霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。   作:ボンコッツ

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「ヒャア我慢できねぇゼロだ!!」

 

【某月某日 魔術的揚陸艦・『土隠あきつ丸』 内部】

 

魔術的揚陸艦・『土隠あきつ丸』。

 

ストレンジジャーニーに登場する『レッドスプライト号』を参考に、コボルトースという地中を走る力を持った悪魔を『剣合体』の要領で付与した、地面を潜る潜水艦だ。

 

【KSJ研究所】……またの名を【メシアンスレイヤー】と呼ばれる三人組が発案した大発明であり、この研究所の移動拠点でもある。

 

ハルカは一度、阿部の付き添いでコレに乗せてもらった経験があり、ついでに所用で訪れる予定だったスマートブレイン本社まで送ってもらった事があった。

 

……その土隠あきつ丸から降りる際、カズフサに呼び止められ、あるものを渡された。

 

 

『そういえば、コレ。くそみそニキ……じゃなくて、阿部さんから頼まれてたモノだけど』

 

『これ……【スキルカード】ですか?え、僕に?』

 

 

KSJ研究所の代表者が一人、『カズフサ』が差しだしてきたスキルカードを受け取り、ハルカは首を傾げる。

 

先日、ミナミィネキから受け取った『獣の眼光』のスキルカードの件と合わせて、最近は阿部の手配でスキルカードが届くことが増えたのである。

 

……受け取った後に阿部に確認して始めて知ることも多いが。

 

 

『あれ、聞いてなかったのかい?うーん、おかしいなぁ……』

 

『あー、いえ。多分僕に言ってなかったんだと思います。 あのクソ師匠はそーいうところあるので』

 

『そ、そうか……でも、言っちゃなんだけど、かなり使い方が限定されるスキルだよ?これは』

 

 

スキルカードの中に入っているスキルの説明を受け、ハルカは『あー……なるほど』とつい呟いてしまったが、それでも礼を言ってカードを受け取った。

 

カズフサと違って『このスキル』を利用できる下準備もできてないハルカが、なぜ迷いなく受け取ったのかを尋ねてみれば……。

 

 

『師匠が「コレが必要だ」って判断したってことは、きっとそういうことですから』

 

 

この一言が全てであった。

 

 

 

 

【S県 沿岸部 海岸】

 

 

『ダラァッ!』

 

「ヴォオアアアアアアアアァァアアァアア!!」

 

互いに地面を蹴って前に出た瞬間、その反動で周囲の砂と岩が巻き上がる。

 

砂浜といっても、海水浴場に使われるような広いビーチではない。周囲の岩はシンプルな障害物だ。

 

そして、跳ね上がった砂と岩が地面に落ちるよりも先に、10発、50発、100発ととんでもない速度の打撃が交差する。

 

互いの現在の速度は【マッハ51】以上。時速に換算すると【六万二千㎞】

 

50mを移動するのにかかる時間は【0.0058秒】、まさに純粋な速度だけで他の悪魔をぶっちぎりに抜き去っている。

 

眼光系スキルによる時間操作も相まって、時間操作+高速移動を習得していなければそもそも戦いにすらならないほどの初見殺しだ。

 

高レベルの霊能力者ですら、残像がとんでもない速度で砂浜や海を駆け抜けて交差しているとしか判別できない。

 

断続的に何かが破壊される音が発生しているが、それが聞く者の耳に届く時には10を超える破砕音が発生している、などというわけのわからない戦場だ。

 

だがしかし、既にレッドドラゴン……ホア・オブ・バビロンは『打開策』を見つけつつあった。

 

 

『(三分間だけ付き合ってやる。こやつはそう言った。つまり、こやつの加速はそう長く持たない!)』

 

 

そして、総合力ならともかく『行動速度』の一点ではまだレッドドラゴンが有利を取っている。

 

互いに殴り合う状態なら、白兵戦の経験値の差で痛い一発を食らっていたかもしれない。

 

だがしかし、僅かに自分よりスピードでは劣るハルカの動きを凌ぐことだけを意識しつつ、間合いを無理に詰めなければカウンターも食らわない。

 

アレはホア・オブ・バビロンの方から積極的に仕掛けるからこそ活きる技術だ、彼女が防戦を選択すれば腐る。

 

そして、計算通りエクシードギルスは全力を振り絞った攻勢に出た。

 

 

(あと一分……!)

