元モルモット君ダイワスカーレットと、モルモット君が大好きすぎるアグネスタキオントレーナー 作:雅媛
結構な金額になりそうなそれを実家に怒られるかも、程度で流すタキオン本当にお嬢様。
1 訪問準備
ウマ娘には『家』という概念がある。
有名なのはメジロ家であるが、もちろん他にもいろいろある。
例えばタキオンはアグネスの家に所属しているのだが、一言に『家』と言っても内情はさまざまである。
メジロ家なんかはどこか血がつながっている集団らしいが、必ずしも全員が全員血縁として近いわけではなく、また、よそから血を入れるために養子縁組なども行われているという。
シンボリ家なんかもシンボリクリスエスはアメリカ出身で、何か深い関係はあるときいているが、シンボリルドルフらとは血縁はないのだとか。
よそ様の話はこれくらいにしておいて、タキオンのアグネス家である。
アグネスの名を冠するウマ娘が多く所属するここは、基本的には緩やかな集まりと聞いている。
例えばタキオンの一つ上にいたアグネスというと、アグネスフライトとアグネスデジタルだが、フライトはタキオンの姉な一方、デジタルは全く血縁がないらしい。
デジタルはアメリカ生まれの日本育ちウマ娘であり、親の都合で日本に滞在する必要があったため、アグネスが預かっていたというだけという話を聞いている。
そういう感じで、アグネス家は、血縁もないウマ娘も多く所属する緩い集団であるらしい。
だが、そんな中でも集団である以上中心となる一族がいる。
それがアグネスレディー、アグネスフローラと続く華麗なる一族だ。
ウマ娘というのは、自分が強いからと言って子供が強いとは限らない。というか走る方が珍しいとすら言われている。
そんな中、三代にわたってクラシックレース勝利のウマ娘を輩出したということで一目置かれているのがアグネスの華麗なる一族だ。
そして、タキオンはその血脈に連なるウマ娘なのだ。
つまり、タキオンは超お嬢様で、家的にも超大事なウマ娘だということである。
「いや、だって家はフライトお姉様が継いでくれるだろうし、私は好きにやらせてもらうよ」
「そうだとしてもちゃんと挨拶にはいかないと」
私としては状況が落ち着いたら正式に結婚するつもりだし、タキオンもおそらくそう考えているだろう。
私たちの同棲は相性を見る期間ではなく、単に状況が落ち着くまでの様子見期間でしかない。
とすると、今の状態でちゃんと結婚を前提としたお付き合いをしていることの報告はした方がいいだろう。
「トレーナー君のお母様にはちゃんとご挨拶したしいいだろう?」
「いや、なんでうちの母に挨拶したらそっちはいかなくていいってなるのさ」
タキオンは駄々をこね続ける。
タキオンの母親、フローラさんと、タキオンの仲は決してよくないのは聞いている。
タキオンは親が放任主義だったとよく言っている。
アグネスの家を取りまとめるフローラさん達がタキオンに割ける時間は多くなかったのだろう。そして、構ってほしがりなタキオンはそれが不満だったのだと思う。
学園に来るまではそんなものだと思っていたようだが、契約してからは私が甘やかしすぎたようで、それと対比して母親に対して不満があるようだった。
もっともネグレクト傾向が強かったというわけではないと思う。というかかなり甘いほうだと思うが……
「そもそもこのマンションだって、フローラさんからもらったんだから、ちゃんとお礼言いに行かないと」
「それはそうなんだけど……」
今住んでいるマンション、じつは借り家じゃなくて持ち家である。しかも、1戸だけではなく建物全体がタキオンの物である。
セキュリティもばっちりで、他の部屋は貸して賃料を取っているので、それだけで生活できるレベルである。
そしてこのマンション、タキオンの母親からの結婚祝い(結婚してないけど)としてもらったものらしい。
そこまでしてもらっているんだからさすがに私としても、一度はお礼とあいさつに行かないわけにはいかない。
「でもお母様は、なかなか日本に帰ってこないし。いつ行けばいいかわからないから……」
「フローラさんから、今日帰ってくるから明日以降なら大丈夫って言われてる」
「トレーナー君!? ナンデうちの親の状況を知っているんだよ」
いやだって、フローラさんとは現役時代から連絡かなり取ってたし。
