鎮守府の片隅で   作:ariel

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今回のイベントで出てきた初月さん。少し癖のある話し方なのですが、個人的にはとても気に入りましたし、元々戦歴的に結構好きな駆逐艦だったため、今回の話では早速主人公として取り上げてみました。料理の方は…今度のコラボに絡めてみました。


第八○話 初月と牛丼

小料理屋『鳳翔』  鳳翔

 

 

「…という事で悪いんだけどさ、鳳翔さん。今日の夜、この三人に牛丼でいいから出してやってくれない?日向もそれでいいでしょ?」

 

「…まぁ、そうなるな。」

 

その…勝手に話が進んでしまっていますが、とりあえず私は、今夜三人分…いえ、伊勢さんと日向さんの分も含めて五人分の牛丼を作ればよいという事ですね?今夜のお店のための下準備をしていましたら、いきなりお店の扉が開きまして…伊勢さんと日向さんが、両脇に駆逐艦の子達を、まるで抱えるかのようにして入ってきました。伊勢さん達に抱えられていた駆逐艦は、秋月さんとその妹の照月さん、そして今回の作戦に合わせて大本営から増援として派遣されてきた初月さんでしたが、完全に荷物のように抱えられていたため、最初は何があったのか私も混乱してしまいました。

 

そしてお店に入ってきた伊勢さんからいきなり、『この三人に牛肉の料理を食べさせてやって欲しい』と言われて、私は更に混乱しました。流石に事情が分からないのは困りますので、伊勢さんに理由を伺いますと、どうやら秋月さんと照月さんが、初月さんの歓迎の準備を相談していた所を、丁度伊勢さん達が聞いていたようです。そして秋月さんと照月さんの話を聞いてしまった伊勢さん達が、あまりにも不憫な歓迎会の内容に胸を痛めて、私の所に連れてきて豪華な料理を食べさせてやろう…との事だったようですが…。

 

「その…伊勢さんも、日向さんも、そこまで気を使っていただかなくても、秋月達は大丈夫です。いえ…ありがたいですけど…。」

 

「僕も、麦飯と牛缶、それと沢庵でもあれば十分だ。伊勢さん達の好意は嬉しいけど…僕は平気だ。」

 

肝心の秋月さん達は、そこまで気を使わなくても…という流れになってしまいまして、結局伊勢さん達と秋月さん達の希望の折衷案という事で、御飯と牛肉を合わせた牛丼を私のお店で今夜食べさせる…という事に決まったようです。たしか伊勢さん達は、先の大戦では初月さんにかなりお世話になったようですから、その初月さんの歓迎会があまりにも粗末な内容…というのは嫌だったのだと思います。しかし…秋月さんもそうですが、妹の照月さん、そして今回新しく来た初月さんは、かなり質素倹約を旨としているようですね。下世話な話かもしれませんが、秋月さん達は駆逐艦と言えども、機動部隊直援の防空駆逐艦ですから、一般の駆逐艦よりはお給金もあると思いますので、お金には困っていない筈なのですが…。

 

まぁ、どのように鎮守府内で生活をするのか?というのは各々の自由ですから、秋月さん達の好きなようにすれば良いですから、私もその部分には干渉しません。とはいえ、たしかに伊勢さん達が考えているように、歓迎会くらいは華やかにやっても良いのではないか?と私も思ってしまいます。ですから今回の料理、たかが牛丼なのかもしれませんが、手は抜けないですね。

 

「まぁまぁ、秋月さんも初月さんも、そんな事は言わないで、今日は伊勢さん達にご馳走になっても良いのではありませんか?私も頑張って作りますから、決して後悔はさせませんよ?」

 

「そうそう、鳳翔さんの言うとおり。今日は私と日向に任せておきなさいって。」

 

「…わかった。それなら今日はご馳走になる。姉さん達もそれでいいよね?」

 

「初月がそれでいいなら、秋月もそれで良いです。…ありがとうございます、伊勢さん日向さん。」

 

どうやら、秋月さんも今回の提案を受け入れてくれたようですね。おそらく自分の妹の歓迎会だから自分で全て取り仕切ろうと思っていたのでしょうが、今回は伊勢さん達のお世話になる事に決めたようです。

 

