流れ者の考察記録   作:sesamer

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 考察することがない…なくない?



11. 挑発×絶での気配察知×ヒソカvsカストロ

 

ーーーCASE1 ゴンの怪力ーーー

 

 

 

 ハンター試験に合格した後に行われる講習を終えた俺は、キルアのもとへ向かおうとするゴン達を見送りながらヒソカ達と話す。

 

「それにしてもとんだ狸だなあのジイさん。洗脳の根拠はないってお前が恐らく操作系の能力者だって分かってただろうに……」

 

「思い切り試験官に針投げて操作してたよね♣︎」

 

「相手は念を知らない人間だからね。あの人も適当に誤魔化したんでしょ」

 

「その念を知らない状態でキミの腕を折るなんてね……♦︎」

 

 ヒソカはイルミの腕を見ながら呟く。その腕は膨れ上がっており、骨折していることが窺えた。

 

「…うん、面白い素材だ。ヒソカとステラが目を掛ける理由も分かるよ」

 

「だろ❤︎」

 

 

 

 ゴンがイルミの腕を折ったのは作中を通して理解の難しいシーンだ。念を習得した人間がそれを覚えてない時と比べて遥かに頑健になるというのは作中でも明らかなことであり、ただでさえゾルディック家の長男として鍛えているはずのイルミが念を覚えていなければ試しの門にも手も足も出ないこの時のゴンに腕を折られるというのは不自然である。

 

 その直後にイルミの発するオーラのようなものを察知して避けたゴンを見るに、ゴンに腕を折られた時のイルミは堅や練で肉体の防御こそはしていなかったものの絶をしていたとは考えにくく、通常状態である纏を維持していたのだろうと推測できる。

 

 だが、その纏の状態でも相当な防御力があるはずだ。ゾルディック家であるイルミの素の肉体が貧弱であるというのは考えにくく、その肉体が纏によって強度が数倍になるだけでもちょっとやそっとの力でダメージを受けるとは思えない。

 

 そんなイルミに対して試しの門の1の門も開けられないゴンの攻撃が何故通ったというのは不思議なことである。だからこそイルミとヒソカはゴンに目を付けたわけだし。

 

 

 

 そこで、俺はゴンの怪力について考えた。先程も言った通り、ゴンは試しの門に手も足も出ないのだが、それが彼のパワーの全てを表すのかと言われたらそれは違う。

 

 例えば門を押す力と門を引く力、その違いだけでも使われる筋肉の部位は若干異なる。試しの門を開けることができないというのが一部の部位の筋肉が弱いことを示しても、全身の筋肉が弱いというのは示していないのだ。

 

 そしてゴンに関してはもっと特殊だ。彼はイルミの腕を握ることで骨折させたのであり、極論を言ってしまえば腕力など全くなくても握力だけあればあの描写は成立するのだ。

 

 

 

 次は「腕力がなくて握力だけあるなんて存在するのか?」ということだが、これはハンター試験を受ける前のゴンのことを考えてみると納得できるかもしれない。

 

 彼は育ての親であるミトさんからハンター試験を受ける為の条件を満たせば受験してもいいと言われていたわけだが、その条件とは「くじら島の沼の主を釣り上げること」だった。

 

 釣りをするのには全身の筋肉を使う為、沼の主と格闘するだけでゴンの筋肉はある程度鍛えられていたのかもしれないが、それはあくまで常人(ほぼ超人かもしれない)としての範疇であり片方2トンという馬鹿げた扉を開ける為のものではない。

 

 

 

 だが、握力という観点で見ると沼の主を釣り上げたゴンの怪力は馬鹿にできないのだ。その時のゴンが使っていた釣り竿はジンの使っていたものであり、数十年も前の産物というのを考えるとその性能はお世辞にも高いとは言えない。実際その釣り竿は木でできたシンプルなものであり、グリップに相当する部分も手作り感溢れるものだった。

 

 更にそれを握っていたゴンは手袋なども着けていない素手だった。そんな装備で沼の主を釣ろうとすれば釣り竿がすっぽ抜けてもおかしくない。その条件を達成した時のゴンは相当な握力があったのだと推測できる。そうなるとゴンは試しの門では測れない怪力でイルミの骨を折ったという話になる。

 

 

 

 そんなゴンのことをイルミは危険視するが、そこをヒソカが忠告する。イルミにとってのキルアが超えてはならないラインであるように、ヒソカにとってのゴンも簡単に手を出してはいけない爆弾であるのだ。

 

