修学旅行初日、この日は宿泊先への移動のみだ。日本からアメリカへ移動した後にのんびりと見学をしている暇がないのだ。実際に辺りを見学するのは二日目からとなる。実質明日が一日目のようなものだ。
アメリカに到着し飛行機から降りると、背の高い建物が、もはや隙間が無いと言わんばかりに幾つも並んでいる光景が映っていた。学生たちはその街並みに圧倒されていた。
日本とアメリカの誤差は約14時間で、日本が夜中の11時だとしても、アメリカではまだ同日の朝9時程だ。宿泊先のホテルへ着き、チェックインを済ますと、すぐに各自で入浴を終えて就寝に入れと指示された。どうやらアメリカ時間を基準に行動するようで、それに合わせるための長さの就寝時間を設けたようだ。
アメリカ時間で15時30分、5時間程の就寝を終えると、すぐにホテルのホールで集合し、22時30分までに戻るように説明を受けて、ついに自由見学の時間となった。
風太郎は、この日は先に武田と前田と共に2時間半程周辺を回り、残りの4時間半を中野姉妹と共にサイレントヒルの見学に費やすという計画を立てていた。幸い、ここからサイレントヒルまではそこまで離れておらず、行き帰りの移動時間を考慮しても4時間弱は探索できそうだ。
時は変わり、風太郎は武田と前田と別れ、約束の集合場所へと到着した。そこには、既に同じ顔をした五人が集まっていた。
「悪い、待たせちまったか?」
「あっ、上杉さん! 私たちもついさっき着いたばかりですよ」
「それじゃ、フータロー君も来たことだし、早速向かおうか」
六人はサイレントヒルに向けて足を進める。その途中、五月は風太郎に対してとある質問をした。
「上杉君は、何故あそこへ行きたいと思ったのですか?」
「宣伝文句に釣られちまってな、んで写真を見たらその町の景色に惹かれたってわけだ」
「珍しいですね、あなたがそんなことを思っただなんて……」
歩くこと7分程度、六人はサイレントヒル目前まで辿り着いた。
「なんか、急に天気が悪くなったわね」
「凄い霧だね、前がよく見えないや」
二乃と四葉が急な天候の変化に反応する。
サイレントヒル目前まで来ると、先ほどまで晴れていた空は曇り、霧がかかっていた。サイレントヒルへと通じる階段を下っていくごとに霧が深くなっていく。道中、宣伝にもあった湖「トルーカ湖」が広がっていたが、その雄大な景色は霧に覆われふさがっていた。
「ねえ、流石に今日は止めとかない?いくらなんでも視界が悪すぎるよ」
「それはそうだが、せっかくここまで来たんだ。もう少し先へ進んでみようぜ」
あまりに視界が悪く、引き返すことを提案した一花だったが、せっかくここまで来たからとさらに奥へと足を進める風太郎。中野姉妹もそれに続いていく。
さらに少し進むと、いつのまにか墓地へ入り込んでいた。
「あの、サイレントヒルってこんな不気味なスポットでしたっけ?」
「あの時サイトで見たのはあくまで町中の情報だ。あともう少しで町に着くはずだ。そこまで行けば、雰囲気も視界も晴れるだろう」
臆病な五月は、異様な空間に不気味さを感じていた。風太郎は表情が曇っていく中野姉妹たちに、あと少しで町中に着くと知らせ、気を高揚させようとする。
しばらく進み、踏みしめる地面の土の感触がアスファルトの固いものへと変わった。ようやくサイレントヒルの町中まで到着したのだ。だが、辺りは依然として濃霧で覆われている。
「まさか町中まで霧で覆われているなんてな……こりゃ探索どころじゃないな。仕方がない、今日は諦めよう。班ごとの団体行動にはなるが、まだ明日がある」
そう言って、来た道を引き返そうとする。その時だった。
「ねぇ! あれ……」
三玖が何かに気がついた。
「嘘……さっきはあんなもの無かったのに!」
「まさか、閉じ込められたのですか!?」
四葉は突然現れた何かに驚き、五月は自分たちが閉じ込められたことを察した。
振り返ると、いつの間にか巨大な壁が音も無く現れていて、道を塞いでいた。ここへ通じる道は一本道なので、ここ以外に出口は無い。
「どうなっているんだ!? ……やむを得ん、この町を探索するしか無いようだ」
風太郎と中野姉妹は、この町のどこかに地下道のような抜け道がないかと探すことにした。
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