さて、お店に入ってきたように、秋月さん達が伊勢さん達に抱えられてお店を出て行きましたから、私も急いで今日の準備をしてしまいましょうか。牛丼…色々な作り方がありますし、使う肉の種類も色々な選択がありますが、やはりここは牛のバラ肉を使った牛丼にしましょう。あまりにも良いお肉を使ってしまいますと、すき焼丼になってしまいますし、脂身が多すぎますと御飯ともあまり合いません。ここはやはり、ばら肉程度の少しだけ脂の入ったお肉を使い、玉ねぎを合わせるだけのシンプルな物の方が、秋月さん達に喜ばれそうですね。

 

それでは、玉ねぎをくし形に切り分け、ばら肉も一口大に切り分けます。また牛丼の具を煮込む際に、具全体に少しだけ爽快感を出すため摩り下ろした生姜を使いたいですから、これも準備しておきます。今回はシンプルな牛丼にするため、具材はこれだけですから、急いで料理をしてしまいましょう。

 

まずはお鍋に出汁汁を入れ、ここに和風味の定番でもある、醤油、日本酒、みりん、お砂糖を入れて一旦煮立たせます。そしてここにくし切りにした玉ねぎを入れて、しんなりするまで一度玉ねぎだけを煮てしまいます。…そろそろよろしいですね。それでは、ここに一口大に切り分けた牛肉のばら肉を入れ、さらに摩り下ろした生姜も加えたら、アクを取除きながら丁寧に煮込んでいきます。

 

良い感じにお肉と玉ねぎ全体に味が染みましたね。味は…良いですね。ただ…この後御飯の上にかける事を考えると、少しだけ味が薄いような気がします。大量の御飯と合わせてこの具材を食べる訳ですから、通常よりも少しだけ濃い目の方が良さそうですから、最後に少しだけ醤油とみりんを追加して…そうですね、これなら大丈夫です。後は、初月さん達が来店したら、一気に仕上げれば良さそうです。

 

 

「鳳翔さん。僕のために美味しい御飯を作ってくれてありがとう。今日は本当に感謝する。」

 

「鳳翔さん、今日は無理を聞いてくれてありがとう。私も日向も感謝しているから。ほら、初月もそんな畏まっていないで、早く座りなさい。秋月も照月も遠慮しないの。」

 

伊勢さんと日向さんに連れられて(流石に今回は両脇に抱え込まれていないようですね)、秋月さん姉妹が来店しました。それにしても初月さんは、とても礼儀正しい子のようですね。伊勢さんに促されて席に座りましたが、背筋をピンと伸ばして黙って座っています。私のお店は、気軽に食事を楽しんでもらうための場所ですから、リラックスして欲しいのですが、こればかりは本人の性格もありますから、なかなか難しいのかもしれませんね。

 

それでは、予約していた五人が揃いましたから、最後の仕上げを急いで行いましょうか。まずは牛丼の具材を温めなおしたら、これを御飯の上にかけます。五人分のどんぶりを用意したら、まずはここに炊きたての白米を入れましょうか。

 

「赤城さん?無言でどんぶりを差し出しても駄目ですよ。これは、伊勢さん達に作った料理です。余ったら赤城さんにも分けますから、今は駄目です。」

 

「…はい…鳳翔さん。最後に具が余るのを赤城は楽しみに待っています。…という事で、伊勢さん、日向さん。おかわりは遠慮してくださいね?」

 

「赤城さん!」

 

まったく…油断も隙もあったものではありません。私が伊勢さん達のどんぶりに御飯を入れていますと、急に六個目の特大どんぶりが目の前に出現しました。この大きさのどんぶりを使っているのは、赤城さんと加賀さんしか居ませんので、持ち主は直に特定出来ましたが、今回の料理は、伊勢さんの希望で作った初月さんの歓迎会の料理です。いくら赤城さんでも、今日は遠慮してもらうしかありません。まぁ、本当に余ったら赤城さんに出してあげても良いのですが…おそらく残らないのではないでしょうか。

 

それでは気を取り直して、どんぶりに入れた御飯の上に、温めなおした牛丼の具材をザッと乗せて行きます。具材を乗せる際、一応煮汁の部分は軽く切ってから乗せますが、この煮汁で御飯を食べるのも非常に美味しいですから、適度な汁気が御飯に染みこむように気をつけて具材を乗せます。あとは…お店でいつも出しているお味噌汁、そして糠漬けを一緒に出して…。!そうでした。卵を入れても味がまろやかになって美味しくなりますから、お好みで使えるように、生卵もつけておきましょう。これで完成ですね。

