれ好みが違うカレーライスという二重苦を抱えた今回のお話、気に入ってもらえると幸いです。

…ちなみに…唯一神金剛様を奉る『金剛は俺の嫁教』の皆様、今回のお話は教義に真っ向から反する全体的にダークサイドなお話ですから、このお話はスキップする事をお奨めしますw



第六四話 金剛とカレーライス

鎮守府司令部 応接室 榛名

 

 

「I’m bored…暇デ~ス。作戦が終わって、と~っても暇デ~ス。」

 

拙いです。金剛お姉様が退屈しています。このままですとこれまでの榛名の経験上、金剛お姉様がとんでもない事を思いつき、比叡お姉様がそれに賛同し、榛名や霧島が巻き込まれる未来が容易に想像出来ます。そして多くの場合、金剛お姉様の思いつきでとばっちりを受けるのは、榛名と霧島と決まっています。ですからなんとかお姉様が変な思いつきをする前に、お姉様の気が紛れる様な提案を榛名がしなくては、大変な事になります。…そうです!

 

「お姉様?それでしたら久しぶりに皆でカレーでも食べに行きませんか?金剛お姉様もカレーは好きですよね?」

 

榛名の記憶では、金剛お姉様もカレーは好きですから、きっとこの提案に乗ってくれると思いますが…。霧島も全力で頷いていますし、自分が今拙い立場に居る事を、榛名と同様に感じているのだと思います。

 

「お姉様?カレーならこの比叡が、全力で作りますよ!久しぶりに、皆で比叡カレーを食べましょう!」

 

…比叡お姉様…お願いですから止めてください。比叡お姉様のカレーは不味くはないのですが、塩味が強すぎて榛名は苦手なのです。それに…

 

「それはnot goodネ。比叡のカレーは私の口には合わないネ…。」

 

そうなのです。金剛お姉様も比叡お姉様のカレーはどちらかと言うと苦手なようです。やはりここは大人しく鎮守府食堂のカレーを皆で食べに行くのが一番良いと榛名は思います。

 

「But, 榛名の提案はとてもgood ideaネ!こういう日はカレーでも食べたい気分デ~ス。折角の機会ネ。ビスマルクやリットリオ、ローマにも帝国海軍のソウルフード、カリィ~ライスを食べさせるデ~ス。」

 

なるほど、流石は金剛お姉様です。折角の機会ですから、ビスマルクさん達も誘うことで、上手く行けばビスマルクさんとローマさんの仲直りも期待出来るという算段ですね。榛名の提案を受け入れてくれたばかりか、それを使って戦艦娘の結束も強めようとするお姉様の考え…榛名感激です。

 

「榛名、早速ビスマルク達を呼んでくるネ!今日は鳳翔の店でカレーパーティーネ!」

 

え?鎮守府食堂に行くのではないのですか、お姉様?それに鳳翔さんのお店にはカレーは置いていないと榛名は思うのです。あっ…金剛お姉様の顔にニヤッとした表情が浮かびました。拙いです。とても拙いです。あの顔は、お姉様がまた鳳翔さんを困らせる計画を思いついた時の顔です。なんとかしなくては、榛名の提案で鳳翔さんを困らせる事になってしまいます。

 

「金剛お姉様?鳳翔さんのお店にはカレーのメニューはなかったと思いますから、鎮守府食堂に…」

 

「榛名、心配しなくてもNo Problemデ~ス。メニューにないなら、特別に作ってもらうだけネ。ビスマルク達の仲直りのためと言えば、鳳翔は断れないデ~ス。鎮守府食堂の長門御用達カレーじゃ、私が満足出来ないネ。…それに、今回こそ鳳翔に一泡吹かせてやるデ~ス。」

 

「流石はお姉様!鳳翔さんを困らせる計画を考えている時のお姉様は、とても輝いています!この比叡、お姉様が輝いている姿が見られて、それだけで嬉しいです!」

 

比叡お姉様…お願いですから、金剛お姉様をこれ以上煽らないでください。鳳翔さん…ごめんなさい。榛名ではとても金剛お姉様を止める事は出来ません。おそらく金剛お姉様の明晰な頭脳は、榛名の提案を聞いて瞬時に鳳翔さんを困らせる計画を考え付いたのでしょう。ビスマルクさん達の仲直りまで計画に織り込んでいるようですから、榛名には表立って反対する事は出来ません…本当にごめんなさい。

 

「さぁ、早速鳳翔の店に行くネ!my sister達、Follow me!」

 

 

 

小料理屋『鳳翔』  鳳翔 

 

 

ガラッ

 

「Hey! 鳳翔。邪魔するネ~。」

 

金剛さんですか…。たしかに日本語には『お邪魔します』という言葉がありますが、金剛さんの場合私の邪魔をするために来ていますから、慣用的な意味ではなく、まさに言葉通りの意味ですね…。今日も仕込みの一番忙しい時間を狙って私のお店に来ました。今回はどんな面倒事を持ち込んで来たのでしょうかね…。…あらっ?今日は金剛さん一人ではないようですね。比叡さん、榛名さんに霧島さん…それにビスマルクさん、リットリオさんにローマさんもですか?何かあったのでしょうか?

