流れ者の考察記録   作:sesamer

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 ワンダーバルーンとバンジーガムの名前の響きが似ていることに今更気づいて動揺してます。多分ステラは戦慄か恐怖してます。
 


7. トリックタワー×クルタ族虐殺×魔法の正体

 

ーーーCASE1 ゾルディックの呪縛ーーー

 

 

 

 結局二次試験後半のメンチの出すメニューはクモワシのタマゴを獲るための紐なしバンジージャンプに変更され、俺は無事二次試験を通過することができた。

 

 ちなみにここでノータイムでバンジーを決行するレオリオは大分イメージに合わないところがあるが、4人の中では地味なレオリオも他の受験者に比べたら十分怪物の領域ということなんだろうな。スタミナはあんまないけど。

 

 そして二次試験に合格した俺達は、メンチを説得してクソ試験からちゃんとした試験に変えてくださったハンター協会の会長、アイザック・ネテロを同伴者として第三次試験の会場へと飛行船で移動することになった。

 

 

 

 俺は個室のシャワーを浴びながら今頃ネテロと遊んでいるだろうゴンとキルアのことを考えていた。

 

 ネテロは暇つぶしとしてハンター資格を餌にゴンとキルアをゲームに誘うのだが、後に他のハンター達から意地の悪いとか散々に言われるネテロのゲームをまだまだひよっこの2人がクリアできるわけもなく、キルアはその難易度の高さに諦めて離脱しゴンはなんとかネテロに右手を使わせようと粘る。だがここで事件が起きる。

 

 ネテロとのゲームで気が昂っていたキルアは船内でぶつかった受験者をバラバラに殺してしまうのだ。

 

 

 

 このシーンはキルアが実は人を殺したくなかったという内心とは遠くかけ離れたもので、しばしばイルミによって操作されていた説やあれはただのイメージ説などが挙げられるが、俺はあれはキルア自身が誰に操作されることなくやったことであり、だからこそゾルディック家の呪縛が深く染み付いているのだと思っている。

 

 この世界の悪党にとって、殺しが気軽に使える手段であることは以前も説明したが、ゾルディック家も金や依頼の為に殺しを苦もなく実行する悪党達だ。そんな中でキルアは性格は甘いが才能はトップクラスという評価を受けて小さな頃から教育されてきた。11歳の時点でも数多くの殺しをしており、彼にとっての殺しというのは気が昂るとつい暴力を振るってしまうような気軽さで出てくるほど身近なものなのだ。

 

 そもそも殺そうとする前にネテロとゴンから離れようとしてる時点で彼は自分で人を殺すのを抑えようとしており、それが子供であったために自分の限界を見極められず2人の受験者がその被害者となってしまったのである。

 

 

 

 こんなのは誰も救われない殺しだ。最近は笑いながら殺しをする誰かさんのせいで自分の感覚が徐々に麻痺しつつある自覚はあるが、それでもこの殺しだけは止めたい。

 

 だって虚しいんだ。キルアにとってはゴンと一緒に遊んだ楽しい記憶なのに、それが直後に自分がした悪癖のせいで思い出したくないものになるのかもしれないのだから。

 

「よう、キルア」

 

「あ、ステラ」

 

 …これがただの自己満足なのも分かってる。キルアはとっくの昔から数え切れないほどの命を奪っていて、ここで殺しを止めたとしてもその罪が軽くなることなんかない。決して俺の行動はキルアを救う為のものではない。

 

「それでさぁ、あのネテロってジジイが強いのなんの!しかもゴンなんかボールを奪うって趣旨放って右手使わせるってよ!」

 

「キルアはゴンと一緒に会長に右手使わせようとしなかったのか?」

 

「え、ああ、だってそんなこと目指してもハンター資格は手に入らないんだぜ?逆になんでゴンはそんな無駄なことに体力使うんだか……」

 

「…意地が強いんだろうなぁ」

 

 しばらく2人で何も言わずに歩いていたが、唐突にキルアが俺に問いかけた。

 

「…ステラはさ、なんでアイツといるの?」

 

「アイツ?ヒソカのこと?」

 

「うん、だってステラは殺すのは嫌いなんでしょ?」

 

「まあそうだね」

 

「だったらさ、なんで俺はダメでアイツは良かったの?」

 

 

 

 そうか……キルアからすれば、殺しが嫌だから暗殺者である自分と友達にならなかったと思ってたのに、自分以上に殺しが大好きなヒソカと俺が一緒にいるのか。そりゃ理不尽に思うだろうな……