 

「皆さん、昼間にリクエストしてもらいました牛丼です。初月さん、呉鎮守府にようこそ。これからよろしくお願いしますね。今日は私のお店でしっかり楽しんでいってください。」

 

「ありがとう…鳳翔さん。僕の方こそ…よろしく。」

 

 

 

防空駆逐艦 初月

 

 

ついに僕も呉鎮守府に着任する事になった。以前、秋月姉さんと共に最後の戦いに出撃していった呉…感慨深いな。まさか再び、この呉鎮守府に戻ってくることが出来るとは思わなかった。呉鎮守府では、秋月姉さんの他に照月姉さんも居たし、伊勢さんや日向さん、それに瑞鶴さん達も居た。再び皆に会えて僕も嬉しかった。

 

鎮守府に着任した僕は、早速姉さん達から歓迎会をしてもらえる事になったのだけれど、それを聞いていた伊勢さん達に半ば無理やり鳳翔さんのお店に連れてこられた。伊勢さん達は、少しでも華やかな歓迎会にしてやろう…と考えてくれたのだろうけど、僕は麦飯と沢庵…それと出来れば牛缶があればそれで満足だ。あの戦いの頃は、それだけでも贅沢品だったのだから。それに姉さん達も相変わらず貧乏しているようだし…あまり姉さん達に負担はかけられない。だから、まさか伊勢さん達の奢りでこうやって鳳翔さんのお店で歓迎会が開いてもらえるとは、思ってもいなかった。

 

そして僕の目の前に並べられた、どんぶり飯の上から牛肉と玉ねぎが乗った料理。…うん、美味しそう。いや…その料理から漂ってくる甘辛そうな香だけでも、僕のお腹の虫が鳴きそうだ。姉さん達も目を輝かせているし…こんな美味しそうな料理は初めてだ。勿論、普段食べている麦飯と味噌汁だって美味しいけど、この料理は普段の料理とは比べ物にならない程美味しそうだ。もう我慢出来ない。伊勢さん達はまだ箸をつけてないけど、こんな美味しそうな料理が目の前に置かれてしまっては、我慢出来る筈がない。

 

はむっ…こんな美味しいものが!…この肉はなんだ?やはりまずは具材から食べてみるべきだろうと考えて、具材の肉の部分だけを口に運んだのだが、薄切りにされた肉には、しっかりとした甘辛い醤油の味と旨味、それと僅かに残っている脂身の部分からの甘味が感じられる。しかも薄切りにされているため、肉も非常に柔らかくなっていて、簡単に僕の口の中に肉の美味しさが広がっていく…。そして続けて口の中に入れた玉ねぎで、僕は完全に鳳翔さんに降参するしかない事が分かった。

 

一口大になった玉ねぎにも、さっきのお肉と同じ甘辛い味が染みこんでいる。しかもこちらは、お肉とは違って噛むと野菜の甘さが感じられて、お肉の部分とはまた違った味を楽しませてくれる。こんなに美味しい物を食べてしまっては、僕だって理解出来る。またこのお店に来て、同じような物が食べたい…そう思わざるを得ない。姉さん達も目を輝かせて、この料理を掻き込んでいるけど、きっと同じような事を考えている筈だ。ただ…このお店は高い筈だから、僕達ではなかなか来る事は出来ないのだろうなぁ…。

 

「初月…具だけ食べていては駄目だろう。牛丼は…御飯と一緒に食べてこその牛丼…そう、これだ。」

 

あっ…具材の美味しさに夢中になってしまって、ついつい具材だけを食べていた。日向さんに指摘されて僕も気付いた。そう…この具材の下にはどんぶり一杯の銀しゃり。そして、その銀しゃりに侵食するように染みこんだ煮汁の色。姉さん達がどんぶりを持って掻き込んでいる理由が分かったよ。この料理、御飯と一緒に食べないと駄目なんだ。少し行儀が悪いかもしれないけど、僕も掻き込むよ。

 

はむっ…こ…これは。銀シャリに染みこんだ甘辛い煮汁。この味が銀シャリにこんなに合うなんて…箸が止まらない。具材も一緒にどんどん口に掻き込まないと…。口の中で合わさる、お肉の旨味と玉ねぎの甘味、そして煮汁の甘辛さを含んだ銀シャリの甘さ。銀シャリの最後の一粒が無くなるまで、僕の箸が止まる事はないだろう。こんなに美味しい料理があったなんて…僕は知らなかった。

