鎮守府の片隅で   作:ariel

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今回の主役はレア重巡の鈴谷。言葉使いはくだけている彼女ですが、個人的には結構好きなキャラだったりします。そして料理の方は、先日まで滞在していた台湾で大量に食べた餃子…ただし日本風に焼き餃子という事にしました。


第八一話 鈴谷と餃子

小料理屋『鳳翔』  鳳翔

 

 

「赤城さん、しっかり強力粉と薄力粉を混ぜ合わせてくださいね。今日はかなりの量を作らなくてはいけないのですから、休んでいる暇はありませんよ。」

 

「は…はい、赤城にお任せください。それで…鳳翔さん、ちょっと相談なのですが…。」

 

「赤城さん!口を動かすよりも、しっかり手を動かしてください。まったく…一体誰のせいでこのような事になったと思っているのですか?」

 

「は…はい、赤城頑張ります。」

 

まったく…。赤城さんには本当に困ったものです。事件は先日の昼間、私のお店で起こりました。私のお店で重巡洋艦の子達が食事会をする事になり、その食事会のために私は、様々な料理の準備をしていました。ところが、私が少しあの人に用事があり店を離れている間に、お手伝いを頼んでいた赤城さんがお店に一人でやってきたのが運の尽きでした。店にやってきた赤城さんは、厨房に並んでいる料理をその日の賄い食と考えたようで…私が戻ってきた時には、既に準備していた料理の大半は赤城さんの胃袋へ…。

 

あれだけの量の食事を賄い食だと勘違いする方もする方ですが、赤城さんが来る事が分かっていて席を外した私も馬鹿でした。勿論、準備していた食材の多くが無くなってしまった状態で食事会をする事は不可能です。急いで重巡洋艦の子達に謝り、後日改めて食事会をするという事になりました。そしてこの延期は完全にこちらのミスですから、重巡洋艦の子達が希望する料理をお詫びに作ろうと思い、希望を聞いた所『餃子が食べたい』との回答がありました。

 

餃子と一口に言いましても、焼き餃子に蒸し餃子、茹で餃子、揚げ餃子と色々ありますが、今回はオーソドックスに、一般的に帝国で食べられている焼き餃子を準備しようと思います。そして折角の機会なので、赤城さん、そして瑞鶴さんに手伝ってもらい、餃子の皮から作る事になったのですが…流石にこの量の餃子を準備するとなると、赤城さん達が居ても大変ですね。

 

現在、赤城さんが餃子の皮の素となる、強力粉と薄力粉を混ぜていますし、瑞鶴さんは具材のベースとなる白菜を細切れにしています。今回の餃子の中身ですが、重巡洋艦の子達の中には、熊野さんや三隈さんのように上品で匂いを気にする子も居ますから、ニンニクを具材として使わないタイプの餃子にする予定です。

 

「瑞鶴さん、その白菜の細切れが終わったら、次はニラとネギも細かく刻んでくださいね。」

 

「は~い、鳳翔さん。瑞鶴、了解。それにしても…こんなに大量の具材で餃子を作るなんて、瑞鶴も初めてだから、ビックリだよ。」

 

そうですね。たしかにこれだけの量の具材が並びますと壮観ですが、重巡洋艦の子達の人数は多いですし、一人一人がかなりの量を食べるでしょうから、これくらいの量が必要なのではないでしょうか。…さて、赤城さんが混ぜ終わったようですね。それでは次の指示を出しましょうか。

 

「赤城さん、そろそろいいですよ。それでは次は、塩水を今混ぜた粉に均一に行き渡るように混ぜ合わせてください。練るように混ぜたら生地が駄目になってしまいますから、気をつけてくださいね。…えぇ、それくらいで大丈夫です。それでは次はしっかり力を入れて、捏ねてください。」

 

「は…はい、鳳翔さん。力仕事なら、赤城にお任せください。」

 