「…で、ヒソカはこれからどうするんだい?」

 

「じっと待つよ♦︎ 果実が美味しく実るまで……❤︎」

 

「…そう。ステラは?」

 

「俺は特にすることないし、天空闘技場に戻ろうかなぁ」

 

 あそこ便利すぎるんだよな。200階クラスからは賞金は出ないけど高級ホテル相当の個室と食事が用意されて生活するのには困らないし。

 

「ステラ。分かってると思うけど……」

 

「大丈夫だって、俺の方からキルアに手を出すなんて真似はしないさ。…あっちから動かれたらその限りじゃないけど」

 

「…ま、それでいいや」

 

 ゴン達のストーカーを開始したヒソカを見送りつつ、俺も天空闘技場に帰る。どうせゴンとキルアはここに来るんだし、俺もしばらくは修行に専念しようかな。

 

 

 

ーーーCASE2 念の壁ーーー

 

 

 

「ヒソカ!?どうしてお前がここに!?」

 

「別に不思議じゃないだろ?ボクは戦うのが好きでここは格闘の中心地だ♣︎ ちなみにステラもいるよ♠︎」

 

「…ハイハイ、俺はともかくコイツはお前達のことストーキングしてたぞ。俺とヒソカがここの古株なのは事実だけど」

 

 ヒソカに呼びかけられた俺は手動操作状態の人形の隠を解除し姿を見せる。念も知らなければ凝を使えない今のゴン達にはまるで俺が瞬間移動したかのように見えるだろう。

 

 

 

 そんな俺に対してキルアがキレる。

 

「あっ!ステラお前!その魔法って奴教えろよ!!こっちはそれがネンとやらだって知ってんだぞ!!」

 

「えー、でも俺も忙しいしなぁ……せめてそっちが200階に来れるのなら教えてやってもいいけどさぁ」

 

「でもキミ達がここに足を踏み入れるのは……まだ早い♣︎」

 

 そう言うとヒソカはゴンとキルアの方へオーラを伸ばす。そのオーラがその近くにいた受付のお姉さんには掠りもしてないのは流石ヒソカといったところだろう。

 

 それにしても俺のムーブ、完全にヒソカの手下みたいになってんな……

 

「ここは通さないよ♠︎ というか、通れないだろ?」

 

 念の壁に塞がれて先へ進めないゴンとキルアの下に彼らの師匠となるウイングがやってくる。彼によってゴン達は念について教わることになった。

 

 

 

「いいのかい?キミが彼らに教えなくて♣︎」

 

「俺の念は自己流だ。心源流のちゃんとした師匠に教わるのが1番ゴンとキルアにとっては良いことだろ」

 

 俺の説明にヒソカはそれもそうだと納得する。実際のところ、ゴン達は才能に溢れてるから俺が師匠を務めてもすぐに念を扱えるようになるはずだ。基本の四大行の部分では師匠の差はそこまで現れない。

 

 しかしそれをやってしまうとGI編でのビスケとの関係がどうなるか分からない。ゴン達の師匠であるウイングはビスケの弟子だ。ゴン達が彼女にスムーズに弟子入りする為にはウイングを通した方が良いだろう。そしてビスケの下でゴン達が急成長するのを考えると俺が下手に手出しをするのは避けたいところだ。

 

「じゃあ、ボク達もそろそろ戦る日を決めようよ❤︎」

 

「分かった分かった。…そういえば、俺たちが戦うにあたっていくつか条件を設けたよな?」

 

「そうだね♦︎ 条件は確か…ボクとステラの両方に戦う予定がなく、その上でここの戦闘準備期間である90日を過ぎようとしてる時……あ♣︎」

 

「俺は特に誰と戦いたいとかはないけど、誰かさんは近々戦う予定を作ってた気がするなぁ」

 

 ヒソカのしまったという顔に俺はほくそ笑む。コイツは原作の通り今から約2年前にカストロに洗礼を浴びせ彼と再戦の約束をしていた。そして今度の戦闘準備期間中にその約束の日を迎えるのだ。つまり俺はカストロにヒソカとの戦いを擦り付けたということになる。強く生きろカストロ……

 

「もしかして、ハメた?」

 

「まっさか〜」

 

 ヒソカと戦って死んでしまうカストロには同情するが、ヒソカに喧嘩を売るような奴は死んでも仕方ないと俺は思うのだ。

 

 念がもたらすあらゆる可能性に対してその全てを対策をするのは不可能でありどんなに強くなっても敗北と死の危険性が存在する以上、この世界で長生きする為にはただ強くなることよりも敵を作らないことの方が重要だ。

