霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。   作:ボンコッツ

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「やってることが悪の組織だよぅ!!??」

【パーティ会場での一件から一週間後 霊山同盟支部 ロビーにて】

 

 

「まったく我ら【S県とK県の名家】をこうも雑多に呼び寄せるとは」

「霊山同盟も力に驕ったか、あるいはガイア連合に染まったか!」

「ニノウエ家とヒノシタ家のとりなしがなければ来なかったものを……」

 

(名家としてのプライドが先行し、嫌悪感を抱いているのがこのあたり)

 

 

「まさかガイア連合殿の方から声をかけてもらえるとは、なんという幸運!」

「霊山同盟が先に支部となった時は、我らの方まで庇護が届くのは何年後になることやらと」

「できれば黒札、あるいはその縁者に子を嫁がせたいところだが、高望みか……」

 

(ガイア連合を知っていて今か今かと待っていたのがこのあたり)

 

 

「霊山同盟支部の支部長はあの【鬼殺し】と聞くが、真実であろうな?」

「霊山同盟とニノウエ家・ヒノシタ家を従えた今、私達に声をかける理由があるか……?」

「霊能力者としてはともかく、支部長が若いのが少し気になる。誰かの傀儡でなければよいが」

 

(情報に敏い分、良い意味で中庸なのがこのあたり、か……)

 

 

霊山同盟支部の一室、建てたばかりの市役所みたいな建物のロビーに集まっているのは、S県とK県の霊能一族や霊能組織の代表者だ。

 

ニャルラトホテプとの決戦の後、ニノウエ家とヒノシタ家は新たにニノウエ家の当主となったヒメを中心に纏まる事となった。

 

あの場には前当主であるヒメの父親もいたのだが、大暴れするニャルラトホテプとそれに対峙するギルスをみてすっかり心が折れたらしく、今では半隠居状態だ。

 

ニャルラトホテプを招き入れてしまったヒノシタ家の当主に至っては、SANチェックに盛大に失敗して不定の狂気を発症、現在は精神病院である。

 

結果として両家のトップがまとめていなくなった上、ヒノシタ家は偽ギルスを強引に招き入れた際のイザコザで元から内部がガッタガタ。

 

結果としてヒメがガイア連合のバックアップも受けながら大鉈を振るうことで無理やり収め、その勢いで両家のトップにのし上がってしまったのである。

 

 

(その結果としてこのカオス空間に放り込まれているんだがな!!)

 

 

そんな彼女の最初の仕事は、非常に広い表と裏のコネを使って可能な限り多くの霊能一族・霊能組織に声をかける事であった。

 

まだ詳細は聞いていないが、ガイア連合霊山同盟支部はS県・K県を跨いだなにかしらの計画があるらしく、それに着手するにはどうしても各地の霊能組織に話を通す必要があるらしい。

 

K県とは反対側のA県は別の支部があり、K県も東京寄りになればガイア連合の派出所や支部がゴロゴロある。

 

つまり、霊山同盟支部の担当は【S県全域】と【K県西部の県境沿い】となる。

 

今回集められたのは、その担当エリアの中でニノウエ家とヒノシタ家に縁があった名家の代表たちだ。

 

中には霊山同盟支部の【幹部】が横のつながりで集めてきた組織や一族の代表もおり、確かにこれだけの人数をまとめて傘下に置ければ、実質S県の掌握は終わる。

 

K県から呼んだ面々に関しては、ガイア連合の支部設立やジュネス建設を東京よりの地域にとられた面々が多いので、今回の件は渡りに船だろう。

 

情報通の者もやや少ないがいるようで、中にはダークサマナーに片足突っ込んでるような組織もあるが、それはまあいい。どうせダウトなら契約書その他で縛られる。

 

問題は、この時期でも比較的悪魔が弱く、今までギリッギリとはいえやってこれちゃったせいで名家のダメな所が出ている一番上の連中である。

 

 

(神話の戦いを見る前の我々とほぼ同じだな……どうするんだ鷹村支部長、これをまとめ上げるのは並大抵の事じゃないぞ?)

