・メダル争奪戦
・キャラドリ
・最堅のコンボ
―――以上の3つになります。それでは、どうぞ。
メダル争奪戦
『仮面ライダーオーズ』が放送された。
セイバーの後ということで、ストーリーや主人公たちの使うアイテム数、ベルトのシンプル性に違和感を持ったものも多かったが、それでも好意的に受け取る者が多かった。
そして、『オーズ』が認知され始めた頃に発売されたのが、仮面ライダーオーズの変身アイテムである「DXオーズドライバー」、そしてコアメダルこと「オーメダル」である。
当然、これらも歴代仮面ライダー製品の例に漏れず大ヒット。
発行枚数は3000万枚を超え、ひと昔前の1円玉と5円玉の発行枚数の合計すら超える程であったという。
だが、ここで、我々の知るオーメダル争奪戦とは大きく違う点が現れた。
この世界の『仮面ライダーオーズ』放送時には……もう、イソスタやトゥイッターなどの、SNSの情報網が完成しきっていたのだ。
それにより、在庫のある店を随時把握できるようになった人々による、コアメダルの争奪戦はより激化することになる。
子供とその家族は勿論、大きなお友達、転売ヤー、犯罪者などが中心となり、メダル争奪戦が勃発して、各地でトラブルが相次いだ。
これによって、玩具会社パンダイは、生産体制を増加してコアメダルの生産の増加を指示したが………それをもってしても、需要に届かず、生産が追い付かない始末。
それでも尚、パンダイが信用を落とさず、安定したコアメダルの生産を続けられたのは、ある団体が援助を申し出てきたからであった。
読者の諸君はもうお分かりだろう。
鴻上ファウンデーションである。
最初、彼らはコアメダルの製作に関しては、黙して関わらずの方針を取っていたのだが……パンダイの生産状況が悪化していくところに出てきて、資金と技術の提供を申し出たのだ。
腹に一物抱えていることは明らかだったが……お客様の為、手を取らざるを得ない程、コアメダルの生産が追い付いていなかったパンダイは渋々手を取ることとなる。
こうして、コアメダルの生産は落ち着きを取り戻し、コアメダルのリアル争奪戦も乗り切ることに成功したのだ。
ちなみに、この騒動の間に不正な利益を得ようとした転売ヤーと犯罪者は、鴻上ファウンデーションの法曹部によって、ひとり残らず警察の御用になったことは、世間ではほぼ誰も知らない。
「フフフ…」
そんな時期に、STARRYで携帯を耳に笑いをこらえる老人がひとり。
鴻上ファウンデーションの名誉会長・鴻上光生である。
どうやら、現役の幹部達から、ファウンデーションの売り上げ――特に『仮面ライダーオーズ』に関するもの――を聞き出していたようだ。
強面な表情に、獰猛な笑みを浮かべる。
「やはり、私の目に狂いはなかった……ッ!」
そして、オーブンから焼き上がったスポンジケーキを切り分ける。
出来上がっていた生クリームを塗り、カットしたフルーツを盛り付けていく。
余った生クリームを絞り袋につめ、しぼって形を作っていく。
「人の欲望とは
そしてッ! その最大にして最強の
ケーキの中心に出来上がった、
光生はその隣に、もうひとつ、“O”のマークをホイップで書いた。
「手に入るのは無限大―――よりもさらに大きい……」
出来上がる、“∞O”のマーク。
そこで光生は、ケーキから目を離して天井を仰ぐ。
そして、大きく息を吸い込むと。
「オオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォズッッッ!!!」
それは、80歳の老人のそれとは言い難い程に生命力にあふれ。
まるで、地の底から、偉大な何かが新たに生まれたかのような産声。
草原を統べる獅子が、地の果てまで響かせるような咆哮。
海の猛者たる生物が、海底よりやってきたかのような轟音。
空の王者である猛禽が、自身の威を知らしめるかのような、甲高き鳴き声。
あらゆる生き物の―――欲望を司る王が降臨したかのような、絶叫だった。
「うるせーぞ、じーちゃん!」
「おじいちゃん! いま、練習中なんだけど!?」
「し、しまった! つい熱が……すまん!」
「「もー!」」
まぁ当然、室内でソレをやったらうるさいのには違いなく。
直後、孫二人に怒られる祖父なのであった。
キャラドリ
「このメニューモブいですね~
キャラクタードリンクとかないんですか?」
「もぶ…? きゃ…?」
そう言ったのは、STARRYに新たに入ったバイトの一人・日向
後藤ひとりに、仕事を教えてもらっている最中、ドリンクのメニューを覚えている時のことであった。
恵恋奈の喋り方が独特過ぎて、ひとりには何を言っているのかがよく伝わらなかったようだが、その様子を傍らで見ていた鴻上光生が、代弁するかのように尋ねる。
「日向君。キャラクタードリンクとは何かね?」
「鴻上さん、キャラクタードリンクってゆうのは~、その人のことをイメージした飲み物のことなんです」
「ためしに一個作ってみますね」と言って、ドリンクサーバーを行ったり来たり、何かの仕込みを始めた恵恋奈。
数分後には、三つのコップに、変わったドリンクがなみなみと注がれていた。
基本的な色はピンクで、浮いた氷の他に、何か目玉のようなものが沈んでいる。
「ひとりちゃんをイメージしてみました~!
