Silent Hill〜五等分の罪〜   作:仙豆大名

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第5話 アパートへの訪問

 くねくねの化物から何とか逃げ切った一花と三玖は、町の情報を入手するために、ウッドサイド・アパートに暮らす住民たちに尋ねようとしていた。二人は玄関に向かって歩いていく。

 玄関の脇にゴミ箱が設置されていて、ゴミ箱のすぐそばに古新聞の束が落ちていた。それを見た時、二人は思い出した。長々と書き連ねられた英語の文字……。ここはアメリカだ。日本ではない。この異様な空間に対する緊張のせいですっかり忘れていた。

 自分たちの英語力で、アメリカ人と会話ができるのか不安になった。前に、英語を話す子供に病院の場所を聞かれた時は何とか答えられたのだが、今回も上手く話せるという保証は無い。しかし、アパートを目前にして今更諦めるわけにもいかないため、当たって砕けろという勢いで入っていった。

 悪天候で陽の光が射さないというのに、電灯が点けられておらず、中は暗かった。スマホのライト機能を使って照らすと、玄関ホールの奥に、一階の住居スペースに続く扉があり、その脇には階段があるのが見えた。一階の住居スペースに続く扉には鍵がかかっていた。ノックをしながら一声かけるが返事が無い。一階は諦めて二階へと上がった。

 二階の住居スペースには入ることができた。東西に横たわる廊下を西から東へと、近い部屋から順番に扉をノックしていくが、相変わらず返事が無い。だが、東端の205号室だけ扉が半開きになっていた。

「Excuse me(すみません)」

 一花は一声かけて部屋の中を覗いた。室内に一つの影を見つけた。その影の下へ近づくが、話しかけても無意味な相手だった。ブラウスとスカート、カーディガンを着たマネキンがポツンと立っているだけだった。住人の姿は見当たらなかった。もしかして、この町の異変をいち早く察して逃げ出したのだろうか?

 205号室が用済みになり、二人はその部屋から出て、東端の突き当たりから北へ延びた廊下を進んだ。その途中、何かに気づいた三玖が立ち止まる。

「どうしたの、三玖?」

「あそこ……」

 三玖が指を差した先に、首のないマネキンらしきものが見えた。何故あんな所に? 徐々に近づいていき、やがてその姿がはっきり見えた。

 妙なことに気づいた。マネキンの肩に脚が取り付けられていた。足首から先が欠けた脚である。二つの下半身が、上半身と下半身の境目同士でくっ付いたような姿をしていた。

 「マネキン」が不意に動き出し、身体を前後に揺らし始めた。二人は吃驚して目を見張る。こいつも化物だ。クネクネとは異なる姿だが眷属だ。やばい相手であることはわかってる。一花はアパートの中に入る前に、鉄パイプを手放してしまっていた。あんなものを持ったまま人様の住居へ入れば大騒ぎになること間違いなしだからだ。二人は踵を返して逃げ出した。

 東西に横たわる廊下の中央から北へ延びる廊下にも化物の姿があった。もはやお馴染みになってしまったクネクネだ。あちこちに化物がうろついている。こんな有様だ。住人たちが返事もせずに部屋に引きこもるのも、205号室の住人のようにアパートから脱出して部屋を手放すのも納得がいく。

 素手の状態でここを回るのは危険だし、そもそも住人と呑気に話をしていられるような状況ではないため、二人はこのアパート内を回るのを諦めて次の場所へ向かうことにした。

 

 

 クネクネを倒し、工事中の高架下トンネルをくぐり抜け、向こう側へと辿り着いた風太郎。しばらく探索をするが抜け道は見つからず、これ以上辺りを回ってもキリがないと諦め、中野姉妹と別れた地点まで戻って来ていた。

 抜け道は見つけられなかったが、武器は見つけられた。拳銃を偶然発見し、手に入れていた。しかも、銃弾の予備も十数本ある。一応、最初に会った化物を倒すのに使った木材も持っているが、あれから何度か化物にぶつけていたことで、へし折れそうになっていた。

 案の定、通りはクネクネだらけだ。だが、やつらの動きが鈍いのはわかっている。あと、毒ガスを吐き出し、それを吸い込むと痺れてしまうことも。風太郎も一花と同じようにガスを吸ってしまった経験がある。

 風太郎は貴重な銃弾を無駄に消費しないように、化物をかわしながら進むことを第一に考えた。そのため、できるだけ道が広く、かつ化物の数が少ないルートを行くように意識した。どうしても、化物との距離を十分に取れない時に限り拳銃や木材で応戦する。その方が武器も体力も無駄に消耗せずに済むので一石二鳥だ。

 

 そんな感じで、町中を渡っているとアパートに着いた。ウッドサイド・アパート……。一花と三玖が町の情報を聞こうと訪ねたアパートだ。風太郎は、彼女たちと入れ違いでこのアパートに到着したのだ。風太郎もまた、町の情報を得られるだろうと玄関へ向かう。

 玄関の脇にゴミ箱が設置されていて、すぐそばに古新聞の束が落ちていた。何気なくそちらへ視線を向けると、ある見出しが目についた。見出しには『スプーンを突き刺して自殺!』と英語で書かれていた。次に本文を読む。さすが勉強星人、そこに書かれた英語の文章の内容を、だいたい理解した。

 過去にこの町でとある兄妹が殺害される事件が起こり、その事件の容疑者が拘置所の独房内で、食事についてきたスプーンを自分の首に突き刺し自殺した。容疑者の同級生の話によると、子供を殺すような人間には見えず、学校では穏やかで親切であったが、逮捕される少し前の様子がどうもおかしかったらしい。というのも、「あいつは俺を殺そうとしている。裁こうとしている。赤い悪魔だ、怪物だ。許してくれ。やったのは俺だけど、俺じゃないんだ」と妙なことを口走っていたようだ。

 このような旨の記事だった。自殺の方法は痛々しいが、結局は一人の囚人が自殺しただけにすぎない。ありふれたケースだ。

 

 だけど……なぜかはわからない。妙に惹きつけられる感覚がしたのだ。

 

 そして、ある文字が脳裏に焼き付いて消えなかった。

 

 

 

 赤い悪魔




クリーチャー解説
・マネキン
 二つの下半身が、上半身と下半身の境目同士で繋がったような姿をしている。近づくと、上側の脚を振り回して攻撃する。

読者様に質問です。「五等分の花嫁(アニメまたは漫画)」、「サイレントヒル2(ゲームまたは小説)」についてです。当てはまる方を選択してください。

  • 五等分の花嫁を知っている。
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