 

 だけど俺とヒソカだってただの友人関係というには大分複雑だしなぁ……俺がキルアと友達にならなかったのだって複雑な事情があるし。

 

「俺はさ、魔法使いなんだ」

 

「知ってる」

 

 とりあえずいつもの調子で語るが全く相手にされなかった。

 

「違う違う、本当に魔法使いなの。キルアの未来だって読み取れる、これはいつもの嘘じゃないよ」

 

「…いつものは嘘なの?」

 

「あっヤベっ」

 

 キルアの卑劣な誘導尋問にも負けずに、俺はキルアに語る。

 

「キルアには俺なんかよりももっと素晴らしい友達ができるよ、これは俺の予言さ」

 

「なんかそれ前にも言ってなかった?」

 

「そうだよ、俺はあの時から魔法使いだったのさ。キルアこそ、今はそんな予感はあるんだろ?」

 

 俺の言葉にキルアは立ち止まる。きっと彼の中にはゴンのことが浮かんでいるに違いない。

 

「俺なんかよりソイツのことを信じてやってくれよ、ついでに自分のこともさ」

 

 キルアの手を握る。その手は決して人を殺す為の凶器ではなく、他人と手を繋ぐ為の柔らかくて温かい手だった。

 

 

 

 ちなみに例の受験者2人は俺の顔を見た瞬間に脱兎の如く逃げ出した。…そりゃキルアの殺しがなくなったのはいいことだけどさぁ!

 

 

 

ーーーCASE2 三次試験ーーー

 

 

 

 三次試験の会場はトリックタワーと呼ばれる塔だった。これを72時間以内に降りるのが三次試験の内容だった。

 

「バンジーガムなら足にガム仕込んで塔を駆け下りることできるんじゃないの?」

 

「それで青い果実達が真似したら勿体無いからね♣︎ 」

 

「ああなるほど、確かにそうだわ。そんな視点はなかった」

 

 落ちたら落下死が確定するような高い場所でも誰か1人が飛び降りるとその人の安全に関わらず安心して飛び降りる人が出てくるみたいな事例をどっかで見た気がするな。その辺の集団心理を知ってるのは流石に奇術師というだけはある。

 

「まあ1番はこの気配の持ち主が気になるから……だけど❤︎ 」

 

「…そうなんだろうとは思ってたけどさ」

 

 その気配の持ち主は恐らく無限四刀流の人だろう。彼が俺達にしか分からないように殺気を飛ばしているに違いない。俺としても死んで欲しくない人ではあるが、残念ながらヒソカに喧嘩を売った時点で擁護する気は皆無だ。

 

 

 

 無限四刀流の人の殺気を無視して適当に床の隠し扉を開ける。落ちた先は四方を壁に囲まれた部屋だった。そして部屋の隅には台の上に置かれた5つの腕時計型のタイマーがあった。

 

 原作でも見たトリックタワーの配置だ。俺はタイマーを見ながらちょっと思いついたことがあった。

 

 

 

 分身を使えば、5人の協力が必要なトリックタワーを1人で攻略することができるんじゃないか……?

 

 まさに悪魔的な発想だった。流石にそれをするのは躊躇われたが、それでも試すだけならセーフだよね!と俺は分身を4体出してそれぞれにタイマーに付けさせた。ちなみに今回の分身の敵役は俺自身だ。俺が分身に触れると自動的に破裂する。

 

 結果として扉は出現しなかった。よく考えたら当たり前だ、5人いるかどうかの判定はタイマーだけではなく隠し扉の方にもあるだろうし、そもそもこの試験は監視されていたんだった。

 

 

 

 だったらヒソカにも協力してもらってドッキリテクスチャーで分身を他の受験者へと変装させ、5人で隠し扉を通ればワンチャン1人で攻略可能だったのかもしれないな……と、思いながら分身を消そうとしていると、突然上から人の気配が現れた。

 

「ヤベっ!」

 

 慌てて分身を消して誤魔化す。幸い、隠し床を通ってこの部屋に人が来る前には分身を消すことは間に合った。

 

「あっステラじゃん」

 

「4つの扉のどこを選んでも同じ部屋にたどり着くようになってたのか」

 

「ステラは俺達より先に隠し扉を見つけてたんだな」

 

「この部屋、出口がないね」

 

 次々と現れた主人公4人組を前に、俺は先ほどの悪魔的発想が実現しなかったことに安堵していた。主人公全員ハンター試験脱落なんていう大ボケやらかすところだった……

 

