流れ者の考察記録   作:sesamer

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 これ小説で大丈夫?後半完全な考察になってない?



4. Uターン×ゾルディック家×共闘説

 

ーーーCASE1 イルミーーー

 

 

 

 キルアからヒントを貰ってから1年後、俺たちは天空闘技場を後にした。キルアは原作より1年早く200階へと到達したのだ。これも俺が地道にキルアの対抗心を刺激し続けた甲斐あってのものだ。

 

「結局ステラも兄貴に言われての見張りだったのかよ」

 

 キルアが不満そうにぼやく。結局、俺はキルアに自分がどういう立場の人間だったかを明かした。キルアも薄々勘付いていたのだろう、その態度には驚愕は含まれていなかった。まあ冷静に考えたら自分が天空闘技場に来たのと同じタイミングで自分と実力が近い子供が現れるのは偶然にしては都合が良すぎる。

 

 それを言ったのは190階クラスで勝利した直後だった。1年前のキルアならもっとわがままな態度を突き通しただろうが、この場所で自分がまだまだ未熟なことを自覚したキルアは自分に監視の存在があったことに納得していた。まぁ監視と言ってもキルアを監視する俺を執事が監視するっていう二重体制なわけだけど……

 

「俺も脅されてただけだから…少なくとも天空闘技場に来るまではこんなことするとは思わなかったし」

 

「…なら、仕方ないか……」

 

 そう言うキルアの背中は少し寂しげに見えた。俺はあまり口出ししてはいけないと感じつつも思わずフォローする。

 

「確かに俺はキルアの求めるものじゃなかったかもな。けど、キルアならいつかそれも手に入れられるよ。共に1年間過ごした俺が保証する」

 

「……分かるの?」

 

「悪いけど俺の方が歳上なんでね、キルアが何が欲しいのか丸分かりなんだよ」

 

 

 

 キルアは甘ちゃんだ。だから妹には優しいし、友達も欲しがっている。そんなキルアがゴンと初めての友達になるからこそ、原作の友情劇が生まれるのだと自分は思っている。そんな既知の未来に辿り着くために幼いキルアの心を利用することに罪悪感を感じないのかと言われたら嘘になる。

 

 けどこればかりは譲れない。俺はこの世界が好きだ。キルアがゴンと歩む過程で何度傷付くとしても、俺はキルアとこの世界を天秤に掛けて世界の方を取る。他の皆もそうだ。俺はこの世界に住む皆が好きだから、世界のためなら誰であろうが切り捨てる。その覚悟は5年前に決めたのだ。

 

 だけど願わくば、その既知の道中を歩むキルアに幸福があることを祈りながら、俺はキルアを見送り……気配を感じて背後を振り返る。

 

 

 

「流石に2度目ともなると背後は取られないぞ」

 

「ごめんごめん。驚かすつもりはなかったんだけど」

 

 そこには1年前と同じようにイルミが立っていた。どうやらキルアを迎えに来たついでで俺に礼を言いに来たようだ。と言っても彼からすれば、脅して使った後の人間を処理しにきただけかもしれないが。

 

「いやぁ、結構君には感謝してるんだよオレもさ。オレたちの想定以上のスピードでキルアは強くなれたし、そのお膳立てをしてくれたのが君だってこともオレは気づいてる」

 

「だったらご褒美でも欲しいもんだな」

 

 俺の皮肉は通じなかったようで、イルミはそんなことで良かったのかと言いたげな態度を取る。

 

「ご褒美?いいよ、今回の件は取り引きだったことにしよう。殺しでも金でも、オレにできることなら一個だけ聞いてあげる」

 

「なら……俺が欲しいのは知恵だ」

 

「知恵?」

 

 首を傾げたイルミに対して説明を続ける。

 

「今ちょっと能力の開発の方で難航しててね、その時にキルアからヒントを貰ったんだ。ミルキ・ゾルディックの知恵を借りたい」

 

「……へぇ、君はオレにミルキに借りを作らせろ、と言いたいわけだ」

 

 イルミの口調に怒気が混ざる。彼の怒りも当然だろう、自分にできることを報酬の条件としたにも関わらず報酬に他人を要求したのだ。これがちゃんとした契約だったら即座に切り捨てられていただろう。