 

 

そう、あのパーティ会場での一戦は、良くも悪くも両家の抱えていた誇りや尊厳といったモノを木っ端微塵に叩き潰して粉になるまで挽いてそのまま蕎麦かうどんに加工するぐらいに打ち砕いた。

 

LV5のヒメが神童だのなんだの持て囃されて権力争いの要になるのが彼らの【基準】、はっきり言って当主がLV3という時点でお察しだが、数ばかりで質はお粗末なモノだ。

 

ニノウエ家とヒノシタ家がS県屈指の名家をやってこれたのは、市議・県議や地元企業の重役に親族を入れていく藤原道長スタイルを取ったからである。

 

金はある、土地もある、権力もある。だが肝心の霊能力はメシアの焚書&断絶政策によってボロボロになったまま。

 

そんな彼ら/彼女らが、LV50以上が殴り合い、LV10以上がわらわら沸いてきて次々消し飛んでいく風景を見ればどうなるか。

 

大半はベッキベキに心を折られ、残りはガイア連合に全裸土下座でもなんでもする状態に早変わり。

 

パーティには霊能者以外の……つまりは表の権力者でもある親族も招いていたおかげで、アレに対抗する為にはガイア連合が必須!の一言で両家を表・裏共に三日で纏めきれたのが唯一の救いである。

 

おかげで三日三晩寝ずにあちこち駆けずり回り、夜中まで電話対応その他をするハメになったが……それはまあ、おいておこう。

 

なにせ騒めく名家の面々の前に、金色の縦ロールを靡かせて『担当者』が現れたのだから。

 

 

「案内役を仰せつかりました。ガイア連合霊山同盟支部の『友恵 マナミ』と申します。奥にて支部長がお待ちです、こちらにどうぞ」

 

 

「支部長が出迎えるどころか係の者をよこすだけか、不快な!」

「鷹村家と言えば相応の名家だったはずだが、これでは程度が知れる」

「ニノウエ家のご当主も何か言ってくだされ!」

 

「……いえ、私が言うことは、特に何も」

(やめろォー!頼むから私を巻き込むな!鷹村支部長に頼まれて連れてきたとはいえお前らに声かけたの私なんだから!!)

 

 

心の内では盛大に悲鳴を上げながら、表面上だけはキリっとした表情を全身全霊で取り繕う。

 

せめてロビーから指定された部屋に移動する間ぐらいは静かにしてくれ!というのが彼女の本音10割だろう。

 

建物の奥へと通され、途中で移動している面々に気づかれないように多数のアナライズ装置が起動。

 

悪魔が化けた人間やらN案件のスパイやらメシア教が混じってないかをじっくり確認されつつ、最奥にある大きな扉の前まで通された。

 

『会議室』と書かれたプレートが設置してあり、どうやら目的地はここらしい。

 

「中へどうぞ」という友恵の案内と共に扉が開く。文句の1つでも言ってやろう、と真っ先に入っていったのはガイア連合反対派の代表者だ。

 

続いて賛成派の代表者、最後に中立派の代表者とヒメが中に入っていき……。

 

 

全身を覆う悪寒と重圧に、ヒメは一瞬己の死を覚悟した。

 

 

「がっ……?!」(なん、だっ、これは!?)

 

「おうこらガキ共!無駄な威圧バラまくんじゃないよ、年寄りの寿命縮める気かい!」

 

 

ヒメが今にも膝から崩れ落ちそうな重圧、周囲の名家の面々には失神寸前の者もいる。

 

やや口の広いコの字型に長机が並べられ、入り口から入ってきた面々を囲むようにそれが配置されている。

 

座れるようにパイプ椅子と机も並べてあったが、そこまでたどり着いて席につける余裕がある者はいなかった。

 

そんな中、脂汗が止まらないヒメから見て、左手側から老婆の声がした。

 

何とか視線を向けてみると、初老を少し過ぎた年齢のシスター服の老婆が座っている。

 

この威圧の中でも平然としているが、さすがにぴりぴりと肌を刺すプレッシャーはうっとおしいようだ。

 

 

「まったくせっかちだね……『試す』にしたってもうちょっと順序があるだろうに」

 

 

『シスター グリムデル LV17』

 

レムナントやシスター・ヘレンを受け入れてくれた一神教系宗派【調和派】のシスターである。

 