 

 

ニィ、とレッドドラゴンの仮面の下で笑みを深める。

 

攻めっけが強くなりすぎれば、攻撃は全体的に荒くなる。当たれば痛いが、さばく難易度も下がる。

 

繰り出される拳の連打を払いのけるように防ぎながら、一秒、また一秒と頭の中でカウントダウンを刻む。

 

顔面への突きを受け流し、追いかけるように放たれた右のハイキックをスウェーで避ける。

 

時折その身に届く雷撃も、スキルを乗せなければ耐性でダメージを軽減できる。

 

 

そして、宣言した『三分』が過ぎるのと同時に、エクシードギルスの体がぐらりと傾いた。

 

 

『(勝った……!!)』

 

勝利の核心と共に間合いを詰め、全身全霊を込めた拳を振るう。

 

長引かせて回復・復活させてしまえば元も子もない、正真正銘、この一撃でカタをつけるつもりだ。

 

打撃音が響き渡る。生体装甲が砕け、鮮血が舞い、もんどりうって五体が地面を転がっていく。

 

 

『……な、が、ぶぇっ……!?』

 

 

……そう、地面に転がったのはレッドドラゴンの体であった。

 

放った拳は完全に見切られ、まるで達人がハエを箸でつまむような神業でもって受け止められた。

 

その直後、レッドドラゴンの顔面を抉りぬくように拳が突き抜け、頭部を覆う生体装甲を砕きながら振りぬかれる。

 

がしゃん、と音を立ててマスクが砕け、レッドドラゴンの鎧の下……ホア・オブ・バビロンの顔が露出した。

 

 

『ば、バカな……なぜ、ここまで、ダメージが……!?』

 

 

そう、明らかに互いに加速した直後の攻撃より、今の一発のほうが打撃が重かった。

 

『エクシードギルス ライジングフォーム』はどう考えても肉体に負荷がかかる強化形態。

 

ホア・オブ・バビロンの眼から見ても、ハルカの宣言した『三分』という制限時間は妥当なセンだ。

 

MAGの減少量を考えたら、今のハルカの攻撃は蚊の刺す程度のダメージしか与えられないはず。

 

 

「……『三分』って宣言すれば、防戦に徹すると思ったよ」

 

『なんだと……?!』

 

「逆だ、ホア・オブ・バビロン。僕はどうしても『三分間』稼ぎたかった!これが、その理由だ!!」

 

 

ハルカの全身に、どこからともなく大量のMAGが漲り噴出する。

 

それはそのまま轟雷となって体にまとわりつき、肉体を引きちぎり、焼き焦がしながら周囲を巻き込む。

 

が、高速で破壊されているはずの肉体は、それ以上の速度で再生・修復。自傷ダメージを自動回復が上回っているのだ。

 

 

『貴様、どこからそれほどのMAGを!?何万という信者でもかき集めたか!?それとも地脈に細工をして……』

 

「簡単な事さ、ホア・オブ・バビロン。

 これは、人々が僕に託した『生きる意志』だ!」

 

『人々の、意思だと……!?』

 

 

当然、このタイミングで都合のいい奇跡が起きたわけではない。

 

この『奇跡』は起きたモノではなく、『起こした』モノだ。カラクリがある。

 

そして、そのカラクリはこの場にいない人間達……『ガイア連合霊山同盟支部』の一部の黒札と、それに協力している数多の人々の尽力の結果であった。

 

 

 

 

 

 

【結界外部 結界基点】

 

 

「よぉし、ハルカとのパスは安定状態!シノ、いつでもいいぞ!」

 

『オッケー!この日のために積み上げてきた準備だったからねぇ!!』

 

 

ハイエンドデモニカ『G4』に身を包み、デモニカ強化用ロボット『パワーダイザー』*1に乗り込んだ阿部と、霊山同盟支部の司令部に残っているシノが暗躍する。

 

元々、ハルカのシキガミ移植先であるギルスは『阿部の専用式神の肉体』。

 

当然、阿部とハルカの間には『MAGの供給ができるライン』が繋がったままである。

 

ハルカの持つMAGでも十分にギルスは戦えるのだが、それでも足りなくなれば阿部のMAGを追加供給することも可能なのだ。

 

とはいえ、ハルカ/ギルスの超パワーアップにはこれだけでは足りない。阿部を絞りつくすまでMAGを絞っても、戦局が有利に傾く程度が限界だ。

 

 

『地脈とターミナルシステム、そして『電脳異界』を使ったMAGの供給ライン、整ったよ!』

 

「よし、集まった『スパチャ』からも片っ端からMAGを吸い出せ!全部俺に供給しろ、然るべき所に届けてやる!!」

 

 

……そう、阿部→ハルカのラインでMAGが供給できるのなら、阿部にとんでもない量のMAGを集めてハルカに供給させればいい。

 