 

 そんなこの世界でヒソカに喧嘩を売る奴など、幸運にもこの場では生を拾えたとしてもいつかどこかで野垂れ死ぬ運命だ。そんな運命を乗り越えられるのはこの物語の主人公であるゴン達くらいだろう。

 

 え?俺がヒソカに喧嘩売ったのはなんだったのかって?…アレは喧嘩じゃなくて試合だから……

 

 仮にヒソカに殺されないとしても彼を倒せるだけの強さか、殺すには惜しいと感じさせるほどの将来性を見せなければならない。今のカストロではヒソカは殺せないし、その将来性もダブルという能力を選んだ時点で消滅している。来世では頑張れよカストロ……

 

 

 

 そして数時間後、再び現れたゴンとキルアはヒソカの念の壁を突破して無事200階クラスへと進むことができたのだった。

 

「200階クラスにようこそ❤︎ 洗礼は受けずにすみそうだね♦︎」

 

 無言でこちらを睨みつける2人に対してヒソカは言葉を続ける。

 

「キミがここに来た理由はボクと戦う為に鍛える為だろ?」

 

「まさかそっちから来てくれるとは思わなかった。おかげで手間がはぶけた」

 

「くっくっく❤︎ 纏を覚えたくらいでいい気になるなよ♠︎ 念はキミ達が思ってるよりずっと奥が深いのさ♦︎」

 

 そう言うとヒソカは指から発するオーラを操作してスペードとドクロのマークを形作る。オーラの操作という内容からこの技術は操作系の得意分野のように見えるがこれは変化系のものだ。操作系が得意なのはオーラを物に込めて物を操作することであり、オーラを操るのは系統別の修行内容を見るに変化系の分野である。

 

「はっきり言って今のキミと戦う気は全くない♠︎ …だが、このクラスで一度でも勝つことができたらその時は相手になろう❤︎」

 

 ヒソカはそう言い残すとそのまま自室へと戻っていった。

 

「んじゃ、そういうことで俺も帰るわ。ゴンも頑張れよ」

 

「うん!」

 

「ちょっと待てよステラ!」

 

 俺も自室へと帰ろうとしたところ、キルアに呼び止められた。

 

「オレはお前と戦いたい、最終試験での言葉を忘れたわけじゃねぇぜ」

 

「あの時は下手な挑発に乗らないって言ってなかったか?」

 

「挑発に乗るのと挑発を忘れるのは話が別だろ?それに200階クラス同士が戦うのは自然な話だぜ?」

 

 どう考えても屁理屈であるキルアの言葉を聞きながら俺は考える。俺だってキルアと戦うのはやぶさかではない。やぶさかではない…が、ちょっと前にイルミに忠告された通りのことだ。あり得ないとは思うが、もしキルアに致命的なダメージを負わせてしまった場合は俺の首の方が飛ぶ。

 

「それに前にここでオレと戦ってた時はずっと手加減してたんだろ?今のオレなら相手になれる」

 

「…まるで今なら俺の本気を見れるみたいな言い草だな」

 

「へっ、違うのか?オレからすれば今のアンタはビビってるように見えるぜ?」

 

 

 

「…ふふ…はーはっは!!いいだろう!そこまで言うのなら相手してやんよ」

 

「(チョロいヤツ)」

 

「ゴンと同じ条件でいいな?ここで一勝でもすれば受けて立つ」

 

「ああ、首を洗って待ってろよ」

 

 キルアの力強い言葉を背に俺は自室へと帰る。その顔はちょっと他人に見せられないくらいには緩んでいた。

 

 確かにキルアと戦うのはリスクがあるかもしれないが、そんなことがどうでもいいくらい今の俺はキルアの言葉が嬉しかった。

 

 

 

 キルアは基本的に格上との戦いを避けるというのは以前語った通りだ。暗殺者として育てられたキルアにとっては依頼を成功させるのが絶対であり、その為には勝敗の分からない戦いなど絶対に避けるべきである。更に今のキルアにはイルミによる思考矯正が為されており、それによって格上との戦いは避けるようになっている。恐らく今の時点ではキルア自身も俺との実力差は感じ取っているだろう。

 

 それでもキルアは絶対に勝てる条件で行う今までの「暗殺者としての戦い」とは全く異なる、勝敗の分からない「念能力者としての戦い」にその身を置いたのだ。そしてその初めてを務める相手は自分。これが嬉しく思わないわけがない!

