僕はホロライブの裏方として働きながらも…ホストとして副業をしている。副業のことは会社に言っていないのでバレたら確実にクビ。
だから絶対に同僚にはバレたくない。でも今、僕の目の前には白い髪の狐が立っている。『白上フブキ』。
「な、なんで…キミがここに…」
「それはこっちのセリフですよ。社員さん。なんでこんなところで働いているんですか?」
「そ、それは……」
「確か家の会社はそこで副業的なことはダメだったと思いますよ。社員さんならそれを知らない訳ないですよね」
「…っ……」
「これが会社にバレちゃったら社員さんは止めることになるか、何かしらのペナルティーを負うことになってしまいますね」
笑顔でそんなことを話してくる。僕の心の中には素直に恐怖しか存在しない。今、僕の弱みを完全に白上さんに握られてしまう形になっている。
「……どうにか黙っていてはくれませんか?」
白上さんが何でこんなところにいるのかの方も不思議だが今はそんなことよりも自分の保身。このままいけば僕は仕事を失うことになるのは目に見えている。
「…どうしようかなぁ~~社員さんが持て成してくれたら考えてもあげてもいいなぁ~~」
そう言いながら白上さんはチラチラとこちらを見ていている。
「でも白上さんだってこんなところに居るのがバレたらマズイんじゃないですか?」
こんな風にタレントさんを脅すような真似をする時点でスタッフである資格があるのか分かったもんじゃない。でも今は仕事を失う訳にはいかない。
「そうだよ。白上だってまずいよ。でも、社員さんの方がヤバいと思いますけどね。例えば社員さんに連れてこられた見たいな嘘でも真実になってしまうかもしれませんよ」
「………分かりました。白上さんをお客様として持て成しますよ。なのでバラさないでください」
「それは社員さんの持て成し次第ですよ」
それから僕は白上さんの隣に腰を下ろして飲み物を注文した。でも、こういうところでは男性の飲み物代も含めて女性が全て出すことになっているもの。それを白上さんは知っているのだろうか。
「白上さんは知っているか分かりませんが、お金を出すのは白上さんということになりますよ。そこら辺は大丈夫ですか?それとも僕が出すんですか?」
「いや、そこら辺は大丈夫ですよ。白上が出すので…」
「そこでまずは…はい」
そう言って白上さんは腕を広げて何かを待っているようだ。それで何なのか分からない訳ではないが本当にそんなことをしていいのかと本能が言っている。これをしてしまったらタレントと裏方という関係性が壊れてしまう気がする。でもしなければ白上さんは…漏らしてしまうかもしれない。でも今はこうすることが一番……なはずだ。
そして僕は白上さんの背中に腕を回して優しく抱きしめた。
「……温かいですね。社員さんは…」
「…………」
「白上はとても嬉しいよ。社員さんがお客さんだから、副業を知らせないために…抱きしめているのだと分かっていても社員さんが抱きしめてくれているというだけでとても嬉しい」
白上さんの顔は見れないけど、とっても良い笑顔を浮かべているのだけは声色だけでも分かる。でもそれと反対にオレは苦々しい顔をしている。この状況がとても複雑だ。
「そうですか」
体感時間では5分以上も抱きしめている感じがあった。でも現実では1分も抱きしめていなかった。早くこの状況が終わらないかなと願いながらもそう簡単に時は過ぎてくれない。
「それではまずは乾杯」
「…はい、乾杯」
そして僕と白上さんはお酒を流し込んだ。いつもだったらお酒の味を味わうぐらいの余裕があるが今は全然ない。味がしない。
「それで社員さんはなんで副業をやり始めたのですか?」
「……魔が差したと言いますか…。最初は友達に誘われたんです。友達が稼げるって言うし別に副業でもOKって言っていたので。そいつはどうやらここの支配人ともつながりがあるらしくて例外として認めて働かせてもらっている形です。そして個人的にそういうこともしてみたいなぁという気持ちもあったので…やり始めちゃったという感じですね」
全ては自分の判断で始めたことなんだから、これでクビという結果になってしまっても仕方ない。
「そうなんですか……でも、よかったです」
「よかった?」
「はい。私たちのことが嫌いになったのかと思ったので。それで他の仕事を探し始めたのかなぁって思っちゃったから」
「…そこまで心配させてすみません」
「ううん。白上が早とちりしただけなので…」
それからもお互いに語り合っていくと少しずつ白上さんのテンションが上がっていくのが明確に分かってきた。
「しゃいんさんはしらかみのことどうおもっているんですか~~」
「勿論、大切なタレントさんだと思ってますよ」
「ちがいますよ~~ひとりのじょせいとしてどうおもっているんですか~~」
明らかに酔っちゃっているな。お酒を一緒に飲んだことがなかったから分からないんだけど、もしかしてとても弱いのだろうか。それとも場に酔ってしまったのだろうか。
「…魅力的な女性だと思っていますよ」
「え~~しゃいんさんがそんなふうにおもってくれていたなんてうれしいですね~~」
もう確実に酔っちゃってるよ。これは帰り、どうすればいいのだろうか。白上さんはかなり忙しい人だし。それに翌々考えれば今日は配信をしないのだろうか…と思って端末から確認すると…23時から配信をする予定があるようだった。
「ど、どうすればいいんだ……」
今の白上さんにまともな配信が出来るとは思えない。でも、無断で休むようなことをすればファンの方々が心配をしてしまうだろう…。
「…白上さん!」
「なに~~」
「今日って配信をする予定があるんじゃないですか!!」
「う、うん~~」
もうダメだ。言葉が完全に伝わっていない。今の時間を確認すると22時45分。もう後15分もしたら配信が始まる時間だ。
これは最後の手段だが…仕方ない。
「白上さん、携帯を貸してくれませんか?」
「え~~なでてくれたらかんがえてあげますよ~~」
これはもう考えている時間はない。白上さんの言うことに従って本人の同意の元で借りなくては。
僕を割れ物を触るように優しく撫でることにした。なるべく白上さんの機嫌を損ねないように。
「うう~~きもちいいですね~~なでるのうまいですよ」
「それじゃあ携帯を貸してくれますか?」
「ううん。もっとなでて~~」
それから僕は五分近くもずっと白上さんの頭を撫で続けた。でも五分で満足してくれて助かった。これで1時間以上みたいになったら…全てが終わっている。
そして白上さんのツイッターを開いてなるべく白上さんらしく…今日の配信は体調が悪いため休みであることを連絡した。こんなことは絶対にやっていけないこと。まあ、クビになる可能性も高いし、今さらそんなに大きく変わらないだろう。
それからも僕は白上さんの接待に尽力をした。そしてどんな幸運か、次の日に白上さんにあったら昨日のことをまるで覚えていなかったのだ。これで一つの波が過ぎ去った。
ホロメンが社員を接待するというシチュエーションだったら誰がいいですか?
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天音かなた
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夜空メル
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常闇トワ
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猫又おかゆ
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潤羽るしあ