 

「金剛さん…用があるのでしたら、お店が開いている時間に来ていただけるとありがたいのですが。それに今日は一体どうしたのですか?皆さん御揃いのようですが。」

 

「カレーを食べに来たネ!」

 

「あの…うちのメニューにカレーはありませんよ?カレーでしたら、鎮守府食堂の方にありますから、そちらで食べてもらえると…。」

 

私の店にはカレーは置いておりません。これは鎮守府食堂の名物メニューと重ならないようにしているためです。やはりこの鎮守府の食事の中心は鎮守府食堂ですから、そこの名物料理と一緒の物を私のお店でお出しする事は避けたいですからね。それに鎮守府食堂のカレーは、非常に食べやすいカレーながらも様々な隠し味の入った本格的なカレーですし、駆逐艦の子達も含めて非常に評判の良い味です。そしてそんな事は、現在秘書艦を勤めている金剛さんも良く知っていると思うのですが…。

 

「Noネ、鳳翔。今回はビスマルクとローマの仲直りのためにも、本格的な辛くて美味しいカレーを二人に食べさせてあげたいデ~ス。鎮守府食堂のお子様カレーじゃ、Noネ!それとも意地悪な鳳翔は、戦艦同士の仲などどうでも良いと言いたいデスか?」

 

たしかに金剛さんの言うとおり、鎮守府食堂のカレーは駆逐艦の子でも問題なく食べられるように、辛さ控えめのカレーです。そのため、重巡洋艦以上の艦娘達から味の改善要求が出ている事も知っていますが、長門さんを筆頭に、駆逐艦の子達の圧倒的な数の反対で、現在の味に落ち着いている経緯があります。ですから金剛さんが辛いカレーをビスマルクさん達に食べさせてやりたいから私の所に来た…という気持ちも理解は出来ます。

 

そして、私のお店で勃発したビスマルクさんとローマさんの喧嘩の仲直り…と言われてしまいますと、私としても非常に断るのが難しいですね。おそらく仲直りは表向きの理由で、金剛さんの真の狙いは私を困らせる事…だという事も容易に想像出来ますが、それでも非常に断りづらいです。…仕方ありませんね。今回は罠が待っている事を承知で、金剛さんの要望に応えましょうか。

 

「分かりました…金剛さん。そういう理由であれば、お引き受けします。しかし普段作っていませんし、今日は何も準備していませんから、明日改めて来てもらえますか?」

 

「Oh…鳳翔が引き受けてくれたネ。ビスマルクもローマも良かったデスネ。鳳翔が、カレー粉も使わない本格的なカレーを食べさせてくれるそうデ~ス!」

 

えっ??私はそんな事は一言も言っていないですが…。第一、カレーのルーやカレー粉も使わないとなりますと、生半可な手間ではなくなってしまいます。流石に金剛さんの言葉に、榛名さんや霧島さんも驚いた顔をしていますね。

 

「あの…金剛お姉様?流石にカレー粉も使わないで…というのは榛名も無理だと思うのですが。」

 

「その通りです。流石に無茶です、お姉様。」

 

「な~に言っているネ、榛名に霧島。料理上手の鳳翔なら大丈夫に決まっていマ~ス。それに本格的なカレーじゃないと、仲直りは難しいネ。そのためには、香辛料からきちんと配合したカレーが食べたいデ~ス。ビスマルクもローマもagreeですネ?」

 

…くっ…そう来ましたか。どうやら私に引き受けさせてから、一気にハードルを上げる作戦だったようですね。榛名さんと霧島さんが必死に金剛さんを止めようとしていますが、金剛さんは何処吹く風ですし、事情が良く分からないビスマルクさん達は『本格的な料理は是非食べてみたいわね』などと言い出しています。今回は完全に金剛さんの作戦に嵌められたという事ですね…。だからと言って、ここで金剛さんに泣きを入れて引き下がるのは、あの人の正妻として出来ません。

 

…致し方ありません。料理の準備作業を考えますと、明日はカレーを作るのが精一杯になると思いますから、私のお店は金剛さん達の貸切りになってしまいますが、私にも意地という物があります。

