『【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』様でネタになってたアレコレがあったのでサクっと投稿。
あっちのイワナガヒメ様美人でいいよね!こっちは作者の性癖でこんなんだぜ!!
時期としては半終末突入前後、エンジェルチルドレン~大江山鬼退治あたりぐらい。
【霊山同盟支部 某所】
「え、イヤだけど???」
「ですよねー……」
しょっぱなから盛大に何かを拒否っているのは、この霊山同盟支部の(一応)祭神である『石長比売(イワナガヒメ)』だ。
結界や加護を維持・強化するための祈祷やら、巫女衆には作れないオカルトアイテムの作成やら。
どうしてもやって貰わなければならない他神との交渉やら、なんだかんだいってそれなりにお仕事やってる神様だ。
それに対面しているのは、もはやお馴染み仮面ライダーこと鷹村ハルカ。
後ろには巫女長も控えているが、ハルカの『ですよねー』と共に額を抑えている。
「まず言っておくが……私はもうお父様に会っただけでもメンタルやられかけたからな!
嫁入り拒否られた娘が仕事の為に実家に行くってお前の予想以上に気まずいんだぞ!?」
「な、悩みが大人すぎて僕にはちょっと早いです、すいません。
でも、ニニギとのアレコレについては大山津見神(オオヤマツミ)も猛抗議したんじゃ?」
日本神話の『天孫降臨』において、神武天皇の先祖である『邇邇芸命(ニニギノミコト)』は、オオヤマツミの二人の娘を嫁に勧められた。
姉のイワナガヒメ、妹の木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)の二人である。
しかし、ニニギノミコトは美人であるコノハナサクヤヒメだけを嫁に取り、イワナガヒメをオオヤマツミの元へ送り返した。
だが、これによりイワナガヒメを嫁に取る事で得られるはずだった『天孫(天皇一族)が岩のように永遠となるように』という加護は失われ、
以後、天孫の子孫の寿命は人と変わらぬようになってしまった、というのが比較的ポピュラーな日本神話の一節だ。
このあたりは一度イワナガヒメ解放時の話でもネタにしたが、作者が日本神話で好きなエピソードだからという理由で何度でも書かせてもらう。*1
「冷静に考えろ、父上がやったのは『私を嫁にしたら貰えるはずだった加護はやらん!』だ。
なんだかんだサっちゃん*2の娘婿相手だから身内判定入ったのか対処としてはクソ甘い!
普通だったらサっちゃんの嫁入りも解消かギリシャもビックリな神罰モンだろこれ!?
あの面食い野郎*3の顔の皮ぐらい剥がして欲しいわ!!」
「それは、まあ、そうですね……」
ほがーっ!と叫びながら早口で言ってるからついつい勢いに押されて肯定している側面もあるが、言ってる事自体はそれほど間違っていない。
色々と神話の『都合』もあるのだろうが、オオヤマツミは確かにその辺の裁定が甘い。
もっというと、イワナガヒメとハルカがおずおずと『今後の為にツテのある神を紹介して欲しい』と頼みに行ったら……。
『まかせんしゃい!パパのコネ全部使って霊山同盟支部に百鬼夜行ならぬ百神夜行を並べて見せよう!!』
とか言い出したから冷静にするためにギルスヒールクロウ叩き込むハメになる程度には『身内』に甘い性格であった。
しかも身内判定がややガバいらしく、コノハナサクヤと結婚したニニギも身内判定に入った結果があの裁定なのだそうな。
さて、そんなわけで本題に戻ろう。
前述通り、イワナガヒメはほっとんど霊山から出てこないとはいえ仕事は真面目にこなすタイプの祭神だ。
そんな彼女が、実家帰省以上に拒否する案件はシンプル。
「イヤじゃー!!サっちゃんと会いそうな案件はイヤじゃー!!!」
「それ聞いたらコノハナサクヤ様泣きますよ……?」
『思いっきり女として幸せになった妹と顔合わせたくない』という、これまた非常に人間臭い理由であった。*4
「いいじゃん!私以外のイワナガヒメの分霊だっているんだしそっちに任せりゃいいじゃん!