流石は一航戦を任されている赤城さんですね。力強く餃子の生地をこね始めました。あの様子でしたら、直に捏ねあがるのではないでしょうか。生地が捏ねあがったら、生地を熟成させるために、布巾で包みしばらく静置させておきましょう。…具材の方は大丈夫でしょうか…。えぇ、大丈夫ですね。瑞鶴さんはかなり料理の腕を上げていますから、全く問題ありませんでした。白菜、そしてニラとネギもほとんど切り終わっています。

 

それでは、瑞鶴さんには生姜を細かく切り刻んでもらい、その間に私は瑞鶴さんが切り終わった白菜に塩をまぶし、全体的に揉み解して柔らかくしておきましょうか。また赤城さんも手が空いているようですから、挽肉の準備をしてもらいましょう。

 

「赤城さん?手が空いているようですから、挽肉を準備してください。まずはそのボールに挽肉を入れて、醤油、日本酒、ごま油、塩を入れて全体的に粘りが出るようにしっかり混ぜてくださいね。」

 

「分かりました、鳳翔さん。それで…鳳翔さん?物は相談なのですが…。」

 

「赤城さん?これだけの量があれば、多少は余るでしょうから、ちゃんと赤城さんもこの餃子を少し食べられますから、今はしっかり頑張ってください。」

 

「少しだけ…ですか。い…いえ問題ありません。は、はいっ!赤城にお任せください!」

 

まったく…。少ししか自分の口には入らないと分かった赤城さんは、一気にテンションが下がったようですが、少し睨みつけたところ、なんとか作業を続けてくれそうです。それにしても、食べ物一つでこんなに気分が変わってしまう…私は一体どこでこの子の教育を間違えてしまったのでしょうか…。

 

 

そろそろ赤城さんにお願いしていた挽肉の準備が出来たようですし、私が準備した塩もみした白菜、瑞鶴さんが準備したニラ、ネギ、生姜も揃いました。それでは、こららの具材を全て一つに纏めて、しっかり混ぜ合わせましょうか。…よい感じに全体が混ぜ合わさりましたね。最後に塩と胡椒を使って全体的に味を整えたら…これで餃子の具材の準備は終了です。先ほど熟成させた餃子の生地もそろそろ使えると思いますから、一気に餃子を作ってしまいましょう。

 

静置していた餃子の生地も良い感じになっていますね。これならばしっかり生地が伸びそうですから、餃子の皮としては完璧だと思います。それではここから餃子の皮を作りましょう。まずは、生地を棒状に伸ばして、これを片手で握れる程度の大きさに切り分けていきます。そして切り分けた生地の塊を、一度軽く団子状に丸めたら、片栗粉を塗してから、一度掌で押しつぶします。後は平ぺったくなった生地を、伸ばし棒を使って円形になるように外側から内側に向って伸ばせば、餃子の皮の完成です。

 

「ねぇねぇ、鳳翔さん。それ瑞鶴にもやらせてよ。なんだか面白そうだし。」

 

「いいですよ、瑞鶴さん。ですが、伸ばす時はなるべく同じ大きさになるように気をつけてくださいね。」

 

「大丈夫、大丈夫。瑞鶴に任せてって!」

 

瑞鶴さんが、伸ばし棒を使って餃子の皮を作る事に興味をもったようですね。折角ですし、瑞鶴さんに手伝ってもらいましょうか。…あらっ?瑞鶴さん器用ですね。今回初めてのようで、少し手元が覚束ない感じですが、出来上がった餃子の皮は綺麗な円形になっています。これなら任せても大丈夫ですね。それに引き換え…

 

「赤城さん!その餃子の皮の生地は、今回全部使う予定なのですから、自分の分を勝手に確保しないでください!」

 

…まったく。油断も隙もあったものではありません。どうやら赤城さんを暇にさせておくと碌な事がないようなので、出来上がった餃子の皮から順番に、具材を中に詰めて餃子を作っていったほうが良さそうです。

 

「さぁ、赤城さん?瑞鶴さんが皮を作ってくれるようですから、私と一緒に急いで餃子を包んでいきますよ。あまり馬鹿な事ばかりしていたら、餃子は一つも食べさせませんからね!」

