鎮守府の片隅で   作:ariel

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今回の主人公は、陽炎型ネームシップの陽炎さんにしてみました。今回のお話は、出撃手当が加算され、懐がとても温かい陽炎さんが、不知火を連れて鳳翔さんのお店に来ることになり…な感じのお話です。


第七○話 陽炎と手羽元煮込み

小料理屋 鳳翔

 

 

…あっ…やってしまいました。どうやら仕入の際に間違った箱を取ってしまったようですね。手羽先を仕入れた筈が、手羽元でしたか…。今更返品という訳には行きませんし…どうしましょう。私のお店では、手羽先の表面をパリッと焼いて、甘辛ダレを絡めた料理は人気料理の一つですが、これではこの料理を作る事が出来ません。手羽元で同じような料理をしても良いのですが、手羽元はどうしても肉の部分が多いですから、皮をパリッと焼いても、全体的な食感が手羽先に劣ってしまいます。致し方ありません、今日は何か違う料理を考えた方が良さそうですね。

 

手羽元を活かした料理となりますと…やはり煮込み系の料理にするのが良さそうですね。しっかり煮込んで汁を染み込ませ、噛んだ瞬間にホロッと肉の部分が骨から外れるような食感…幸いな事に今日は大根もありますから、美味しい煮込み料理が作れそうです。とはいえ、その日の内に食べてもらうわけですから、短時間で煮込むとなりますと…今日は圧力鍋の出番ですね。

 

さて、それでは方針も決まりましたし、圧力鍋も出しましたから急いで料理に取り掛かりましょうか。まずは大根をかつら剥きしたら、比較的火が通りやすい、且つそれなりに大根の食感が楽しめるように2.5cm程度の厚さに切り分けます。また味が染み込みやすい様に今回は円形のまま煮るのではなく、一口大になるように1/4に切り分けておきます。それでは、ここで切り分けた大根と手羽元、そして匂いを消すための生姜をスライスして一緒に圧力鍋に入れます。

 

味付けは…コッテリとした濃い目の味でも良いのですが、最近寒くなってきましたから、熱燗に合わせやすい少しあっさり目の味付けにして、今日は皆さんに食べてもらいましょう。圧力鍋に水、日本酒、みりん、醤油を入れ、最後に砂糖も入れます。後は圧力鍋の蓋を閉めて、圧力をかけていくだけです。…圧力がかかってきたようですね。それではこのまま中火にしてしばらく煮込んだら、後は火を消して自然に冷えて、圧力が抜けていくのを待つだけです。

 

 

そろそろ圧力鍋の内部の圧が抜けたようですね。それでは一度蓋を開けて…あら、なかなか良い感じに煮込めましたね。一緒に煮込んだ大根にも良い感じで色がついています。それでは後は蓋を開けて、手羽元から出た脂によって、煮込み汁が少しだけトロッとするまで、じっくり煮込んでいけば完成です。幸いな事に今回は圧力をかけていますので、大根にもしっかり煮汁が染み込んでいますし、手羽元の方も非常に柔らかく仕上がりました。おそらく私が始めに考えたように、素晴らしい食感を楽しむことが出来るのではないでしょうか。

 

 

 

鎮守府経理部  陽炎

 

 

「陽炎さん、それと不知火さんも来ましたね。それではこれが今月のお給金です。今月は出撃手当も加算されていますし、陽炎さんは先日の呉市民に対する鎮守府公開日での休日出勤手当も加算してありますから確認してください。」

 

「大淀さん、さーんきゅっ。えっと…やったぁ、今月は大金持ち!不知火、あんたも今月は大金持ちでしょ?」

 

「陽炎姉さん…あまり大声で騒がないでください。いえ…不知火も今月はかなり懐が温かくなりそうですが…。」

 