 

 

「ステラの足元に落ちているのはタイマーか?」

 

「そうそう!そこの台の上にあったんだよね!!」

 

 クラピカの質問に答えつつ4人にタイマーを配る。もしタイマーが着脱不可なんてことになってたら致命的なガバだったのかもしれなかったが、無事4人がタイマーを着用できたのを見て安心した。全く、思い付きなんかで行動するもんじゃないな……

 

 

 

ーーーCASE3 デスマッチーーー

 

 

 

 多数決の道は原作では足並みを乱そうとしていたトンパが俺と交代したことでサクサクと進んだ。途中クラピカ理論が右と左どっちだったかうろ覚えだった事案が発生したが(行動学では左を選ぶ人間が多いから罠を警戒して右を選ぶという内容だった)それでも無事ハンターによって雇われた長期刑の受刑者達が試練官を務める場所へ辿り着くことができた。

 

 ここでは試練官がハンター試験の受験者をどれだけ足止めできるかどうかで恩赦を貰えるというシステムになっており、俺達は試練官のそれぞれ5人とゲームをして先に俺達のうち3人が勝つと先に通れるようになっている。

 

 

 

「先手は俺がいくよ」

 

「ステラが行くなら安心だな」

 

 原作ではトンパがゲーム開始早々に降参することで一敗してからのスタートだった。その結果勝負が5戦目までもつれ込み、キルアはジョネスを殺してしまう。勿論ただの大量殺人鬼であるジョネスに愛着なんかないし、キルアがジョネスを殺すこと自体には何の不満もない。

 

 だけど、それをゴン達の目の前でやるのだけは止めたい。それは決してキルアの為でもゴン達の為ではなく俺の自己満足に過ぎない。そもそも俺がゴン達と一緒にトリックタワーに降りることになったのは偶然だ。ただ単に俺が見たくないという自分勝手でしかない。

 

 だが、キルアが殺しから離れて友人達と過ごせるのを見たいという勝手はそんなに悪いことなのだろうか?

 

 

 

「勝負の方法を決めようか、オレはデスマッチを提案する!」

 

 男の発言に場に緊張がもたらされる。俺としては念使いでもない相手に負けるわけないから特に緊張はしてないが、他の人はこれから命を賭けたゲームが行われることに動揺しているのだろう。

 

「一方が負けを認めるか、または死ぬかするまで戦いを続ける!」

 

「気絶した場合はどうする?それも負けでいいだろ」

 

「駄目だ、それではデスマッチの意味がない」

 

 この後発生するマジタニの狸寝入りを防ぐために気絶させた時点で負けなルールを提案したが、これは受けいれられなかった。まあそれも相手側からしたら立派な戦術だしな……

 

 

 

「分かった、その勝負受けて立とう」

 

「ではいざ尋常に……勝負っ!」

 

 男が俺の方へと一直線に突進してくる。気絶ありのルールならそのままワンダーバルーンを鳴らして瞬殺といったのだろうが、そうはいかない以上気は乗らないがいじめるしかない。

 

 俺は指を鳴らすと同時に隠で見えなくした分身で男の足を引っ掛ける。男は突進の勢いのままに転び回り、俺の足元へと倒れた。

 

 俺は男の頭に足を乗せて力を込める。ミシミシという音に男の顔が青くなる。

 

「どうだ?力の差が分かったか?お前が降参しないのならこのままお前の頭を踏み潰す」

 

「わ、分かった!俺の負けだ!」

 

 男は無事降参してくれた。まあこんなヤツが死んでも敗北を認めないなんて高潔な人間なわけはないだろう。そうであればこんな場所にいないはずだ。

 

 

 

「今のステラがあの男を転かしたのか?」

 

「…恐らくは……」

 

「凄いねステラ!」

 

「あれも魔法とか言うつもりかよ!」

 

「魔法です」

 

 キルアの詰問に答えるが、相変わらず胡散臭いとしか思われていなかった。まあ実際魔法じゃないしな……

 

 そうこうしている内に次の挑戦者であるゴンは機転を利かせて勝利し、次のゲームはクラピカが挑戦することになったのだが……

 

 

 

「あとは何かあるか?なければさっさと始めたいのだが」

 

「…あ、ああ……」

 

 次の試練官であるマジタニは、まさに見掛け倒しという名に相応しい見た目と実力を有した男であり、これをクラピカは瞬殺する……のだが、マジタニ選手はハッタリの為に自分のことを幻影旅団に所属するだの旅団四天王だのを言い出し、クラピカの逆鱗に触れる。

