【某月某日 コ〇ダ珈琲】
『……とまあ、これが【プランA】と【プランB】だ。
大淫婦バビロンを対消滅用の弾頭にした、神霊サタンへの吶喊。
それが【プランA】、これで倒せれば万事幸せにカタがつく』
『だが、それでも仕留め損ねた場合に備え、阿部と私とメタトロンがプランBという『二の矢』を準備しておく、というわけだ』
『一番いい次善策を頼む』
『……なる、ほど』
メタトロンとルシフェルの存在を明かされたあの日、ハルカは阿部から【予知の内容とそれに対処する計画】をほとんど全部聞かされていた。
阿部の予知の中で、どこの誰にも絶対にバレないタイミングがココしかなかったらしいが……なんにせよ、地球が滅ぶか救われるかの瀬戸際を防ぐ計画を、ハルカは全て知っている。
そして、その中には【ホア・オブ・バビロンを宇宙に打ち上げた後】の展開も含まれていた。
大爆発する寸前のホア・オブ・バビロンを拘束し、封印エネルギーを制御することで爆発を遅らせてから、片道切符の特攻弾として利用し対消滅させる。
それが失敗したときのための『次善策』……すなわち、サタンを仕留め損ねた時の作戦こそが【プランB】だ。
『……それしか、ないんですね。そうですよね、こんな状況じゃ……』
『俺たちもプランAで成功させるために全力を尽くす。
だが、相手が相手だ。確実と言い切れん。俺たちは万能の神じゃないんだからな』
『ええ、大丈夫です。 その時は僕が……』
なぜ、阿部は【サタンが海上に出た時点で撃墜する計画を立てなかったのか】。
宇宙空間へ追いかけるよりも、出た直後に叩く方がずっと楽である。
なぜ、阿部は【結界を海に張ってサタンを閉じ込める計画を立てなかったのか】。
結界を使った時間稼ぎを利用すれば、もっと戦力が集まった瞬間に迎撃できた。
なぜ、阿部は【この2体を倒すタイミングをエンシェントデイ出現後になるよう調整したのか】。
サタンはともかく、ホア・オブ・バビロンは海を渡って日本へ襲来した。
つまり、日本に来て水際防衛に突入する前に対処する手もいくつかあったはず。
それら全部の機会を捨てて、この一戦に全リソースを集中した理由は、何故か。
それこそ、今ハルカに説明した【プランB】。
『やり遂げて見せます。僕はそのために戦ってきたのだから……!』
すなわち、【1つも失わずに10を得るプランA】と、【最小の犠牲で100を得るプランB】だ。
【日本列島上空 低軌道】
『がああぁっ!ぐっ、い、いい加減にッ……』
「悪いが敵に遠慮してられるほど余裕はない!このままサタンまで叩きつけさせてもらう!!」
酸素があった成層圏~中層圏を抜け、高温の熱圏を飛び出し、完全な宇宙空間まで飛び出したギルス。
大気圏と宇宙空間を分ける『カーマン・ライン』などとっくの昔に飛び越えていた。
パワーダイザー・タワーモードによる打ち上げ時の加速はまだまだ有効なようで、そのままの勢いで低軌道を駆け抜けサタンに迫りつつある。
サタンが鎮座しメギドアークのチャージを進めている中軌道は、地表から約2000㎞以上。
ここから先は、サタンのメギドアークが放たれるのが速いか、ギルスがプランAを完遂するのが速いかのチキンレースとなる。
だが、スペースシャトルの速度が時速約4800㎞。対してライジングフォーム時のハルカの最高速度は時速62000㎞。
もちろん地面のない宇宙空間なので単純比較はできないが、【獣の眼光】連打による時間加速を使った高速移動は健在だ。
そしてなにより、宇宙空間で移動するための手は既に考え付いている。
「借りるぞ、イチロウ! 【超変身】ッ!!」
ライジングフォームの力を使ったまま、有り余るMAGでゴリ押すようにバーニングフォームを発動させる。
角と装甲が赤く染まり、手足には黄金の装飾が現れる。
首元には炎で編まれたマフラーがたなびき、全身から神火と雷光を迸らせる。
真紅の瞳が暗い宇宙でも爛々と輝いて、生々しく生えてきた全身の棘が『生物』であることを強調していた。
『エクシードギルス トリニティフォーム』
超越(エクシード)/神火(バーニング)/金雷(ライジング)、全ての力を解放した、ハルカの切り札であった。
通常ならばMAG不足のせいで数秒で衰弱死しかねない無茶苦茶も、過剰なほどのMAG供給のおかげでごり押しが利く。
肉体の内外全てが、高圧電流と神話の劫火によって焼き焦がされる激痛が常に襲う『程度』の副作用はリスクとすら考えていない。
背中から神火が勢いよく吹き出し、パワーダイザー・タワーモードによって得た初速を維持し、加速させる。
ギルスレイダーが貯蔵していた分のMAGまで加速に回すことで、一気に地球の重力を振り切って宇宙空間を突っ切っていく。
(よし、カズフサさんから貰った『光玉の目』はちゃんと機能してる!真っ暗闇のはずなのに、見えるぞ!)
