霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。   作:ボンコッツ

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「……俺が悩んで考えて、自分で出した答えなんだから。俺にとっては正解なんだ!」

 

『アギト……ダト?』

 

「……」

 

無言のままオセロメーをにらみつけている【アギト】と、黒曜石の刃をつけた槍をアギトに向けるオセロメー。

 

ぴりぴりとした空気が肌まで痺れさせる、それほどのプレッシャーをアギトは放っていた。

 

この上なく純粋な力、しかし同時にどこか【異物感】も感じてしまう。

 

赤い絵の具一色で塗られた景色に、一滴だけオレンジが混じったような異物感。

 

その【異物】が一歩ずつ、脱力したままにしか見えない歩みでオセロメーに近づいていく。

 

 

『ヌゥ……!?グ……ウオオオオオオォォ!!』

 

 

ざっ……と一歩だけオセロメーが下がった。

 

放たれるプレッシャーと、どこか【自分と違う】と本能的に察せられてしまう感覚。

 

そしてそれ以上に、野生動物に匹敵する野生のカンが『コイツは危険だ』と警報を鳴らしている。

 

それを振り切るように叫びを上げ、黒曜石の槍を構えたまま一気に突撃。

 

その感情が『恐怖』だと認めてたまるか、というかのような突きを放つ。

 

 

「……」

 

『ヌアッ!?グウッ!』

 

 

その突きをまるでそよ風のようにいなし、避け、裏拳をオセロメーの背中に叩き込む。

 

オセロメーが体勢を整える前に後ろ回し蹴りで追撃。先ほどのアオイ以上の勢いで吹っ飛んで、スクラップを巻き込みながらもんどりうって倒れこんだ。

 

 

『ウ、ウウッ……ウオァァ!!』

 

 

カッ!と口を大きく開き、アギト目掛けて口から【ガル】を放つ。

 

人一人程度はたやすく吹き飛ばし砕く突風の弾丸を、しかしアギトは払いのけるように【弾く】。

 

まるで子供が投げたゴムボールを大人がミットをつけた手で払いのけるような軽さであった。

 

弾かれたガルがアギトの背後にあったスクラップを砕き、埃と塵が舞い散る。

 

 

『ウ、ウ、ウオオオオッ!!』

 

「……はああぁぁ……!!」

 

 

もはや魔法すら通じないとヤケになったオセロメーが、もう一度立ち上がって槍を構えた。

 

全力の肉弾突撃でイチかバチかのチャンスをつかむつもりらしいが……アギトはそれ以上の『全力』で応える。

 

ジャキン、と頭部の角【クロスホーン】が展開。アギトの力を限界以上にまで引き出し、次の一撃のための準備に入る。

 

 

(アギトの足元が……光った!?その光が集まって……)

 

 

アギトの足元に大地のエネルギーが浮き上がった『アギトの紋章』が出現。その紋章を光として足に吸収、集中させる。

 

オセロメーの特攻に合わせ、両足を揃えたアギトが跳躍。

 

槍の軌道から上に逸れつつ、全力の飛び蹴りを叩き込んだ。

 

 

「ハアァーッ!!」

 

『ガハァッ?!』

 

 

【ライダーキック】……グランドフォームのアギトがフルパワーで放つ飛び蹴りである。

 

全力の一撃を叩き込まれたオセロメーの体が鞠のように吹き飛んでいき、地面を転がっていく。

 

僅かに呻いた直後にオセロメーが内側から吹き飛び、謎の爆発を起こした。

 

爆炎をバックにアギトが照らされ、何とか起き上がったアオイと向き合う。

 

 

「貴方は……一体……?」

 

「……」

 

「バッ……アオイ!」

 

パーティの一人が駆け寄ってきてアオイを抑える。恐らく刺激せず立ち去って貰おうという魂胆だったのだろう。

 

どうやら既に瓦礫の撤去は終わっているようで、それでも3人とも残っていたのはお人よしと言えばいいのか、なんと言えばいいのか。

 

なんにせよ、アギトはアオイにそれ以上近づくことも、かといって質問に答えることもなかった。

 

そのまま背を向けて、異界の奥へと消えていく。アオイたちにはそれを追う余力も残っていなかった。

 

ボロボロのアオイを3人が庇いつつ、異界の出口から這うように脱出したのである。

 