はっきりいってメシア教と比べればマイナーもいいところであり、世界がこんなことになっている以上、実質的に地方の土着宗教レベルの宗派だ。

 

が、一神教宗派としての特徴を、グリムデル氏の言葉でざっくりいうと……。

 

 

『とりあえず週に一回ぐらいは教会にきてミサに出な!』

『無理しない範囲で家族と知り合いぐらいは助けな!隣人だからね!』

『他の宗教?聖書には『真の信仰知らなくて哀れ』って書いてあるだけだからほっとけ!』

『人間のために信仰があるんであって、信仰のために人間があるんじゃないよバカタレ!』

『聖書なんざこれを覚えておけば人生そこそこ健やかに過ごせますよってマニュアルだよ!』

 

 

以上。はっきりいってメシア教が聞いたらブチ殺しに来そうな概要である。

 

が、それ故に最近はメシア教に絶望した信徒の駆け込み寺になってるところもあり、霊山同盟支部では公に布教が推奨されている。

 

なおシスター本人は『教会は受け入れる場所であって誘って入れる場所じゃないんだよ!これ以上仕事増やす気かい!』というスタンスなので布教は消極的。

 

結果、本人のあずかり知らぬ所で黒札の好感度を余計に稼いでしまった模様。LV17も謎のスパチャ+プレゼントされたデモニカ+本人のRぐらいの才能の影響である。*1

 

霊山同盟支部の幹部の中では『ククク、奴は四天王の中でも一番の格下』ポジだが、メシア教からの駆け込み寺という需要が唯一無二なので外されることはないだろう。

 

そして、それに続いて席についている【幹部】たちが次々と発言を重ねていく。

 

 

「シスター・グリムデルに賛成です。霊山同盟が蛮族のように見られてしまいます」

 

「いやアンタも殺気出してた側だろうが、なにサラっと押し付けてるんだい」

 

 

『巫女長 山根 紫陽花 LV19』

 

霊山同盟支部の前身である霊山同盟のトップであり、今年で58歳ながら30代、下手すると20代でも通る『巫女長』である。

 

才能はC~UC程度ながら式神パーツ移植を受けており、レベル限界が上昇したことで名実ともに巫女長らしい力が手に入った。

 

現在はハルカの組織運営を親身にサポートしている実質的な副支部長、霊山同盟の巫女たちからの信頼も厚いいぶし銀の霊能力者である。

 

 

「すいません、あまりにその……現実が見えてないようでしたので」

 

 

『巫女 一二三 睦月 LV21』

 

かつて異界と化した霊山に突入した決死隊の一人であり、霊山同盟分家組のまとめ役である少女だ。

 

現地人としては上振れした才能*2を持ち、ガイア連合からの支援もあって十分なレベリングに成功。

 

才能も巫女としての能力に合致しており、現地人が強くなる条件である『才能の方向性と習得した技術が一致している』パターンである。

 

タルカジャをかけて殴って0距離でハンマをブチこむ、これだけでいい。

 

 

「そーそー、アタシ一人でも全滅させられそーなザコばっかじゃない、ソイツら」

 

 

『ペルソナ使い 七海 梨花 LV29』

 

エンジェルチルドレン事件にてハルカに保護され、少し前までは監視付きで仕事を回されていたペルソナ使いの少女。

 

ハンターランクは当然のように上位、黒札の付き添い等でペルソナ使いにしか回されない案件を攻略する内に急速成長。

 

現在は監視も解かれ、名実ともにガイア連合霊山同盟支部の幹部に推薦されたばかりの新米幹部だ。

 

近々学校も住所もこちらに移すつもりのようだが、その前から異界攻略にダークサマナー退治にと様々な活躍を残し、実力と信頼は折り紙付きである。

 

事件の前から彼女を慕っていた少女達も霊山同盟支部に合流し、現在は危険度の低い依頼をこなすオカルトチーム【ラッキークローバー】として活躍中。

 

 

「……否定はしないが、それでも私達の計画には必要な面々だぞ、七海」

 

「いやアンタが一番ヤバいプレッシャーはなってたでしょ」

 

「それはそれ、これはこれだ。力なき人々の盾になる霊能組織が……嘆かわしい」

 

 