 

 だが、こちらも引いてはいられない。色々考えたが、ガス室に入って日常をガスにするのはちょっと無理がある。有毒なガスを実現しようと思えば死んでもおかしくないイメージ修行をしなきゃいけないし、そもそもゾルディック家のセキュリティに他人が入る余地がないというのを失念していた。

 

 だがガスという選択肢自体は間違ってないのも恐らく事実だ。そこで今の俺にはキルア以上にその手の分野に詳しい専門家の知識が要る。

 

 

 

 それに、報酬の条件を無視したのは俺だがそもそもこれは正当な依頼ではない。

 

「貸しがあるのは俺とお前のどっちだ?俺としてはこの報酬はお前じゃなくゾルディック家に要求したっていいんだぞ?」

 

「……」

 

 イルミの顔は相変わらずポーカーフェイスでよく分からなかったが、俺の予測が正しければ痛いところを突かれたという顔をしているはずだ。

 

「キルアは父親のことをよく信頼していた。この監視はそんな信頼を置かれる父親の指示によるものだとは思えない。大方、お前の独断かなんかだろ?」

 

 

 

ーーーCASE2 家族内指令ーーー

 

 

 

 ゾルディック家は単なる家族ではない。それぞれが家族でありながら一端の暗殺者という仕事仲間でもあり、彼らが自分の立場や関係によって対立するのは珍しくない。

 

 だが彼らも家族であり、お互いに殺し殺されを忌避するくらいの情は待ち合わせている。そこでゾルディック家には「家族内指令(インナーミッション)」というシステムが取られる。

 

 これは家族間での意見や方針の対立が起きた時、無理にそれを合わせようとせず「家族を殺さないこと」を条件にそれぞれで目的の為に動くことを認めるというものだ。選挙編においては、アルカという「物」を巡ってこの家族内指令が発動した。

 

 

 

 今の話もそうなのだろう。幼いキルアを天空闘技場に無一文で放り出す、というのは作中におけるキルアへの手厚い保護を考えればあり得ないものだ。当然そのことでキルアを溺愛しているキルアの母キキョウやイルミは反対しただろうし、そこで家族内指令が発動したと考えるのは自然だろう。

 

 もしかしたらキルアの監視は全員一致した上での方針だった可能性も考えられる。だが、それでも恐らく俺の存在はその方針とは関係ないだろう。知らない人間を脅して巻き込むというやり方はゾルディック家の父側(シルバ、ゼノ)のイメージには反する。恐らく母側(キキョウ、イルミ)の動きによるものだ。

 

「俺がキルアに監視の役割をバラしたのは何の為だったと思う?」

 

「……なるほど、自分がどのような立場かをよく弁えてると思ったら、チクるためだったわけだ」

 

「厳密に言えばまだそのつもりはないな。俺としてはお前との取り引きで話が済むならそれでいい。キルアが他の家族に俺の存在を告げるのは、俺からの連絡があった時だけだ」

 

 

 

 キルアに自分がキルアの友達ではないことをアピールする為に俺が監視であることを明かしたのは本当だ。この時点でキルアが友達を作って満足してしまうと原作の流れに沿って進むかは非常に怪しくなる。

 

 だが、それが思いもよらぬ場面で切り札になった。キルアに連絡してチクらせるというのは完全な嘘でありブラフなわけだが、執事からの監視しかない状況であればそれを掻い潜って密告の構図を作るのはそこまで難しいことではない。可能性としては十分あり得る話だ。

 

 

 

 しばらくの膠着の後、イルミは観念したかのように両手を上げた。

 

「オーケー、そこを突かれるとオレも痛い。オレからミルキに繋げよう」

 

「交渉成立ね、キルアには俺が監視だということは他の人には教えないように言っておくよ」

 

 実は最初に監視だと明かした時点でそのことはそれとなく伝えていたのだが、間接的な監視ではそこに気づくのは難しいだろう。

 

 ミルキへと連絡を繋いだイルミの携帯電話を受け取りながら、俺は話がなんとか上手くまとまったことに胸を撫で下ろしたのだった。

 