大事な娘さん預かってるんだから、それなりの頻度で報告はしていたし、レースなんかは観戦に来れない場合はビデオを送っていたし、来れる場合は関係者席をちゃんと確保していた。
タキオンが親に連絡とりたがらないから、そういうことは全部私がしていたのだ。
正直、スマホでの連絡量ならタキオンの10倍以上だと思う。タキオンとの連絡なんて何か緊急事態がないとしないし……
今だって、向こうから督促はされないが、3日に1回程度の頻度で、タキオンの現状について連絡はしている。正直癖になっていてなかなかやめられないのだ。
「明日なら土曜だし学園も休みだから特に用事もないだろう? だから一緒に帰るよ」
「トレーナーくぅん……」
「ほら、タキオン」
普段ならタキオンが嫌がることはしないのだが、さすがに最低限の親族付き合いについてまでしなくていいとは言えない。
万が一何かあれば、その時こそ対応すればいいし……
「うう、わかったよ」
「よしよし」
しょんぼりしながらしぶしぶ認めるタキオン。
頭をなでながら、明日訪問する旨をフローラさんに連絡する。
フローラさんからは5秒で歓迎の連絡が返ってきた。早すぎてちょっと怖い。
「さて、準備も考えないとね。服装は、いつものスーツでいいかな」
「ペアルックがいいと思うよトレーナー君」
「ペアルックって、タキオンとそんな服持ってたっけ?」
「これだよ、トレーナー君」
タキオンが取り出したのは忘れもしない、あのメイド服という名の布切れであった。
「タキオン?」
「ほら、お母さまが送ってくれたものだし、同じのが二枚あるからちょうどいいじゃないか」
「タキオン?」
「トレーナー君がこれを着ると普段よりかわいさ3割増しなんだよ。いや、普段でも世界一かわいいけど」
「たーきーおーん?」
「にぎゃああああああ!!」
悪ふざけが止まらないタキオンに、思わずアイアンクローをする。
さすがにこれを外で着るのは許容できるレベルを超えている。なんせ股下0cmのノーパン衣装だ。普通に警察に捕まる格好である。
しかし、そんなに実家に帰るのがタキオンにとってはストレスか。
タキオンは普段から結構悪ふざけをするが、許容ラインを見極めてしてくる。
この衣装だって自宅内だけなら、恥ずかしくはあるがタキオンに頼まれれば着るのも吝かではない。だが外で着たら全くダメな格好である。
そういうことすらよくわからなくなっているタキオンは、多分本当に帰るのが嫌なのだろう。
学園在学の間もタキオンはほとんど実家に帰らなかったし、大学に入っても帰った話は聞いていない。
フローラさんと会ったことは何度もあるが、タキオンとフローラさんが一緒にいる場面で会ったことは、よく考えたらなかった。
ぐずぐずして床に座るタキオンの頭をなでる。
しばらくご機嫌取りが必要そうである。
「ほら、タキオン」
「ふわふわオムライスが食べたい」
「わかったよ。ほかには?」
「メイド服で『おいしくな~れ♡』してほしい」
「うっ、わ、わかった」
カフェのあれをやれと申すか。かなりメンタルが削られるのだが、仕方ない。
「あと、一緒にお風呂に入って、一緒にベッドで寝る」
「それはいつもじゃない」
苦笑していると、私に抱き着いてきて、ぐりぐりと胸に顔をうずめるタキオン。
明日の御挨拶は、なかなか前途多難である。
さて、次はスカーレット君に何を着せようか
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バニーガール
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振袖
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巫女
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ゴスロリ
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サンタ
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メジロマックイーンの勝負服
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サリー
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布