担当分野が『呪詛』と『若さ』の二点しかない分霊とかほっとけばいいじゃん!
『岩・鉱石』系の分野任されたおかげでウハウハな分霊もいるの知ってんだぞテメー!*5
しかも私と違って顔の造形整ってるしさぁ!神話級ブサイクどこいった!?
ぶっ殺すぞ美人な方の私!ウンコからウンコへの転生を繰り返す感じの殺し方するぞ!」
「きゃあ、じぶんころし」
「ドラえもんのネタやってる場合か!こっちは数千年単位で先に結婚した妹と会いたくないんだよ!
いや嫌ってはいないよ?嫌いとかじゃないの!嫌いとかじゃないけど……」
「ないけど?」
「出会い頭にリア充爆発マハムドオン一発ぐらいは誤射かなって」
「本当に嫌ってないんですよね?あと大問題になるからやめてくださいね?」
まあ、実際対面したらムドすら撃たないだろう、彼女はそういうタイプではない。
めっちゃ頑張って表情筋をひきつった笑みに固定しつつ*6、表向きだけは妹を気遣う態度をしつつ。
内心では「ウンコからウンコへの転生を繰り返せ!」と1秒に16連射のコマンド入力するだけだ。
「はぁー……この分だと【イワナガヒメ様のツテを使ってコノハナサクヤヒメ様系列の神社にツテ繋ぐ】のは無理、か」
「勘弁してくれ、サっちゃんの分霊と何度も会うとか胃がねじ切れるわ。
30代独身OLの姉が20代新婚子持ちの妹と週一で会うよりキツいんだぞコレ」
「いやだから例えが大人すぎて僕にはわかりません、寧ろなんでイワナガヒメ様分かるんですか」
こう言っては何だが、イワナガヒメ信仰とコノハナサクヤヒメ信仰で言えば圧倒的に後者の方が手広く多い。
大抵は戦後にメシア教によって破壊しつくされた『跡地』でしかないが、中には霊能者としての一族を遺している神社もある。
奇跡的に『黒札』が一族に生まれた神社や寺というレアケースもある。信仰が広い日本神とのツテ繋ぎは、そのまま黒札とのツテ繋ぎにも繋がる。
といっても、別に今更黒札とのツテが欲しいというわけではない。
贅沢な話だが、ツテところか支部の中で仕事したり修行したり遊んだり*7してる黒札がいるのが霊山同盟支部なのだから。
じゃあなんでこんな提案をしにきたかといえば……。
「欲しいのは『横』の繋がりだろ?いつもながら律儀なこった……」
「ええ。はっきり言って、このまま『終末』が来た場合、穏健派が自動的に多数派になります。
無論『黒札』という特権階級がいる以上、穏健派がトップになることはないでしょう。
……数十年、いや、百数十年は大丈夫です。数百年まで行くと怪しいですが」
ハルカは転生者ではない、当然、メガテン知識などカケラすらない。
しかし、たとえガイア連合があろうと遠い未来に『真女神転生Ⅱ』のような世界にならない保証はないのだ。
人は安心と安寧に流れるもの、秩序なくして生きられるほど強くはない。
問題は、その『秩序』を司る『最大手派閥』が『メシア教』な事だ。
黒札とて、何百年も生きて頑張ろう!なんて考えているのは希少種も希少種。
ショタオジを含めて生きようと思えば生きられる黒札はいるだろうが、『できる』と『やる』の間には分厚い壁がある。
「だからこそ、今のうちに非メシア教勢力の『横』の繋がりを少しでも太くしたいんです。
まあ、これはこれで所詮日本神話勢力のパイプを太くする程度の悪あがきですけど……」
「ま、ホントにメシア教が覇権握る未来が来るなら、オマエの努力とか蹴っ飛ばされて終わりだもんな」
ぐうの音も出ない。とはいえ、黒札でもなければ転生者でもないハルカができる精いっぱいがこのラインなのだ。
というかこれ以上の事をしようとしたら下手すると黒札の不興を買うし、一部メシア教穏健派が反発しかねない。
イワナガヒメとコノハナサクヤヒメという『姉妹』の縁を使った『ちょっと大きめの女子会』ぐらいの緩い繋がり。
それがハルカの出してきた案だったのだ。
イワナガヒメが『女子会』なんてワードに縁のある神種(じんしゅ)ではなかったと言うだけで。
「……それでも」
「ん?」
「それでも、無駄な足搔きでも、足掻きます。それしかできませんから」
一瞬、そんなハルカを見たイワナガヒメが小さく目を見開き、それから「……はぁー」とため息を吐いた。
後ろで控えていた巫女長がほほ笑んでいる事に小さく舌打ちしつつ*8、戸棚に仕舞ってあった髪と筆を取り出す。
ハルカが「?」とクエスチョンマークを浮かべている間に、ものの数秒で紙の上に何かの文をさらさらと書き連ねた。
「私のMAGを墨にして書いた手紙だ。サっちゃんの高位分霊にアテがついたら届けてやれ。
MAGの感覚で偽装じゃない事は分かるだろうし、内容は季節の挨拶程度に留めておいた。
お前の言う『緩い繋がり』には十分だろ、寧ろ交渉だ取引だを匂わせたら重くなる」
「!? え、いいんですか!?」
「気が向いた時かつ高位分霊に絞った『文通』ならギリって話だからな!?