 

 

ーーーCASE OF ILLUMIーーー

 

 

 

 オレはミルキと電話をしているステラを見ながら、1年前の自分の早計な判断を少し後悔していた。確かに、オレ達のことを知っている念能力者がいたとして、そいつらがゾルディック家の敵意を買う可能性は低い。もしキルアを人質に取ることに成功したとしても、その後に暗殺される可能性を考えれば碌な手段ではないのは誰でも分かるはずだ。

 

 二重監視を付けるのだって最初は考えていなかった。天空闘技場なら小さな子供であっても強ければ万全なサポートを受けられるし、そこで執事が割り込まなければいけない状況になる可能性は低かった。

 

 

 

 だが、ステラの反応はそれらの可能性を切って捨てるには怪しすぎた。前方にいたのが暗殺者として有名なゾルディック家だということに勘付いたとして、そこで絶で気配を断つという行為を選択する人間は暗殺者に狙われるだけの後ろめたい事情を抱えているはずの人間だ。

 

 だからこそ脅して弱みを握れば傀儡として操れるかと思ったのだが、ステラという人物にそのようなものはなかった。結果として、俺は脅しから交渉に切り替えざるを得なくなった。

 

 だからこそステラの絶が疑問に残る。あの状況で絶をした理由は何だ?わざわざ自分がゾルディック家に警戒されて狙われるかもしれない状況を作って、彼女は一体何がしたかったのだ?

 

 

 

 まさかこの状況を作るため……?いや、そんなはずはない。オレがステラを脅すかどうかなどあちら側の視点では分からないことだし、最初の反応を見るに彼女はオレの存在にすら気づいていなかった。

 

「………」

 

 考えたところで彼女の目的は分からなかった。俺は観念してミルキとの連絡を終え携帯電話を返してきたステラに思い切って尋ねることにした。

 

「…君は何を考えてあの時気配を消したの?」

 

「え?あぁ……」

 

 ステラは一瞬首を傾げると、オレの言葉に思い当たるものがあったのか、顔を赤らめて小さく言った。

 

「…癖になってんだ。強い人に会うと絶しちゃうの」

 

「…そう……」

 

 どうやらオレの完敗だったらしい。

 

 

 

ーーーCASE3 カイトーーー

 

 

 

 ミルキにアドバイスを貰って能力の練習をしながらカイトを探したら2年が過ぎた。アドバイスの内容はぶっ飛んだ暗殺者らしからぬ現実的なものだったが、だからこそ自分にとっては実現しやすいアイデアだった。イメージ修行の為にスーパーマーケットやネット通販で色々買う必要があったが、それでもゾルディック家のガス室を目指すよりはよっぽど安易だった。

 

 

 

 結局2年の間にカイトは見つからなかったわけだが、俺には切り札が残っていた。それは原作イベントだ。ゴンは原作開始時点の3年前に森に入って熊に襲われた時にカイトに助けられている。つまり、その時期にくじら島に行けば必ずカイトと出会うことができるわけだ。そういうワケで俺はくじら島に向かった。

 

 

 

 ゴンがあまりにも異常な才能や思考回路をしているためにしばしばゴンは未開の地で育てられたというような印象を持たれるが、ゴンの住んでいたくじら島は地方の離島みたいなものだ。島民が少ない為に学校や都会にあるようなお店は存在せず、島の子供もゴンの他に女の子が1人しかいない。

 

 だが、ゴンもその女の子もきちんと通信教育ではあるものの学校の教育は受けている。異常な才能や思考回路を除けばゴンも普通の島育ちの子供なのだ。

 

 

 

 そういえばめちゃくちゃ今更だけど俺、学校に行ってないな……現実世界では教育課程は終えたものの、この世界での学歴は無に等しい。こういう場合って今からでも学校通う必要があるのだろうか。

 

「必要ないよな…?キルアとかジンも学校行ってないし…」

 

 

 

 ハンターになるのに学歴は要らないし、ハンターになれば学歴よりよっぽど就職で有利になるから、学校行かなくてもいいよなぁ!