 

 ひょっとしたら、ヒソカの隣にいすぎたせいで俺の考え方が歪んでるのかもしれんが…嬉しいものは嬉しい!

 

 ヒソカのようにゴンを導きながら相手するというのは俺には無理かもしれないが、少なくともキルアを失望させる戦いにはしないようにしないとな!!

 

 

 

ーーーCASE3 物を操る強化系能力者ーーー

 

 

 

 念を覚えたゴンはウイングの忠告を無視して早速試合に出る。天性の才能で習得していた絶と外法によって習得した纏しか覚えていない今のゴンが念能力者同士の土俵に上がるのは無茶なことであり、それを証明するかのように今のゴンは追い詰められていた。

 

「攻めは独楽を操作して攻撃する舞踏独楽!守りはオレ自らが独楽となる竜巻独楽!この攻防一体の戦術を前にお前ができることは何もない!」

 

「どうしたらいい…今のオレに何ができる……?」

 

 ゴンの対戦相手であるギドは強化系の使い手でありながら独楽を操作して敵を攻撃するという能力者だった。一見すると、操作系能力者でもないのに物を操作するというのは噛み合ってないのではないか?と思われるのかもしれないがそれは違う。

 

 

 

 物を強化する、という行為だけなら操作系よりも強化系の得意分野となる。そして物を操作する、という行為は当然操作系の得意分野となるわけだが、この場合はギドはどちらを優先すべきか?ということを考えなければならない。

 

 例えば、もしギドが操作系能力者だったとして同じ能力で戦おうとした場合、独楽の操作性は格段に上昇しただろう。強化系の時より当てやすくなったに違いない。だがその威力は劇的に減少するはずだ。もしかしたら念を覚えたばかりのゴンにすらダメージを与えられなかったかもしれない。念能力者の防御力は肉体の硬度×念による強化であり、ゴンの肉体性能を考えれば纏の時点でも相当な防御力を持っているはずだからだ。

 

 その場合、この試合展開は全く違ったものになっていただろう。ギド自身が独楽になる技だって操作系の能力者がやっても大した防御にはならないに違いない。操作系になったからと言って物を利用して攻撃するのが得意になるとは限らないのだ。

 

 物を操作しようが物を具現化しようが、最終的にそれらを使って殴打するのなら結局は強化系が1番強いのである。やっぱ強化系ってズルだよコレ!

 

 

 

 ただ留意点として考えなければいけないことは、操作系能力者ならば愛用の独楽に多くのオーラを込めることで強化系並の破壊力を生み出すことも不可能ではないということだ。

 

 クラピカvsウボォーギンにおいて、ウボォーは「鎖にあれだけのオーラを込めることができるのは物体を操る操作系かオーラを物体化する具現化系」と言った。実際、クラピカの「束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)」は銃弾を受けても無傷なくらい頑丈なウボォーが回避に徹するほどであり、鎖そのものが相当な威力を持っていたと推測できる。

 

 クラピカと同じようにギドが独楽に大量のオーラを込めることで破壊力と操作性を両立させる、というのも不可能な話ではない。

 

 

 

 しかし、通常で念能力者が出せるオーラの量は個人によって決まっており、それを超えるオーラを引き出すには制約と誓約によって技の出力を上昇させなければならない。更にギドの扱う独楽は最大で50を超え、それら全てに大量のオーラを消費するというのは少々現実的ではない。

 

 もしギドが超一流の操作系能力者であればそのようなことも可能だったのかもしれないが、彼の実力は200階クラスで洗礼することでしか勝ちを稼げないだけのものであり、逆に言えばその実力しか持っていなくても強化系能力者ならば威力だけは再現することができるのだ。

 

 ウイングは彼の能力について「操作系との相性が悪く性能は今ひとつ」という評価を下したわけだが、あれは独楽の操作性能が悪いという話であって彼が操作系ならばもっと良かったという話ではないのである。

 

 

 

ーーーCASE4 絶での気配察知ーーー

 

 

 

 そんなギドの戦法に対してゴンがどうしたのか、というと……

 

「ゴン!!なんで念を出してないんだ!?その状態で念の攻撃を受けちまったら生身の体はひとたまりもないんだぞ!!」

 

 彼は敢えて絶をすることでより独楽の出すオーラを感じ取ろうとしたのである。これが如何に馬鹿げた行為であるかについては語るまでもないことだが、実際ゴンはより鋭敏に気配を察知して纏をしながらでは避けられなかった独楽を避け続けることに成功したのである。