 

 

 

 クラピカの一族であるクルタ族は幻影旅団によって虐殺されており、クラピカは幻影旅団に強い憎悪を抱いているのだ。その憎悪にクルタ族の身体的特徴も併せ、幻影旅団やそのトレードマークである蜘蛛を見たクラピカは緋の眼を発現し凶暴性が増すのだ。

 

 クルタ族は、ルクソ地方の奥地に隠れ住む少数部族だった。彼らの眼は緋の眼という、世界で最も美しい色に変化する瞳でありそれを狙われるのを恐れて隠れ住んでいた。

 

 だがクラピカがクルタ族の住む村から外の世界へと旅に出た半年後、彼以外のクルタ族は幻影旅団によって1人残らず殺されてしまう。死体からは残らず眼球を取り出されていたことから、これは幻影旅団が緋の眼を狙った犯行であるという風に作中では言われている。

 

 

 

ーーーCASE4 クルタ族虐殺の謎ーーー

 

 

 

 しかし、この事件にはひとつの謎が残されている。クルタ族の殺害現場には「我々は何ものも拒まない、だから我々から何も奪うな」というメッセージが残されていたのだ。

 

 これは流星街が残すメッセージであり、同様のものがクルタ族虐殺の1年前に起きた、流星街出身の浮浪者に掛けられた冤罪の報復として31人を自爆に巻き込んだ事件にも残されていた。

 

 この謎に読者達は色々な考察を掻き立てられた。メッセージが報復事件と同様なものであることから元々事件の引き鉄はクルタ族の方が引いたのではないか?という仮説や、中には今の継承戦の流れと絡めてカキン国第四王子ツェリードニヒ王子が絡んでいるのではないか?という仮説まで飛び交っている。

 

 

 

 この謎について俺は、幻影旅団がクルタ族を虐殺しその現場に流星街を示すメッセージを残したのだと思っている。この仮説は共闘説の時と同じく証拠より動機に比重を置いた推測であり確証はないことを予め明記しておく。

 

 

 

 幻影旅団が結成された目的は最近明かされたのだが、それはクロロ達の幼馴染であったサラサを殺した犯人に復讐するという目的と、サラサのような犠牲を2度と生まないよう流星街と幻影旅団を恐怖の象徴にするという目的の二つだ。

 

 そしてこの二つの目的においてクルタ族の虐殺は一定の役割があるのだ。

 

 

 

 まず一つ目の復讐に関してだが、クロロ達は回想の時点ではサラサを殺した犯人が分からなかった。そこでクロロはその犯行が劇場型の犯人によるもの、つまり犯人はその犯行を誇示していることに着目し、ネット上にそのような悪事を見せ合える場所を作れば犯人を特定できるのではないかと考えた。

 

 その悪事を見せ合える場所、というのは闇サイトのようなものだと考えられる。だが、ただそのような場所を作ったところですぐに全ての犯罪者がそこを利用するわけではない。

 

 多くの犯罪者を集客する為に必要なものはどういうものか?ということを考えるとクルタ族虐殺に辿り着く。

 

 世界7大美色に数えられ世界的に有名でありながらそれを持つ当人達が隠れ住む為に入手難易度Aに指定された緋の眼。そんなものが闇サイトで取り引きされれば人体蒐集家や犯罪者達は食いつくに違いない。実際、継承戦においてカキン国第四王子ツェリードニヒは緋の眼を映した動画を闇サイトに投稿していた。緋の眼と闇サイトの相性は抜群なのだ。

 

 

 

 そして二つ目の目的は流星街を恐怖の象徴にするというものだが、これは恐らく先述した報復事件などのことであろう。ヨークシン編で流星街の流儀について説明される時の事例が原作開始の7年前の最近の事件であることから、流星街の報復というのは大昔からの歴史ではなく最近始まった流星街の示威行為の一環だった可能性が高い。

 

 それを踏まえると、クルタ族はどうなのだろうか?先程も言った通り、クルタ族は世界中からその価値を狙われながらも生き延びてきた民族だ。緋の眼の入手難易度がAな通り、虐殺しようとして簡単に虐殺できるわけではないだろう。

 

 そんな彼らを虐殺したのが流星街だとするとこれは流星街の力を示すのにピッタリなのではないか?ちなみにこの事件は報復事件の一年後の出来事であり、この期間に幻影旅団は流星街の示威行為をしていたと推測できる。