 

 というかハンター試験受けるのとかも合わせてカイトに相談しないとな……

 

 

 

「まだダメだ!」

 

「えー、なんでさー」

 

 ようやく会えたカイトは俺がハンター試験を受けるのを反対していた。まだってなんだよまだって、俺ももう15歳でハンター試験受けてもいい年齢だろ、ジンは12歳で受けてるじゃねぇか。

 

「せめて後2年、いや1年待ってくれ!それまでに必ず……ゴホン!」

 

「それまでに必ず……?」

 

 カイトのよく分からない言葉から状況を整理する。そういえば、カイトがこの島に来たのはジンを探して彼の最終試験に合格する為だ。ということは、彼はまだジンから一人前のハンターとして認められていないわけで……

 

「もしかしてカイト、プロハンターじゃない?」

 

「ハンター試験は合格した!ライセンスも持ってる!……だが」

 

「ジンからの合格は貰ってないわけね」

 

「うぐっ」

 

 カイトは肩を落とした。まあジンからの試験だし他の試験なんかよりよっぽど難しいだろうから合格できなくても仕方ないよなぁ。

 

「そういえば、ステラの方はどうなんだ?ここに来るってことは、もしかしてお前もジンさんからの試験か?」

 

「いや、俺の方は単純にジンの連絡先知らないから探してるだけ。というかカイトも探してた」

 

「ええ……なんでそうなってんだ?」

 

 カイトの困惑も当然だろう。俺は渋々説明する。

 

「ジンのやつ、俺は実戦だけで強くなるだろ、って言ってゲームの中に放り込んだんだぞ!」

 

「ゲーム?」

 

「グリードアイランドってやつ。この大陸のどこかにある島に飛ばしてカードを集めるって内容のゲーム。製作者はジン」

 

「ヘぇ〜、ジンさんそんなものまで作ってたのか」

 

 興味深そうに聞くカイトに釘を刺しておく。ここでカイトがグリードアイランドにうつつを抜かしたりなんかしたら、俺のハンター試験がどんどん遠ざかってしまう。

 

「言っとくけどジンはいないからな。カイトが別れた日には俺をそこに放り出してどっか行きやがった!」

 

「マジか……けど、実際そこでステラは鍛えられたんだろ?」

 

「あ、分かる?」

 

 まあグリードアイランドでの5年間とその後の3年間で、一端のプロハンター並みには肉体的にも強くなっただろうからな。発まで含めればある程度格上も食えるし。

 

「あの時とは見違えるほど強くなっている。……どうやら口調も荒くなったようだが」

 

「むっ、昔も猫被ってただけなの!」

 

 恥ずかしい黒歴史を晒されて慌てて否定する。なんで私口調だったんだろうな……。イメージ修行で幼女の体を意識しすぎて無意識に幼女になりきってたのかもしれない。いや、なりきりとかじゃなくて実際そうなんだけど。

 

 

 

ーーーCASE4 ハンター試験ーーー

 

 

 

「じゃあカイトもさっさとジン見つけなよ」

 

「大丈夫だ、候補は徐々に減っている。後1年くらいあれば見つけられるだろう」

 

 カイトと連絡先を交換した俺は今後どうするかを考えた。カイトの予測を信用すれば今より1年後には俺はハンター試験を受けられるわけだが、1年後の今日だとその年のハンター試験はとっくに過ぎている(ハンター試験の試験日は1月1日だから)そうなると最速で受けても原作開始の1年前のハンター試験しかないってことだ。

 

 できるならその年で1発合格したいところだが(ゴン達と一緒に受けて脱落したら恥ずかしいし)、正直なところ今の俺が1人でハンター試験を受けて合格できるかは自信ない。

 

 さっき俺はプロハンタークラスだって言ってたじゃん!と皆さんは思われるかもしれないが、それはあくまで肉体的な強さでありハンターに必要な知識の方は全く無いと自信を持って言える。

 

 特にハンター試験には試験場に辿り着くまでにそういった内面での優秀さを必要とする場合が多く、俺の場合肉体的な強さを必要とする後半の試験は余裕だが、試験場にまで辿り着くことや知識や思考力を必要とする前半の試験は全く受かる気がしない。なんならカンニング済みであるゴン達の代の試験でも100%受かる保証はない。