後ろを少しだけ振り向けば、青い地球をバックに自分が宇宙を走っているのが実感できる。
地上へ届く星々の光を後ろへ追い抜き、赤く燃える流星となって飛んでいく。
ライジングフォームの封印エネルギーを継続的にホア・オブ・バビロンヘ流し込み、復活しないように気をつけながら、ついに低軌道すら突破した。
地球の重力の井戸からは既に半分離れかけている。このまま加速し続ければ太陽系の隅っこまですっ飛んでいきそうだが、流石に目標地点はそこまで遠くない。
地表から2000㎞以上離れた中軌道の宇宙空間にて、ついにギルスの感覚は『神霊 サタン』を捉えた。
「出し惜しみは無し、一気に仕留める!」
『! 貴様ら、一体どこから……!?』
サタンの方もギルス達に気づいたようで、『漆黒の蛇』*1等のスキルによる迎撃が飛んできた。
流石にこれだけ距離が離れると、切り札の1つであったスパチャによるMAGの過剰供給も万全には届かない。
とはいえ、ギルスに蓄積されたMAGは万全の状態を大きくオーバーしてあふれ出しそうなほど。
無理に無茶を重ねたトリニティフォームも、これだけのMAGがあれば十分に維持できる。
何より、あの『神霊 サタン』は地球の粛清のために特化した能力配分がされている……というのは阿部の言だ。
すなわち、この宇宙空間でマトモに戦うようなリソースもすべて、移動能力とメギドアークの火力に割り振っているのだ。
宇宙空間でスラスターを吹かして移動するSF作品の宇宙戦闘機のように、神火の噴出口を弄ることで迎撃の魔法を避けながら近づいていく。
「そぉらっ!!」
『ぐぬぁっ!?』
『ちいっ……!』
神火の噴出方向を変えて急旋回、封印エネルギーによって半分石化しているホア・オブ・バビロンを弾き飛ばし、メギドアークの光をチャージ中だったサタンに叩きつけた。
回避のために移動しないのは、地球全土を焼き払うためのメギドアークをチャージするためにほとんどのMAGリソースを割いているからだろう。
迫ってくるギルスへの迎撃すら散発的だったのはそのためだ。
サタンはそもそもこの宇宙空間で戦う気は毛頭なく、『絶対に邪魔されない場所まで移動してから地球規模の即死技で終わらせる』ために全リソースをブチこんだのだから。
宇宙空間で戦える戦士をマスドライバーで中層圏まで精密射出する、などという頭ヒーホーなアイディアを本気で実行するバカがいるとか、サタンであっても想定外である。
そして、サタンからすれば『なんでわざわざホア・オブ・バビロンを連れてきたのか』が一切不明というのが、この後の不意打ちが決まる決定打となった。
「よぉし、これでいい……キメてやるッ!!皆の絆で……『未来』を掴む!!」
神火のマフラーを握りしめ、引き抜く。
炎が武器となって形成され、ペイルライダーとの戦いでも活躍した『シャイニングカリバー』に変形した。
両刃刀であるという点を活かし、片方の刃に神火を、片方の刃に封雷を込め、二度、三度と振り回して回転させる。
【スタートアップ】を使った連続高速行動も当然のように使い、サタンが何らかの対処をする前に先手を取って仕掛けた。
刃が放つ火と雷の輝きが増していき、ギルスレイダーから跳躍するのと同時に最高潮に達した。
「ライダー……超銀河フィニーッシュッッッ!!!!!」
『ガッ……ぐあああああぁぁあぁぁぁあっ!!?』