 

「だ…大丈夫です、鳳翔さん。赤城は馬鹿な事などしませんから、赤城が食べる餃子の件は前向きに…」

 

どうやら赤城さんも再びやる気になってくれたようですから、どんどん餃子を包んでいきましょうか。まずは瑞鶴さんが作ってくれた皮の真ん中に餃子の具材を乗せて、皮の縁の部分に少しだけ水をつけます。そして半分に折り曲げるようにして、片側をつまみ、ひだが出来るように縁をくっつけていきます。そして完全に最後までくっつきましたら、ひだの形を整えて、少しだけ餃子を押し出すようにして形を整えます。後は出来上がった餃子を順番にバットに並べていくだけですね。

 

赤城さんもやる気になってくれれば、きちんと戦力になりますね。最初は少し不安がありましたが、どうやらちゃんと餃子を作ってくれているようです。元々の瑞鶴さんが作っている皮の大きさがかなり揃っている…というのもありますが、赤城さんが包んでいる餃子も最終的には綺麗に形が整っていますから、私が心配するような事はありませんでした。

 

 

ふぅ…ようやく終わりましたね。それにしても凄い量の餃子になりました。他の料理も準備していますし…ちょっと作りすぎてしまったかもしれませんね。とはいえ、残ったら残ったで赤城さん達が持って帰るでしょうし…大丈夫ですね。それでは後は重巡洋艦の子達が来店したら、最後の仕上げをしましょうか。

 

 

「チ~ッス、鳳翔さん。鈴谷、今日は凄く楽しみにしていたんだよねぇ。一杯美味しい料理食べさせてね。」

 

「鈴谷、あまり下品な言葉遣いは駄目ですことよ?鳳翔さん、今日はよろしくお願いしましてよ。」

 

「いいじゃん、熊野?別に今日は重巡洋艦だけだしー。」

 

重巡洋艦の子達の先頭で入ってきたのは、鈴谷さんと熊野さんですか。どうやら先日の事件で流れてしまった今回の食事会を凄く楽しみにしていてくれたようですね。今日は色々な料理を準備していますから、しっかり楽しんで欲しいですね。

 

「鳳翔、先日の食事会が流れて、我輩待ちくたびれたぞ。今日こそ美味しい物を食べさせてもらうのじゃ。」

 

「利根姉さん?いつも美味しい料理をここで食べているのですから、『今日こそ』と言うのはおかしいのではないでしょうか?」

 

「えぇ~い、筑摩。我輩、毎日が初めての気持ちで来店して、鳳翔の店の味を楽しんでいるだけじゃ!いつも食べているからと言って、今日も自重はせぬぞ!」

 

利根さんと筑摩さんも相変わらずのようですね。利根さん達の後ろに居る妙高さん達もそうですが、利根さん達は私のお店の常連なのですから…。とはいえ、毎日のように通ってくれている利根さん達にまで、『今日の食事会を楽しみにしていた』と言われますと、私も嬉しいですね。

 

さて…どうやら重巡洋艦の子達も集まったようですし、準備が終わっている料理とお酒を一気に出してしまいましょうか。また餃子の数も多いですから、今の内からどんどん焼いていった方が良さそうですね。焼きあがった餃子から順番に出していけば、テーブルの上には絶えず熱い餃子がある状態になるでしょうから…。

 

それでは油をひいた熱したフライパンに先ほど作った餃子をズラッと並べます。そして水を入れたらフライパンに蓋をして、餃子全体が蒸し焼きになるような状態でしばらく放置します。…蓋の隙間から湯気が漏れ出してきていますが、フライパンの中では水分が激しく沸騰し、餃子全体が蒸しあがり、具材の部分にしっかり火が通っていると思います。…水分も粗方無くなったようですし、後は餃子の下の部分がパリッとなるまで火を通せば完成ですね。…いえ、餃子を蒸しあげているこの段階で、餃子の上から少しだけ胡麻油をかけて、全体が香ばしくなるような香り付けをしておきましょう。