 

ふぅ…完食。あっという間の幸福な時間だった。僕の目の前には一粒残らず食べ尽くした空のどんぶりが一つ。僕の幸せな時間は終わってしまった。これからは、この味を思い出しながら麦飯と沢庵を食べる辛い日々が待っている…悲しい。

 

「初月?美味しいのは分かるけど、そんなに掻き込んで食べなくても…。それにお代わりが欲しかったら、注文すればいいのに。」

 

えっ?僕にもう一杯食べさせてくれるの?伊勢さんの言葉が、まるで神様の言葉のように聞こえる。だが、こんな幸運は滅多にない事だ。僕は…まだ食べたい。

 

「鳳翔さん…僕にお代わりをくれないか?僕は…もう一杯食べたい。」

 

「分かりました、初月さん。それではもう一杯お出ししますね。凄い食べっぷりでしたね。そのように美味しいそうに食べてもらえると、私も作った甲斐があります。」

 

えっ…ずっと見られていた?鳳翔さんに指摘されて改めて周りを見回すと、伊勢さん達はおろか、空母の人達まで初月を見ているような…流石に恥ずかしい。今度はもう少し落ち着いて食べないと。同じ失敗は…僕は二度としない。

 

「初月さん、お代わりを持ってきましたよ。それと…今度は、そこの生卵を牛丼の上から落としてみたらどうですか?味が少し変わって、こちらも美味しいと思いますよ。」

 

鳳翔さんが、僕のために二杯目の牛丼を出してくれた。そして今度は、生卵を落としてみろと言っている。おそらく鳳翔さんの言うとおりにすると、この牛丼という料理をもっと楽しめるのだろう。だが今…僕の心の中で天使と悪魔が戦いを繰り広げている。ここで更にこの料理の美味しさを理解してしまえば、僕は二度と粗食には戻れないから自重しろという天使の声…そして、ここは更なる美味しさを体験するべきだろう…という悪魔の声。

 

「ん?初月、何を迷っている?…そうか、卵が割れないのか。それならこの日向に任せておけ。…折角だから、黄身だけを落としてやるか。」

 

あっ…日向さん、違…。僕が黙って料理を睨んでいた姿を誤解した日向さんが、勝手に僕の牛丼に卵の…しかも黄身だけを器用に落としてしまった。…悪魔が勝ってしまった。もう僕は戻れない。こうなったら心の赴くまま、この牛丼を食べるしかないだろう。

 

!!美味しい…。先ほどの甘辛さが全面に出ていた牛丼を食べた時、僕はこれ以上の料理はないだろうと思っていた。でもそれは間違いだった。今回の牛丼、卵が一つ落ちただけの違いなのだが、味は…味は全然違う。そう、卵のまろやかさが加わった牛丼は、先ほどの甘辛さを卵が柔らかく包み込むような感じにして…特に銀シャリを掻き込む際の味を全く違う物にしている。…駄目だ…箸が止まらない。今度こそ落ち着いて食べる筈が…僕の完全敗北だ。

 

 

 

鳳翔

 

 

その…秋月さんと照月さんもそうなのですが、初月さんも物凄い勢いで牛丼を掻き込んでいますね。いえ…おそらく凄く気に入ってくれたのだと思いますが、それにしても食べる勢いが凄まじいです。最初は自分が食べるために牛丼の具材の残りを気にしていた赤城さんも、今はこの三人の食べっぷりに圧倒されていますね。これだけ美味しそうに食べてくれるのであれば、秋月さん達は普段質素な生活をしていると聞いていますが、たまには私のお店に来て欲しいですね。そうすれば、今回のように美味しい料理を食べさせてあげられます。

 

「秋月さんもそうですが、これ程美味しそうに食べてもらえると、料理をした私も嬉しいですね。良かったら、これからも時々私のお店に来てくれれば、また美味しい料理を作りますよ。」

 

「あっ…その…秋月達は、あまりお金がないので…その…来たいのは山々なのですが、なかなか…。」

 

なるほど…やはり駆逐艦の子達の通常の給料では、頻繁に来るのは難しいのかもしれませんね…。たしかに出撃手当てなどの臨時収入があった場合は、駆逐艦の子達も私のお店に来ますが、普段から見かける子は司令部直属の子であったり、スポンサーがついているような一部の駆逐艦だけです。…私も少し廉価版の料理を考えてみた方が良いかもしれませんね。