『超人 鋒山 ツツジ LV30』

 

霊能一族『鋒山家』の現当主。デモニカ+式神移植+SR級の才能+能力の一致……というフルコンボの結果、LV30の壁をついに超えた『魔払いの剣士』。

 

式神パーツである『写輪眼』を片目に移植、耐性のない相手なら見るだけで石化させる瞳術『天岩戸(アマノイワト)』*3を持つ。

 

霊山同盟支部の幹部の中でも武闘派で知られており、普通にエンジョイ勢の黒札より強いんじゃないか、なんて噂まで流れるほどの達人だ。*4

 

恩人である阿部とハルカへの忠誠心も並外れているが、同時に阿部は『彼女の両親まとめて愛人にしてる』事情があるのでいろいろ複雑な女子高生である。

 

 

「いやー、うちら姉妹みたいなエンジョイ霊能一族には耳が痛いなぁ、葵?」

「お姉ちゃんよりはマジメにやってるんだけどなぁ、これでも……才能の差って残酷……」

 

 

『超人 葛葉 茜 LV41』

『超人 葛葉 葵 LV20』

 

元はヒノシタ家とニノウエ家が管理していたエリアの隅っこで細々とやっていた霊能一族の跡取りである双子の姉妹。

 

ガイア連合の黒札と金札であり、姉は大江山百鬼夜行事件にも参加したバリバリの黒札マジメにレベリング勢*5

 

妹は流石に黒札級ではないものの、ついに『超人』の域に足をかけた新鋭気鋭の霊能力者である。

 

デモニカも【G3X】にグレードアップ、最近はついに単独での異界攻略に成功。あの【アイテムの麦野】*6に匹敵するとすら言われ始めた。

 

まだ中学一年生という伸びしろの大きさも相まって期待のホープ扱いである。姉?はいはい黒札黒札。

 

 

「アタシの氏子も増えたなー……いや普通にアタシより強いのがいるとか黒札やっぱやべーわ」

 

 

『女神 イワナガヒメ LV38』

 

上座にさらっと座っているのは、霊山同盟の守護する霊山の祭神である『石長比売』だ。

 

霊石の再設置や神社の再建、霊山の土地の浄化に霊脈の整理に信者の増加とうっはうはの信仰バブル状態。

 

周辺の土地もガイア連合に気前よく貸し出すことで開発も進んでおり、市内にジュネスが建設されたことで完全に支部としての機能が確立。

 

オカルトアイテムの生産工場やらマイナー神格の保護&漁業や農業にまつわる神を招く事による終末対策と大忙しだがウッキウキの神様である。

 

なお、本人は神の中だとそんなにコネないんで父親*7に土下座して紹介してもらった。親の脛は齧れる限り齧る模様。

 

 

(…………なんで俺、ここにいるんだろう………)

 

 

『超人 太宰イチロウ LV49』

 

人類を進化させる力『アギト』の担い手であり、仲魔・式神の扱いにも長けた霊山同盟支部の戦力三番手。

 

現地人UR*8+アギト補正+ガイア連合バックアップをキメた結果、いつの間にかこんな強さになっていた。

 

ただし本人はニャルラトホテプ戦でのタンカ切りはどこへやら、普段は割と小心者な少年Aなので、この中でもトップクラスの強者なのに小さくなっている。

 

尚、トレードマークの帽子はヒメにあげてしまったので、今は前髪が邪魔にならないように髪を逆立てたヘアースタイルに整えている。

 

 

「では私もこちらの席に……といっても、私は事務方なので皆さんほどではありませんが」

 

「ガイア連合に入る前から電磁警棒片手に悪魔殴り殺しとったウォーモンガーがなんか言っとる」

 

「ウォーモンガーはやめて?」

 

 

『超人 友恵マナミ LV17』

 

霊山同盟支部の事務を一手に取り仕切るオフィスのトップ、当然のように彼女も黒札だ。

 

事務員なのにその辺の悪魔なら魔法抜きでキックするだけで倒せる霊能力者である、事務員なのに。

 

現在は新人指導や事務所の拡大を指揮しつつ、空いた時間にレベリングもこなしている。

 

 