体ごと回転させる回転切りと共に、巨大な光の斬撃が宇宙空間を走った。
巨体を誇るサタンすら一刀両断できる大きさの飛ぶ斬撃が直撃し、その直線上にいたホア・オブ・バビロンを両断する。
すぐさまギルスは神火を放って後方にすっ飛び、ギルスレイダーに捕まって距離を取った。
直後に発生したのは、近くにいたギルスからすれば、間近にもう1つ太陽が生まれたかのような輝き。
ただでさえ封印エネルギーの過積載だったホア・オブ・バビロンに、神火と封印エネルギーを濃縮した斬撃を叩き込んだのだ。
資金距離でリトルボーイでも炸裂したのか?と言いたくなるような大爆発が発生、当然のようにギルスはソレに巻き込まれないよう全力で離脱する。
ギルスレイダーのMAGまでごっそり使って無理やり加速し、なんとか爆発に巻き込まれる前に安全圏へ移動したのだ。
戦略核もかくやという大爆発、これならばさしものサタンもひとたまりもない。
……と、思われたが。
「!? ……あれで、死んでない!?」
『まだだ、まだ……!』
とんでもない爆発の後に、光の中から顔を出す巨大な異形。
神霊 サタンは満身創痍ながらも、戦略核に匹敵する一撃を五体のみで耐え抜いていた。
しかもメギドアークの光も健在……その上、発射予定地点から移動を開始している。
「くっ……ギルスレイダー!追うぞ!!」
(結局、師匠の『予知』通りになるっていうのか……!)
ギルスレイダーに跨り、神火を噴出させてサタンを追う。
ライダー超銀河フィニッシュの一撃はサタンに深々と傷を刻んでいたが、ギルス/ハルカにとっても無視できない影響を与えていた。
距離の問題でMAGの供給が先細りしている現状で、あの一撃のために注ぎ込んだMPとMAGは軽くない。
サタンがギルスに追える程度の速度しか出せないのも、ギルスがサタンにもう一度必殺技を叩き込む余裕すらないのも、あの一撃に全てがかかっていたからだ。
爆発の影響か、皮膚のほとんどは焼けただれ、甲殻に近い部分は全体的にヒビが入っている。
横一閃の斬撃が若干ナナメにヒットしたせいか、体にはナナメに一本の切り傷が深々と刻まれた。
それでもなお、アナライズすればHPが1割を切っていようとも、サタンはあの攻撃を耐えきった。
……そして、当然阿部は『耐えきる可能性』を加味して【プランB】を練っていた。
あの場にいた全員*2が『プランA』での決着を望んでいたとしても、だ。
「逃がす、かぁっ!!」
『むうっ!?』
全速力で追いついたギルスは、そのままシャイニングカリバーをサタンの体に突き刺して固定する。
体に残った力を振り絞り、最初に地球を飛び出した時に近い速度に加速しつつあるサタンにしがみついた。
ギルスレイダーもサタンの体にタイヤを吸着させ、ギルスがしがみつくための足場を作りつつMAGを供給している。
ギルスレイダーに搭載されたMAGバッテリーも、残量は既に心許ない。しかし、そのわずかなMAGですら惜しいのが現状だった。
『邪魔をするな、人の子よ!我はサタン、裁きと粛清、難題と挑戦の化身ッ!
人間は既に堕落した、天使は狂い地球を汚染した、挙句に唯一神の放蕩具合……。*3
試練をもって粛清するか否かを試す段階は通り過ぎた!
さすれば神話の大洪水が如く、人類を捌きの光をもって……!』
「余計なお世話だッ!明日も必死に頑張ろうとしている人たちが、あの星にはいるんだ!
