流れ者の考察記録   作:sesamer

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 コッソリ投稿すればバレへんか…



12.「ハメ」×口止め×ヨークシン行き

 

―――CASE OF KILLUA―――

 

 

 

 天空闘技場を後にしたオレ達はゴンの実家であるくじら島へと向かっていた。

 

「結局2人して負けちまったな」

 

「うん…けど次戦う時は勝てるかもしれない…と思う」

 

「あのバトルでか?それにまたヒソカと戦うつもりなんて命が惜しくないのかよお前…」

 

 オレがゴンの無鉄砲振りにいつものように呆れているとゴンは逃げるように話題を変えた。

 

「ハハハ…それにしても、ステラの能力って優しいよね」

 

「ええ…オレとアイツのバトル見てそんな感想出るかよフツー」

 

「でもウイングさんは褒めてたじゃん。危害を加えず無力化できる良い念能力だって」

 

 話をしながらオレは決戦の前夜、水見式の修行をする際の会話を思い出していた。

 

 

 

「さて、ヒソカの能力は凝を覚える過程で見破りましたが、ステラさんは私達がいる時に試合をしなかったので能力が分かりませんね」

 

「あー師匠、それが……」

 

「実はステラの能力は大体分かってるんだオレ達」

 

「そうなのですか?」

 

 オレはハンター試験の三次試験を思い出す。あの時のクラピカの推理はステラの反応からしても大部分は的を射たものだったはずだ。

 

「ステラの能力はカストロのように念で分身を作るもの、ただし分身は風船でできていて耳元で破裂して爆音を鳴らすことで相手を気絶させることができる…って感じ」

 

「…驚きました。本人から聞いたのですか?」

 

「ううん、クラピカっていうオレ達の友達がステラの能力を当てたんだ」

 

「念知らない時にな」

 

「えぇ……」

 

 困惑するウイングだったが、話を聞きながら聞いた噂と合致したことに納得したようだった。

 

 

 

「…確かにその理屈なら指を鳴らすだけで相手を倒す謎にも説明がつきますね」

 

「恐らく彼女は具現化系の能力者でしょう。分身が風船でできているということは攻撃性はなく、彼女自身は強化系からは遠い位置に属していると考えられます」

 

「カストロと違って選択ミスではないってことか」

 

「その代わり、分身を含めた彼女の攻撃性は低いはずです。ヒソカのゴムと違って能力を発動した際には避けるのではなく積極的に追うべきですね」

 

「音の方も耳を塞げば防げるしね!」

 

「今日のうちに耳栓でも買っておくとするか」

 

 

 

 明日はどういう風に戦っていくかを考えていると、改めて納得したかのようにウイングは話す。

 

「彼女が洗礼狙いの選手として名が挙がっていたことにも納得が行きました」

 

「ステラが洗礼狙い!?」

 

 洗礼とは200階クラスに上がって間もない念を知らない人間を念を使って一方的に攻撃することであり、それはオレ達の知っているステラがやるとは思えない卑怯なものだった。

 

(いや…アイツまあまあ卑怯だしやっててもおかしくないのか…?)

 

 自分はステラについて知ってることが思った以上に少ないことに改めて気づいているとゴンが閃く。

 

「そっか!ステラの能力なら念で攻撃しても傷つかないんだ!」

 

「なるほど、普通の洗礼なら選手に致命的なダメージが入るがステラなら無傷にできる。アイツからすれば洗礼は保護か…相変わらずだなアイツ」

 

「そうです。天空闘技場の現状を憂う者の観点からすると、彼女の能力は他者に危害を加えずに無力化し、同時に念での攻撃を加えることで相手を念に目覚めさせることもできる良い能力です」

 

 ウイングの説明を聞きながら、オレはステラが底抜けのお人好しなんじゃないかと思っていた。

 

(アイツ…能力までお人好しだったりするんじゃないんだろうな……)

 

 

 

 だが、その推測が全くの見当はずれであったことを知るのはその次の日のことだった。

 

 

 

「あの能力が攻撃性は無いなんて話は欺瞞以外の何者でもなかったぞ!攻撃をする方法なんて直接殴る以外にいくらでもあるんだからな!」

 

「…まさかオレみたいに石板を投げるなんてね」

 

「それも分身を利用して何枚もだ。…あの分身の役割は撹乱なんかじゃない。殴って来ないだけの立派な戦力だ!」

 

 

 