名付けて、『ひとりのあっあっ目が泳いじゃういちごオレ』!
いちごオレ+まぐろの目玉+ヒアルロン酸ジュレ仕立てです~」
そう言われてみれば、確かに後藤ひとりの特徴をとらえたドリンクであった。
ピンク色のドリンクに、コップ内を泳いでいるかのようなマグロの目玉……成程、常に「目が泳いで」いる後藤ひとりのイメージによく合うドリンクと言えよう。
さて、味は……とそれを飲んでみた星歌、虹夏、光生、そしてもう一人のバイトの大山
しかし…彼らの舌を、独創的…というか衝撃的な味が襲った。
端的に言うと……
「「マズい……」」
「ぷ、プロテインよりかは…」
「むぅ………日向君。この飲み物、味に課題があるようだが…?」
「キャラクタードリンクに美味しさを期待しちゃ駄目ですよ~♪」
最悪の味ではあったが、星歌はバンドとのコラボメニューは悪くないと恵恋奈にメニュー案を出すように命じる。
「あとは虹夏先輩たちと、鴻上さんのキャラクタードリンクを作ればいいだけですね!」
「いや別にじーちゃんのは作らなくて良いだろ」
「何を言ってるんですか~。こんなキャラの強すぎる人のキャラクタードリンク、作らない方が損ですって」
「素晴らしいッ! 何なら全員分作ろうではないか日向君! 予算は私から出そうか?」
「出さんで良い」
余計な人の分のキャラクタードリンクまで作ろうとしている恵恋奈に、いっそのこと全員分のドリンクを作ろうと言い、予算まで出そうとする光生。それを星歌がひっぱたいて止めた。
だが、残念なことに二人はそれで止まるタイプの人間ではなかった。
恵恋奈は元々結束バンドのキャラクタードリンクを作るよう言われたバイトであり、また独特な話し方をする限界オタク的な一面があるので、星歌にちょっと注意された程度で止まらない。
光生はといえば、誰かの指図や意図よりも自分の欲望を優先するようなおじいちゃんである。言うまでもないだろう。
「わぁ~…鴻上さん! その氷どうやって作ったんですか?」
「メダル型の製氷皿に水を入れて凍らせただけだ。これを使えば、見た目的にも楽しめるだろう!」
「凄いですね~! えれ氷を工夫するって発想はなかったな~」
「日向君こそ、私には思いつかないドリンクとシロップの組み合わせには脱帽だ。
あとは味が合うものをピックアップしていって、喜多君や虹夏に合うものを選んでいこう」
「手伝ってくれてありがとうございます~」
微笑ましい(?)光景を作りながらキャラクタードリンクを作っていって暫く。
STARRYのメニュー会議にて、新ドリンクメニューが発表された。
「おー、ドリンク自体がキラキラしてて良いじゃないか。
日向、この、中に星みたいなのが入ってるこれは誰のだ? 虹夏か?」
「いえ、それは店長さんのキャラドリンクです!」
「……は?」
「じゃあこっちの、めっちゃメダルガン積みでキンキラキンのクリームソーダは誰のっスか?」
「私のだ。良いだろう?」
「……ぼっちちゃん、キャラクタードリンクは私達だけのじゃなかったの?」
「あっえっと、多分そうだったと思うんですけど…」
「「「「……………」」」」
……ただし、結束バンドのメンバーだけでなく、星歌・大山・PA・鴻上のキャラクタードリンクまで二人の手によって設計されており、星歌の頭痛として印象に残ることとなる。
当たり前だが、結束バンドのキャラクタードリンク以外はボツを食らい、STARRYのメニュー表に載る事は叶わなくなってしまったのだが。
諦めきれなかった某氏が、幻のメニューとして復活を企んでいるとか、いないとか。
最堅のコンボ
「あなた、またお届け物ですよ」
「む、これは……あぁ、彼女か…」
鴻上光生の自宅に、宅急便で荷物が届けられた。
ラベルによると、中身は魚介類。
送り主は……光生にとっては、心当たりのある人物だったようだ。
「知っている方ですか?」
「あぁ。会長だった頃、私の秘書を務めていた者だ。
私の方針をよく理解した、欲望に忠実な秘書だったよ」
欲望に忠実な秘書という、明らかに怪しいワードを出しながら、光生は語る。
「良縁に恵まれた後も、産休や育休を取りながら、我がファウンデーションのために働いてくれた。私が会長を辞するまで、秘書はずっと彼女だったよ」
「その後秘書の座は降りたという話は聞いたが、どの部署で働いているかまでは分からんがね」と言いながら、包装をひとつずつ剥がしていく。