 

「…分かりました。そこまで言うのでしたら、カレー粉やルーを使わずにカレーを作ってみせますよ、金剛さん。明日楽しみにしていてくださいね。その代わり、本格的に辛いカレーですよ?…フフフフ」

 

「Oh…流石は鳳翔ネ。絶対に断らないと信じていたデ~ス。カレー粉やルーも使わないで、どんなカレーが出来るのか楽しみネ。ビスマルク達の仲がこれ以上悪くならないように、是非お願いしマ~ス。…フフフフ」

 

 

 

翌日

 

 

「鳳翔さん、本当に大丈夫ですか?カレー粉やルーを使わずにカレーを作れと言われても…赤城は味見のお手伝いくらいしか出来ませんが、頑張ります。」

 

「そうだよ、鳳翔さん。赤城先輩の言うとおり、瑞鶴もカレー粉なしでカレーは無茶だと思うんだけど…。」

 

「大丈夫ですよ、二人とも。元々カレー粉は様々なスパイスを混ぜた物ですから、自分で混ぜると考えれば、何も問題はありません。ただ、今回は少し力仕事もありますから、よろしくお願いしますね。」

 

とりあえず、カレーを作るために必要な香辛料類は手に入りました。問題は市販のカレー粉を使わないため、味付けが非常に不安定になる危険があるという事です。とはいえ、これは少し味見をすれば避けられる危険ですから、問題ありません。金剛さんは本格的なカレーを…と言っていましたが、今回は挽肉や豆を混ぜたスパイシーなカレーを作ろうと思います。

 

まずは赤城さんと瑞鶴さんに指示をして、香辛料を粉状態になるように磨り潰す作業、そして玉ねぎを微塵切りにする作業を並行して行ってもらいましょう。今回香辛料としてコリアンダーを使用する予定ですが、これは粒状態です。このままカレーに入れてしまっては、食べた際に違和感がありますので、まずはこれを粉状態にしなくてはいけません。そして玉ねぎを入れる事で辛さの後ろに甘さを出さなくてはいけませんから、こちらも食感が悪くならないように玉ねぎを微塵切りにしなくてはいけないのです。

 

「赤城さんは、すり鉢を使ってそこのコリアンダーを粉状態になるように擦り潰してください。瑞鶴さんは玉ねぎの微塵切りです。これも細かく微塵切りにしてもらわなくては、最後の食感がおかしくなってしまいますから、しっかり頼みますよ。」

 

「分かりました、鳳翔さん。赤城頑張ります。」

 

「了解~、鳳翔さん。瑞鶴も頑張るね。」

 

私の方は、ニンニクを摩り下ろす作業、そして鷹の爪を細かくする作業をしましょうか。カレーを自分で全て作る場合は、最初の下作業を丁寧に行わなくては、カレー粉を使ったような滑らかなカレーにはなりませんから、ここが肝心です。…そろそろ赤城さんや瑞鶴さんの作業も完了しそうですね。それではいよいよ料理の開始です。

 

「赤城さん、瑞鶴さん、準備が終わった物をこちらに渡してください。そろそろ料理にとりかかりますから。」

 

まずは始めに、熱したお鍋にオリーブ油をひいたら、シナモンスティック、クローブの粉末、そして私が先程微塵切りにした鷹の爪と摩り下ろしたニンニクを炒めます。ここはオリーブ油に香や味を染み込ませるための作業ですから、一気に炒めてしまいましょう。そろそろ大丈夫ですね。それではシナモンスティックを取りだしたら、ここに瑞鶴さんにお願いした微塵切りの玉ねぎを投入して炒めます。ここで玉ねぎをしっかり炒めることで、玉ねぎの甘味を辛さの後からくる味として引き出せるのです。

 

玉ねぎも大体火が通ったようですから、どんどん作業を進めていきましょうか。次は生姜と胡椒を入れなくてはいけませんね。これによって後から入れるスパイスの味が引き立ちますから、これを忘れる訳には行きません。金剛さんの事ですから、ちょっとした失敗があれば必ず文句を言ってくる事は簡単に想像出来ますし…今回は隙を見せる訳には行かないのです。

 

それではここにホールトマトを入れる事で、全体的にドロッとしたペースト状にします。このトマトの酸味も今回のカレーには必須ですね。さて、いよいよ全体的な味付けの開始です。まずは塩を使って全体的に塩味をつけていきます。カレーを美味しくするためには、意外と塩が必要なのですが、ここは慎重に量を決めなくてはいけません。また今回は最後に大豆の水煮を入れる予定ですから、最後にカレーの味が全体的に薄まりますから、今の段階では全体的に塩辛さを感じる程度まで塩を入れてしまいます。

