リンジー通り沿いの、ごく普通の住宅の玄関前に手紙があった。そこには、謎を解くヒントが歴史資料館にあること、歴史資料館の鍵が公園にあることが書かれていた。
風太郎、四葉、五月は、ローズウォーター公園に向けて歩いていた。その途中……。
「あれは……一花、三玖! よかった、無事だったんだな」
「フータロー君! それに、四葉と五月ちゃんも!」
一花と三玖と合流した。風太郎は一花と三玖に、この町の謎を解こうとしていること、ローズウォーター公園に向かっていることを話した。
「確かに、一理あるかも。はっきり言って、抜け道はいくら探しても見つからなさそうだし、私たちも協力するよ」
「私も一花と同意見。それに、どうしてこんなことになったのか気になる」
一花と三玖は、風太郎たちの考えに納得し、行動を共にすることにした。公園に向かう途中、五月が一花と三玖に尋ねる。
「二人は、三角頭の怪物を見ましたか?」
「大きな刃物を持っていたのは見えたよ。三玖と歩いてる途中で例の音が聞こえて、逃げている最中に後ろを振り向いたらうっすらと見えたの」
「あれからも、何回か音が聞こえてきて、その度に逃げ回ってた」
どうやら、一花と三玖は三角頭の姿をはっきりとは見ていないが、床を擦る音は何回か耳にしていたらしい。
五人はローズウォーター公園に辿り着いた。手紙によると、祈る聖女の像の足元に鍵を埋めてあるらしい。像の足元を見ると、一箇所だけ土が盛り上がった部分があった。
風太郎は、それを手で掘っていく。すると、木製の箱が姿を現した。箱を開けると中に鍵が入っていた。歴史資料館の鍵だ。
一同は、今度は歴史資料館へと向かう。歴史資料館まで歩く最中、クネクネやマネキンがときどき現れては五人の前に立ちはだかる。だが、これまでに幾度となく化物の相手をしてきた彼らの敵ではなかった。手際よく、分担して次々と化物を蹴散らしていく。
歴史資料館の入口の扉の前に辿り着き、鍵を開けて中に足を踏み入れる。ロビーを抜けて入った次の部屋は絵画の展示室になっていた。
昔のサイレントヒルの風景画が壁に並んでいる中で、一枚だけ場違いとしか思えない絵があった。作品のタイトルは、『霧の日、裁きの跡』。巨人のような大男が槍で人間を串刺しにした場面を描いたものだった。
「あいつだ……」
風太郎は、絵画の中の巨人に指を差してつぶやいた。
灰色の空を背景に巨人は黒い人影として描かれているが、その独特なシルエットは、三角頭の怪物のものに違いなかった。
これをどう解釈すればいいのやら……。他の絵にはある説明書きが、この絵にだけ添えられていなかった。
「あれがフータローの言ってた三角頭の怪物のこと?」
「ああ。そして、二乃を殺した悪魔だ」
「絵画越しでも悍ましい雰囲気を感じる。あんなものに追われているだなんて……」
「二乃……。さぞかし怖かったことでしょう……」
絵画を見つめながら、風太郎と一花、三玖、五月が話している。
「……」
四葉は、呆然として風太郎が指を差していた方をただただ見つめていた。
「もしかして……」
五月が作品のタイトルを見直した時、ある考えが浮かんだ。二乃は、三角頭の怪物にただ殺されたのではない。処刑されたのだ。
時は遡り、風太郎が中野姉妹の家庭教師を勤めてまもない頃──。風太郎が初めて、勉強会を開こうと中野姉妹のマンションに訪れた時の事だ。今でこそ、五人は真面目に勉強会に取り組んでいるが、当時は四葉以外の四人は風太郎に対して反抗的で、勉強会に参加しようとはしなかった。
特に、しつこく勉強をさせようとしてくる風太郎が気に入らなかった二乃は、差し入れの水に睡眠薬を混ぜ、それを飲ませて強制排除に及んだ。
「睡眠薬を飲ませた」というのが問題で、これは「傷害罪」に値する。風太郎本人はこのことを寛容していたが、仮に彼がこのことを訴えていたら間違いなく刑罰を受けることになっていただろう。
その後も、二乃は何度も勉強会の邪魔をしていた。これも「業務妨害」という立派な犯罪行為である。
霧の日、裁きの跡……。裁き……。
あの悪魔は、罪を裁こうとして二乃を殺したのか? 罪人を罰するためだったのか?