出撃手当に休日出勤手当…今月はかなりリッチな気分になれそうだわっ。やっぱり先日の輸送作戦のために南方に出撃した分が大きかったようね。さぁて、今月はこのお金で何しようかな…。鳳翔さんの所のおでんに…間宮さんの所のぜんざい…それと…。

 

「陽炎さん、確認したらもう退室していいですよ。それと…臨時収入で嬉しいのは分かりますが、あまりニヤニヤした顔をするのは…不知火さんも困っていますよ。あと、くれぐれも無駄使いは駄目ですよ。」

 

ちょ…そんなに私顔に出ていた?不知火が凄く冷めた目で私の事見ているけど、べ…別にちょっとくらいいいじゃない、もぅ!…そ、そんな事より!折角の臨時収入だし、とりあえず不知火を連れてどっか行くかな。

 

「わ…分かっているって、大淀さん。別に無駄使いなんかしないから、大丈夫よ。さ、不知火、行くわよ。」

 

「は…はい、陽炎姉さん。」

 

 

「陽炎姉さん、これからどうするのですか?不知火は部屋に戻ってゆっくりしようと思っているのですが。」

 

「不知火、何言っているのよ、まったく。折角臨時収入が入ったんだから、とりあえず間宮さんの店行くわよ。今月のおやつ券はもうないけど、この臨時収入があれば、普通にぜんざい食べられるわ!」

 

こんな臨時収入が入った日に直ぐに部屋に戻るって…不知火にも困ったもんだわ。こんな目出度い日は、ちょっとくらい散財してでもパーッと楽しまないと!とりあえず間宮さんの店に…ん?この時間ならもう少し待てば鳳翔さんのお店も開くから、もう少しだけ待って直接鳳翔さんのお店に行くのもいいわね。いつもは陽炎もおでんしか注文できないけど、今日なら他の料理も…。そうそう…鳳翔さんのお店に並ぶ、手羽先…あれ一度私も食べてみたかったから、今日はそれ注文しようかな。

 

「不知火、方針変更よ。今日は間宮さんのお店じゃなくて、鳳翔さんのお店で夕ご飯を食べるわよ。な~に心配そうな顔しているのよっ、今日くらい贅沢したって罰は当たらないって。さ、一端駆逐艦寮に戻って時間潰したら、鳳翔さんのお店に行くわよっ。」

 

「は…はい、陽炎姉さん。不知火もお供します。」

 

そうそう、そうやって素直に私について来ればいいんだって。今日の夕食は楽しみね…手羽先の他に何注文しようかな…、おでんは勿論注文しないといけないし…焼き魚も悪くないわね…それに…肉じゃがも食べてみたいし…あぁ、迷うな~。

 

 

 

小料理屋 鳳翔

 

 

さぁ、全ての下準備も完了しましたし、今日も開店の時間ですね。早速暖簾を上げてお店を開きましょうか。今日も色々な艦娘の笑顔が見られると私も嬉しいですね。それでは今日も頑張りましょうか。あらっ?

 

「こんばんは~鳳翔さん。これから開店だよねっ!陽炎、一番のり~っ!ほらっ、不知火ももっと嬉しそうにするっ。はい、もう一回一緒に言うよ、一番のり~っ。」

 

「い…一番のり…」

 

暖簾を出そうと外に出ましたら、もう既に小さなお客さんが二人、扉の前で待っていました。陽炎さんと不知火さんですね。陽炎さんは時々私のお店でおでんを食べていきますが、不知火さんも一緒というのは珍しいですね。それにこれ程早い時間に来るというのも珍しい事です。…あぁ、なるほど、そういえば今日は給料日でしたね。それにこの二人は、先日の作戦で大活躍したと聞いていますから、おそらく出撃手当などが加算されて懐が温かいため、私のお店で夕食を食べようとしてきた…という事なのでしょうね。

 

だとすると、折角私のお店を楽しみにして来た二人を失望させないためにも、今日の料理はいつも以上に手が抜けないという事ですね。陽炎さんは凄く嬉しそうな顔をしていますし、不知火さんも表情にはあまり出していませんが、少しソワソワした感じがしますから、おそらく内心ではとても楽しみにして来てくれたのだと思います。