 

「あれ?秋月達は結構もらっているんじゃないの?それこそ毎日は無理でも、三日に一度くらいなら、問題ないんじゃない?いや…問題あるか…。まぁ、いい加減にあれは止めた方がいいんじゃない。あんた達、絶対に鴨にされてるからさ。」

 

えっ?伊勢さんが指摘しましたが、秋月さん達はそんなに貰っていたのですか?いえ…貰ったお給金をどのように使うかは秋月さん達の自由ですから、別にそれは問題ではありませんが…。しかし伊勢さんの指摘に、秋月さんはビクッとして、目で見て分かるほど動揺している様子が分かります。それに…照月さんも何故か知りませんが、冷や汗をかいていますね。何か事情があるのでしょうか?

 

「あの…秋月さん?それに照月さん?どうかしたのですか?その…凄く焦っているようですが…。」

 

「い…いえ、鳳翔さん。な…何も問題ありません。秋月、何も問題ありません。」

 

「て…照月も大丈夫です。お…怒らないでぇ~。」

 

その…怒るも何も私は全く事情が分からないのですが…。初月さんも不思議そうな顔をして、秋月さんと照月さんを見ていますね。そしてそれを見た伊勢さんと日向さんは、ヤレヤレといった表情で首を横に振っています。

「いや…この際だから、事情を鳳翔さんに話して、怒ってもらった方がいいだろう。このままでは、初月も巻き込まれそうで不憫だ。鳳翔さん、このバカ二人は普段から質素倹約していると思っている奴が多いんだが、自主的にしているのではなく、せざるを得ない状態なんだ。」

 

「そうそう、日向の言うとおり。あんた達、博打のやり過ぎだって。今月も金剛さんにどれだけ負けたのよ。というか、あんた達勝った事あったっけ?」

 

…呆れて物も言えないとは、まさにこの事ですね。その後、更に他の戦艦娘や空母娘達からも事情を聞きましたが、なんでも秋月さんと照月さんは、給料のほとんどを博打で使ってしまっているようです。相手は金剛さんのようで、ポーカーで賭けをしているようですが…流石にこの賭けがどれだけ秋月さん達に分が悪いのか?という事は私でも分かります。海千山千の金剛さんと心理戦を戦って、秋月さん達が勝てるとはとても思えません。一応、榛名さんや霧島さんは勿論、他の戦艦娘の子達も何度か賭けを止めさせようとは思ったようですが、肝心の秋月さん達が完全にのめり込んでしまっている様で…。

 

「秋月さん、照月さん、そこに正座しなさい。お説教があります。…それと伊勢さん、すいませんが金剛さんを呼んできてください。…いえ、こっちは多分逃げてしまうでしょうから、とりあえず差し押さえている給料だけでも少し返させますから、大淀さんを…それと一応鎮守府の治安維持を任されている比叡さんも呼んできてください。」

 

比叡さんが金剛さんを厳しく取り締まる…という事はないと思いますが、一応事情を説明して、少し自重してもらうように比叡さんを通して金剛さんを説得するしかなさそうですね。とはいえ…伊勢さん達の話では、流石の金剛さんも最近は秋月さん達と博打をするのを嫌がって避けようとしているようで…やはりここは、新しく来た初月さんのためにも、私がこの二人にお説教をするしかなさそうです。

 

 

その後、比叡さんと大淀さんにお店に来てもらい、秋月さん達の給料の半分が戻されましたが、比叡さんも大淀さんも呆れたような表情をしていましたから、司令部でも秋月さん達姉妹には手を焼いていたのだと思います。そして肝心の秋月さん達ですが、一応私のお説教を受けて、完全に涙目になりながら『もう二度と博打はしません、賭けてもいいです。』などと言っています…。とりあえず、もう一度頭の上に拳骨を落としたら、こちらは初月さんにしばらく監視してもらうしかなさそうですね。

 

「初月さん。来て早々申し訳ありませんが、秋月さんと照月さんがこれ以上博打をしないように、しばらく見ていてもらえませんか?もしそうしてくれるのでしたら、時々うちで御飯を食べさせてあげますから…。」

 

「!鳳翔さん。僕に任せてくれて大丈夫だ。秋月姉さん達の事は、僕がしっかり見ている。だから…その…時々、美味しい物を食べさせてもらいたい。」

 