「あの、ひょっとして……」
「ん、どうした?」
五月は皆に、三角頭が、罪を負った二乃を裁くために殺したのではないのかという考えを話した。
「確かに……あの怪物が処刑人だとしたら納得できる。ただ、お前たちに聞きたいんだが──」
風太郎は少しの間の後、四人に問いかける。
「お前たちって、罪を犯したことってあるか?」
風太郎には、またしても疑問がよぎった。仮にあいつの目的が罪人を裁くことだとして、自分たちが狙われるようなことはした覚えがない。二乃はともかく……。
「強いて言えば、学校に遅刻した時に四葉の変装をして先生を騙したことかな……?」
三玖が苦し紛れにそう言った。四葉以外の四人が、見た目がそっくりなことを利用し、既に登校していた四葉に変装して生徒指導の教師の目を欺き、生徒指導室行きを免れた事を言ったのだ。
「いや、流石にそれはないと思う」
風太郎は即否定した。そんなことで命を狙われるだなんてあまりに馬鹿げている。
そんなくだらないことが悪魔に狙われるわけになるというのならば、風太郎は数多のわけを持つことになる。
五月と初めて会った頃、彼女に向かって「太るぞ」というノーデリカシー発言をして怒らせてしまったこと(これがきっかけの一つとなって、五月は当初、勉強会に参加したがらなかった)。成績の悪い中野姉妹を馬鹿にする発言をしたこと。学生同士の恋愛を「学業から最もかけ離れた愚かな行為」と揶揄したこと。などなど……。
だが、どれも命を狙われるわけというには不十分だ。くだらなすぎる。二乃みたく、満場一致で罪とみなされるような行為ならわかるが……。
新たな観点から考察するが、結局三角頭のことは分からず終いだ。
それだけじゃない。町の異変、他の化物のことも。そもそも、想像の主が一人なのか複数なのかもわからない。──それ以前に、まず町の異変や化物の存在が誰かの妄想によるものだという根拠も無い。あくまで風太郎の考察にすぎないのだ。
探索を続けていくうちに、三角頭の目的や正体についての新たな説が加わっていく。──が、どれも辻褄の合わないものばかりだ。
謎が解かれていくはずが、かえって増えていた。ヒントを得るたびに謎が迷宮と化していく感じがした。
考えあぐね、次の部屋に移った。今度は写真を飾る展示室のようだ。ブルックヘイヴン病院や、トルーカ刑務所のかつての姿であるトルーカ捕虜収容所が映されている。
奥へ向かって進んでいると、やけに最近のものらしき写真を見つけた。他の写真はセピア色に褪せた白黒写真だが、その写真だけがカラー写真だった。
「レイクビューホテル」だ。何故この写真だけこんなにも真新しいのだろうか? 気になって近寄ると、壁に何回か折られた紙が貼られているのが写真からはみ出て見えた。
その紙を剥がし取り、広げて読んだ。
『一応、忠告しておこう。真相の中には知ってはいけないものが存在する。知ったことで後悔することもあるのだ。
ただ、もし君が、それを覚悟した上で知ることを望むのならば、先へ進むといい。
レイクビューホテルの306号室のテレビの電源をつけろ。そこに答えを用意した』
レイクビューホテルに謎を解明する答えがある……。最後の行き先だ。
一同は、ついに真相を知ることができるのだと悦に入たが、同時に不安でもあった。
もしその真相が、自分たちの知りたくなかった内容だとしたら……。
だが、謎を解かなければこの町から脱出することもできないかもしれない。意を決して、五人はレイクビューホテルへと足を運んだ。
クリーチャーの解説
・三角頭(追加情報)
①巨大な鉈を武器として持つ。
②二乃を殺した。彼女を殺したのは、罪を裁くため?
③風太郎の殺害をあえて後回しにして、中野姉妹の死を見せつけることにより、恐怖心を植え付けようとしている?(少し疑わしくなっている)
④誰かの妄想が具現化したもの?
読者様に質問です。「五等分の花嫁(アニメまたは漫画)」、「サイレントヒル2(ゲームまたは小説)」についてです。当てはまる方を選択してください。
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サイレントヒル2を知っている。
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どちらも知っている。
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どちらも知らない。