 

 

元工業地帯の異界が消滅したのは、その数分後であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うーん……)

 

翌日の昼休み、アオイは友達との昼食もそこそこに体育館裏で悩んでいた。

 

デモニカに関しては問題ない、メンテナンスフリーかつ『ディア』をかければ破損も治るというトンデモ装備であるG3タイプは、帰ってから簡易式神のディアだけで修理できた。

 

自分の体についても家にストックしてある傷薬1本飲むだけで全快。持ち運べる量に限りがあるだけで、傷薬や魔石は姉が大量に持ってくる。

 

しかも「あまりモンやから好きにつかってええよー」とかゆるーい一言を付け加えて、だ。

 

おかげで最悪の場合は魔石を使ったゾンビアタックも可能になってるが、それはともかく。

 

 

(今の所、私はアギトについて何も知らない。一番事情通である『彼』に聞くしかない!)

 

「よっ、ごめん待たせた?」

 

「! ううん、私も今来た所」

 

 

二日連続で体育館裏で男女が密会、これだけなら甘酸っぱい気配がしているが、内実は10割情報交換である。

 

今日の朝、ガイアチャットを使ってハルカに『話したいことがある』とメッセージを送り、体育館裏を待ち合わせ場所に指定して呼び出したのだ。

 

なお、流石に二日連続なので青春のアレコレとか感じるほどハルカもバカではなく、家でメッセージを受け取った時、

 

死んだ目で(はいはい分かってる分かってる)って感じの虚無顔をしていたせいでレムナントに心配されていたのを追記しておく。

 

 

「とはいえ、呼び出した理由はこっちも察しついてるんだけどね……『金色の角をもつ仮面の戦士』だろう?」

 

「鷹村君も知ってるの!?」

 

「知ってるっていうか、僕の師匠から調べるように言われてた仕事が『ソレ』でさ。

 

 霊能力者・オカルト系の掲示板でも噂になってて、この辺りに出没したって情報を手に入れて調査に来たんだよ。

 

 師匠曰く、ガイア連合の黒札や幹部クラスすら注目してる案件らしいからさ。本当は『ガチ勢』って呼ばれてる上澄みの黒札が調査する予定だったんだって」

 

 

黒札が派遣されなかったのは、ハルカには『半終末に突入して戦える黒札は大忙しだから』と説明されてる。

 

……が、現実は。

 

『リアル仮面ライダーktkr!』

『俺のイマジン型式神とコラボさせようぜ!』

『いいや私の作った555型デモニカと!』

『妖鬼系デビルシフターだから響鬼っぽくなれる俺と!』

『やだやだシノさんの作ったG3ユニットとがいい!』

 

 

現地人から生まれた仮面ライダーギルス&何故か出現したガチ仮面ライダーというコンボに、特撮クラスタ俺達が盛大に食いついたせいである。

 

このままでは収拾がつかないと判断され、黒札がかかわるのは最低限調査が終わってからというショタオジの一声でモロモロが確定。

 

その上で、『この件に対処できて黒札以外の人材』という条件に該当するハルカが初期調査担当として任されたのだ。

 

 

「……僕が昨日、廃工場の異界で遭遇したのも『ソレ』だろうね」

 

「!? あの場にいたの!?」

 

「目撃情報を追っていったらあの異界に出現する可能性が高いって推測ができたからね。

 

 君たちとは別の入り口から侵入して、まずは異界の主がいるって予想される方に向かったんだ。

 

 それで異界の主である『邪鬼オセロット』を協力して倒したんだけど……」

 

 

『邪鬼オセロット LV30』。アステカ神話における『人類を食い尽くした怪物』だ。

 

アステカ神話は(インド神話ほどじゃないけど)世界が滅んで産まれたという概念を持っている。

 

その中の1つで、テスカトリポカがケツァルコアトルに打倒された後に人々を食い尽くし、なんやかんやあって世界を滅ぼす一助になった怪物がオセロットである。

 

オセロメーが出現したのも、同じアステカ神話の『悪(テスカトリポカ)』側に分類される者であり、

 

テスカトリポカの化身であるオセロットとテスカトリポカの部下であるオセロメーがセットで出現するのはある意味当然だろう。

 