抱える程の大きさの発泡スチロール箱の中からは、引き締まった身が堅牢な殻から透けて見えるボタンエビやアマエビ、そして巨大なズワイガニが、氷の中に埋もれていた。また、発泡スチロールの蓋には、送り主からと思しき手紙が張り付いていた。
光生の妻が、手紙を開いて宛先を確認する。
「はいこれ。あなた宛てみたいですよ」
「どれ……」
かつての秘書から送られた手紙には、自身が北海道に旅行に行った事や、現地で土産として包んだものが届いているハズという旨の他、以下のようなくだりが見受けられた。
―――名誉会長になった鴻上会長の新たなプロジェクトを応援致しております他、現ファウンデーションの社員として、お力添え出来る事があれば、遠慮なくお声がけいただければ幸いです。
「フフフフ……素晴らしいッ!!」
ビジネスライクな仲であった筈の彼女からの、抜け目ない提案。
どうやら、鴻上ファウンデーションが『仮面ライダーオーズ』のプロジェクトを進めているのを社内で聞きつけたのだろう。
もっとも、目当ては仕事の報酬なのだろうが……今でも、ファウンデーションを支えるベテラン社員の力を借りれるとは、頼もしくもある光生である。
「私もまだまだ負けてはいられんな……」
「良いですけど、ご飯にしますわよ。
今日はエビと蟹、どちらにするんです?」
「無論、両方だッ!!」
「馬鹿ですか貴方は。
そんなに食べきれるワケないでしょう。
余りは、星歌たちの家に持っていくわよ」
常識的な妻と、エビの刺身を食べた夜を過ごした翌日。
孫達のマンションに、巨大なカニを意気揚々と持ってきた鴻上光生の姿があった。
「うわぁ……おじいちゃん、コレどうしたの!?」
「かつての秘書から貰ったんだ!」
「でっか…こんな蟹見たことねぇよ……」
この後、祖父母と蟹を楽しむ伊地知姉妹であった。
「虹夏」
「なに?」
「もしエビ・カニと来たとしたら、三つ目の動物はなんだと思う?」
「え? なんだろ……う~ん…さそり、かな?」
「成程……エビ・カニ・サソリか………」
「いや、何がですか」
ちなみに、この日にされた会話がのちの映画『仮面ライダーオーズ』に出てくる新フォーム「ビカソコンボ」や、新コンボテーマ「
鴻上光生…令和になってさらに激化したメダル争奪戦を奨励したり、キャラクタードリンクをデザート感覚で作る手伝いをしたり、孫に蟹を振る舞ったりと、はたから見れば黒幕として疑われても可笑しくない行動をする欲望全肯定おじいちゃん。STARRYに新たに入ってきた店員にも、(悪)影響を与えることになるのか?
大山猫々…元バスケ部の運動部系女子にしてひとりの後輩。身長140センチ台だったために活躍の場がなく、主役になれる場を求めて、結束バンドの後藤ひとりに憧れてギターを始めた。現段階ではまだ鴻上光生の魔の手は及んでいない。
日向恵恋奈…キャラクタードリンクを通して鴻上光生と交流した元アイドルの結束バンドのファン。鴻上が調子に乗って他の店員のキャラクタードリンクを作り始めた時は、「推し活で忙しい上に推しとドリンクで並ぶのは解釈違いだから」と自身のキャラクタードリンクは断固として作らなかった。そのバンドへの推し愛もとい欲望を鴻上に買われ、さりげなく意気投合してたりする。
伊地知星歌…結束バンドのコラボメニューを頼んだら、自分達までコラボされてて「どうしてこうなった」と頭を抱えた店長。その原因が祖父にあると悟った際は、プラカードに「私は出しゃばりました。」と書いた札を下げて正座させるお仕置きを敢行した。
伊地知虹夏…自身の知らぬ間に、祖父のコンボ案の手助けをしていた孫娘その2。とはいえそんなことを知るよしもない彼女は、この後遠慮なく蟹を味わって食べたという。
鴻上の元秘書…オリジナルでは鴻上40代の時に20代ピチピチだった女性秘書。鴻上光生が80歳間近になった現在では、秘書の座こそ辞したものの、50代後半のベテラン社員として、鴻上ファウンデーションで活躍している。ちなみに結婚もしていて、子供もいるそう。一体どこの里中君なんだ…
パンダイ…元ネタは夢・クリエイションのあの会社。セイバーのソードライバー&ライドブックに引き続き、オーズドライバーとコアメダル&セルメダルの生産を担当している。
ぼっち・ざ・ろっくで好きなキャラは?
-
後藤ひとり
-
伊地知虹夏
-
山田リョウ
-
喜多郁代
-
伊地知星歌
-
廣井きくり
-
清水イライザ
-
岩下志麻
-
後藤ふたり
-
大槻ヨヨコ
-
ジミヘン
-
鴻上光生