 ゴンに説明しながらステラの戦い方を思い出す。アイツは最初、分身でオレを囲み死角から攻撃することでポイントを稼いだ。それ自体は分身を使えるならやって当然な戦術だし、オレも肢曲で似たようなことはできる。

 

 当然それに対する有効策を考えていたオレは敢えて死角を作り出し攻撃を誘発することで反撃をすることに成功した。

 

 だがオレが死角を作るようになって攻撃に対応できるようになると、アイツはそのタイミングで分身で攻撃するようになり、オレは死角を突いてくるステラが本物か分身かを読まないといけなくなった。

 

 既にポイントをリードされていたオレはそのまま攻防を続けるのは不利だと判断し包囲網を抜け出すことを決意する。抜け出すタイミングで攻撃を喰らいポイントを稼がれる可能性はあるが、上手く本物を見つけて反撃すれば逆転できる可能性もある。

 

 オレは素早く耳栓を付け(それまでは破裂させても一度に精々一体二体だったから聴覚を優先していた)一気に分身達を破壊しながら包囲網を破ろうとした。当然それを妨害すべくステラの攻撃が飛んでくるとは思い防御していたがそんなことはなく、驚くほど簡単にオレは脱出することができた。

 

 だがそんなオレの目の前に現れたのは石の壁だった。

 

 オレが包囲網から抜け出そうと判断し耳を塞いだ時にアイツはゴンがやっていたように会場の足場である石板を剥がしオレに投げつけていたのだ。

 

 石板は分身と違って攻撃性を持っている為オレも防御しないといけない。確かにこの方法なら直接攻撃するより安全にオレを足止めし分身による包囲網を再展開できる、と下唇を噛みながら周囲を見渡したオレを待っていたのは石板の山だった。

 

 

 

「もしステラが最初から石板での攻撃を予定してたなら、オレはそれを実況の音声から判断できたはずだ。恐らくアイツはオレが耳栓を使って特攻することまで織り込み済みだった!」

 

「絶対に触らせないという強い意思を感じる……」

 

「あの能力が優しいなんて絶対ありえないね!陰湿で厄介!ヒソカと一緒だよ!」

 

 

 

―――CASE1 「ハメ」―――

 

 

 

「くしゅんっ!…夏風邪でも引いたかな?」

 

 天空闘技場の個室に備わっているお風呂から上がって湯冷めしないように体を乾かしていた俺は、キルアとの試合を思い返していた。

 

 自分でやっておいてなにを言ってんだ、とは思うが今回の試合の率直な感想はキルアかわいそ…だ。

 

 でもまあ自分としてはあの試合は念能力、ひいてはこの世界における戦い方としては理想的なものではあった。

 

 

 

 念能力によって実現可能なことは多岐に渡り、それら全てに対して土壇場で対応するのは不可能であるというのが俺の持論であり、極論を言ってしまえばどんな相手だろうが念能力を使った戦闘を行う時点で絶対に敗北の可能性を消し去ることはできない。

 

 その中で最もその可能性を低くする方法は相手に行動の余地を与えずに一方的に倒す…いわゆる「ハメ」だ。プロレスなら塩試合と呼ばれるものだが、この考えを念頭に置いて作中のバトルを振り返ると面白いことに気づくだろう。

 

 

 

 作中の名勝負と言えば、ゴンVSゲンスルーやネテロVSメルエム、ヒソカVSクロロなどが挙げられるが、これらは全てハメが前提の勝負なのである。

 

 例えばゴンVSゲンスルーの場合、ゲンスルーの能力を事前に知ることができたゴンはその対策をすることで格上であるゲンスルーとの近接戦闘をすることができたわけだが、それ自体はただの茶番であり、真の狙いは落とし穴と実体化させた大岩を用いてゲンスルーを強制的にゴンの元へ移動させ、渾身のジャジャン拳を当てることにあった。

 

 ネテロVSメルエムの場合はネテロの能力である百式観音がまず回避不能のハメ技であり、メルエムにキメラアント特有の防御力がなければ絶対に勝つことはできなかった。更にネテロはメルエムが自身を超えてくる場合に備えて自らの肉体に薔薇を埋め込みメルエム諸共自爆した。

 

 ヒソカVSクロロなんかはその典型だ。クロロはヒソカに100%勝つ為に能力と戦術を用意し、その言葉通りにヒソカをほぼ何もさせずに爆殺することに成功した。

 

 

 