 

 基本的に念で扱うオーラと気配は同一のものだ。絶によってオーラを絶つことが気配を絶つことに繋がるし、オーラを感じ取ることは気配を感じ取るのとほぼ同じだ。個人的にはオーラが気配を放出していると俺は考えているが…今はこの話は重要ではない。

 

 

 

 重要なのは、絶は気配を感じ取るのにも向いているということだ。この時点でのゴンは「纏に気を取られている余裕がない」という理屈で絶をしたわけだが、その理由なら普通はオーラを垂れ流す自然の状態になるべきだし後にウイングがその方法を認めているため、ゴンが無意識のうちに自身の取れる正解を出したのだと考えるのが自然だろう。

 

 そして俺は、この仕組みは念が人間へ及ぼす影響力が高いからだと思っている。例えばヒソカは先日念の壁でゴン達に通せんぼをしたわけだが、あれをできたのはオーラを垂れ流しているだけのゴン達にとってヒソカの出す凶悪なオーラに肉体が耐えられなかったからだ。

 

 これは仮に念を習得した人間であっても絶の状態であれば同様のことが起きる。キメラアント編において気配が察知されないように絶で隠密行動をしていたノヴはプフの発するオーラを視認したことで病んでしまった。ゴンとキルアですらオーラを垂れ流していたのに彼はそのオーラを完全に絶った状態で通せんぼのつもりのヒソカより凶悪なオーラ及び気配に直面したのである。ハゲになっただけで済んだのは凄いと思う。

 

 

 

 つまり絶によってオーラの防御を消すことでオーラに敏感になり、その結果より微かなオーラや気配でも察知することができる、というのが今のゴンがやっていることであると俺は推測する。

 

 それを理屈ではなく直感で導き出したのが彼の凄いことだと俺は思う。そんな命知らずを実戦でやったこともだけど……

 

 

 

 まあ結局のところその行動は試合の延長はできても逆転には全く繋がらないものであり、最終的にゴンは全治4ヶ月の重傷を負ったこととウイングから2ヶ月の修行禁止を言い渡されたことでこの試合の幕は閉じたのだった。

 

 この2ヶ月の修行禁止期間のせいでゴンとキルアはヨークシン編でクラピカに大きな遅れを取ったんだと思うんだよな……GI編のビスケとの修行は約3ヶ月でウイングとの修行期間を1ヶ月として足すと大体クラピカの修行期間と一致するし。逆に、ヨークシン編のクラピカは大体GI編修行後のゴンとキルア並の実力だと考えられるわけだ。そりゃ強いわ。

 

 

 

ーーーCASE5 ヒソカvsカストローーー

 

 

 

 そして俺の代わりにヒソカと戦うことになったカストロとヒソカの戦いを一応俺は観戦していたわけだが。

 

「キミの敗因は、容量(メモリ)のムダ使い❤︎」

 

 ヒソカに敗北して死んでいくカストロを見て、とりあえず俺がこの試合に対して率直に思ったことは、

 

「2人とも舐めプしすぎだアホ共!」

 

 だった。

 

 

 

 まずカストロ。彼は自身の能力である「分身(ダブル)」を使うにあたって、分身でできた死角に本体が隠れることで分身という能力の存在自体を隠すことで試合を有利に運び、最終的にヒソカに能力を見破られて敗北した。

 

 その能力を見破られたきっかけはヒソカがカストロの虎口拳に対して自分から左腕を差し出した時に分身を使って背後から右腕を切断したことだ。

 

 カストロはヒソカの行動を罠だと疑い、差し出してない方の腕を取ることで状況の優位性を得ようとしたのは分かる。実際ヒソカの腕を差し出すという行為は怪しいものであったしなんらかの能力を警戒するのは正しい。

 

 だが、自分の能力を見極めようとしている相手に対して隠している能力を堂々と使うのはかなりリスクのある行為だ。特にカストロのダブルのような敵に知られることがマイナスになる能力なら尚更である。

 

 そんな特大のリスクを払って得たものがヒソカが差し出した方とは逆の腕というのは正直言って全く釣り合わない。まあカストロは自分の能力の短所を把握しておらず能力がバレることが敗北に繋がるとは全く考えていなかったため、短慮ではあれど本人視点で失敗とまで言えるものではないのかもしれない。

 

 あとは能力の調整ミスだがこれはもう言わずもがなである。

 

 

 

 問題はヒソカの方だ。この試合の直後に彼を治しに来たマチは「あんたバカでしょ」とざっくり言っているが、コイツマジもんの阿呆だよ。

 

