「炎……だって……!?」
自分がさっきまで放っていたアギダインを上回るほどの熱量。
それを体の内側から生み出し、爪にまとわせながら一歩一歩近づいてくる。
しかし、見るからに歪な変身だと紅葉/イバラキドウジですら一目で理解できた。
あまりの熱量が体中を駆け巡るせいで、自分の熱で自分の体を焼いているのである。
そして焼けた端から肉体が高速再生、再生速度が上回ってるので直ちに影響はないレベルに収まる。
地獄の苦しみのはずだ、なのに、それを感じさせる動作を一切しない。
「ッ……このっ!!」
自傷行為込みとはいえ炎を生み出す肉体、イバラキドウジは火炎耐性があると判断。
巨体任せの剛腕を振り下ろす。そこらの悪魔なら一撃で地面のシミに変わる打撃だ。
それを目にもとまらぬ速さで連打。『暴れまくり』と呼ばれるスキルである。
だが、ギルスは『丸めた新聞紙を手ではらいのける』ような軽さで、右手だけで受け流す。
「なっ……」
「ヴォアアアアアァァァァッ!!」
そこからカウンターのように振り上げられた左手のギルスクロウが、まるでバーナーで銅板、いや飴細工を焼き切るような軽さでイバラキドウジの手首から先を切り飛ばす。
痛みに呻く間もなくもう一度刃が翻り、横薙ぎの一閃がイバラキドウジの右膝から先を切り落とした。
(早いっ!?目で追うのがやっと……これだけ強力な鬼を宿したのに!?)
「ヴオオオオオオオォォォッ!!!!」
「っ!?」
右足を切り落とされ、体制を崩したイバラキドウジにとびかかるギルス。
ほとんど反射的に残っていた腕で殴り掛かるが、それをギルスクロウを出した腕で迎撃。
しかしイバラキドウジもMAGを集中させることで刃のように爪を伸ばし、ギルスクロウを受け止めた。
「『ええい、『爪刃』まで使うことになろうとは!現代の異形め、やりおる!!』」
(!? ボクの声じゃない、イバラキドウジの声?!)
「ヴヴヴヴヴ……!!ヴオオオオオアアァアアアァアァァアアッ!!!」
ディアラマを唱え、切り落とされた脚と腕を再生させるイバラキドウジ。
ダメージこそ受けたが内蔵MAGを考えれば瀕死には程遠い。
核となっている紅葉の限界がくればどちらにせよ終わりだが、それでも幾分余裕はある。
イバラキドウジとの融合が進んだことで、戦闘慣れしていない紅葉が引っ込んだのもプラス材料だ。
紅葉では目で追うのがやっとなギルスの動きも、イバラキドウジならば反応できる。
一方のエクシードギルスは若干動きが鈍りつつある。
全身から放出している高熱はエクシードギルス自身も傷つけ、ほぼ常時自動回復が発動しているせいで貯蔵MAGを垂れ流しているに等しい。
元々エクシードギルスは燃費の悪い形態だ、はっきりいって『仕様外形態』であるバーニングフォームは色々と無理がある。
……ついでに言うと、体内に収納されているギルスクロウ等が高熱を帯びているということは、
全身に巻き付いているギルスワームと合わせて遠赤外線効果も真っ青の直火焼きに等しい。
痛覚カットをオミットする代わりに再生能力を強化しているボディなので、
体中に焼けた鉄杭を何本もぶっ刺されながら火炎放射器で焼かれているような痛みを常時感じている。
(MAGの減る速度を考えて、この形態は持って3分!残り2分を切ってる!)