 

…いよいよ、最終段階となる、餃子の下面に少しだけ焦げ目を入れる段階になり、フライパンの蓋をとりましたが、胡麻油の良い香りと、餃子特有の素晴らしい香りが店内に広がります。そして餃子の縁の部分で油の小さい泡がプチプチ弾けていますね。焦げ目も少しずつついてきましたし…非常に美味しそうです。ふと食事やお酒を楽しんでいる重巡洋艦の子達の方を見ますと、こちらの様子をチラチラ伺っていますね。どうやら自分達がリクエストした餃子が登場するのを今か今かと待ち焦がれているようです。

 

…完成ですね。非常に綺麗な焦げ目がついた美味しそうな餃子が焼きあがりました。それでは焼きあがった餃子を引っくり返すような形でお皿に並べて、下部の焦げ目がよく見えるように餃子を並べます。後は醤油と酢を1:2に混ぜた餃子のタレを準備して…出来上がりです。

 

「皆さん、餃子の第一弾が焼きあがりました。どうぞ熱い内に食べてください。直に第二弾を焼きますので。」

 

 

 

重巡洋艦 鈴谷

 

 

うわっ、美味しそう!やっぱ鳳翔さんのお店の料理だよね~。鎮守府食堂の料理も悪かないけど、どうせ食事を楽しむなら、やっぱりここだよー。今日は久しぶりの重巡洋艦の食事会。本当は少し前に開催される筈だったけど、それが延長して今日開催。鈴谷、待ちくたびれたわ~。机の上に所狭しと並んだ料理の数々、やっぱ最高じゃん!串カツに角煮に野菜の煮物…鈴谷どれから手をつけたらいいか、迷うわ~。

 

お!おぉ!餃子も登場!これ、利根のリクエストだったけどさ~、流石はこの店の常連。いい選択してるじゃん。まだ餃子の縁で油がパチパチしてるくらい熱々の餃子だけど、やっぱこれ食べないと。…っていうか、みんな箸早過ぎだって。あっという間に残り少しになってるじゃん。つうか、熊野も躊躇してたら、一個も食べれないよ?うわっ、利根エグイ取り方してるわ~。一気に三つも箸で掴むなんて、やりすぎだっての。さてさて…それじゃ、鈴谷もそろそろ参戦するかな。

 

…よしっ、なんとか餃子一つゲット。とりあえず準備されているタレに少しだけ餃子を浸して…早速いただきま~す。んぉ…これ凄いわ!皮の下の部分はパリッとした食感だけど、全体はムニュッとした弾力性のある柔らかい食感。口の中で胡麻油の香ばしい香りが広がって、タレの甘酸っぱい味もいいじゃん。

 

おおぅ…はふぅ…はふぅ…中の具材がまだ凄く熱いわ…いや、これがいいんだけどさ。…噛んで皮が破れた瞬間に口の中に広がってくるお肉と野菜の旨味、それに生姜の爽やかな香りと僅かな刺激…最高じゃん!こういう美味しい味とタレの甘酸っぱい味が合わさると…もう止まらないって。

 

それにこの餃子、見た目は結構濃い緑色の具材だったから不思議だったけどさ、かなりニラ入っているよね。ちょっと癖のあるニラの香りが最高にあってるわ~。つうかこの餃子、ニンニクは抜いてあるんだ。熊野は『餃子はニンニクの香りが…』なんて言ってたけど、これなら何も問題ないじゃん。やっぱ、鳳翔さんの料理は最高だよね。

 

あれ?もう皿の上にあった餃子は完売。まだ鈴谷、一個しか食べてないんだけど…つうか熊野に至っては躊躇している間に全部無くなって、一個も食べられなかったみたいだしぃ。みんな早すぎだって。あぁ~あ、早く次の餃子来ないかなぁ…。

 

「お待たせしました。次の餃子です…って、もう無くなっていたのですか?急いでまた焼きますね。」

 