 

 仮にキルアが合格した年のハンター試験なら試験場にさえ辿り着ければ余裕かもしれない。だが、キルアがあそこで合格したのは決して受験者を無双したことが理由ではなく、前年に最後の最後で精神的なものを理由に失格となったキルアがそれを克服したからである。ネテロ会長もキルアの成長を理由に合格の判断を下した。

 

 

 

 だったら今後はハンター試験に合格する為のお勉強をするのか、という話になるのだが、現状の鍛えた自分でもキメラアント編で厳しい状況に置かれたと想定すると生き延びるのは不可能だ。そんな中で勉強を優先した結果、その実力が身に付きませんでしたじゃ悔いしか残らない。

 

 まあ単純に勉強は嫌なのもある。むしろこっちがメインだな……

 

 

 

 とにかく、勉強して次のハンター試験に臨むよりももっと手っ取り早く、尚且つ自分の実力も鍛えられる素晴らしい手段が存在するのだ!

 

 

 

ーーーCASE5 200階クラスーーー

 

 

 

 というわけで2年ぶりに戻って来ました天空闘技場。1階クラスを瞬殺して50階へと行く。最初から180階に行く選択肢もあったが、ちょっと資金が心許なかったため稼ぎつつゆっくり上がるとする。

 

 

 

 その手段とはヒソカだ。彼は前年のハンター試験を失格になっており、その裏を返せば試験場までは辿り着いていることになる。彼自身ハンターの素質があり(素質だけで言うならゴンやクラピカに並ぶトップ)快楽殺人者というのを除けば優秀なハンターなのだ。

 

 そしてそんなヒソカは今より半年後、カストロと戦い洗礼を受けさせる。洗礼とは、200階に上がったばかりの念について全く知らない人を200階の念能力者がカモにすることなのだが、念を身につけてない人間が念による攻撃を食らうのは死ぬ危険性がものすごく高く生き残っても心身に障害が残るのは確実だ。恐らくヒソカはカストロの才能を見込んだ為、カストロに後遺症が残らないように優しく洗礼したのだろう。

 

 それにしてもこの洗礼というシステムは最悪だ。200階クラスに上がっただけでもその人が才能ある格闘家なのは確実なのに、その人の未来を奪うような卑怯な念能力者がいて、そこで生き残った可哀想な人は才能を奪われた理不尽を受け入れて自分も奪う側になってしまう。

 

 人材ハンターとかやってる場合ならここを是正するべきだと思うのだがどうなってんだろうな?それらも含めて興行だから手出しできないのかな……

 

 

 

 話を俺の考えた手段の方に戻すと、天空闘技場の200階クラスに行ってヒソカと接触し、その後はヒソカを利用してハンター試験を攻略する、というのが俺の考えた手段だ。

 

 ヒソカは快楽殺人者という危険人物ではあるが、ぶっちゃけこの作品はそれ以上の危険人物の方が多く、対応をミスらなければ殺されるようなことにはならないだろう。

 

 それに、ヒソカを利用できる関係になるのもそんな難しい話ではない。戦ってその強さを認めさせればいいのである。ヒソカと戦うなんて自殺行為だろ、と思われる人もいるかもしれないが、ああ見えてちゃんとルールには従う意外と律儀な奴だ。こちらのルールを認めさせれば死なない程度の戦いをできるだろう。

 

 

 

 それに、以前分身能力を作ると決めた時にヒソカと戦うのは決めていたのだ。今は亡きカストロさんの無念を晴らすと!