 

「陽炎さん、不知火さん、丁度開店ですよ。中にどうぞ。今日は一番乗りですから、カウンターでもテーブルでも、どちらでもいいですよ。」

 

「やったぁ~っ!不知火、カウンター席行くわよ。今日はカウンター席の、いつも長門さん達が座っている席に座れるわ!一度この席に座って、長門さんや陸奥さん達のように日本酒片手に料理を食べてみたかったんだよね!不知火、なに怖気づいているのよ!陽炎についてらっしゃい!」

 

「か…陽炎姉さん。流石に長門さん達の指定席に座るのは、拙いのではないでしょうか。」

 

「大丈夫だって!鳳翔さんも、どこでもいいって言ってくれているし、長門さん達の席に座っても大丈夫よ。ね、鳳翔さん?」

 

勿論問題ありませんよ。うちのお店は特に指定席などは作っていませんので、基本的に好きな所に座ってもらうスタイルです。長門さん達もいつも座っている席に座れないからと言って、文句を言うような事はないと思います。それに陽炎さんの言葉から察すると、長門さん達に憧れがあり、真似をしてみたいと思っているようですから、長門さん達も笑って許してくれると思います。

 

「えぇ、問題ありませんよ。別にうちには指定席はありませんから、どこでも好きな席で大丈夫です。」

 

私の言葉を聞いて、不知火さんも納得したのか、カウンター席に座りましたね。さて、それでは注文を聞きましょうか。この時間にわざわざ来たという事は、陽炎さんもいつものおでんだけの注文ではないと思いますし、不知火さんも、まさか大根だけを食べるとは思えません。

 

「さて、二人とも。今日の注文はどうしましょうか?」

 

「えっと…注文…そう、まずは注文だよね!陽炎は、まずおでん、それと手羽先、あと焼き魚も何か焼いて欲しいかな…不知火はどうするの?」

 

「し…不知火も注文…えっと…その…えっと…」

 

「あーもー、私が選んだける!鳳翔さん、不知火も私と同じ物お願い!」

 

…手羽先ですか。丁度準備出来ない料理を注文されたのは少し予想外でしたが、たしかに手羽先は私のお店の人気メニューでもありますから、可能性としては考えられましたね。しかし私が間違えたばかりに、今日は手羽先は準備出来ません。本当に申し訳ないことをしてしまいました。

 

「陽炎さん、不知火さん。申し訳ありません。今日は私のミスで手羽先は置いていないのです。本当にごめんなさい。」

 

「え~っ、そんな…。私楽しみにしていたのに…何か代わりの料理か…どうしよう…。」

 

手羽先とはだいぶ味付けが違いますし食感も違いますが、間違えて仕入れをしてしまった手羽元の煮込みを勧めてみましょうか。こちらの料理も、これはこれで素晴らしい料理だと思いますし、味付けも悪くないと思います。

 

「実は、今日少し仕入を間違えてしまいまして…。その代わりと言っては何ですが、手羽元の料理がありますので、そちらはどうですか?この料理も美味しいですよ。」

 

「へ~、面白そうじゃない!じゃ、その料理お願いね!あと…お酒!長門さん達が飲んでいるような熱燗で!」

 

今回の手羽元煮込みは少しだけあっさりした感じの味付けにしてありますから、日本酒の熱燗と一緒に食べても全く問題ありません。長門さん達が最近飲んでいる熱燗の中で、今日の料理に合いそうなお酒ですと…山形の出羽桜の山廃、特別純米が良さそうです。このお酒は、山廃仕込みの中では比較的香が大人しいですが、非常に芳醇な味ですから、このような煮込み料理にはきっと合うと思います。まぁ、長門さん達も普段好んで煮込み料理と一緒に飲んでいますから、間違いはないでしょう。ただ問題は…