「同じく、技術部だけど特になーし!寧ろG4XとG3MILDの量産用マザーマシンの製造で徹夜18日目だから部屋で寝かせてマジでシノさん死んじゃう」

 

「手早く済ませて帰る方向で頑張れ、シノ……というかシノは山梨支部所属じゃないのか?」

 

「あっちにも研究室持ってるけど、近々こっちに移籍予定だからいーの!」

 

 

『超人 兎山シノ LV37』

『超人 士村 桜  LV33』

 

 

ガイア連合霊山同盟支部のトップとナンバー2、主に内部で開発担当のシノと外部で建設・技術指導担当のサクラだ。

 

G3MILDの開発者であるシノと、霊山同盟支部の工場の管理者でもあるサクラ。この二人がいなければ霊山同盟支部のお財布は破綻する。

 

最近は県内にある自衛隊駐屯地の取り込みも開始、さらにG3MILDの輸出先*9が新潟にもできたことで大忙しだ。

 

……大忙しすぎて二人ともゾンビかなにかと勘違いする顔色だが、まあ、うん、がんばれ。

 

 

「……では『主殿』。皆様に挨拶をば……」

 

 

『式神 天使 ドミニオン LV52』

 

ニャルラトホテプ撃破後、またなんか出世しているレムナントである。

 

ついに『天使』の中では最高階級である第四位【ドミニオン】に昇格、ここより上は大天使(セラフ)しか存在しないという所まで来た。来てしまった。

 

最近はお給料*10で行くファミレスで食べるお子様ランチが週に一度の楽しみである。

 

外見は大人の女性な銀髪の美女*11がお子様ランチをもっきゅもっきゅしているのだが、最近は店員も慣れたそうだ。

 

そんな残念美人かつ元メシアの天使だが、なんだかんだ霊山同盟支部では戦力ナンバー2なのもあって受け入れられつつある。

 

 

……そして、レムナントの合図に合わせて、一人の少年が立ち上がる。

 

祭神であるイワナガヒメや、霊山同盟の主であった巫女長。ガイア連合の黒札たちを差し置いて『中心の上座』に座っている少年。

 

ようやく呼ばれた面々も気づいた。この少年の放っているプレッシャーは、周囲にいる面々と比べてさらに1つ2つ上だと。

 

彼にひと睨みされたのなら、自分たちは平服し、命乞いをしながら服従を誓うしかないのだと。

 

 

「初めまして、皆さん……ガイア連合霊山同盟支部……まあ、S岡支部とも呼ばれていますが。

 

 私はその所長……名を『鷹村 ハルカ』と申します。以後、お見知りおきを」

 

 

一見すれば、小柄で女の子のようにも見える顔立ちをした少年だ。

 

だがしかし、周囲にいる全員がこの少年が上座に座ることに一切の異議を持っていない。

 

神であるイワナガヒメですら、恩人だからという理由*12で上座を譲るほど。

 

そして、この場の支配者である少年が言葉を紡ぐ。

 

 

「早速ですが、皆さん。 ガイア連合の『大事業』への協力……お願いできますよね?」

 

 

『 超人 ギルス LV66 』

 

 

見える選択肢が『はい』『イエス』『どうかいのちばかりは』しか無くなった時点で、名家達の心は折れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やってることが悪の組織だよぅ!!??」

 

「主殿、ガイアグループスは元々暗黒メガコーポです」

 

「仕方ないだろ暗黒メガコーポにならなきゃ経済破綻するんだから!なんもかんもメシア教過激派が悪い!」

 

 

顔を真っ青にした名家達が去った会議室にて、そうだそうだー!とメシア教アンチな一部幹部達から同意の声が上がる。

 

まあ実際だいたい過激派が全部悪いので、過激派はどんだけディスってもいいのがここのルールだ。

 

 

「砲艦外交ってやる側になると楽しいのね、初めて知ったわ」

 

「アタシたちはメシア教にやられる側だったからなぁ」

 

「戦後の微妙な闇をさらっと出さないでくださいよ……」

 

 

今回の圧迫面接の立案者である巫女長とイワナガヒメが「ねー?」と顔を合わせて笑顔になっているのにツッコみつつ、ハルカは一度仕切り直しのために「それでは」と声を上げた。

 

 

 