お前の都合だけで、一切合切を吹き飛ばされてたまるか!!」
『ならば何ができる!既にメギドアークで地球を狙い打てるだけの余力はない。
が、チャージしたメギドアークごと地球に落着し、【自爆】*4する事ならばできるのだ!』
メギドアークの超エネルギーを自爆によって拡散させれば、直接照射ほどじゃないにしろ、地上の被害は甚大なモノとなる。
サタンは既に、人類も天使も唯一神も、己の使命に従って『裁く』べきモノとして扱っていた。
「そ、れ、でもっ!それでもッ!! それでも僕は戦う!生きるために……明日のためにッ!」
『MAGも枯れ果てようとしている体で何ができる、罪なきネフィリムを宿す人の子よ!
もう間もなく地球に落着する、貴様らにできることはもうないッ!!』
中層圏をあっという間に駆け抜けて、低軌道に到達したサタンはさらに加速する。
既にメギドアークの光は臨界を迎えつつあり、このままいけば地表に到達した瞬間に大爆発を起こすだろう。
そんな状態でも、ギルス/ハルカはサタンに組み付いたまま離れない。
彼がいまさら立ちはだかった所で、サタンに大したダメージを与えられない事は分かっているのに、だ。
『なぜそこまで抗う!なぜ裁きを受け入れない!
貴様の眼を見ればわかる!貴様は人間の醜さを味わってきた側だ!
それなのになぜ、こうまで戦う!抗う!抵抗する!!』
「……ああそうだよ!その通りさ!世界で一番不幸だ、なんて言うつもりはない!
でも……ロクでもない『人間』は、見てきたさ!!」
腹を痛めて産んだはずのハルカを、終始邪魔者としか認識していなかった母親。
醜悪なプライドを拗らせた挙句、見当違いな怒りで殺しにきた弟。
その両名に媚びを売り、一緒になって幼いハルカを差別してきた一族。
そんなヘドロのような人間達の中で10年以上を過ごし、阿部に拾われた後も様々な人間を見てきた。
ガイア連合の黒札ですら、怠惰だったり拗らせていたり、あるいはどう考えてもシャバに出しちゃいけない人間だったり。
色眼鏡なく黒札を見てきたハルカからすれば、大半の黒札は『才能がとんでもないだけの普通の人』だ。
それも、どちらかといえば大衆に流されるタイプの、才能がなければ衆愚に交じってもおかしくない『普通の人』である。
メシア教に至っては言うまでもない、穏健派も過激派も、神の秩序に脳を染められた気狂いだらけ。
支部長として多くの人々と出会ってきたが、大半の人格は『毒』か『毒にも薬にもならぬ』、それがハルカの知る人間だ。
だが……。
「それでも……笑ってほしい人達がいるからだ!
明日を生きてほしい人達が、あの世界にいるからだ!
たとえクソッタレな世界でも、僕にとって優しくない世界でも!!
僕より不幸な人には幸福になってほしいし、そうじゃない人には明るい明日が欲しい!」
『青空になる』、そのためにハルカは戦うと決めた。
普通に暮らすのが夢だと、彼に力をくれた『ギルス』が望んでいたのを知ってか知らずか。
多くの人々が、曇天の中を俯いて生きるのではなく、晴天を見上げて歩んでいける世界が欲しいと。
理想論だと、綺麗事だと、青臭い戯言だと笑う者は少なくないだろう。
「……だから、僕は信じる。人間を信じる!未来を守る!世界を救う!
絶対に諦めないぞ!誰に貶されても、バカにされても、笑われても。
きっと最後は、温かい涙がこぼれる様な、大団円で終わるんだッ……!」
『ならばどうする!もはや地球への落着まで秒読みだぞ!!』
「そのために僕がここにいるッ!お前への……『マーキング』のために!」
『……マーキング、だと?』
サタンが疑問に思った瞬間、その巨体が意思を無視してどこかへと引っ張られる。
物理的な引力ではない、恐らくトラポート等による強制転移現象だ。
『これはッ……私を【トラポート】でどこかへ転移させるつもりか?!