 ヒソカを相手したクロロのように敗北の可能性を消し去る為に戦略や戦術を用意するか、メルエムを相手したネテロのように敗北を想定した上でそれを覆す手段を用意するか、考え方は少し違うが彼らは自分の実力で真正面から敵を打ち破るのではなく、勝負が始まる前から敵がどんな行動を取ろうが必ず倒せるように準備を整えていたのだ。

 

 俺は決して彼らを卑怯者とは呼ばないし呼ばせはしない。真正面から戦って負けたらハイお終いじゃあ命が幾つあっても足りないからだ。実際ヒソカなんかは一回死んでるからな…むしろアイツは死んどけよ。

 

 

 

 …とにかく、この世界における一番理想的な勝ち方は先述したような「ハメ」にあるわけで、今回のキルアとの試合はその点から見るとかなり理想的なものであったわけだ。

 

 薄々勘付かれてるかもしれないが、実は俺の能力もそういう観点で作った能力なのである。

 

 

 

―――CASE2 ハメやすさとハメられにくさ―――

 

 

 

 俺が思うハメやすい能力は先程も挙げたネテロとクロロの能力だ。百式観音は相手に回避も反撃も許さずに一方的に攻撃することができ、盗賊の極意は能力を揃えることで相手をハメる為のコンボを楽に作り出すことができる。

 

 ここに相手は能力を知らないという前提があればハメやすい能力は他にたくさんあるわけだが、俺は敵に能力が知られてもマイナスにならない能力に限定して考えている。

 

 例えばキルアの能力である「神速(カンムル)」の一つ、「疾風迅雷」は相手の攻撃に反応して超高速で攻撃するというもので相手に回避も防御もさせずに一方的に攻撃することができるが、このようなカウンター型の能力は相手が知った場合に直接攻撃しないことでカウンターを喰らわない立ち回りができる為、ハメやすいとは言えない。

 

 そのような観点で言えば、俺の能力は単純に使っただけでは撹乱にしかならないし音による攻撃も敵に知られることで無効化しやすい。だが、分身を手数として使えば話は違ってくる。

 

 今回のように分身を大量に使えば石板のような重い物を次々と投擲することができるし、ここに銃火器があれば1人で軍隊を率いることもできる。

 

 分身に攻撃力はないというのはあくまで分身単体では攻撃能力を持たないという話であって、他の手段で分身に攻撃能力を持たせることは可能なのである。

 

 つまるところ俺の能力でハメるパターンは分身を使って一対多の構図を作ることで数の暴力でゴリ押しするのである。卑怯とは言うまいね?

 

 

 

 また、俺がこの能力を作ったのには「如何に相手をハメやすいか?」に加えて「如何に相手にハメられにくいか?」という観点もある。

 

 これは文字通り相手からのハメに対する耐性である。いざ自分の必勝パターンに移ろうとしても、先に自分がハメられて負けたらお話にならない。

 

 これは対応力と読み替えても良い。この分野においてトップクラスなのはヒソカのバンジーガムであり、攻撃防御移動の全てにおいて高いレベルで応用することができるこの能力以上のものを俺はちょっと思い付かない。

 

 そして俺のワンダーバルーンはこっちの方をより重視している。まずは分身を使って撹乱をすることで相手の攻撃を防ぎ、相手の視界と聴覚を妨害することで攻撃の起点を作りやすくするのがこの能力における必勝パターンだ。

 

 

 

 一見隙のない布陣ではあるが広範囲を攻撃するなど負け筋はいくらでもあり、敵がどのような能力か分からない状態で相手をするのは正直なところ怖い。

 

 だからそのような場合は手動操作による分身を威力偵察とし、自身は自動操作による分身で運んで逃げることで安全に戦うことができるわけだ。卑怯とは言わないでくれ……

 

 

 

―――CASE3 制約の有効活用―――

 

 

 

 あとは自分の能力を作る上で意識したのは制約の少なさくらいだ。以前話をした通り、制約とは基本的に重くすればするほど能力としての取り回しが悪くなり、対応力は低くなるものである。

 

 例えば、先程はハメやすさの点で一番に挙げた盗賊の極意は対応力という観点で見るとあまり高いものではない。何故なら能力を盗むのも保存しておくのも相応の難易度があり、使いたい時に使いたい能力を引き出せるほど万能ではないからだ。予め能力を準備した上で使う場合は無敵の力を誇るがその準備がなければそこまで凶悪ではない。

 

 一方で同じように挙げた百式観音だが、こちらに関しては制約によって対応力を下げている要素は殆どない。精々が攻撃パターンが九十九の有限なことくらいで、その弱点を突くことができる能力者などメルエム以外に存在しないだろう。