 

次は香りづけですね。まずはエスニックな香りづけに必須のコリアンダーを入れます。赤城さんが一生懸命潰してくれましたから、粉状の滑らかなコリアンダーになっていますね。これならば食感に悪影響を与える事はないと思います。それではいよいよカレー特有のピリ辛さの演出ですね。まずは定番のチリの粉末、そして辛さを増やすためのカイエンペッパーを追加します。

 

今回は金剛さんから、辛さの強い本格カレーをリクエストされていますので、カイエンペッパーの量を調整して対応しようと思います。そして胡椒とガラムマサラを使って味を調整していきましょう。そうです!忘れてはいけないのがターメリックです。これを入れなくては、カレー特有のあの美味しそうな色を作り出す事が出来ません。急いでターメリックも鍋に入れてしまいましょう。この段階ではターメリックの色はあまり出ておらず、トマトの赤色の方が目立ちますが、後から色合いが変わってきますので、ターメリックの量はこの程度で大丈夫ですね…。

 

後はここに挽肉や豆を入れていく訳ですが、一度味見をしておいた方が良さそうです。厨房の中は既にカレー特有の非常にスパイシーな香りが漂っていますので、香りの方は問題ないという事が分かりますが、やはり味については確認が必要です。…!味も大丈夫ですね!後から挽肉などを投入するため、この段階では少し濃い目ですが、非常にスパイシーかつトマトの酸味が感じられる美味しい味に仕上がっています。

 

「赤城さん、瑞鶴さん?味見してみますか?先程から、カレーの香を嗅いでウットリとした表情をしていますし…少しだけでしたら味見してもいいですよ。ただ…後からグッとくる辛さですから、気をつけてくださいね。」

 

「一航戦赤城、行きます!…あら?酸味がそれなりにあってあまり辛く…うっ…鳳翔さん、辛いです。カッとくる強い辛さが後から…でも、何かちょっと足りない味ですよね?その…あっさりしすぎているような…。」

「本当だ!鳳翔さん、このカレー凄く辛いよ。でも辛さの後ろになんだろう…甘味もあるよね?ただ…赤城先輩が言うように、あっさりしすぎているというか、物足りない味というか…。」

 

えぇ、その通りですよ。この時点では、カレー本来のスパイシーさや塩辛さや、トマトなどから来る酸味に玉ねぎから来る甘味などは全て揃っていますが、おそらく旨みのような物が足りないために、二人とも物足りなさを感じているのだと思います。だからこそ、ここに挽肉と大豆の水煮を入れる事で、旨みなどを増やしていき完璧な味に近づける訳です。

 

「そうですね、二人とも。ですから、これからその物足りなさを改善していくのですよ。」

 

味その物は大丈夫そうですから、それでは早速、挽肉を塩だけで軽くフライパンで炒めましたら、出てきた肉汁と一緒に挽肉をカレーの中に入れます。また豆の水煮についても、少量の水分も一緒にカレーの中に入れてしまいましょう。そしてこの状態で、鍋でクツクツ煮ていけば、カレーは完成です。

 

さて、カレーには当然ご飯が必要です。勿論、インド式にナンで食べるという選択肢も当然ながらありますが、あれを作るためには特殊な窯が必要ですし、私にはとてもナンを上手に広げて作る事は出来ません。ですから今回は、定番ではありますがサフランライスを準備しましょう。

 

今回はカレーの方がかなり辛い物に仕上がっていますので、サフランライスの方はバターなどを混ぜてバターライスに近い形にする事で、ライスの味にまろやかさが出てくるようにしましょうか。炊飯器で作っても美味しいのですが、サフランライスはお焦げも美味しいですから、今回は鍋で作りましょう。まずは米を洗い、鍋の中にお米と水、サフラン、そしてコンソメの素を少しだけ入れて、サフランの黄色い綺麗な色が水全体に広がるまで待ちます。そして蓋をして、いつもどおり鍋でお米を炊きます。

 

 

そろそろちゃんと蒸れているでしょうか。それでは出来上がった黄色い綺麗なご飯に、バターを入れて、お米を切るように全体にバターが行き渡るように混ぜたら…美味しいサフランライスの完成です。このお米なら、今回の辛いカレーとも相性バッチリだと思います。

 