……まあ、それがテスカトリポカとケツァルコアトルによる仁義なきヤクキメサドンデスバトルの結果、

 

散逸して芸術品と共に海外から流れてきた呪物をダークサマナーが悪用した結果によるモノなあたり、盛大に世界は終わりに向かいつつある。

 

 

「そのまま話しかける前に現地解散という名の逃走劇になっちゃったんだよなぁ、向こうもこっちを警戒してるみたいだし」

 

「捕まえる……というわけにもいかないよね。敵対してるわけじゃないから」

 

「そうなる。 ……だから『次の手』を持ってきたよ」

 

 

ピロン、とアオイのCOMPに着信音。

 

見て見なよ、とハルカに促されてCOMPを起動すると、『指名依頼』の文字。

 

依頼元は『霊山同盟支部』、依頼内容は『未確認生命体確保作戦への協力』。

 

 

「これ、ハルカ君が出したの?!」

 

「そうなるね。霊山同盟支部にいる『巫女長』さんに連絡とって、君に依頼を出させてもらった。

 

 今必要なのは戦闘力じゃない、単純な『マンパワー』だ。僕とイチロウだけじゃ手が足りない。

 

 霊山同盟支部から人を呼ぶのも厳しい、聞いた感じここらの名家()と仲悪いみたいだし。

 

 こっちでも何人かに声をかけて呼び寄せてる。主にやるのは確認されてる『異界』の監視。

 

 僕らが追っている『未確認生命体』は、異界に出没して主を倒して回ってるみたいだからね」

 

 

つまり、アオイの役目は異界内部を調査し『未確認生命体』の痕跡の捜索。

 

あるいは未確認生命体そのものを確認したら、無理に接触せずハルカに連絡。

 

ハルカは連絡を受けたら現場に急行、今度は『追跡』のための準備を強化した上で未確認生命体と接触。可能なら交渉する。

 

そういった説明を実質的な依頼主であるハルカから受け、アオイはしばし思い悩む。

 

 

「僕は今夜から確保作戦に動き始めるつもり。急かすわけじゃないけど、依頼を受ける期限は『未確認生命体が捕まるまで』、かな」

 

(お姉ちゃんが返ってくるまで最低でもあと4日……。

 でも、ここで依頼を受ければハルカ君に1つ恩を売れる。聞いた感じかなリ人手不足だし。

 近隣の異界をまとめて監視できるぐらいの人は集められてないんだ)

 

 

プラチナカードといっても、認定されたのはつい数日前。

 

しかもこの辺りで主流なのは例の名家()の面々。ガイア連合との関係ができる前なので、プラチナカードの権力も意味が無い。

 

本命である霊山同盟支部からも前述の理由であまり人が呼べず、鋒山家と七海にまで声をかけているのが現状だ。

 

だからこそ、出会って日は浅いとはいえ『人格と実力』が最低限担保されており、なおかつ金札のアオイに声をかけてきたのだろう。

 

依頼一覧をザッピングすれば、霊山同盟支部名義で近隣異界調査のクエストも出ている。

 

フリーの霊能力者を異界調査名義で未確認生命体の調査員にするつもりなのだろう。

 

騙して悪いが、というほどではない。なんせ異界の情報自体は何の詐欺でもないのだから。

 

当然一般依頼のソレよりも指名依頼の報酬はよく、オマケに前払いで『金丹』の文字。

 

死亡したアガシオンの蘇生に必要なアイテム……姉ならば持っているだろうが、アオイに手に入れる方法は多くない。家にも置いていなかった。

 

 

(……異界の調査だけ、未確認生命体らしき痕跡を見つけたら追加報酬。

 未確認生命体の手がかり見つからなくても異界の調査が終わっていれば相場以上の報酬。

 信頼度に関してはガイア連合プラチナカード……受けない理由は、ない)

 

「わかった、受けるよ。でもホントにあんなとんでもないのと戦うとか無理だからね!?」

 

「ありがとう。 当然だ、万が一戦うことになったら僕が出るさ」

 

 

できれば穏便に済ませたいけどね、とボヤくハルカに対し、アオイが思ったことは1つだけ。

 

 

(あ、これ絶対穏便に終わらないヤツだ)

 

 

ハルカがそこはかとなく不憫・苦労人枠だと本能で察し始めたアオイちゃんであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、日がすっかり落ちた市内某所の廃屋。

