社員さんが副業でホストをやっていたら   作:主義

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百鬼あやめ編

「あの…さすがにあんまり使わない方がいいと思いますよ」

 

 

「え~~余は人間様のためだったら何円でも」

 

 

ここはVIPルーム。まあ、簡単に言えばお金を使ってくれる人専用の部屋。そしてまさかタレントがそこまでになるまで通っているのがかなりの問題。そしてそのホストが…スタッフの一人だということ。こんなのゴシップに抜かれたら一瞬で終わり。本当にかなり危ない綱渡りをしているなぁと改めて感じる。

 

 

「百鬼さんって……こういうお店がお好きなんですか?」

 

 

「ううん。全然」

 

 

「なのによく通い詰めてきますよね」

 

一週間に一度は百鬼さんの接待をしている気がするもん。ここまで通い詰めて来る人はタレントさんの中にも少ない。少ないというだけでいない訳ではないんですけど。

 

 

「だって…人間様のためだもん」

 

 

「い、いや、別に通いつめなくてもいいんですよ」

 

 

「ううん。人間様のことを一位にするため…」

 

 

「別にそんなことしなくていいですよ!!」

 

ホストには売上の順位というのが出る。そして売上の順位に応じてボーナスが出たりする。だけど、僕に関しては副業なのでそこまで儲からなくてもいい。ある程度のお金さえ入ってくれれば別に問題はない。

 

 

「それもあるけど…余も人間様と一緒に居られてとっても楽しいから」

 

あまりに百鬼さんが嬉しそうに話すものだから…何も言えなくなっちゃった。

 

 

「そ、そうですか…」

 

お客を満足させることが出来たのであれば…それは良いことだ。

 

 

 

それから百鬼さんは『シャンパン』を頼んで…どんどん飲んでいく。百鬼さんは別に『ドンペリ』を頼んだり、シャンパワーをやったりするんじゃなくてそれなりに高いお酒を多く注文する。

 

 

お酒が入るとテンションも上がってきて、百鬼さんも僕の腕に抱き着いてきた。

 

「だきしめてぇ~~」

 

 

「はいはい」

 

ホストはお客の願いをなるべく叶えてあげるのが大切。それがタレントだったとしても。

 

 

「もっとつよく~」

 

 

「え、でも苦しくなっちゃわないですか?」

 

 

「つよくぅ~」

 

百鬼さんの望み通り、強く抱きしめる。やっぱり百鬼さんも…細い。本気で抱きしめたら壊れてしまいそうな感じがしちゃう。

 

 

「しゃいんさんっていいにおい」

 

 

「あんまり嗅がないでくださいよ。ちょっと汗くさいと思いますし」

 

今日は残業になっちゃって…開店ギリギリに店に到着した。本当は掃除とかを開店の前にしなくちゃいけないんだけど…色々と免除してもらっている。

 

 

「ううん。とっ~~てもいいにおい」

 

 

「そ、そうですか…」

 

それからも百鬼さんは度々の僕の匂いを嗅いでくるようになった。そして時間が経っていくうちに百鬼さんにもお酒が回ってきて…少しずつ呂律が回らなくなってくる。

 

 

「おもちかえり~~」

 

 

「それはさすがに無理ですよ」

 

 

「おもちかえりするもん!」

 

まずホストで同伴は聞いたことありますが、お持ち帰りは仕事の中に入っていない。まあ、百鬼さんも酔っていますしね。

 

 

「おもちかり~~えへへ…おもちかえりぃ~」

 

もう百鬼さんの中ではお持ち帰り出来ることになっちゃってる。そしてそんな感じになってくると…そろそろ百鬼さんは酔いつぶれる。これがいつものパターン。

 

でも、今日に関してはそれほど差酒を飲んでいないからか、全然酔いつぶれる感じがしない。

 

 

「しゃいんさん~」

 

 

「なんですか?」

 

 

「だいすきぃ!」

 

百鬼さんは笑顔で言うものだから、こっちも少しドキってしてしまった。

 

 

「そ、そうですか…ありがとうございます」

 

 

「だいしゅき!」

 

ホストとして働いてきて、それなりに慣れたと個人的には思っていた。一人の女性にあまり感情を揺さぶられるなんてこともなくなってきた。

 

でも、今の僕は百鬼さんに心を揺さぶられている。

 

 

「もう少し…修業が必要かな」

 

 

ホロメンが社員を接待するというシチュエーションだったら誰がいいですか?

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