 

 しかも格上との戦いで経験も学べる、一石三鳥の手だ。この方法に比べたらハンター試験に向けて勉強することのなんたる効率の悪さか、捨てちまえそんなもの。

 

 

 

ーーーCASE6 戦は舞ーーー

 

 

 

 約2週間掛けて、俺は200階クラスに上がった。こちらの様子を窺う洗礼組を横目に俺は参戦の申し込みはせず、自分に割り当てられた個室に向かう。

 

 取り敢えず200階に着いたわけだが、俺の方針としてはまず1番目はヒソカとの戦いを取り付けることだ。そして2番目としては可哀想な新人が洗礼を受けるのを止めてあげることだ。流石に人が半身不随になったりするのは見てられない。

 

 2番目に関してはそこまで難しい話ではない。手動操作にした「当然な風船人形(ワンダーバルーン)」を使えば遠距離から監視することができるからな。具現化したものは隠で見えなくすることができるので、手動操作にした風船人形を隠で見えなくし、新人を監視してその人が決めた対戦日時に俺が合わせれば良い。

 

 1番目に関してはある程度仕込みをする必要がある。単にヒソカと戦うだけだと生死は問わずとなり、ヒソカに殺される可能性が高くなる。ゴン達のような才能溢れる未熟な人間は見逃すヒソカだが、自分がそこに当てはまるかはちょっと微妙なところである。

 

 

 

 まあ、ヒソカを誘導する方法も難しくはないだろう。エンターテイナーの気質とバトルマニアの気質、双方共に重視するのは戦いの楽しさだ。つまり、そうした方が戦いが楽しくなるのなら喜んで自分に不利な行動もするし、戦いがつまらなくなる行動をされると不快になるのだ。

 

 その要素が1番に出ているシーンがクロロvsヒソカだ。ヒソカは自分の使う能力を明かしたクロロに不快感と怒りを露わにした。これは能力を晒してわざと不利な状況を作ろうとするのが戦いをつまらなくする行為だからである。逆にその行為がクロロにとって勝つ為のものであると説明されるとヒソカはやり方として認めた。

 

 

 

ーーーCASE7 共闘説?ーーー

 

 

 

 因みにファンの間では有名な話だが、この戦闘には共闘説という面白い考察がある。クロロはヒソカとタイマンで勝ったのではなく団員と協力してヒソカをハメ殺したのではないか、という仮説だ。クロロvsヒソカには作中で明かされてない不自然な謎がいくつもあり、それを説明する上で共闘説はかなり説得力が高い仮説だ。

 

 自分はこの仮説について、8:2で共闘説が正しいのではないかと思っている。ハウダニット(証拠)よりもホワイダニット(動機)に比重を置いた推測なので確証はあまりないが。

 

 

 

 まずあの戦いにおける1番の謎は「何故クロロは能力を説明したのか?」だ。念能力を用いた戦闘において発は重要であり、強さの格の違いなどいくらでも凌駕しうる要素だ。これが分からない内はありとあらゆる可能性を頭に入れ、必然的に守りに入った戦い方をしなければならない。そして以前説明したように、相手が守りに入ってる場合には反撃されるリスクは低く、その分こちらは攻めを維持することができる。逆に能力を明かしてしまうと相手はその能力の対策だけを頭に入れて動くため、能力を食らわない範囲で攻められてしまう。

 

 クロロは天空闘技場の観客を大量の爆弾人形にして戦ったわけだが、もしヒソカが爆弾人形を作る仕組みを知らなければ、本体であるクロロを探して倒すという行動にももっと慎重にならざるを得なかっただろう。結果として安全に殺せた可能性が高い。

 

 そのデメリットを払ってまで得られるリターンは何なのか?ということを考えると、共闘説はしっくりくる。共闘説の場合、クロロが1番気を付けるべきなのは味方の存在を気取らせないことだ。ヒソカをタイマンで殺すという構図がヒソカを囲んで殺すという構図に変化すれば、ヒソカも手段を選ばず逃げようとするだろう。その最中で大事な仲間が死んでしまったりなどしたらヒソカを殺しても戦果としては最悪だ。

 

 先程は相手の能力が分からなければ守りに入った戦い方になると言ったが、守りに入った戦い方の強みは視野を広く持って何が起きても大丈夫なようにすることだ。当然攻めているよりも周囲を見渡すことができ、クロロの味方に気付ける可能性も高い。クロロは能力の説明をすることで駆け引きという土俵に誘い、ヒソカの周囲への警戒を下げさせて味方と協力してハメた、というのが能力説明の真相だったとするとこれは能力の説明のリスクに見合うリターンであると自分は納得する。

 