 

なんでも大正時代に建てられた洋館だが、20年ほど前に持ち主が病死した後に相続関係で遺族がモメて長い間持ち主が決まらず。

 

持ち主の孫が相続した時には老朽化も進んでおり、取り壊そうとしたところ事故が多発したので売りに出されるも買い手が見つからず。

 

ガイア連合傘下の不動産屋に二束三文っで売り払った後に調査が入り、異界化が判明。

 

オカルトチーム『アイテム』の偵察により、内部異界のDLVはおよそ『12~20』と判明。

 

ただし『玄関から入ると裏門から、裏門から入ると玄関からしか出られない』という微妙に面倒な仕様が発覚している。

 

空間拡張もなく、マップさえ頭に叩き込んでおけば玄関から裏口まで直通数分で脱出できる。

 

 

※悪魔とのエンカウントは考慮に入れないものとする。

 

一階中央ロビーや入り口付近が最も浅く、地下や二階、あるいは洋館の端に向かうほど悪魔が強くなっていったことから推測されるのは……。

 

 

「異界の主がいるのは地下室の奥、あるいは館の一番端の部屋……分かりやすいね」

 

「だよなぁ。えっと、俺達は無理せず、一階をグルっと回って痕跡探し……でいいんだよな?」

 

「うん。ブリーフィング通り、それでいこう」

 

 

アオイの隣で自信なさげにしている少年……太宰イチロウと、今回の予定について軽く相談する。

 

なんでもハルカの友人兼協力者らしく、覚醒している上にDLV30を超えているのも彼に鍛えられたかららしい。

 

自分と姉のような関係かな?と考えながら、アガシオンと簡易式神を召喚した。

 

イチロウの方も『管』のような道具を取り出すと、中からぬるりと長い体を持った犬頭の悪魔が出てきた。

 

同時に取り出したイッタンモメンみたいな外見の簡易式神はアオイも持っているが、悪魔の方は初見である。

 

 

「『式神 魔獣 イヌガミ LV8』……?」

 

「あ、ああ。ハルカに貰ったんだ。この『封魔管』の使い方も習ってさ。俺、才能あったみたいで」

 

「へー……」

 

 

さらにイチロウの防具はただの衣服に見えてガイア連合製の高品質防具、単純な強度や耐性ではデモニカよりも上だ。

 

腰に下げている消防斧に偽装した武器はハルカのおさがりらしく、イチロウよりずっと格上の悪魔にも通じる対オカルト武装らしい。

 

オマケにトレードマークらしいつば付き帽子は『改造型ドルフィンキャップ』、イルカのマークがついてるのがちょっとキュートすぎるが、高い呪殺耐性を付与する防具。

 

(あれ、防具込みだと下手すれば私より強い?)と若干アオイちゃんがショックを受けたが、G3状態なのでバレなかった。

 

ともあれお互い仲魔を呼び出し、イヌガミとアガシオンを前衛、簡易式神×2をバックアタック対策の後衛に置く。

 

アオイとイチロウを中心の陣形で、玄関から異界に踏み込んだ。

 

 

出てくる悪魔は一階だけならDLV12~20……つまりLV3~6がほとんど。

 

二階や地下といった異界の深部にはもっと凶悪な悪魔が出てくるし、異界の主はDLV40を超えかねない大物だろうが、

エネミーサーチを細かくチェックして遭遇を避け、奥に踏み込まずちょっかいをかけなければ問題ない。

 

DLV20以上の悪魔は一階には出てこないので、DLV30超えの二人からすれば簡単な調査である。

 

……異界に踏み込んだ直後、異界のどこかから『戦闘音』が響いていなければ。

 

 

「ッ……あ、アタリ引いたのか、まさか!?」

 

「みたいだね……音の出どころを避けつつ、裏口を目指そう。外に出ないと連絡ができないから」

 

「お、おう、分かった!いくぞ、イヌガミ、シキガミ!」

 

 

今しがた入ってきた後ろの玄関は、異界のルールによって裏門から入らないと出入りができない。

 

二人が連絡するためには、一階を通り抜けて建物の裏門を目指す他ないのだ。

 

ちなみに庭の迂回も可能だが、毒エリアなどの異界化による危険地帯があるので非推奨、と資料に書かれていた。

 