 

「分かりました。それでは長門さん達がいつも飲んでいる熱燗をお出ししますね。ただ…少しだけお値段が高いですが、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫、大丈夫、鳳翔さん。今日は陽炎も不知火も給料日だから、大丈夫。」

 

そういえばそうでしたね。今日は二人とも少しだけ贅沢をするために来ているのでしょうから、問題ないでしょうね。毎日散財する…というのはいけませんが、たまにこのように贅沢をするというのは、生活にメリハリも出来ますし、本人もそれを望んでいる訳ですから、今日はしっかり楽しんでもらいましょうか。それでは陽炎さん達に料理やお酒を出していきましょう。

 

 

「陽炎さん、不知火さん。まずは手羽元煮込みと、日本酒の熱燗です。後でおでんや焼き魚もそうですし、ご飯系の料理も出しますから、まずはこれからどうぞ。それではごゆっくり楽しんでください。」

 

「来た来た!さ、不知火、今日はしっかり楽しむわよ!」

 

「はい、陽炎姉さん。」

 

 

 

陽炎

 

 

たまにはこういう贅沢も悪くないわねっ!特に今回は、陽炎も不知火も輸送作戦でかなり頑張ったし、臨時収入も大きかったから、こうやって美味しい料理と美味しい日本酒を楽しんだって、罰は当たらないわっ!手羽先がなかったのはちょっと残念だったけど、代わりの料理も美味しそうだし、こうやって長門さん達がいつも飲んでいるような日本酒を飲みながら美味しい料理を…最高だわっ!

 

まずは、この熱燗から…あら、不知火も意外と気が利くわね。ちゃんと私の御猪口に日本酒入れてくれたわ。じゃ、私も不知火の御猪口に日本酒を注いであげて…っと。まずは一口キュ~ッと…ふぅ…落ち着くわね。香はそれ程強くないけれど、口に入った日本酒がフワッと広がって、鼻から香が抜けていく…それに口全体に広がる柔らかい味。長門さん達は、いつもこんな経験していたんだ。陽炎が普段おでんを食べている時、横目で長門さん達の姿を見ていると、時々日本酒を口に入れた長門さん達が、口の中で日本酒を転がすような仕草をして、目を閉じて味を堪能するような表情を見せていたけど…こんな心境だったんだ。陽炎も、やっと長門さん達の心境に辿り着いた!?

 

さ、日本酒も美味しかったけど、やっぱり料理も楽しまないと。お腹も空いているし、早速手羽先の代わりの料理、食べてみよっかな。鳳翔さんが言っていたように、この料理は手羽元の料理。いつもこのお店で出ている手羽先の料理は、表面がパリッとした感じで、甘辛いタレが絡んでいる感じだったけど、こっちの料理は煮込まれていて、大根も一緒なんだ。不知火は大根好きだし、そういう意味では、不知火にとってはこっちの料理で正解だったかな。まずは手羽元から…おっと、崩れそうだから注意深く箸でつかまないと、これはかなり肉の部分は柔らかそうねっ。

 

うっ…何これ…。口の中に入れた瞬間に、手羽元のお肉の部分が骨から外れるようにホロッと崩れたわ。お肉に染み込んでいる味は、醤油の落ち着いた味がベースの甘辛い味付けになっているけど、凄く落ち着いた味だわね。しかもお肉がまるで自分から崩れていくように分かれていくなんて…こんなに柔らかくなるまで煮込まれているのも凄いわね。普通ならこれだけ煮崩れるギリギリまで煮込まれていると、お肉の部分はパサッとしていそうなんだけど、そんな感じもなくてジューシーさも残っているし…どうなってるの、これ。

 