だが『その程度』の痛みでぎゃあぎゃあ騒ぐようなら彼はギルスに選ばれていない。
星霊神社式ハード苦行を次々と乗り越え、ショタオジをして『前世は覚者か何かかな?』と思ってしまうような精神力の持ち主。
魔法の才はない、武術の才も並の上、知力も少しばかり早熟だが賢者には程遠い。
しかし、人を引き付ける魅力とメンタルの強さ、この2点に関しては間違いなく超人である。
痛みを気合で押し潰し、烈火の咆哮と共に疾走する。
『爪刃』を両手に生やしたイバラキドウジがそれを迎え撃った。
ギルスクロウと爪刃が交差するたびに甲高い音と火花が散り、火花は一瞬で業火に飲まれ消えていく。
時折蹴りも交えてヒールクロウを使った攻撃で不意を突き、ギルスフィーラーでの拘束といった搦手も狙っていくが、しかし。
(この異形、予想以上に戦えるが……あふれ出る力を制御しきれていない!攻撃が荒いぞ!
炎に強いこの体すら焼く『業火』の秘密は気になるが……十分に勝てる!!)
「グウウゥゥ……!!」
バーニングフォームの第二の弊害。単純に出力が高すぎてぶっつけ本番で使うには持て余す強さなのだ。
マウスをちょっと動かしたら画面の端から端までカーソルがすっ飛んでいくような状態、と言えばいいだろうか。
抑えようと思えば力が出ない、解放しようと思うと空回りする。
余りにもピーキーでじゃじゃ馬な形態、それがバーニングフォームだ。
私の愛馬は狂暴です、なんて次元じゃない。
(だが少しずつ動きになれつつあるな……完全に馴染む前に仕留める!)
イバラキドウジの判断自体は間違っていない。
バーニングフォームがどれだけ維持できるかイバラキドウジにはわからない以上、
純粋なスペックでは自分を上回りかねない力が制御できるようになるのを恐れるのは当然だ。
今も爪剣が高熱で焼き切られかねないほど押し込まれているのだ、長引いてまた手首ごと切り落とされるリスクは無視できない。
『破壊力』に関してはイバラキドウジが全力で警戒するモノがあの業火にはあるのだ。
(MAGの密度は下手をすれば酒呑童子様の鬼火、あるいはそれ以上!いったいなんだあの炎は!?)
カグツチの火でも全身から噴き出しているのか?とイバラキドウジが疑ってしまうほど。
それほどまでにあの『業火』は異質だ。しかもイバラキドウジのような『魔』に対する特攻らしきモノまで感じる。
(あの火を見ているだけで何故か気分が悪くなる……一気に仕留めさせてもらう!!)
(だめだ、このままだとギルスのボディが先に限界が来る!速攻でカタをつける!!)
お互いに『短期決戦』という答えに至り、後退のスイッチを同時にブチ壊して前に出る。
とはいえ体格からくるリーチの差は圧倒的だ。ギルスが身長2mなのに対し、イバラキドウジは4~5m。
単純に腕の長さも倍近くある以上、ギルスはイバラキドウジの急所を狙う事はできない。
なにより、この世界は『体格』や『種族』によるステータス差が存在する。
(byカオス転生外伝)
たとえば手のひらサイズのピクシーと一般的な成人男性の覚醒者がいたとして、どちらも『力』のステータスが5だったとしよう。
その場合、体格差によって成人男性の方が『力』は強くなる。
ダイダラボッチのような『巨人』とか『剛力』の逸話がある悪魔は当然それに比例して『力』に補正がかかる。
つまり、仮に人間で『力』255まで育てた者がいるとして、自分より巨大な悪魔の『力』255には純粋な腕力で押し負けるのだ。
そしてイバラキドウジは人間ではありえない巨体として自分を構成した。物理型にとってこれほど厄介な相手はいない。
そのイバラキドウジを一本背負いでブン投げるギルスがいた。
「『ぐおっ!?』」
(人間に近い体格なら『人間を想定した』武術が通じるんだよぉっ!!)
山梨支部にて、精神と時の部屋じみた時間異常空間でスイキ・フウキ・キンキ等に徹底的に仕込まれた武術。
まだまだ『積み上げる』余地こそあるが、スペック重視で戦う一般的な悪魔では対応できる範疇を超えている。
もちろん、普通なら身体能力の差で『格闘技素人の熊』VS『空手5段のアリ』みたいな勝負になる以上、そもそも一般的な悪魔に武術を学ぶ理由はない。
だが、このレベルに至った超人の身に着けた技術は、間違いなく悪魔に通じる武器となっていた。
「ヴォオオオオオオアアアアアアァァァァァァァアア!!!」
(残り1分! 持つか!? 持ってくれよぉ!! 全開だァッ!!!)