日本の地脈・霊脈、さらにターミナルシステムと電脳異界まで使った『MAGとオカルトアイテムの輸送路』。

 

オカルトアイテムは変換効率が悪かろうとMAGに変換し、阿部に供給する。これなら有り余ったマッスルドリンコですら貴重なMAG供給源となる。

 

 

ならば、このラインに乗せるMAGやマッカやオカルトアイテム……シノの言う『スパチャ』はどこから集まっているのか。

 

その秘密は、読者の皆様もすっかり忘れているであろう、ギルスとレッドドラゴンの戦闘が始まってから放置されていた『ギルスレイダー』にある。

 

 

『ホア・オブ・バビロンとの戦闘は【全世界にDDSやガイア連合掲示板含めたありったけの回線で配信中】!そもそも【四騎士との戦闘】も含めて、特撮俺達の希望でたっちゃんの戦いは配信してたからね!!同接数すんごい事になってるよ!!』

 

 

これが、その秘密だ。ギルスレイダーの視界やセンサーをそのまま配信用カメラとして使用し、ギルスの激闘を世界中に配信。

 

ガイア連合内ではなく、ホア・オブ・バビロンやサタンといった【リアル世界滅亡の危機】を前に、様々な人間が大小あれど【スパチャと言う名の物資援護】を開始したのである。

 

ハルカが『三分間』とハッタリをかましたのは、阿部とのラインを通じて作戦の進行状況を把握し、ハルカへの供給が始まるタイミングを見計らっていたからだ。

 

この方法は、当然だがハルカ/ギルスの肉体にかかる負荷も非常に大きい。供給パイプになっている阿部も同様に、だ。

 

だからこそ、ギリギリのギリギリまでこのカードを温存しつづけた。ホア・オブ・バビロンが全ての手札を切り終えて、完全に『詰み』へ持っていける瞬間まで。

 

そして……。

 

 

 

『主殿にありったけのMAGを届けましょう!!』

『言うのは簡単だが、そろそろMAG不足で体が透けてきたぞ!』

 

『あ、頭くらっくらしてきた、もう気絶しそうだ……!』

『私もです……ほ、鋒山家の跡取りが情けない……』

『お姉ちゃん、これで魔石は終わりだよ!』

『せやったらチャクラドロップや!』

 

 

『今こそかつての恩を返すとき!巫女一同でMAGを注ぎ込みなさい!』

『古都派出所に負けたら恥ですよこれは!』

 

『首塚大明神様が後生大事に抱えてる霊酒も持ってきてください!』

『えっ、でもアレもうちょっと熟成させたら晩酌に使うつもりで……』

『早く!!』

『アッハイ』

 

『ラッキークローバーの貯蔵を担ぎ出せ!アカネ、倉庫から運んで来い!』

『スカンピンになっちゃいますよ姐さん!?』

『地球が滅んだら使う機会もないでしょうが!』

 

『清貧を尊ぶ教えは今だけ忘れな!シスター・ヘレン、アンタが作ってるハマストーンもだ!』

『は、はい!今トラポートで取ってきます!』

 

『S県内の霊能組織に連絡を取れ!今こそニノウエ家の権威を見せる時だ!』

 

『困ります!!困ります!!凍夜様!!困ります!!あーっ!!困ります!!それは輸出用のアクエスストーンで、あーっ!!』

『足りなかったら作るから!今は全ブッパの時だから!マネーイズパワーだから!!』

 

『MAGの貯蔵はたっぷりため込んである、いけるぞ!』

『……大半あきつ丸に補給した後じゃなかったっけ?』

『……不足コストはあきつドラから確保!!』

『え゛っ』

 

『G3ユニットはこれよりターミナル及び輸送物資の護衛に移る!MAG供給源に手を出させるな!』

『了解!』

 

『ノンナ!切り詰めに切り詰めれば傷薬の1本ぐらいは行けるわよね!?』

『少しならマッカも投入できます、賭けるなら今、ですね』

 

『アリサ、ナオミ!ICBM潰しもひと段落したし、今度は投資と行きましょっか!』

 

『たくさんスパチャしてパパにまた哺乳瓶でミルク飲ませてもらうのよ!!』

『杏様!?それとっておきのソーマ……いやまって!?『また』って言った!?』

『僕らの見てないところでナニやってるんですかちょっとぉ!?』

 

 

 

……色々と喧々諤々なスパチャ風景ではあるが、ハルカ/ギルスに世界中から支援が集まっているのは確かだ。

 