 戦いの前半はお互いに様子見で特におかしなところはなかった。強いて言うならヒソカはこの時全く能力を使っていなかったので、既にこの時から舐めプしていたのだと思われるが、まあこのくらいの舐めプは許容範囲だ。俺としては安直に攻めず慎重に様子を見るのはむしろ評価点だし。

 

 右腕を切断されたのは能力を見破る為であり、実際ヒソカはダブルを見破れたのだから俺としては特に指摘することはない。その後ヒソカは奇術を披露したのだが、それだって隠を仕込む為のミスディレクションであり、場慣れした念能力者には通じないかもしれないが実際にカストロには通用したし、所詮はただの策のひとつなのだからとやかく言うつもりはない。

 

 問題は次のシーンだ。奇術を披露した後にヒソカは残った左腕をカストロへと差し出して切断されたわけだが、これはマジで意味不明な行為だ。ヒソカからしたらカストロや観客を驚かせるとかそういう意味があるのかもしれないが、それは舐めプ以外の何物でもない。

 

 何故なら、奇術を披露し隠の仕込みが完了した時点でヒソカの勝ちはほぼ確定していたからである。ヒソカの能力である「伸縮自在の愛(バンジーガム)」は伸び縮みするオーラを自在に操るというものであり、ヒソカはそれを隠で見えなくしつつ奇術でばら撒いたトランプとカストロを結ぶという仕込みをしていたのだが、その時点でヒソカはカストロに対して四方八方からトランプを飛ばして攻撃することができたのだ。

 

 もちろん単純に攻撃するだけではカストロは防御できただろう。だが、カストロがヒソカの差し出した左腕を攻撃するタイミングで能力を発動すれば恐らくカストロに通用していたはずだ。カストロのダブルは操作するのに集中力を使う為、ヒソカに分身を攻撃させながら同時に周囲からの攻撃に備えるなんて芸当は難しい。オーラに関してもヒソカの腕を切断するだけのオーラを分身に集中させつつ本体が堅或いは練で身を守るというのはまず不可能だ。

 

 それなのにヒソカがその絶好のタイミングでやったことといえば、バンジーガムで既に切断された右腕を引き戻し「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」で切断部分をカモフラージュし切断されたはずの右腕が治ったように見せかける手品である。何やってんだか……

 

 そもそもドッキリテクスチャーは戦闘向きじゃないんだから無理に使わなくていいだろ常識的に考えて……

 

 

 

 まあヒソカがちゃんと目的を持ってこのような行動をしたについてもある程度推測はできる。恐らくヒソカはカストロを脳震盪にさせて分身を出さない状況を作り上げたかったのだろう。実際そのような状況を作り上げれば確実に倒せるからな。

 

 そのためにカストロの顎にバンジーガムに飛ばし結んでいた左腕を敢えてカストロに切断させることで、ガムを縮めるだけで切断された左腕がカストロの顎に向かって飛んでいく仕掛けを作ったのだ。後は適当に揺さぶりを掛けて本体が特攻した時に左腕を飛ばしてカウンターすればいい。後は左腕が顎にクリーンヒットし動けなくなったカストロにトドメを刺すだけだ。

 

 だが、わざわざそんな迂遠なやり方を取らずともトランプによる攻撃は通っていた可能性が高いのだ。そもそもヒソカの隠に対して凝で警戒しない時点でカストロの勝ち筋は存在せず、ヒソカはありとあらゆる方法でカストロをハメることができたはずだ。それなのにわざわざ相手を完全に無抵抗にしてトドメを刺すというのは無駄が多すぎる。

 

 

 

 まあそんな指摘はバトルジャンキー且つエンターテイナー且つ変態のヒソカには通じないだろう。ヒソカの流儀はただ単に相手を倒して勝利するのではなく、相手の戦い方に合わせて派手に戦いその上で相手を屈服させるというものだ。

 

 もしかしたらこういうのが「完璧に勝つ♣︎」なのかもしれないな……ヒソカもゴンも勝ち方には拘るし。ただ俺のイメージだとゴンは相手の戦い方に合わせるというよりは相手を自分の戦い方に引き込むって感じがするが。

 

 

 

 まあ死んでしまったカストロには同情するが、俺としてはいつまでもそんなことを気にしている場合でもない。キルアとの戦いの為に色々準備しないとな!

 

 




 キルアの(格上との戦いの)処女を奪うTSオリ主ですって!?
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