「『調子に乗るなよ人間ゥッ!!』」
(まずい!依り代になってる人間(紅葉)のMAG出力が足りん!)
ここにきて、核になっている『部品(パーツ)』の性能差が出てきた。
ギルスはガイア連合のハイエンド級式神、その基本性能は黒札転生者にも匹敵する。
しかしイバラキドウジは疑似的なシャドウ、どうやっても核となる紅葉の才能限界が足を引っ張る。
無論戦闘力で言えば互角だが、『ここぞという時に無茶ができるか』という1点で差がついたのだ。
いくら紅葉からMAGを吸い上げようと、LV7である彼から供給されるMAGには限界がある。
周囲がイバラキドウジに最適な環境である事、酒呑童子の祠から漏れ出したMAGを吸収した事。
さらに『胴体に埋まっている紅葉の手足までMAGに変換する』ことでギリギリ肉体を維持していたのだ。
その明確な『差』は、素早く起き上がったイバラキドウジの突き出した爪刃が、腕ごとスライスされるという結果で現れた。
咄嗟に後ろに引いてアギダインで牽制しようとしたイバラキドウジの足に、高速で伸びてきたギルススティンガーが巻き付く。
「ヴォオオオオオオアアアアアアァァァァァァァ!!!」
(ギルスクロウは今ので限界!!ギルススティンガーもだいぶマズい!!)
「『こ、のぉっ……!!』」
ギルスクロウは武装型式神、こちらにも自動再生機能はついているが、ギルス本体とMAGを共有しているという性質が仇になった。
全身どころか体の内外が燃え上がるバーニングフォームは恐ろしい勢いでMAGを消耗する、武装型式神に割く維持コストを払いきれなくなるほどに。
ギルスクロウを収納、残った力全てを火力に回し、それを腕に集中する。
「……十分、だろうが、もう!」
「なに……?!」
「今まで何十人、何百人も、生贄を食らって来ただろうが!
あの一族の自業自得とはいえ……腹いっぱい、食ってきたんだろう!?」
イバラキドウジが左腕を振り上げる。
ほとんど同時に、エクシードギルスも右腕を構えた。
「もういい……」
互いの拳が同時に突き出され、激突。
業火を纏った『バーニングライダーパンチ』が、爪刃を砕きイバラキドウジの打撃と相殺。
周囲の木々を焼き払い吹き飛ばすほどの高温と衝撃が生まれ、互いの姿を陽炎の中に覆い隠す。
「もういいだろぉっ!!!!」
『バーニングライダーパンチ』とは、バーニングフォームの必殺技である!!
自身の生み出した業火を拳に纏い、全力のライダーパンチを放つ!!
相手に撃ちこまれた業火は、敵を一撃で爆砕!粉々に吹き飛ばすのだ!!
(この、この炎はまさか!?あのクソッタレのメシアン共が使っていたソレに似ている!?
いや、もっと純粋で、さらに古い……!?)