 ちなみに、能力の説明は能力発動のための制約だろうという考察があるが、自分はこれは微妙な線だと思っている。能力の説明が制約だとすれば、その制約も説明しなければ説明にならないと思うからである。実際ゲンスルーはハメ組やゴン相手に「命の音(カウントダウン)」について説明した時には制約についても説明していた。

 

 

 

 さて、ここからは作中の描写を根拠とするのではなく、クロロの動機から共闘説について考察をしよう。クロロvsヒソカはヒソカがクロロの除念を手伝ったことの報酬として実現したものだったが、クロロからしたらヒソカは裏切り者だ。クラピカに仲間の情報を教えたのも彼であり、仲間を殺し自身が除念する羽目になった間接的な要因と言っても過言ではない。そんなヒソカに対して約束事を履行するという義理が果たしてあるだろうか?むしろ報復の機会として報酬を餌に罠に掛けて殺すのが自然だろう。

 

 それとクロロの戦い方に関してだが、クロロ本人は確実に勝てる条件を揃えるまで待つと言っている。だが俺はそれに加えて、クロロは勝ち方も選ばないタイプの人間だと思っている。

 

 

 

 クロロの戦闘シーンと言えば有名なものはもうひとつある。それはキルアのお爺ちゃんであるゼノ・ゾルディックと同じくキルアの父親であるシルバ・ゾルディックを同時に相手にしたシーンだ。この結果はゼノとシルバがクロロを暗殺するより早くイルミ達がゼノ達の雇い主である十老頭を暗殺したことで終わった。つまりクロロが対抗暗殺の依頼を出したというわけだが、これはクロロが戦闘をただの過程としか思っておらず、盤外戦術上等の勝ち方を選ばない人間であることを示している。

 

 対してヒソカは勝ち方を選ぶタイプの人間だ。それは「カンペキに勝つ♣︎だろ?ゴン❤︎」という作中屈指の名言からも明らかだろう。

 

 

 

 そんな人間を確実に殺すために「タイマンに見せかけたリンチ」を用意する、というのは俺の持っているクロロに対するイメージ像にピタリと一致する。

 

 ヒソカの悪癖とクロロの戦術、あの戦いはどちらが悪いとかそういうものではなく、2人の人格の違いが表れた勝負だと思う。

 

 

 

ーーーCASE8 公平性ーーー

 

 

 

 話を戻そう。…元は何の話をしてたんだっけ……?

 

 そうそう、ヒソカは分かりやすく誘導もしやすいという話だった。行動原理が面白い戦いをしたい、エンターテイメントな勝ち方をしたいで一貫しているのでこちらは逃げより攻めの姿勢の方が喜ばれるし、こちらが戦いの準備をするなら喜んで乗ってくるタイプだ。

 

 だから今回俺はヒソカと戦う為の準備をするわけだが、その内容を簡潔に説明すると「試合前に手札を見せ合う」ことだ。ヒソカのバンジーガムは知らなければ対策の難しい能力であり、最悪戦闘開始時点でこれを知らなければ戦いにならないとまで思える。というか今回は俺の方が一方的にヒソカの能力を知ってるから、俺がヒソカに教える意味合いの方が強いわけだが。

 

 能力を教えるなんてリスクに見合うリターンがなければ……とか散々言った上で何やってんだコイツ?と思われても仕方ないが、今回は殺しではなく力試しだ。ある程度条件を同じにした方が良いし、俺には隠し札の存在もある。ヒソカの隠し札とは違って戦闘向きな分、手札を見せた上で俺の方が有利なはずだ。

 

 

 

 そんなことを考えつつ190階クラスの戦いを観戦していると、丁度200階クラスへの切符を手に入れた人間が出てきたようだった。俺は部屋を出て計画を実行する。

 

「ヒソカは俺の戦い見に来てくれるかな?」

 

 




 自分は考察に対する批判や指摘はなんでも受け付けております。
 自分がエタる理由の大半は単純なモチベの低下なので、自分の考えと違う意見はむしろモチベ源です。

 ただその上で本小説は独自解釈なので、解釈を変える可能性が低いことも明記しておきます。
 …この言い分卑怯すぎるな?
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