そもそも、私より目端の利く『イワナガヒメの本体』が、もうツテ繋いでるかもしれない。
その時は潔く諦めろよ?」
「……? いや、分霊ならともかく本体は1つじゃ……」
「石長比売とか磐長姫とか苔牟須売神とかいるけど全部イワナガヒメの本体だからな。
日本神話はその辺雑だぞ。木花知流比売*9の分霊がイワナガヒメになったりもするし。*10
というかそうであってほしい、私の本体はブサイクであってほしい。
寧ろ美人ならなぜ私みたいなブサイクな分霊を作ったと呪詛と共に説教する」*11
「えぇ……」
イワナガヒメの外見や性格に盛大な差がでまくってるのはその影響も大きい。
『人の事を根っこでは信じてないが、人を知ろうとするし利と信仰の関係だけで満足している、ホストにちやほやされるのは好きだけどハマらないタイプ』なイワナガヒメもいれば*12
『人間への理解度が高すぎるせいで本人も人間臭く、ドライな関係でいようとしてるのに情が深いからついつい信じたり愛したりしてしまってガッツリ関わる』……霊山同盟支部のイワナガヒメのような者もいる。
分霊ですらやり方によってはカーミラとエリちゃんばりにズレまくるのがこの世界だ。*13
だからこそ、このイワナガヒメは意外なぐらいにお節介で、人間というモノを信じている。
「言っておくが、何枚も書かないからな。なるべく高位の分霊に回す分だけだ」
「はい!ありがとうございます。イワナガヒメ様!」
「……はあぁー……」
「?」
『素直に感謝されるとイヤミや皮肉も言いづらいんだよなぁ』という思いをたっぷりと込めたため息を吐くが、当の本人はイマイチ理解していない。
策謀・陰謀に対する嗅覚は鋭いくせに、こういう所が微妙にズレてる少年である。
……その後、この手紙*14はハルカから阿部を経由し、某浅間大社系列のコノハナサクヤヒメ*15に渡る事になるのだが、それはまた別のお話……。
見逃してなければ、現在の『最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』様の現在(65話)の時系列は恐山攻略中~ICBM撃墜による半終末突入の間、だったはず。
で、ガイア連合が熱心に各地の日本神話の神々を解放している頃とすると、おおよそカオス転生本編の『★ガイア連合対メシア教対策総合雑談スレ その17+α』あたりと推測。
アメリカやべーことになってんぞ!?みたいな会話はなかったはずだから(見逃してたらゴメンナサイorz)、アメリカがクトゥルフ汚染される前。
つまり、『最速で(略)』様の65話の後にいあいあ汚染&ICBMで半終末に突入、その後ぐらいに今回のお話で出て来たお手紙がくそみそニキ経由で届く(かも?)……という感じです!多分!深夜の脳味噌だからなんか間違ってたらゴメンね!?
というわけでLilyala様、ちょっと使わせて頂きましたー!