 

 むしろ、百式観音に関しては制約を掛けることで能力を強化してるとさえ言えるかもしれない。

 

 

 

 ネテロの能力である百式観音は巨大な観音像を具現化して攻撃する、というものである。そこだけを切り出すと一見強化系が具現化するというメモリの無駄遣いをしているように思われるが、カストロのダブルと違って様々な点で扱い易いものとなっている。

 

 例えば、基本的に精巧な物を具現化するほど具現化として使用するメモリは大きくなるが、百式観音の観音像は精巧には見えても人間と見間違うほどの分身ほど精巧ではない。同じように操作に関しても百式観音の操作は祈りとその後の動作をコマンドとする操作方法である。意識してリモートで動かしたりオートで動かしたりするよりもコスパが良さそうに見えるだろう。

 

 このように様々な点で強化系にも動かしやすいように考えられているのが百式観音なのである。これと比較するとカストロのダブルがカスに見えてしまうのは仕方のないことなのかもしれない……

 

 

 

 それに俺の個人的な考えではあるが、百式観音の妙なる部分は制約にあると思っている。百式観音の操作をコマンド式にすることでコスパを良くしているとは先程述べたが、この部分にあの老獪な爺さんにしか許されない裏技があるのだ。

 

 原作を知っているなら有名な話だが、ネテロは武道への感謝の正拳突きに人生を捧げることで身に付けた「時間を置き去りにした祈り」を特技としている。これは催眠術や超スピードなどチャチなものではない、作中の誰もが捉えることのできない不思議現象なのだが、この祈りが百式観音の操作に関わっているのだ。

 

 早い話、祈りを含めた操作コマンドをネテロは時間を置き去りにして発動することができ、ネテロの動きとリンクする観音像の攻撃も同じ速さになることで結果として異次元の速さの攻撃を可能としているのである。

 

 

 

 この現象は本来念能力にリスクを掛ける為の制約を逆手に取ってノーリスクで二重のリターンを得るという念能力の基本を超越したものであり、そんなのズルじゃん!と俺は思うのだがこれと似たようなケースはもうひとつある。

 

 それはネフェルピトーのドクタープライスだ。キメラアント編においてネテロの百式観音によって彼方へ吹っ飛ばされようとした時、ピトーはドクタープライスの制約である「発動した地点から能力がピトーの尻尾と繋がり移動ができない」を逆手に取って空中で静止することに成功した。

 

 この2つの制約を有効活用した事例を見ていくと、ひとつの仮説が立てられる。

 

 

 

 それは「発動条件として設定した場合の制約は有効活用することができるのではないか?」というものだ。

 

 制約と一口に言っても色んなものがあり、例えば能力を発動する為の条件や解除される条件、能力の挙動も制約によって変わるだろう。例えば俺のワンダーバルーンにも多少の制約があり、分身が破裂する条件は制約として設定されている。

 

 百式観音の操作コマンドは能力の発動条件として設定されている為に制約を利用して不可避の速攻を実現しても制約は変わらず、ピトーの動けないという制約も発動後に動くことで能力が解除されるという解除条件ではなく、能力発動時に能力と身体が繋がって動けなくなるという発動条件であった為に活用することができたのではないのか?というのが俺の考えである。

 

 

 

 この考えを突き詰めていくと意外な所にも制約を活用している事例があった。それはゲンスルーのカウントダウンである。

 

 これはゲンスルーが対象の身体に接触しながら「ボマー」と言うことと、能力の説明と解除条件を口頭で伝えることの2つの条件を満たすことで対象に接触した部分に爆弾を具現化するという能力なのだが、重要なのは1つ目の条件を満たした時点では爆弾が具現化しないことである。

 

 その時点では能力が発動していないのだから当たり前の挙動のようにも思えるが、具現化系の能力者は放出系が苦手であることを考えると、説明をした時点で離れている対象に爆弾を具現化するというのは普通の具現化系能力者には不可能なのである。

 

 つまりカウントダウンは、能力の発動条件に関する制約によって通常では不可能な能力の挙動を実現するという、制約の有効活用だと解釈できるのである。

 

 

 

 ちなみにこの制約の有効活用だが、これをズルいと思ってしまう人間には恐らく利用不可能だと思われる。なんでそう言えるのかって?それはまあ……

 

 

 

―――CASE4 次の目的地―――

 

 

 

 今後の話の方に移るのだが、今回キルアに勝ったことで俺は天空闘技場での10勝を達成しフロアマスターの挑戦権を得た。

 

 しかし天空闘技場をただの修行場兼拠点として利用してきた俺にとってはフロアマスターというのは自由に戦えないなどむしろデメリットの方が大きい。この辺で天空闘技場にもお別れを告げる時が来たようだ。

 

 じゃあどこに行くんだって話ではあるが、とりあえずはカイトと合流しようと今は考えている。今の時期ならカイト達はカキン国の依頼で希少動物の保護をしているはずであり、合流も容易だろう。

 

 

 

 え?ヨークシンには行かないのかって?