そうか、貴様は私に打ち込まれた【発信機】だったというわけか!!』
「正解、だッ!このまま僕と一緒に飛んでもらう!!」
阿部とハルカのMAGによる供給ライン……すなわち、式神と主の繋がりは未だに有効だ。
ソレを利用し、阿部・メタトロン・ルシフェルは、最大限まで増幅したトラポートを使った【転移トラップ】を地球にて準備。
ハルカ/ギルスのいる位置にピンポイントで発動させることで、三人の指定した座標までサタンを転移させるつもりなのだ。
メガテンプレイヤーどころか、多くのRPGプレイヤーにとってはお馴染みの『踏むと転移する床』の同類である。
『だが、残念だったな!地球のどこへ転移させようと、メギドアークは抑えられん!
たとえ異界の深部であろうと、閉じ込めた異界ごと地球を焼き払うには十分!
それとも、魔界の最奥にでも飛ばしてみるか?九頭竜*5の封印ごと消し飛ぶがな!』
「それも含めて、計算づくさ……既に師匠は対策済みだ!!
要は『自爆しても影響が出ないぐらい隔絶した場所』に飛ばせばいいんだろう!?」
『なんだと……!?』
増幅トラポートによる転移現象に引きずり込まれ、サタンの体が地球の大気に触れる前に消え去る。
当然、発信機代わりとなっているギルス/ハルカと、それにくっついてきたギルスレイダーもサタンと共に飛ばされた。
転移の最中、サタンは『あまりにも懐かしい気配』を感じ、驚愕の色をより一層濃くした。
『バカな……バカなバカなバカなッ!?この気配はまさか……?!』
……冒頭の3つの疑問。そして、プランAで得られるモノが10なのに、プランBで得られるモノが100である理由がそこにあった。
メシア教過激派の最後のカードである『神霊 エンシェントデイ』が召喚された時。
阿部は何よりも真っ先に『逆探知』を始めた。
メシアンが『天界』と呼んでいる異界/魔界の一種から、エンシェントデイが現世に呼び出されるまでのルートを辿ったのである。
すなわち……。
【現在地 天界 最深部 唯一神の座】
『バカなァーッ!!?』
『……は???』
逆探知した座標にいるであろう、エンシェントデイの出所である『神霊 YHVH』の元へ、自爆寸前のサタンを放り込んだのである。
堕天使ルシフェルがニッコニコで協力するのも当然であろう。
それどころかメタトロンですら「あの方は一度痛い目を見た方がいい」と消極的に許可するほどだ。
得られる『100』とはつまりこのこと……ホア・オブ・バビロンとサタンの対消滅に、メシア教にとってのアイデンティティである唯一神すら巻き込める。
天界の隔離具合は魔界の最深部と同等かそれ以上、さらに唯一神のいる座ならば、サタンの自爆が現世に届く可能性は皆無に近い。
真ⅡやⅣの発言を考えると時間経過で復活するようだが、それでも終末直後に唯一神がフリーハンドになるよりはマシだと考えたのだろう。
よりにもよってエンシェントデイを引っ張り出されて一時的に弱体化し、
『ある目的』*6のために意識を他に割いている瞬間にコイツらは飛び込んできた。
全知全能の神が、全知全能でなくなったタイミングで、唯一神どころか天界ごと多大な被害が出そうな爆弾を放り込まれたのである。
「どうせ人類の後は唯一神だったんだ、別にここでもいいだろう?サタン」
『…………それもそうだな、順番が変わるだけか』
『なっ、待っ、待てサタン!?待ッ……!?』
巨大な人間の顔としか思えない外見のYHVHが、今使える力で必死に自爆を抑えようとするが、あまりに襲来が急すぎた。
ただでさえ使えるリソースが減っている上に、目減りしたリソースを別の目的に注ぎ込んているタイミングでの爆撃。
多少威力を抑えることはできようと、サタンの自爆は止められない。
そしてそれは、ハルカごと天界を消し飛ばすことになるという、逃れようのない現実の証明でもあった。
(……勝ったぞ、みんな)
その瞬間、天界(せかい)が輝いた!!
ハルカと阿部の関係は、『ハリー・ポッター』と『アルバス・ダンブルドア』が一番近い。