それに…たぶん生姜が入っていたのだと思うけれど、変な香りも全くなくて、ただただ鶏肉の美味しさだけを堪能出来る素晴らしい味だわ。この料理…大当たりかもね!次の一口を食べる前に日本酒をもう一杯…。はぁ…落ち着くわ。煮汁は少しだけトロッとしているから、鶏肉の脂が染み出していたのだと思うけれど、舌に残ったそんな僅かな脂分が日本酒で洗い流されていくような…これは止められないわ…。

 

次は大根ね。煮汁がしっかり染み込んだ素晴らしい大根ね。さっきの舌に残った脂ではないけれど、この煮汁には手羽元から出た脂分や旨みが詰まっているわけで…これが染み込んだ大根、不味い訳ないじゃないっ!一口大の大根、口に入れた瞬間に広がる煮汁に含まれる旨みや味…もう最高だわっ!不知火…あんたが大根好きな事は知っているし、この大根が美味しいのも分かるけれど、あんたさっきから大根ばかり食べているじゃないっ。この手羽元も食べてみなさいよ…まったく。

 

「不知火、あんた大根ばかり食べてないで、手羽元も食べてみなさいって。こっちも美味しいから。」

 

「はぁ…はぁ…。か…陽炎姉さん、それは分かっているのですが、この大根は美味しすぎて。陽炎姉さんの大根と不知火の鶏肉、一つ取り替えてもらえませんか?」

 

あんたねぇ…。いや、別にいいんだけれど。私、手羽元も大好きだから。でもね、鳳翔さんも笑っているよ?あんた、どれだけ大根好きなのよ。

 

 

 

鳳翔

 

 

手羽先を目的に私のお店に来店していましたから、手羽元の料理でも喜んでもらえるか少し不安でしたが、どうやら気に入ってもらえたようですね。勿論、手羽先のあのパリッとした食感や甘辛くはっきりした味も美味しいのですが、今回の手羽元も決して負けていないと思いますから、本当に良かったです。それにしても…おでん事件の時から分かっていましたが、不知火さんは大根が相当好きなようですね。たしかに今回の料理もそうですが、煮込まれて煮込み汁が染み込んだ大根というのは、それはそれは至高の味なのですが、本体の手羽元よりも大根が食べたい…と言う程大根好きだとは、恐れ入りました。

 

陽炎さんも少し苦笑していますが、不知火さんの希望を叶えてあげるようですね。この辺りは、やはり陽炎型駆逐艦の長女として、多くの妹達を普段から見ている陽炎さんの包容力が成せる技なのかもしれません。いずれにせよ、二人ともこの料理をかなり喜んでくれているようですから、少しだけこの料理の追加をお出ししたら、残りの料理も出してあげましょうか。臨時メニューとはいえ、喜んでもらえて本当に良かったです。

 

 

その後、多くの艦娘達が来店しましたが、今回の手羽元の煮込み料理、気に入ってもらえたようで本当に助かりました。長門さん達が来店した時は、流石に自分達が普段長門さん達が座っている席を占領している…という自覚が陽炎さん達にもあったようで、少し陽炎さん達に緊張が走りましたが、長門さんと陸奥さんは何も言わずに、陽炎さん達の隣の席に座ってくれました。

 

そして今、長門さん達は、陽炎さん達の隣で熱燗を楽しみつつ、手羽元の煮込み料理を満喫しています。陽炎さん達も、今日は全く同じ料理とお酒を楽しんでいますので、共通の話題がありますから、普通に長門さん達と話していますね。こうやって普段ほとんど接点がない…いえ、駆逐艦の子達からすると長門さん達は憧れの存在なのかもしれませんが、そんな存在と同じ話題で話せる…陽炎さん達にしてみると、今日は幸せな時間を私のお店で過ごす事が出来たようです。今日の鎮守府はとても平和…。

 

「鳳翔、鳳翔!手羽先がないのじゃ!吾輩の大好きな手羽先がないのじゃ!」

 

「利根姉さん…たまにはこういう事もあるでしょうから…。今日は手羽元の煮込み料理で我慢しませんか?ほら、長門さん達もそうですし、とても美味しそうですよ?」

 