しかし…流石に豆と挽肉だけのカレーでは少し寂しいですね。今回我侭を言ってきた金剛さんには言いたい事が一つや二つでは済みませんが、同行する高速戦艦四姉妹の特に下二人は良い子ですし、ビスマルクさん達にも美味しいカレーを食べさせてあげたいですから、少しだけ具を追加しましょうか。しかし、今回のカレーの中にこれ以上具を入れてしまっては、カレー全体のバランスが崩れてしまいますから、今回はカレーのトッピングという形で野菜の素揚げを追加しようと思います。…そうですね、今日用意できる物と言えば、茄子と舞茸の素揚げならば問題なさそうですね。早速これらについても、一口大に野菜を切ったら、素揚げにしてしまいましょう。

 

後は付け合せです。鎮守府食堂のカレーライスでは、定番ではありますが福神漬けやラッキョウの甘酢漬けが付け合せとして登場しているようですが、流石に今回のカレーに福神漬けなどでは、カレーの辛さに合わないような気がします。このカレーですと、少し舌がマイルドになるような付け合せが良いでしょうから、フルーツのヨーグルト和えを準備しておきましょうか。また先日ローマさんが、私のお店で騒ぎを起こしたお詫びの印として、トマトで作ったアチャールを一瓶持ってきましたので、これも今回の付け合せで出してしまいましょう。こちらはピューレ状のトマトに玉ねぎやニンニク、そして様々な香辛料が入り、少し酸味のあるトマトピューレのような物ですから、今回のカレーのようにホールトマトをベースに作った酸味を感じるカレーには、とても合う付け合せになるでしょうね。

 

…大体、準備は整ったでしょうか。私も今回はかなりの手間をかけて作りましたから、あの金剛さんでも全面降伏だと思いますが…いえ、油断は禁物ですね。一応、金剛さんが難癖をつけてきた時用に、激辛カレーも準備しておいた方が良さそうですね。今回作ったカレーを少しだけ別に取り分けておき、ここにカイエンペッパーを…。

 

 

ガラッ

 

「Hey! 鳳翔。約束どおりカレーを食べに来たデ~ス!私のRequest通りの本格的なスパイシーカレーは準備出来ていマ~スか?美味しくなかったら、私悲しくなって、お店で大暴れするネ!」

 

金剛さんを先頭に、比叡さん、榛名さん、霧島さん、そしてビスマルクさんにリットリオさんにローマさんが来店です。それでは、早速人数分のカレーを皿に盛りつけましょうか。まずはサフランライスをお皿に乗せて、ここに煮込んでいたカレーをかけます。挽肉や豆がカレーの中に綺麗に分散していますね。これなら歯応えなどもバッチリでしょうね。そしてこの上に、出来上がったばかりの茄子と舞茸の素揚げを乗せて、さらにお皿の縁の部分にトマトアチャールを乗せて…後は小鉢にフルーツのヨーグルト和えを入れて…。

 

「金剛さん、それに皆さん。準備は出来ていますので、どうぞ食べてみてください。鎮守府食堂のカレーとは少し違って後からくる辛さですから、気をつけてくださいね。金剛さんのリクエスト通りの辛いカレーですから、満足してもらえると思いますよ。」

 

「フンッ!勝負ネ、鳳翔!」

 

 

 

金剛

 

 

ちょっと昔、酔った時の気の緩みで私の本性が提督にopen sesame…ではなくて私の油断で、提督を鳳翔に盗られマ~シたけど、今日は反撃のchanceが来たデ~ス。鳳翔の事デ~ス、今回のカレー粉を使わないカレーも、無難に味を纏めている筈ネ。この女にそれくらいのskillがある事は、私も知っていマ~ス。伊達に私のrivalを昔からやっている訳ではないネ。

 

But, 今回は私の勝ちデ~ス。いくら鳳翔でも、全く市販のカレー粉を使わずに、味を完全に安定させるのは難しいネ。探せば一つくらいのmistakeは見つかる筈デ~ス。後は、そのmistakeを理由に大騒ぎして、鳳翔に『こんなmistakeをするような女に提督を任せる訳には行きまセ~ン』と強く主張するデ~ス。別に鳳翔と別れさせる必要はnothingネ。私が二号さんとして潜りこんでしまえば、もうこっちの物デ~ス。わざわざhurdleを高くする必要はないネ。提督ぅ~、もうすぐ私も行きますから、待っているネ~。

 

「金剛さん…何をニヤニヤしているのか知りませんが…食べないのですか?金剛さんのリクエストだったと思うのですが。」

 

鳳翔、五月蠅いネ。今、私と提督の近未来をimageしていただけデ~ス。とりあえず、作戦を成功させるためにも、鳳翔のカレーをいただくデスネ。野菜の素揚げに、挽肉や豆たっぷりのカレーですねネ。それに付け合せも凝ってマ~ス。But, いくら美味しそうでも、本当に美味しいかどうかは、食べてみないと分かりませ~ん。まぁ、普通に美味しい事くらいは、私も知っているネ。とりあえず一口…。