それによって基礎スペックと再生能力を同時に強化。レッドドラゴンを遥かに上回るパワーを一時的に得ているのである。

 

 

「僕と君の勝敗を分けたのはたった一つ……たった一つのシンプルな答えだ。

 

『自分を推してくれるファンの声援の差』だ!!」

 

『ぐっっっふうううぅぅ……!!?』

 

 

その一言は、恐らくハルカの思った以上にホア・オブ・バビロンの精神を砕いた。

 

大淫婦バビロンは、人を堕落させ、己を崇拝させ、神への信仰を裏切らせる。

 

まさしくスーパー黙示録ビッチ、そして旧約聖書のアイドル*2である、

 

そんな彼女が、戦闘力ではなく『自分を推す信者(ファン)の数で負けた』……悪魔にとってアイデンティティの崩壊に等しい。

 

どこぞのゼウスが乾電池との電力対決に負けるレベルの尊厳破壊である。

 

 

『ま、まだだ、まだ余は負けていない、ぐふっ……かならず、かならずこの国の人間を纏めて堕落させてくれる!!』

 

(あれ、なんだか想像以上に効いてないか……?)

 

『まずは貴様からだ、仮面ライダー!!』

 

 

再び【クロックアップ】を使用し、ICBMですらスローに見えてくる速度で迫りくるレッドドラゴン/ホア・オブ・バビロン。

 

それに対し、ハルカ/ギルスは腰を深く落とし、阿部から習った拳法の【基本の構え】を取った。

 

 

(自分から攻めるときはしっくりこなかった……それもそのはずだ、この構えの本質は【攻防一体】

 攻め気ではなく、守りにもまた重点を置かねばならない……)

 

そもそも、普段のギルスの戦闘スタイルは『タフさを活かした削り合い』。

 

故に、守りに徹していてはジリ貧になることが多く、多少危険を冒してでも攻め込む必要があった。

 

だからこそ、この大一番まで阿部が仕込んだ『最後のカード』が切られることが無かったのである。

 

同レベルかそれ以上の身体能力を持つ相手との肉弾戦が頻発し、『カウンター』を重視し始めたからこそ、パチリとパズルのピースがハマる音がした。

 

 

【カウンター】+【会心の覇気】

 

 

「赤心少林拳……【梅花の型】!!」

 

『対悪魔用として、既存の拳法を元に作り出された武術』……それが、阿部の生まれた霊能一族に伝わる技術であった。

 

阿部はそれを体得した上で、自分なりに盛大に弄りまくって強化。結果として『赤心少林拳』が完成してしまった。

 

とはいえ、無駄に完成度の高いそれをむやみに広める気はなく、ハルカにイチから叩き込んだ後は誰にも教えず秘匿し続けている。

 

しかし、度重なる激戦によってハルカはついに『カウンターの構え』である『梅花の型』に開眼。

 

突っ込んできたレッドドラゴンの一撃をたやすくいなし、逆にカウンターの拳が割れた仮面目掛けて突き刺さる。

 

強烈なカウンターにたたらを踏んだレッドドラゴンに、当然ギルスは一切の遠慮をしない。

 

今度は逃がさない……そんな意思を込めた雷撃が、出現したギルスクロウの先端目掛けて駆け上がっていく。

 

レッドドラゴンが顔を上げたのと同時に、その胸目掛けて『封印エネルギーを濃縮した突き』が放たれる。

 

 

「今度こそッ……! 『ライダースティング』ッ!!」

 

『がぁッ、は、ぁ……!?』

 

 

先ほど一度失敗した必殺技を、今度こそ、とばかりにねじ込んだ。

 

魔人態の時よりも薄くなった生体装甲をあっさり貫通し、レッドドラゴンの体内へ電撃と封印エネルギーが流し込まれる。

 

引き抜いた瞬間、ぽっかりと空いたレッドドラゴンの胸の穴に、『戦士の古代文字』が浮かび上がった。

 

十分な封印エネルギーを注ぎ込み、殺すのも封印するのも自由自在になった証である。

 

 

(か、体の自由が効かん……ぐ、ここまでか!)