「嫌じゃ、嫌なのじゃ!筑摩ぁ~、吾輩、手羽先が食べたいのじゃ~!」

 

 

「加賀さん…手羽先が…。赤城の大好物の手羽先が…。このままでは絶不調に…鳳翔さん…なんで手羽先がないのですか!?」

 

「赤城さん…落ちついてください。そこの手羽元の煮込みも美味しそうだから、絶不調にはならないわ。…そこの五航戦、急いで手羽元の煮込みを持ってくるのよ。」

 

「そ…そんな…夕食で手羽先が食べられないだなんて…。これでは、一航戦が居ない機動部隊と同じですよっ…。」

 

それに引き替え…この子達は…。たった一つ料理が違うだけで、ここまで大騒ぎをしなくても良いと思うのです。貴方達…たった一つの料理でこんなに騒いでいますと、今日は給料日という事で、それなりに駆逐艦の子達も来店しているのですから、笑われますよ。もう少し大型艦としての自覚を持ってもらいたいものです。本当に困った物です。




そういえば、不知火は登場させていましたが、陽炎はまだ主人公として登場させていなかったな…という事に気づきまして、今回は陽炎さんを主役とした形で話を書いてみました。今回のイベントもほとんど終了ですから、それに合わせた形で出撃手当などの臨時収入を手にした陽炎さん+不知火さんが来店という形で今回は書いてみましたが、いかがだったでしょうか。このお話ではこれまで、駆逐艦の子達は睦月型の子の登場が多かったと思いますが、やはり陽炎型や夕雲型なども出してみたかったですし、この辺りの子ですと、艦これキャラ的に睦月型とはだいぶ違う物語になりそうだな…と今回改めて思いました。

手羽元の煮込み料理、これはおそらく家庭でも定番の料理だと思いますが、勿論飲み屋で食べても美味しい料理の一つですよね。飲み屋さんなどで食べますと、ここに煮卵が入る事も多いような気もしますし、この煮卵を崩して煮汁と一緒にご飯にかけても美味しいので、個人的にはこの料理も結構好きな料理です。勿論、このようなご飯にかけるとなりますと、煮汁はかなりアッサリ目で薄い味付けの料理でなければ困りますが^^;

手羽先と手羽元、名前は近いですし、同じように料理しても勿論美味しいのですが、作者の個人的な感想からしますと、手羽元は今回のような煮込み、手羽先はやはり皮がパリッとするような焼き物+甘辛いタレ…が好きです。我祖国であります大名古屋帝国では、手羽先料理が結構盛んでして、大体どの飲み屋に行きましても手羽先の焼き物があるので、大名古屋帝国に入国した際は、是非皆さんも手羽先料理を食べていただけたらと思います。また、一部のお店ではこの手羽先の他に、手羽元の美味しい煮込み料理を準備しているところもあるため、手羽先と手羽元を異なる味付けで楽しむ…というのも、結構ありなのではないか…と思っている訳ですが、いかがでしょうかw

さて、イベントの方は、ほぼ終了状態ですね。ドイツ空母は落ちましたが、結局嵐は落ちる気配がないので、完全終了状態です^^;。E5、それほど周回していませんが、ボスマスのSドロップで『艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよ~。よっろしくぅ~!』が出てきた時は、思わず速攻で『カーン、カーン、カーン』してしまいましたw。そして何故か知りませんが、嵐は出ないのに、野分+阿賀野型全種類などと…いや、レア艦は嬉しいんだけど…今回欲しいのは、違うのよ…な感じだったりします^^;皆さんは、希望していた艦娘はドロップ出来たでしょうか?

今回も読んでいただきありがとうございました。



手羽元煮込み(四人分)

鶏の手羽元  12本
大根     1/4本
生姜     1個(スライスして使用)

水      300 mL
日本酒    150 mL
みりん    150 mL
醤油     70 mL
砂糖     35 g

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