 

What!? あまり辛くな…FIRE! 辛いネ!後から辛さがドーンとcomingネ!最初の口当たりは少し酸味があって甘みも感じられマ~スけど、後からカッと来る辛さはGreatデ~ス。こんなカレーが食べたかったデ~ス。しかも鼻から入ってくるスパイシーな香りが食欲を更に増進させて、これはスプーンがcan’t stopデスネ~。カレーの中に入っている挽肉もOKネ。挽肉を食べた際に口に広がる旨味の成分とカレーの辛さがmixすると、カレーの味が更にgreatになっていくネ。それに一緒に入っている豆も、食感がchangeするのと同時に、ちょっとした甘さが口の中で弾けて、とてもずるいカレーですネ!

 

具材として乗っている野菜の素揚げもvery deliciousデ~ス。素揚げですから、普通の揚げ物の衣のように野暮ったさも感じられまセ~ン。サクッとした野菜の表面を噛み破ると、中からジューシーなナスや舞茸が出てきま~す。そしてカレーの味と少し絡む事で、カレーの辛さと野菜の甘さが丁度良い感じで口の中でmixしますネ!はぁ、はぁ…これだけhotなカレーですと、私の舌も流石に少しFireになっているネ。ちょっと舌をrestさせないと、大変な事になってしまいそうデ~ス。

 

ん?これはヨーグルトですネ。中に入っているのは、bananaやappleを切った物ですネ。これは舌を休めるには、最高の付け合せデ~ス。それにこっちの赤いピューレ状の物は…これはトマトのピューレですか~?Noネ、中には玉ねぎやニンニクが入って、少し香辛料も利いていますから、これはアチャールですネ!こんなに美味しい付け合せがあれば、またあの辛いカレーが普通に食べられるデ~ス。どんどん行きますネ。

 

…Shit! これでは鳳翔にケチがつけられないデ~ス!Noネ、そんな事、この私は絶対に認められないネ。もう一度注意深くcheckするネ。香り…非常にスパイシーな香りでOKデ~ス。具材…これも美味しかったネ。付け合せ…カレーがどんどん食べられるとてもdeliciousな付け合せだったデスネ。辛さ…後から来るPerfectな辛さでしたネ…。No…思いつかないデース。比叡達もビスマルク達も額に汗を浮かべながら、カレーを美味しそうに掻き込んでいるデ~ス…。ビスマルクとローマがお互いに普通にtalkingしていま~すから、仲直りさせるという作戦はmission completeネ。But, 鳳翔に負けるのは嫌ネ。かくなるうえは…

 

「Shit! こんなカレー、ぜ~んぜん辛くないデ~ス!また鳳翔に苛められたネ!提督に泣きつきに行くデ~ス!」

 

 

 

鳳翔

 

 

途中まで掻き込むようにカレーを食べていた金剛さんですが、少し考えた挙句に案の定文句をつけてきました。いえ…真剣に考えている表情を見れば、何かケチをつけてくるだろうな…とは思っていましたから、これは想定していたのですが…。しかし、今回のカレーは比叡さん達も額に汗が出てくる程の辛さがありますから、かなり辛口にしていたと思います。なるほど…金剛さんも額に汗をかいていますし、これはやせ我慢してケチをつけてきたようですね。

 

そういう事でしたら、私にも考えがありますよ。ですが、金剛さんにも一応忠告しておいた方が良さそうですね。美味しかったけれど、意地をはってケチをつけている事は見え見えですし…。それに比叡さん達からも『お姉様、このカレーはかなり辛いと思うのですが…』などと言われています。

 

「金剛さん?金剛さんには辛くなかったかもしれませんが、これ以上辛くしてしまいますと、折角のカレーの旨味や後ろの甘みが消えてしまいますから…これ以上は辛くしない方が良いのですよ。」

 

「Noネ、鳳翔。私はガツーンと来る辛さのカレーが食べたかったネ!それなのに…エグッ…エグッ…鳳翔に騙されたデ~ス!」

 

全く…涙も出ていないような嘘泣きをしてきましたね…。しかしここまで忠告したのですから、もう良いでしょう。先程別に作ったカイエンペッパーを増やした特製カレーを出しましょうか。しかし…このカレー、本当にどうなっても知りませんよ?