 

 なんで地獄に行く必要なんかあるんですか(正論)。

 

 

 

 天空闘技場編の次であるヨークシン編はハンターハンターの中でも特に人気なエピソードであり、その理由は魅力的な敵キャラ集団である幻影旅団とそれを追うクラピカを主軸にしたダークなストーリーの中で今までの戦いがお遊びに見えるかのようなガチ戦闘が起きるからである。

 

 そりゃ読者からの人気も高いわっていう要素の数々は実際の登場人物になってみると全て危険要素でしかなく、ただでさえ蟻編に強制参加なのにヨークシンに行くわけねぇだろバーカ!というのが俺の嘘偽りのない意見である。

 

 

 

 単純な戦力として見た場合、俺は幻影旅団の構成員に勝るとも劣らない実力を備えているとは自負している。

 

 仮に俺がクラピカの味方をすれば戦力的にはかなりのプラスになるだろう。なんせクラピカ陣営は念を覚えて数ヶ月のクラピカが最強戦力で次点が四大行しか使えないゴンとキルアだからな……

 

 負けイベかなにかか?

 

 

 

 だが、別に俺がクラピカ達の味方をしなくても上手くいくからわざわざ味方をする必要はないし、戦力とかそんなこと言ってる場合じゃない特大の脅威がヨークシンにはあるのだ。

 

 

 

―――CASE5 記憶を読む念能力者―――

 

 

 

 それは幻影旅団の構成員の1人であるパクノダだ。彼女は特質系の能力者でその能力は対象に接触することでその対象の記憶を読む、というものだ。更に読んだ記憶を具現化した拳銃の弾に込めて放つことで他者にその記憶を読み取らせたり記憶の持ち主に撃ってそれを抹消したりすることができる「記憶弾(メモリーボム)」という能力を持っている。

 

 

 

 賢明な人であれば今の時点で俺が何をそんなに恐れているかが分かっただろう。そう、原作知識という大きなアドバンテージを持つ転生者にとってパクノダは天敵と言っても過言ではない恐ろしい相手なのだ。

 

 触れるだけというあまりにもローリスクな発動条件を考えると俺の原作知識が読み取られる可能性は決して低くなく、そんなものは序の口で俺がメモリーボムに撃たれて原作知識を失くしてしまう可能性があれば、幻影旅団のメンバーに撃ち込んで幻影旅団(原作知識アリ)とかいう最狂集団を生み出す可能性もあるのだ。考えるだけで鬱になってきた……

 

 

 

 記憶や心に干渉できる念能力者は決してパクノダだけではない。例えばヨークシン編だけでもクラピカやセンリツはダウジングチェーンや心音によって嘘を暴くことができるし、キメラアント編にはシャウアプフやモントゥトゥユピーの能力を受け継いだ覚醒メルエムがいる。

 

 だが、ここまで記憶という分野で無法しているのはパクノダだけなのだ。ぶっちぎり最強キャラである覚醒メルエムですら読めるのは感情のみでそこから派生して思考を類推するくらいだ。感情と記憶では少し分野は違うが、情報量とそれを扱う術の多彩さで言うとパクノダの圧勝である。

 

 

 

 ここまで散々パクノダを脅威として語ってきたわけだが、その彼女もヨークシン編が終わる頃には死亡しているので俺がヨークシン編に関わりさえしなければ何の問題もない。

 

「…ん?電話か。…もしもし」

 

「やあステラ❤︎ この後食事でも行かない?」

 

「えぇ…俺もう天空闘技場からは抜ける予定だしお前とも一生会う気はないんだけど……」

 

「まあまあそんな冷たいことは言わずに♣︎ 良い和食のお店を見つけたんだ♠︎」

 

「和食だと……!いや、でも俺としてはさっさと次の目的地に」

 

「奢ってあげるよ♦︎」

 

「しょーがねぇなぁー」

 