「一同から善意の協力も確約されましたし、改めて例の【大事業】のツメに入りましょっか」

 

「善意……善意かあれ……?」

 

「イチロウ煩い。 既に土木作業のための予算や工事予定、導入する結界・霊道の素材や施工する霊能力者は手配済み。今日ここに来なかった面々にはそれにあたってもらっています」

 

 

幹部集会といっても、あくまで今日都合のついた面々を招集しただけで、この場に並ぶ資格のある人間はまだいくらか霊山同盟支部に所属している。*13

 

今回名家たちを砲艦外交使ってでも引き込んだのは、ほかの支部と合同で以前から進めていた【大事業】のツメのためだ。

 

霊山同盟支部ができる前から、周辺の県にある支部が合同で進めていたガイア連合のとある計画。

 

最後の一手に必要なS県とK県の取り込みにかかるタイミングで偶然霊山同盟支部が発足し、ハルカが支部長になった直後にその計画を聞かされ担当を任されたのだ。

 

邪魔をする悪魔をなぎ倒し、積み上げた土砂とセメントと霊木と結界で作り上げる【大事業】、それは……。

 

 

 

 

 

「【東海道霊道化計画】。その最終フェーズを開始します」

 

 

本州の東西を繋ぐ、超巨大な霊道の敷設計画であった。

 

 

*1
だいたいあかりちゃんにとってのゆかりちゃんが数名いると思えばいい。

*2
SR級だが、FGOで例えるなら『強化クエスト来る前のセイバーリリィ』

*3
なお技術部俺達が悪乗りで名前変えただけで効果はただのペトラアイ

*4
ただしレベル上限と成長率は黒札の方が当然上

*5
坂田銀時等が該当。怪我する前に引き返すタイプ

*6
カオス転生外伝 とある現地の新人サマナー 等

*7
メガテンでおなじみ、オオヤマツミ

*8
原作キャラの中でも後半のボスキャラになりうるキャラが該当。ワルボウ(カオスヒーロー)等。マヨーネ(風見幽香)は原作だとLV40そこそこなので推定SSRぐらい

*9
『故郷防衛を頑張る俺たち 自衛隊との協力体制構築』参照

*10
紙くずになる日本円+ガイアポイント支払い。ハルカが払っている

*11
イメージはリリカルなのはの『リインフォース』

*12
あと、目立つ席に座るとジンマシンがでるとかなんとか

*13
メタ的には今後短編集の方で霊山同盟支部所属の人間が増えたときのためのセーフティ





登場人物資料 『名 緋目(ニノウエ ヒメ)』

年齢 13

LV 5


S県の大手霊能一族である【ニノウエ家】と【ヒノシタ家】のトップになってしまった少女。

外見はめだかボックスの【黒神めだか】。スタイルは発展途上だが既に中学生離れしている。

現地人としては相当上振れした才能を持ち、小学校の時点で既に両家の当主(LV3)を超え、修行と称してクマやイノシシを素手で狩る等、一般人レベルで言えば十分に超人であった。

名家故の上から目線とプライドこそあるが、それを踏まえても善性。生徒会長の座も学年トップの成績も家の力を借りずに手に入れたモノである。

容姿端麗・成績優秀・文武両道・名血(現地人基準)と、ぶっちゃけこれが学園ラブコメならチートキャラ扱いされるスペックの持ち主。

現在はガイア連合の力を借りて掌握した両家の采配に四苦八苦しつつ、合間を見てレベリング中。

才能はR~SR級、睦月と同じ【強化クエスト来る前のセイバーリリィ】ぐらい。

ちなみに、最近はハルカやイチロウ、葛葉姉妹と共に昼食を取ることが多い。

元々完璧超人かつ家柄のせいで慕ってくる相手はいても対等の友人はおらず、初めてできた友人に毎日の学校生活が100倍ほど充実している。


……ニャルラトホテプの事件後、学校に【イチロウから貰った帽子】を必ず身に着けてくるようになり、
何故か購買でパンを買おうとするイチロウに手作りのお弁当を差し入れたりするようになっているが、葛葉姉妹は生暖かく見守っている。

ハルカはノータイムでその日の鍛錬の時間にイチロウにギルスヒールクロウを叩き込んだ。
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