 

「ギルススティンガーッ!そして来い、ギルスレイダーッ!!」

 

『ぐぉっ……何!?』

 

 

負けた、とレッドドラゴンが死を覚悟した瞬間、エクシードギルスが背負う赤い触手……『ギルススティンガー』が伸び、レッドドラゴンを縛り上げる。

 

次の瞬間、傍観と撮影に徹していたギルスレイダーがそれを跳ね飛ばし、ギルスがまたがった直後にレッドドラゴンをボディに乗り上げさせて走り出した。

 

一部の黒札にはひじょーに見覚えのある……『クウガがグロンギを運ぶ時のアレ』である。

 

 

『き、貴様、意味もなく敗者を嬲るとは、見損なったぞ!』

 

「意味があるからやってるんだよ! 師匠、今です!」

 

『応、待ちくたびれたぜ!!』

 

 

結界の一部に穴が開き、阿部の乗りこんでいるパワーダイザーが走行用の『ビークルモード』で駆け込んでくる。

 

速度を重視した車両形態『ビークルモード』、格闘戦用の巨人形態『パワーダイザー』を切り替えて使える可変式ロボットだ。

 

その阿部が予定していたポイントに到達し、パワーダイザーの最後の形態……『タワーモード』を起動する。

 

文字通りに機械でできた塔のような形状・……だが、見る人が見れば別の施設に見える『塔』。

 

G4とパワーダイザーのデータリンクに阿部の占星術を加え、はるかな空のかなたにいる『ソレ』を観測した。

 

 

『こっちの準備は完了だ、そっちはどうだ!』

 

「はい、レッドドラゴンの爆発は抑え込んであります!」

 

『よし!』「ば、爆発!?」

 

 

レッドドラゴンが素っ頓狂な声を上げる、いきなり自分が爆発する、などと言われればそんな声も出よう。

 

だが、この原因は『ライジングフォームの欠陥』にある。

 

ニャルラトホテプを撃破した際に、空中で真っ二つになったニャルラトホテプの体が大爆発したことをハルカは懸念したのだ。

 

阿部同行のもとで実験した結果、LV50以上の悪魔に対してライジングフォームをフルパワーで使うと、悪魔が大爆発を起こすことが判明したのである。

 

そして、爆発の威力と範囲は倒した悪魔のレベルに比例する。レッドドラゴンの爆発など、どれほどの威力か考えたくもない。

 

 

レッドドラゴンを拘束したまま、バックで『パワーダイザー・タワーモード』にギルスレイダーをセット。

 

ハルカ/ギルスもギルスレイダーに跨ったまま、ギルスレイダーがゆっくりと上方に傾いていく。

 

そしてほとんど直角に変わると、ギルスレイダーの後方にバカみたいな量のMAGが集中し始めた。

 

 

『占星術索敵ヨシ!目標、中層圏『神霊 サタン』!いけるな、ハルカ!』

 

「はい、任せてください!!」

 

『よーしロボ部への中継も切らすなよー!アイツらこの画を見たらジャンジャンスパチャ放り込むから!お前の『射出』に使うのもMAG燃料だからな、死活問題だ!』

 

「おい、待て!まさか、まさか貴様ら……。

 

余をサタンにぶつけて爆発で対消滅させるつもりか!?」

 

「Exactly(その通りでございます)」

 

 

何故か気取ったハルカの返答と同時に、阿部が「10,9……」とカウントダウンまで開始した。

 

サタンによる人類滅亡計画を察知した阿部は、あの手この手で宇宙に戦力を送り込む方法を模索。

 

この『パワーダイザー』がそれであり、ガイア連合ロボ部に『パワーダイザーがないと回避できない終末がある』とリークしたのはそのためだ。

 

『パワーダイザー・タワーモード』は、仮面ライダー+バイク+敵怪人を大気圏外まで射出する機能を持ったマスドライバーである。

 

純粋MAGを燃料にして、ショタオジが計画していた月への脱出計画で考案されていた『オカルト技術を使った弾道計算システム』も取り入れた、まさに宇宙(ソラ)へ仮面ライダーを打ち上げるためのワンオフ機。

 

さらにシノの手でギルスを全領域対応に再改造し、KSJ研究所のカズフサのスキルである『光玉の目』もスキルカード経由で習得した。

 

阿部の『宇宙って真っ暗闇だし、ダークゾーン対策がそのまま通るだろ』とかいう超絶雑な理論の結果である。

 

 

 

『ふざけっ……「ヒャア我慢できねぇゼロだ!!」

 

ヌアアアアアァァァァァァァァァ…………!』

 

 

抗議の声が二人の耳に届く前に、ホア・オブ・バビロン/レッドドラゴンは、ギルス&ギルスレイダーと共に、空の向こうへ撃ちだされた。

 

 

 

*1
故郷防衛を頑張る俺たち 【いきなりの】技術開発班ロボ部【終末検案】Part.76 等を参照

*2
ただし枕営業平然とやる炎上系アイドルである。同じ炎上系のりあむも真っ青な問題児だ。

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