 

「分かりました…そこまで言うのでしたら、これをどうぞ。ですが、忠告はしましたよ?」

 

「いいから、早く食べさせるネ!」

 

…金剛さんにも本当に困ったものです。新しいカレーを一口食べた金剛さんも流石に目を白黒させてスプーンが止まりましたね。まったく…比叡さん達も心配そうに見ているのですから、早く『ごめんなさい』を言えば良いのですが…。

 

「ウ…ウゥ…流石にこれは辛すぎマ~ス!提督を盗った鳳翔が羨ましくて、少し意地悪しただけなのに、あんまりデ~ス!」

 

えっ?えっ?あの…私が悪いのですか?私はちゃんと最初は美味しいカレーを作りましたし、ちゃんと忠告もしたと思うのですが…。今回は金剛さんの目にも涙が浮かんでいますが…今度は少し本気を出して嘘泣きをしたといったところでしょうか。まぁ、金剛さんがそんな簡単にゴメンナサイをするとは思っていませんでしたので、ある意味この反応も想定内なのですが。しかし金剛さんが言っている事は、本当のようですね。最終的に私を選んだのはあの人の判断ですから、私からは何とも言えませんが、たしかに金剛さんがあの人の事を昔から好きだった事は事実ですし、私の事を羨ましく思って今回も意地悪をした…という気持ちも分からないでもありません。

 

涙を流している金剛さんを見た比叡さんやビスマルクさん達も、流石に金剛さんの事が居たたまれなくなったのか、慰めるかのように肩に手を置いていますね。ですが皆さん…金剛さんの涙は嘘泣きですよ?そんなに簡単に騙されないでください。しかしこのままでは、私が悪者になってしまいます。とりあえず金剛さんに譲歩する素振りを見せながらもゼロ回答をする…私も秘書艦を辞めてかなり経ちますし、元々そういう腹芸は得意ではなかったのですが、今回はそうも言ってられません。

 

「…金剛さん。そんなに私の事を妬ましいと思う程、あの人の事を思っていたとは知りませんでした。たしかに…私がずっと独り占めする訳には行かないの『かも』しれませんね…。あの人には、『金剛さんの事をもう少し真剣に見て上げて下さい…』と伝えますから、もう泣き止んでください。それと…これからも『秘書艦として』よろしくお願いしますね。私はもう秘書艦としては働けないのですから、『仕事であの人を支えられる』のは金剛さんだけなのですから。」

 

「ほ…鳳翔、これまで意地悪してきて悪かったデ~ス。これからは二人で頑張って提督を支えていくネ!とりえずカレーお代わりネ。勿論normalな方デ~ス!」

 

金剛さん…一つだけ忠告しますと、あまりにも早い変わり身は嘘泣きだったという事が、直にバレてしまいますよ?幸いな事にビスマルクさんやローマさんは素直な子だったようで、金剛さんが嘘泣きをしていたという事はバレていないようですが…。それにしても…金剛さんと会話をしていますと、一言の失言が致命的な一撃になる可能性がありますから、緊張感がありますね。まぁ、お互いに分かっていて会話を楽しんでいますから結構な事なのかもしれませんが…いつまで経ってもライバルはライバルのようですね。

 

 

 

 

閉店後 

 

 

「鳳翔さん…その…本当にあれで良かったのですか?あんな事を言ったら、金剛さんは大手を振って提督を落としにかかると思うのですが…。まさか…重婚を認めるおつもりですか?」

 

「?赤城さん何を言っているのですか?そんな事を私は許していませんよ。私は金剛さんに『仕事の方は金剛さんが、家庭では私が提督を支えましょう』と言っただけですから。今と何も変わりませんよ?それにあの人には『金剛さんに誑かされない様に、もっと真剣になって注意して金剛さんを見ていてください』と伝えるだけですし。」

 

心配してもらえるのは嬉しいのですが、赤城さんはもう少し注意深く会話をする事を覚えた方が良いと思いますよ。いえ…赤城さんが秘書艦を勤めるという事はまず無いですから、そんな腹芸など覚えずに、素直なままの赤城さんの方が良いのですが。今回は金剛さんが嘘泣きしていた事は分かっていましたから、こちらはゼロ回答。そして金剛さんの方も私の言質が取れなかったため、今回は撤退した…そして周りのビスマルクさん達の手前、取り繕っただけです。まぁ、ある意味私と金剛さんの言葉を介した楽しいゲームのような物ですね。

 

 

 

 

戦艦寮への帰り道 金剛

 

 

「Shit! 今回も鳳翔が尻尾を掴ませなかったネ。なかなかどうして、鳳翔もやりますネ。でも私は諦めないですヨ。」

 

「流石は金剛お姉様!その不屈の精神、比叡も見習いたいです!ですが、金剛お姉様も最後は鳳翔さんと仲直りして、比叡もホッとしました。」

 