イバラキドウジの拳の中に業火が撃ち込まれ、腕に真っ赤なヒビを入れながら駆け上がっていく。
肩を通りこし胴体に到達、イバラキドウジの全身がヒビだらけになり……。
「ぐ、ぐあああああああぁあああぁああ!?貴様、まさ、か、シナイの ────── 」
内側から炎を吹き出しながら、体がはじけ飛んだ。
四肢をMAGに変換され食われていた紅葉も、その衝撃で放り出される。
(※
ちなみにもう少しバーニングライダーパンチの出力が強かったら巻き込まれていた)
四肢を無くしたその体を、ついにギルス形態すら維持できなくなったハルカが受け止める。
肉体再生が追い付いていないようで、全身のあちこちに重度の火傷を負っている。
黒く炭化した部分すら見えるその肉体で、それでもしっかりと紅葉を抱き留めた。
「ああ、やっぱり……君、だったんだ」
「……気づいてたのか?」
「うん……そんな気が、してたんだ」
「……そう、か。嫌いに、なったか?」
「ううん。 寧ろ……惚れ込んだ、かも」
「……そりゃあ光栄だ。
師匠が言ってたからね。『男は同じ男が惚れ込むようないい男になって一人前』って」
ハハハ、と互いに笑みを漏らす。
全身全霊で殴り合った、お互いに生まれて初めての『友達』とのケンカだ。
だから、さっぱりするまで殴り合ったから、それでいいのだ。
「とはいえ、お互いMAGもすっからかん……死ぬ前に下山して、治療しないと」
「……できるの?ボク、もう手足無いけど……」
「なに、僕だって似たようなモンだったし、師匠ならきっとなんとか……」
その時、暗がりから「ぐ、う」といううめき声が聞こえ、即座にハルカは臨戦態勢を取る。
腕に抱えた紅葉をぎゅっと抱きしめながら、声の主……瀕死のイバラキドウジをにらみつけた。
「ぐ……まさか、『聖霊』のごとき加護を得た者が、このような異形とはな……」
「……?(『精霊』?フレイミーズとかサラマンダーのことか?)」
盛大なアンジャッシュをしながらも、会話は続く。
「だが、私も大江山の副首領……野望だけは、果たす!」
「っなにする気だ?!もう負けただろ、お前は!!」
「ああそうだ、私は負けた!だが……大江山の喧嘩はここからだ!」
ゴウッ、と最後の力で鬼火を起こし、身構えたハルカを無視して『首塚大明神の祠』に叩き込む。
「酒呑童子殿、『メシアンの封印』は破壊いたしましたッ!!
どうか私を……『最後の生贄』として、お使いくだされ!!」
『────────── お前はいつも真面目だな、茨木』
重低音の、威圧感に満ちた声が聞こえる。
それを聞いたイバラキドウジがどこか満足したような笑みを浮かべ、MAGへと溶けて消えた。
妖術に長けたイバラキドウジの手により、その血肉を『最後の人柱』として儀式が完遂する。
いつものようにごくごく小さな『封印の綻び』が発生、本来ならここから漏れ出た酒呑童子のMAGを『加護』として吸収するのだが……。
メキィ、と軋むような音を立て、空間にヒビが入り広がっていく。
地面の少し上にできたひび割れは、そのまま木々を追い越し上空へと伸びていく。
つられて二人の視線も上に上がり、段々とヒビが大きくなるほど大江山の周囲の人間も異変に気付く。
麓で戦っていたG3ユニット、ハルカたちの方に向かっていた鬼灯とレムナント。
流石兄弟がかき集めてきた戦力も、高まっていく鬼種のMAGに何事かと視線を上げていく。
『何百年ぶりだァ……本気の喧嘩なんざ。メシアン共は俺が寝てる間に封印しやがったからなァ……』
はっきりいって、この『鬼の王』はGHQにまぎれてきたメシアンが封印できるような悪魔ではない。
元々頼光四天王や地蔵たちが施した封印があり、その地蔵たちをメシアンが粛清。
封印が緩んできたので上からメシア教式の封印を重ねただけなのだ。
蔵土師一族が使っていたのは、この2つの封印の隙間……例えるならウィルス対策ソフトを同時起動したせいで起きたエラーだ。