おぉ!グッドタイミング。丁度鈴谷が次欲しいな…と思っていた所に、新しい餃子が来たよ。よしっ!次は利根達に負けないよ。こんな美味しい餃子なら、鈴谷、どれだけでも食べられそうだわ!今度は一気に…。

 

 

 

鳳翔

 

 

皆さん…食べるペースが凄く早いですね…。お話をしながらの食事会ですから、適度に料理を準備していけば良い…と考えていたのですが、まさかあっという間に餃子がなくなってしまうとは思ってもいませんでした。この調子では、次の餃子も急いで焼いてしまった方が良さそうですね。

 

「ちょっと…鈴谷、ありえませんわ~」

 

「鈴谷…それは我輩に喧嘩を売っておるのか?」

 

あら?なんだかテーブルの方が騒がしくなっていますね。…鈴谷さん、たしかに餃子をたくさん食べたい…というのは、その行動を見れば良く分かりますが、それはちょっと…。大皿に並べてあった餃子の半分近くを自分の取り皿に確保してしまうのは…。それに、そのような食べ方をしてしまっては、自分の取り皿に取り分けた最後の餃子を食べる頃には、冷めてしまっていると思います。あわてなくても、まだ餃子は焼く予定なのですから…。

 

そして鈴谷さんが餃子を寡占する様子を見た熊野さんや利根さんが騒ぎ出し、それにつられて他の重巡洋艦の子達も鈴谷さんを睨んでいますね。ここは私が仲裁に入った方が良いかもしれません。

 

「鳳翔さん、ここは赤城にお任せください。このような時の対処法は赤城は得意ですから。」

 

赤城さんが仲裁ですか…何故か、より事態が悪化する予感しかしないのですが、本人が自信満々なようですし…一度任せてみましょうか。

 

「そうですか、赤城さん。…それではお願いしますね。」

 

 

「鈴谷さん。そのようなやり方で食べ物を大量に確保する…しかも熱々の餃子でこのような事をするのはいけませんね。天が許しても、この一航戦の赤城が許しません。このような取り方をしてしまっては、食べている途中で餃子が冷めてしまい、美味しくなくなってしまいます!食べ物が美味しくなくなる…このような罪を赤城が見逃すわけには行きませんから、赤城が急いで食べるお手伝いしましょう!」

 

あの…赤城さん…。自分が食べたかっただけですよね…。鈴谷さんが確保した大量の餃子から、あっという間に一列分の餃子を赤城さんが食べてしまいました。

 

「ん~、美味しいですね~。やっぱり餃子は熱々が一番。この皮がパリッとした所など、冷めてしまっては楽しさが半減してしまいますし、中の旨味が凝縮したお肉と野菜の甘さ、それとニラ…これも熱い内に食べるのが一番です。あぁ…鈴谷さん、食べないのですか?それでしたら、冷める前に赤城が、次の一列もいただきますね。」

 

「えっ、あ…あのっ、ちょっと…」

 

赤城さん…鈴谷さんは食べないのではなく、あまりの出来事に呆然として思考が再起動していないだけですよ。大体、自分の目の前の餃子が一列分、あっという間に消えたら、誰だって驚くに違いありません。鈴谷さんに対して非難の目を向けていた他の重巡洋艦の子達も、鈴谷さんと同様に呆然とした表情で、赤城さんが餃子を次々食べていく姿を見守っています。

 

「あら?皆さん、餃子は食べないのですか?冷めたら美味しくなくなりますよ?食べないのでしたら、こちらの大皿の方も、赤城がいただきますね。」

 

そして、誰もが目の前で起こっている出来事に脳が追いついていない事を良い事に、赤城さんは大皿に残っている餃子にも手をつけ始めました。…どうやら、この一皿分は完全に赤城さんの胃袋に消えてしまいそうですね。そして、思考が再起動した重巡洋艦の子達からの抗議があるのは、時間の問題でしょうし…私も早いところ、次の餃子を焼いた方が良さそうです。

 