初月さんは真面目そうですし、私のお店の御飯を気に入ってもらえたようですから、私のお店で御飯を食べるために頑張って秋月さん達を止めてくれるだろと思います。そして…少し意外でしたが、今回の件については比叡さんが、金剛さんに厳しく罰を与える…と言っていますから、金剛さんもしばらく博打はしないと思いますので…多分大丈夫だと思います。今回は最後に大きなトラブルが判明しましたが、結果的に鎮守府は平和になりそうですね。




秋月姉妹…駄目じゃないですかw。太平洋戦争では、戦争終盤が活躍の場だったため、運を天に任せて…という作戦が多いですから、この物語の秋月姉妹は博打好きな属性をつけてみました。とはいえこの属性をつけたため、本来であれば空母直援の多い防空駆逐艦で給料は多い筈が、質素にならざるを得ない…となりまして、今でも先の大戦と同様に普段の生活では質素倹約をしている…という事に。今後は初月に見張られるため、少し博打は自重する事になるのでしょうか。そして金剛さんの方も、比叡さんに罰を受ける…事になりそうですが、こちらは高速戦艦らしく華麗に逃げられそうな気がしないでもw。



鎮守府司令部応接間にて


「お姉様、秋月達とのポーカーは少し自重してください。鳳翔さんも怒っていましたよ。」

「比叡、そんな事言ってもサ~、最近は秋月達からの誘いから逃げている状態ネ。第一、賭けのレートだって、秋月達の希望通りにしてるデ~ス。私は悪くないネ。」

「そうは言ってもお姉様?あまりにも勝ち過ぎです。相手は駆逐艦なのですから、もう少し配慮を…」

「Noネ、比叡。私は挑まれた勝負は、絶対に負けまセ~ン。比叡、秋月達に言っておくネ。私と勝負するなど、百年早いデ~ス。」

「…分かりました、お姉様。全く反省はしないという事でしたら仕方ありません。この比叡、一応この鎮守府の治安を任されています。しかし比叡にはお姉様に罰を与えるなど出来ませんから、お姉様に罰を与える事が出来る方に連絡を入れる事にします。」

「What!? 比叡、それはNoネ、Noなんだからネ。とりあえず、少しだけ私も反省するネ。だから、比叡も少し落ち着くといいデ~ス。」

というような感じの会話が、司令部では繰り広げられているような…w。

さて牛丼です。私も初めて知ったのですが、今度艦これとすき家のコラボがあるようですね。ここしばらく(おそらく数年)、すき家に足を踏み入れていないですが、久しぶりに行ってみようかな…とw。昔は昼に結構すき家の牛丼食べたのですが、しばらく足が遠のいていました。といいますか、味は昔と変わっていないのだろうか…と少し心配しています。

牛丼は家庭でも時々作りますし、色々な具材を組み合わせたりもするのですが、個人的には牛肉と玉ねぎのみの吉野家スタイルが好きでして…ここに卵の黄身のみを落とした牛丼はとても好きです。という事で、今回の初月には私の好きなスタイルで食べてもらう事にしました。あれ、知らず知らずの内にご飯を完食してしまっているんですよね^^;。最近は牛丼屋も色々なメニューがあるようですが、コラボの際にすき家に行ったら、牛丼+玉+おしんこのコンボで攻めたいと思っていますw。

いよいよ艦これのイベントの方も終わりそうですが、皆さん希望の艦娘はドロップしたでしょうか?おそらく次回は大規模イベントになりそうですから、また資材貯めの日々になりそうです。そしてPSVitaで出た艦これ改。実は購入しましたw。時間の問題でまだほとんどやっていないのですが、海上護衛総隊に部隊をかなり貼り付けるようですから、今まであまり使ってこなかった艦娘も使えそうだな…と少し嬉しいです。少しやってみた感じでは、ブラウザ版と違ってシミュレーション要素が結構ありそうだな…と思いました。個人的にはHearts of Ironシリーズなどが好きなため、組織運営シミュレーションに近い今回のゲームは好みかな…と考えています。

今回も読んでいただきありがとうございました。




牛丼レシピ (四人分)
銀シャリ:4合
牛バラ肉:400 g
玉ねぎ :1個
生姜  :適量
卵   :4個

醤油  :60 mL
日本酒 :45 mL
味醂  :30 mL
砂糖  :25 g
出汁汁 :400 mL

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