無論、どこぞの這い寄る混沌がそのエラーに目をつけて、悪用できる儀式を横流ししたのだが。
結果として、血なまぐさい儀式によって酒呑童子の『怪物としての側面と力』は最高潮に達し……。
『──────── 京の都吹っ飛ばしても暴れたりねぇぞぉ!!!!!!』
真っ赤な肌、立派な角、筋骨隆々の肉体。
まさしく『鬼』というイメージそのままの大悪鬼、酒呑童子が復活した。
そしてなにより問題なのは、その『サイズ』と『強さ』だ。
「……なん、だよ……この、バケモノは……!?」
酒呑童子の足元で、茫然としたようにハルカが呟く。
酒呑童子は『巨体』というレベルではなかった。いつか阿部に連れられて見学したお台場ガンダムよりなおデカい。
50mか、あるいは60mか、なんにせよ人間が生身で相手していい大きさを超えている。
「しかも、レベルが……『計測不能』……?!」
アナライズ結果は 『妖鬼 シュテンドウジ LV ???』
ハルカの式神アイによるアナライズは、対象悪魔をガイア連合基準で『LV99』まで計測できる。
つまり、目の前の大悪鬼のLVは『100以上』ということになる。
威圧感に飲まれた紅葉は一瞬で失神しており、ハルカもビリビリと感じる気配に押しつぶされかけていた。
心が、ではない。あまりに濃密なMAGのせいで物理的な圧力がかかっているのである。
「……それで、お前がイバラキドウジを仕留めた人間か」
(あ、終わった)
「敵討ちってのはオレたちの流儀じゃないが……ま、寝起きの運動に付き合ってくれや」
少なくとも認識された時点で『死』が確定した、とハルカの本能は察した。
なんとかして紅葉だけでも退避させる方法を全力で探す。
あのサイズだ、一歩踏みしめられただけで自分など塵のように消し飛ぶ。
とにかく距離を取らないと終わる……と思った次の瞬間。
「 マ ハ ジ オ ダ イ ン ! ! 」
「ぬっ!?」
「うわっ、なにっ!?」
巨大な落雷が落ち、シュテンドウジの顔面にブチ当たる。
下に意識を向けていたシュテンドウジが、自分に『ダメージ』を通せる存在が現れたことにニヤリと笑みを浮かべながら視線を上げた。
「よくやった、ハルカ。お前にしては上出来だ……あとは任せろ」
「し、師匠!?」
「麓に戻れ、何をするにも治療を受けてからだ!
……俺の準備が整うまで儀式を遅延させたんだ、十分に過ぎる!」
絶体絶命のタイミングで『式神 妖魔 イッタンモメン LV50』に乗った阿部が空中に現れた。
ガイア連合のイッタンモメン型式神そっくりだが、こいつはちゃんと妖怪である『妖魔 イッタンモメン』と悪魔交渉して式神にしたモノ。
アガシオン等と同じく封魔管や悪魔召喚プログラムとは別枠で使える便利なヤツだ。
そして、阿部の空中戦用の脚でもある。
「古都の結界の応急処置、ほとんど半日かかっちまった。これで何をやっても大江山の外に被害は出ない」
「ほぉ!あの忌々しい結界を修繕できるほどの陰陽師か……面白い!」
「そりゃあどうも。どうせなら邪魔が入らないトコにいこうじゃねーか。山頂なら異界化で隔離できる」
「いいだろう。思い切り喧嘩するとオレの寝床まで無くなっちまうからな」
大江山の山頂にシュテンドウジが陣取り、異界化によって山頂周辺の空間が拡大される。
これで麓や中腹で戦っている面々まで流れ弾が飛ぶことはない、阿部はそこまで計算して『喧嘩の場所』を用意させたのだ。
まあ、もっとも……。
「これで『お互い』心置きなくやれるな?」
「おいおい、デカすぎるが気遣いのできるイイ男じゃねーの」
「フハハハ!毒を盛って首を跳ねる連中よりはマシだと思ってな!!」
「そうかい……んなら、こっちもそれに応えよう。 本気で行くぜ。
我は汝、汝は我……」
阿部の背後に、もう1つの人型が形成されていく。
阿部に匹敵する力のソレを、逃げる際中のハルカはその目で見た。
「来い、ペルソナ……『アベノセイメイ』ッ!!」
『ペルソナ 超人 アベノセイメイ LV???』