「ねぇねぇ、鳳翔さん。赤城先輩の解決方法って、絶対に『毒をもって毒を制す』って感じだよね…。瑞鶴では、とてもあんな真似出来ないよ…。やっぱり一航戦の先輩だよね…。」

 

瑞鶴さん…あれは…真似しない方が良いと思いますよ。あのような強引な解決方法が許されるのは、たぶん赤城さんくらいです。いえ…呆然として赤城さんの行動を見ている重巡洋艦の子達の視線を見る限りでは、『これは仕方ない…天災だと思って諦めよう。』と、思っていそうですが…。

 

その後、いち早くショックから再起動した、利根さんや妙高さん等、普段から私のお店に来ていて赤城さんの行動に比較的慣れている子達によって、赤城さんが取り押さえられましたが、一皿分の餃子は完全に赤城さんの胃袋に消えていました。

 

この餃子の代わりという形で、何か一品料理を追加してあげなくてはいけませんが、これは赤城さんに払ってもらいましょうか…。

 

 

結果的に重巡洋艦の子達は満足して帰っていきましたし、赤城さんは赤城さんで餃子が食べられて満足しているようですが…赤城さんが絡むとトラブルが大きくなる事は間違いありません。私もこれからは今以上に気をつけなくてはいけませんね。とりあえず、今回の重巡洋艦の食事会が無事に終わってよかったです。今日も鎮守府は平和ですね。




あとがき:毒をもって毒を制す…赤城さん的解決方法により、場の餃子が全部無くなってしまいましたから、とりあえずトラブルは解決された…のでしょうかね?争いの元自体を消してしまう…問題解決手法としては間違っていないのですが、今回のケースでこれをやると…。ただ赤城さんの場合、鳳翔さんの内心ではありませんが、これをやられても、やられた相手が諦める…という意味で、許されているのかもしれませんがw

さて餃子ですが、我が家では結構自作餃子やっています(といいますか、家内が好きな料理だったりします。)。とはいえ、以前は皮も自作していた事が多かったのですが、最近は面倒になって市販の皮を使う事も多いようですw。丁度先週台湾に居たため、向こうでも餃子は数多く食べてきましたが、向こうの餃子は蒸し餃子や茹で餃子。勿論蒸し餃子等も大好きですが、個人的には日本式の焼き餃子好きでして…そんな事もあり、今回の料理が餃子になりました。

そして餃子の中身…これは一家言ある人が多そうですね。私の家では、ニンニクは入れずにニラを多目にして対応(餃子の具材が深緑色っぽく見えるくらいの量のニラを入れる事も)していますが、ニンニクが入らない餃子など許せない!という人も居るでしょうし、海老肉のような物を入れないと!という人もいそうです。皆さんの所の餃子の具材は何を入れているでしょうか?

今回の主役ですが、重巡洋艦の子でそろそろ書こうかな…と思っていましたので、残っている子の中から比較的ゲームで使っている鈴谷を選択。一応レア重巡の彼女ですが、比較的早い時期に手に入っていたため、時々熊野と一緒に使っているんですよね。今度のイベントはおそらく大規模なイベントで、使用する艦娘の数も増えそうですから、久しぶりにイベントで活躍させたいな…と思っています。

この物語も気付けば外伝を除いても八十話を超えてしまいました。この四月から今まで以上にリアルタイムが削られそうなので、今までのように一週間に一度の更新は難しくなるかもしれませんが、可能な限り続けていきたい…と思っていますので、続編については気長にまってもらえたらと思います。

今回も読んでいただきありがとうございました。




餃子(四人分?)

皮の部分 (小型餃子で40個程)
薄力粉:80-100 g
強力粉:80-100 g (薄力粉:強力粉 = 1 : 1)
お湯 :90 – 100 mL
塩  :4 g くらい


餃子の具
白菜  :大きな葉で4枚分 (350-400 g)
挽肉(豚):200 g
ネギ:30 g
ニラ:10本 50 gくらい (好みで多目にしてもOK)
生姜:一つ分 10 g くらい
醤油:30 mL
日本酒:20 mL
ごま油:20 mL
塩・胡椒:適量

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