ともあれ、脱出までの最短ルートは頭に叩き込んでから突入した二人は全速力で洋館を駆け抜ける。

 

玄関側の東棟と裏門のある西棟、間をつなぐ渡り廊下という構造がこの異界。

 

時折出てくる『ゾンビ』や『ゾンビドッグ』、『モウリョウ』や『ゴースト』を最短で始末しつつ、戦闘音の方向だけ常に気を配る。

 

途中まで聞こえていた戦闘音は、西棟の端、おそらく二階から。

 

幸い裏門からは遠そうなので、これを避けてとっとと脱出するつもりが……。

 

庭に面した渡り廊下を走っている最中、がしゃん、と窓ガラスが割れる音が響いた。

 

直後、どさりと庭に何かが落ちてくる音。それに続いて何かが着地する音。

 

 

『ギイイイィィ、ギイイィィ……!』

 

「くっそぉ、気持ち悪いビジュアルな上に数ばっかり多いな!これで5匹目……って、人!?

 

 ……しかも『G3』!?」

 

「うわこっち見た!んで『未確認生命体』が喋った!?てか喋れたの!?」

 

 

どうやら悪魔と戦っていた『未確認生命体』が悪魔の体を窓をブチ破って蹴り飛ばし、それを追ってきたことで一気に近づいてしまったらしい。

 

おちてきた悪魔は『悪霊 レギオン DLV56(LV17)』、それも3体。

 

とんでもない強敵だが、未確認生命体はこれを単独で追い詰めてるらしい。

 

互いの距離は数メートル程度、庭から丸見えな渡り廊下では姿を隠す事など不可能だった。

 

未確認生命体との不意打ちすぎる接触に硬直する二人。

 

だがしかし、アオイにとっては『別の驚愕』が襲ってきていた。

 

 

「……未確認生命体、え、アレが!?」

 

 

金色の角の戦士……確かにハルカはそう言った。

 

自分が見た金色の角の戦士『アギト』、確かに目の前の未確認生命体も金色の角を生やしている。

 

が、似ているのは首から上と全体的なシルエットぐらいで、それ以外は大幅に違っていた。

 

体を覆う装甲は金ではなく赤、装飾品の意向も教会にありそうな神秘的なソレというよりは遺跡にありそうな古代の遺物に近い。

 

 

(アナライズ結果は…………『英雄 クウガ』……DLV測定不能!?)

 

 

探していた対象が先日遭遇した相手とはまるで別者だったという事実に驚愕している間に、イチロウが前に出た。

 

 

「あ、アオイちゃん!俺が殿やるから、早く逃げるんだ!そして鷹村を呼んでくれ!」

 

「……はっ、え、いや!?『デモニカ』がある私が残ったほうが……」

 

「いや……デモニカ込みでも、多分俺の方が適任だと思う、きっと!」

 

 

は?と呟いてしまったアオイが問い返す前に、イチロウがバッ!と両手をキレのよい動きで動かす。

 

すると、イチロウの腰に『先日見たばかりのベルトのような装飾品』がにじみ出るように現れた。

 

名を『オルタリング』……プロメスが人間に授けた、光の力の行き着く先を現すモノ。

 

 

「ちょ、それ、そのベルト……!?」

 

「鷹村に怒られそうだけど、緊急事態だし、多分これが正解……正解だといいなぁ!いいやきっと正解だ!

 

 ……俺が悩んで考えて、自分で出した答えなんだから。俺にとっては正解なんだ!」

 

 

若干半泣きになりながらも、イチロウは勢いよく『ベルトの両側のスイッチ』を押し込みながら、

 

『その言葉』を力いっぱいに叫んだ。

 

 

 

「 変 身 ! ! ! 」

 

 

 

途端にイチロウの体がまばゆい光に包まれ、その体が膨張・変化する。

 

アオイが咄嗟に目を細め、その光の先に見たものは……。

 

 

「……アギト……?!」

 

「そんな、アギトだって!?」

 

 

G3(アオイ)と未確認生命体(クウガ)が、驚愕混じりの声でその変身を見届ける。

 

金色の角と装甲、赤い瞳、クウガとどこか似通ったフォルム。

 

 

超越肉体の金……『アギト グランドフォーム』が、レギオン目掛けて駆けだした。

 

 

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