日本の陰陽師として最も有名と言っては過言ではない偉人、『安倍晴明』をかたどったペルソナが召喚された。
「『なるほど、酒呑童子……これは私を呼ぶわけだ。我が来世』」
しかも、どういうカラクリか。
まるでペルソナが人格の影ではなく『別の人格がある』かのように阿部に話しかけている。
「来世じゃなくて『来来世』じゃないか?お前さん俺の『前前世』なんだから」
「『ハハハ、なるほど。これは一本取られましたね。しかしまさか来来世でも京の都を守ることになろうとは』」
「来世は陰陽師なんてブラック企業はいやだー、って願いをこめた術で一般人に生まれ変わったのにな」
その術まさか来世どころか来来世まで続いており、転生者を呼び込む神々の力と相殺した結果『黒札転生者の下限ギリギリの才能』として呼ばれてしまったのは何の因果だろう。
さらに『ペルソナ』の方に前前世の人格が現れてしまったのは、因果を通り越して運命すら感じる。
前前世悪魔、前世俺たち、今生が転生者というタイプの黒札としては上澄みだというのに、前前世の選択が今も付きまとっていた。
「まあいいさ、ともあれ、今回も鉄火場だ。油断なくいこう」
「『うむ、いつも通り全力でだな』」
阿部の手に握られる二本の『封魔管』。
ライドウ等も使っている悪魔を使役する道具であり、悪魔召喚プログラムが産まれる前の日本ではこれが最も効率的な使役術ともいえる。
ただし、基本的に同時に召喚できるのは1体までという欠陥があり、ライドウなどが行っている2体同時召喚は高等技術なのだが、阿部は当然習得している。
……だからこそ、このような裏技が可能だった。
「俺が『青龍』と『朱雀』だ」「『では私が『玄武』と『白虎』を』」
合計『四本』の封魔管。阿部が2本、アベノセイメイが2本を制御することで実現した、4体同時使役だ。
悪魔召喚プログラムなら簡単にできる事かもしれないが、封魔管を用いた使役としては『異常』の一言である。
『式神 霊鳥 スザク LV58』
『式神 龍神 セイリュウ LV62』
『式神 龍神 ゲンブ LV55』
『式神 聖獣 ビャッコ LV57』
四方を守る霊獣『四神』が陣を組み、古都の結界によるバックアップでレベル以上に力を増す。
その中央に座するのは、この場における酒呑童子対策の最高戦力。
『超人 アベハルアキ LV99』
現代日本の鬼退治、その最終章が始まろうとしていた。
資料 この小説における戦闘力基準(半終末~終末)
各作品主人公の最終的な強さ
(フツオとかホーク(アレフ)とか
人修羅とかライドウとか etc.)
ショタオジや閣下や四文字等
LV200の壁
黒札運命愛され勢
阿部
LV100の壁
黒札ガチ勢
ハルカ
(形態によって上下。
エクシードでLV+10 バーニングフォーム(制御不足)でLV+15)
拠点防衛用巨大式神シキオウジ(LV60)
LV50の壁
その他(黒札含めて)いっぱい
ショタオジは『各作品のラスボスと互角ぐらいの戦闘力』として計算。
総合的には主人公より上だけど、主人公補正込みでワンチャン通されるぐらいの立ち位置。
LV100の壁は運命愛され勢等転生以外にも補正がかかってる面々。
阿部はその中の下限ぐらい。
今回出てきた奥の手等フル使用で運命愛され勢に届くかどうか、という強さ。
LV50の壁はシキオウジ相手にワンチャンでも勝ち目があるかどうかの壁。
ハルカは姿によって上下。人間状態のままだと普通にシキオウジに負ける。
エクシードやバーニングフォームで速攻をかけるのが吉。
なのでシキオウジ複数とか連戦とかだとすりつぶされる。
黒札ガチ勢相手でも千代ちゃんあたりはLV40以上の仲魔を10体ぐらい並べてくるので不利がつく。
(LV38の大悪魔()視点で測定不能が並んでるので最低でもこのぐらい)
逆に物理型黒札とかなら格上食いも可能。エナジードレインでバーニングフォームがめっちゃ長持ちする。