社員さんが副業でホストをやっていたら   作:主義

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獅白ぼたん編

ホストクラブには同伴というサービスが存在する。それはホストクラブに行くよりも前にデートのようなものをしてホストクラブに連れていく。

 

 

だけど、あくまで僕は副業だ。毎日仕事に出られている訳でもないから同伴というところまでいかない。だから初めて、同伴が入ったことにかなり驚いた。そしてその相手の名前を見て、もう一度驚いた。だってその相手は本当によく知っている人だったから。

 

「遅れてごめん」

 

 

「別に大丈夫ですけど、本当に僕でいいんですか?」

 

 

「あたしはキミだから指名したんだよ」

 

その相手とは獅白ぼたんさん。獅白さんとは事務所ですれ違った程度で二人きりで話したことは一度もなかったはずだ。

 

「僕って獅白さんとなんか関わりありましたっけ?」

 

 

「…ないよ」

 

すると獅白さんは急に僕の手を握ってきた。さすがの僕もそんなことをされるとは微塵も思っていないので体がビクッとしてしまった。

 

「え、ど、どうされたんですか!!??」

 

驚き過ぎて敬語になっちゃった…。

 

「え、だって今のキミとあたしはタレントとスタッフという関係性じゃないよ。あたしはキミと手を繋ぎたいから繋いだだけだよ。嫌だった?」

 

 

「別に嫌という訳ではないですよ……獅白さんがいいんであれば…」

 

確かに今の獅白さんと僕の関係は…お客とホストだ。お客が望むのであればホストにそれを断ることは出来ない。

 

「今日は映画に行きたいんだけど、いい?」

 

 

「僕は獅白さんの行きたいところで大丈夫ですよ」

 

 

「そっか…。じゃあ、あたしのチョイスで選ぶね」

 

なんか普通、男性の方がエスコートをするものだけど、今の状況的に僕の方がエスコートされている気がする。行く場所も全て獅白さんの方が決めてくれているみたいだし。

 

 

 

そして映画館に着いて…獅白さんが買ったチケットはラブ・ロマンス系だった。流行に疎い、僕であっても聞いたことがあるぐらいの大ヒットしている作品。

 

「でも、意外ですね」

 

 

「なにが?」

 

 

「いや、勝手なイメージですが、獅白さんがこういうのを見るイメージが無くて…」

 

獅白さんと言えば…クールで恋愛系とはかけ離れたような感じがしていたから。

 

 

「…まあ、普段のあたしを見ていたらそうかもね。それにいつもから恋愛系の作品を見る訳でもないから」

 

 

「じゃあなんで今日は?」

 

 

「……この映画って…カップルで見る人が多くて。ヒットしている作品だから見には行きたかったんだけどその勇気が出なくて…」

 

確かにこういうのって…カップルで見に来る人って多かったりすると聞いたことがある。確かに僕もカップルばっかりの中に男性一人で見に行くのはかなり勇気が必要になってきますね。

 

 

「ああ、そういうことですか」

 

 

 

そして僕と獅白さんは…映画を見始めた。

 

 

ある程度、映画がいったところで隣を見るとそこには…映画に夢中になっている獅白さんの姿があった。ホストやスタッフとして思ってはいけないのかもしれないけど、僕はその獅白さんの姿を美しいと感じた。誰かに対してこんなことを思ったのは初めてのことだった。

 

 

「良いお話でしたね。これなら話題になるのも分かる気がしますね」

 

 

「そうだね。あたしとしては最後の終わり方には納得できないけど…」

 

 

「確かにあの最後は…色々と賛否両論を生みそうですね」

 

このストーリーの最後は主人公が死んでしまって終わるのだ。所謂、少し後味が悪いような終わり方。見る人によってこの終わり方は色々と感じ方が違うのだろう。

 

そして映画の感想を言い合いながら…僕と獅白さんはホストクラブへと向かった。

 

 

―――――――――――

獅白side

 

あたしと社員さんはホストクラブに入って二時間以上も過ぎている。

 

「獅白さん…」

 

明らかに目の前の…社員さんは酔いが回っちゃっている。ちょっとお酒を進め過ぎたかな…。あたしだけお酒を飲むだけだとつまらないからと言ってかなり進めちゃったんだよね。そしたら社員さんはどんどん飲み進んでいった。

 

 

「本当に獅白さんって可愛いですよね。映画を見ている時も思いましたけど…すっごく乙女って感じでしたし」

 

社員さんはあたしから目を離さずに言ってくる。さっきからあたしはおかしい。だって心臓の鼓動が早くなっているし、体温が高くなっている…。

 

それでも社員さんは酔っているのでとめどなく話をしてくる。

 

 

「綺麗ですし、可愛いですし、本当に獅白さんは完璧ですよね!」

 

 

「……そ、そうかな…」

 

 

「絶対にそうです!獅白さんは可愛いです!!」

 

 

「……そ、そんなことない…///」

 

 

「いえ、絶対に可愛いです!!」

 

こんな食い気味に言われると…こっちの方が恥ずかしがってくる。こんなに褒められることがなかったから余計に。

 

「……そ、それ以上はいわないで…」

 

 

「なんでですか?獅白さんは本当に可愛いです!!可愛いです!!」

 

 

「……や、やめて…」

 

 

「僕は心の底から獅白さんは可愛いと言いたいんです!!だから自身を持って言います!獅白さんは可愛いです!」

 

そしてそれからずっと言われて続けた。

 

 

翌日に事務所で平謝りされたのは言うまでもない。

 

 

ホロメンが社員を接待するというシチュエーションだったら誰がいいですか?

  • 天音かなた
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