 元日本人の転生者としては和食には目がなくても仕方ないだろう。か、勘違いしないでよね!別にヒソカと食事をしたいわけじゃないんだから!(本音)

 

「じゃあ準備ができたらボクの部屋においでよ❤︎」

 

「了解了解…っと、そういえばヒソカ。お前マチさん達に俺のこと喋ってないよな?」

 

 この後幻影旅団の一員であるヒソカもヨークシンへと召集されるのだが、そのメッセンジャーとしてマチが天空闘技場に来ている。当然俺はブッキングしないようにヒソカの試合日時からはずらして自分の試合を入れたので、試合に興味のないあの人が俺の存在に気づくことはないだろう。

 

 ヒソカには俺が流星街の出身でありクロロとも顔見知りくらいの関係性はあると話しているし、彼らに俺のことは教えないように口止めしている。いくらヒソカが旅団の中で浮いているハブられ野郎とは言えど、ちょっとした会話の中から俺の存在が気取られる可能性もあるからだ。

 

 そもそも幻影旅団とそこまで関わりのない俺の存在が気取られたところで彼らが俺に何かするかってのはまずあり得ないだろうし、口止めに大した意味もないのだがこういうのは備えるに越したことはないからな……

 

「大丈夫♠︎ 君が心配することは無いよ♣︎」

 

「そりゃよかった。じゃあ今からそっちに行くわ」

 

 

 

 せっかくの奢りだし、今日はたくさん食べますか!

 

 

 

―――CASE6 タイトルで既にオチてたやつ―――

 

 

 

「テメェ裏切りやがったなぁぁぁ!!!」

 

「まあまあ♦︎君の心配するようなことは起こらないってのは確かさ♣︎」

 

「久しぶりだねステラ」

 

「あっはい、久しぶりですマチさん」

 

 ヒソカの部屋にウキウキで向かっていた俺を出迎えたのはマチだった。これだから変化系は信用できねぇ!

 

 …まあヒソカが俺を裏切ること自体はそんな驚くべきことでもないのだが、わざわざ幻影旅団とそこまで関係あるわけじゃない俺について話すメリットもないから裏切るとは思ってなかったんだけどな…

 

 まあヒソカのことだから俺を困らせたい一心で裏切ってもおかしくないか……どうしてこんなヤツとの人間関係があるんだろう(今更)。

 

「団長がアンタのこと心配してたよ。つかアタシもアンタがこんなのと関わってるとは思ってなかった」

 

「こんなの呼ばわりなんてヒドイなぁ♦︎」

 

「…それは身に沁みて後悔してる最中ですね……」

 

 遠い目をした俺に呆れるような視線を投げたマチはそのまま話を続ける。

 

「まあいいや、団長が久しぶりにアンタと話したいってさ。次のアタシ達の現場がヨークシンだから、アンタにも来て欲しいって」

 

「いや……でも……」

 

「どうせ他に行く所もないんでしょ?」

 

「まあ確かに……」

 

「ボクも寂しいからステラには来て欲しいなァ❤︎」

 

「テメェは殺すぞ」

 

 今なら正真正銘の本気を出してヒソカと殺し合いができるかもしれない。そんな馬鹿なことを考えつつ、先程のヒソカが言った「心配するようなことは起こらない」という言葉の意味も大体分かった。

 

 

 

 要は客人として幻影旅団のもとに行くのだ。先程まで幻影旅団を警戒していたのはパクノダに記憶を読み取られる可能性があることへの警戒であり、俺が団長に招かれた客人であるならそのような手荒な真似はされる可能性は一気に下がる。

 

 この場合の一番の懸念は俺がヨークシン編に関わることで原作の流れが変わるかもしれないことだが、未来を見通す占いがあり幻影旅団側はそれを基に行動する時点で俺が何もしなければ大筋は変わらないと考える。原作以上の最善手は存在しないからクラピカ陣営の動きを変えない限り幻影旅団側の行動は変わらないのだ。

 

「分かりました。俺もヨークシンに行きます」

 

「決定ね。じゃあアタシはもう行くから場所はヒソカに聞いといて」

 

 マチはそう言うとヒソカの部屋を出ていった。

 

 

 

「実は和食のお店っていうのはヨークシンにあってね♣︎」

 

「集合場所を教えろ俺は1人で行く」

 

「えー♦︎ 行かないの?食事?」

 

「逆に今の流れで食事に行けると思った要素ある?」

 

 





 続きを早く書きたかったけど考察することがなくってもう疲れちゃってェ…
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