What? 比叡は何を言っているデ~スか。あれはビスマルク達の手前、今回は一端矛を収めただけデ~ス。それに私がそんなに簡単に提督を諦めない事くらいは、鳳翔も百も承知ネ。最近、このような楽しいお遊びが出来る艦娘もあまり居ませ~んから、私も退屈していたデスネ。But, 今日は久しぶりに鳳翔と楽しくゲームも出来ま~したし、良い一日だったネ。Anyway, それでは明日も頑張って提督にApproachするデ~ス。




書き始めたら筆が進む事、進む事。やはりお気に入り艦娘で物語を書くときは、台詞もどんどん出てきますし(何も考えなくても、そのキャラらしい台詞回しになるんですよね…たぶんそのキャラが降臨してくれているのだと思いますがw)、艦娘も勝手に動いてくれますので、実は今回の物語、一気に書く事が出来ました。いつもは完全に善人な鳳翔さんも、ライバルの金剛さんとの直接対決ともなれば、やはり思う所があるようです。また、かつては鳳翔さん自身も秘書艦をしていた事から、金剛さん程ではありませんが鳳翔さんも腹芸は可能なようですし、今回はお互いに相手の出方を読み合いながらの対決になりました。まぁ、偶にはこんな鳳翔さんも良いのではないかな…と作者は思っていますが、いかがだったでしょうか。

さて話題をカレーに移しましょう。カレーのレシピ、これは本当に数多のレシピがありますが、作者にとって一番好きな作り方は、実は今回のカレーだったりします。これを作る切欠になったのは、はるか昔、作者が欧州の小国に赴任していた頃に遡ります。勿論当時その国にはカレーのルーなどと言った便利アイテムはありませんから、カレーを作るとなると必然的にカレー粉から作る事になる訳ですが、なにをとち狂ったのか、当時の作者はカレー粉使うくらいなら、ホールトマトを使って一から作ってやるよ!と考え、当時向こうで手に入れたレシピを元に、今回紹介するカレーを作る事にw

実際の所、このカレーは後からかなりの辛さが来ますがとても美味しく、向こうの友人達を家に呼んで振舞った記憶があります。家内の感想も良かったですし、向こうの友人達からの評判も結構良かったため、それ以来このカレーは私にとっての得意料理?になっており、今でも時々これを作る事があります。とはいえ少し問題もありまして…基本的にこの種の料理は、味見しながら目分量で香辛料などを入れていくため、決まった量を考えておらず、レシピが作れないんですよね^^;。当時、向こうで見つけたレシピも、分量は適当でしたからw。

ですから、もしこの作り方でカレーを挑戦する方、まずは自分の舌を信じて味見をしながら作ってみてください。注意点は塩の分量とカイエンペッパーの分量です。塩は思っているよりも投入する事になりますし(しっかりした味にするためには、それなりの量の塩を入れる事になります)、カイエンペッパーの方は後から辛さが来るために入れ過ぎに注意が必要です。そして具材ですが、これは野菜の素揚げでなくても大体の具材が合いますから、チキン系などを用意しても良いかと思います。

今回、前々からいつかは書きたいな…と思っていた物語が書けたため、ようやく一つハードルを越えられたな…と少しホッとしています。後ハードルが高そうな物語は、加賀さんの回と瑞鶴の回ですかね…。何時になる事やら^^;。さて、次回はおそらく外伝になるかと思います。正直まだ何のネタで書くかは決めていませんが、前回の翔鶴の外伝のように、また楽しんでもらえる物語が書けたらな…と思っていますので、楽しみに待っていてもらえると作者としては嬉しいです。とはいえ、実は来週から11月下旬まで海外出張も含めて出張が連続で入っているため、投稿はかなり不定期になる気もしています。ですから気長に待ってもらえるとありがたいです。

そういえば…翔鶴の改二出ましたね。とりあえず速攻で翔鶴改二甲にしてしまいました。艦載機数は減ってしまいましたが、第一スロット大きくなっていますし、やはり装甲空母でしょ!といった感じですw。噴進機を将来的に…なんて運営は言っている訳ですし…橘花でも載せる事になるのですかね^^;

今回も読んでいただきありがとうございました。


今回のレシピは、あとがきで書いたように分量が適当なため、材料のみ記載しておきます。


カレー部分
オリーブオイル
シナモンスティック
クローブ(粉末)
鷹の爪
ニンニク
玉ねぎ
生姜
胡椒
ホールトマト
コリアンダー
チリ
カイエンペッパー

ガラムマサラ
ターメリック
挽肉
大豆の水煮

サフランライス部分
お米
サフラン
コンソメの素
バター

素揚げの部分
茄子
舞茸
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