 

 仮にこの虐殺がクルタ族への報復を目的のものだったとするなら、そもそもメッセージを残す意味が全くないのだ。メッセージを見るはずのクルタ族は既に全員殺しており、そのメッセージはクルタ族ではなく他の者に向けたものだと考えるのが当然の帰結だろう。それは世間への示威行為だったとすると納得がいく。

 

 

 

 それらを踏まえた上で、クルタ族虐殺を巡る謎には大きな謎が残されている。それは何故クラピカはクルタ族虐殺の犯行を幻影旅団によるものだと断定しているのか?ということだ。

 

 クルタ族虐殺は流星街の示威行為の一環、仮にそれが間違っていたとしてもまるで流星街がクルタ族を殺したかのような殺害現場になっているわけで、クラピカはまずクルタ族虐殺には流星街が関わっていると思うはずである。

 

 そして流星街と幻影旅団は大きく関係しているわけだが、あくまでそれは流星街の中にいる人間にしか分からないことで、ヨークシン編で世界的なマフィアが徹底的に調べ上げた結果その時初めて消去法で幻影旅団と流星街の関わりが挙げられるほどには徹底的にこの関係は秘匿されている。

 

 まとめると、

・殺害現場を見る限り流星街がクルタ族虐殺の犯人である

・流星街と幻影旅団の関係性は秘匿されている

・クラピカは犯人は幻影旅団だと断定している

 

 これらが同時に成立するのはおかしいのだ。そして上の二つは描写的には疑いにくいものであり、最後のクラピカが幻影旅団の犯行だと断定していることに謎があると考えるのが妥当だろう。

 

 

 

 俺は一応、この人が関わっているのではないか?というなんとなくの予想はあるのだが……いや、よそう、俺の勝手な推測でみんなを混乱させたくない……

 

 

 

ーーーCASE5 決着ーーー

 

 

 

 結局、蜘蛛を騙ったマジタニはクラピカによって地面に叩き付けられて失神するのだが、クラピカとマジタニのルールが降参か死かのデスマッチであった為にクラピカは途中退場したことになる。

 

 流石にクラピカの失格負け、なんてことにはならなかったが、勝敗を決めて次の勝負に入る為にはマジタニが起き上がって降参するかクラピカがマジタニを殺すかの2択しかなかった。

 

「ちっ、屁理屈抜かしやがって。オイクラピカ!」

 

「断る。彼は降参しようとしていた、それを私は怒りに身を任せて殴ってしまった。これ以上彼に危害を加えるつもりはない」

 

「ざけんなよ!じゃ一体どうするつもりだ!?」

 

「彼に任せる。彼が目覚めれば自ずと答えが出るはずだ。私から何かする気はない!」

 

 レオリオがクラピカに吠えるもクラピカは一切動じなかった。うんうん、やはりそれくらい殺しには否定的であるべきだよね!!!ヒソカもクラピカの爪の垢を煎じて飲んどけ!!!

 

 

 

「アンタが嫌なら俺が殺そうか?殺しが怖いんでしょ?」

 

「…殺しを怖い怖くないで考えたことはない。それにこれは1対1の勝負であり手出しは無用だ」

 

「そうだよ、相手の人もオレの負けって言いかけてたんだし起きるまで待とうよ」

 

 キルアは挑発するがクラピカはそれを受け流し、ゴンもクラピカに同調してマジタニの復帰を待とうと提案する。

 

 レオリオとキルアの目がこちらを向いた。…あー、俺に意見を聞く流れね……

 

「…いや、まあさ……いくら犯罪者って言っても殺すのは良くないよな、うん……」

 

「全く説得力がねぇぞその言葉……」

 

「ステラが普段隣にいるヤツに言いなよそれ」

 

 正論だった。

 

 

 

 いくら俺の言葉に説得力がないとしても、一応3対2で俺達はマジタニの復帰を待つことになった。だが、数時間経ってもマジタニが身動きひとつ取らないことにキルアは不審に思う。

 

「もしかしてあいつ、もう死んでるんじゃないの?」

 

 マジタニの狸寝入りを疑った俺達に対し、次の試練官はお互いに問題を出し合って俺達のトリックタワーの攻略時間の50時間と相手の刑期50年をチップに賭けを出し合うことを勝負とした。それをレオリオは承諾して勝負開始となる。

 

 そこで医者としての知識を活かしてマジタニの狸寝入りを看破したレオリオはそれを問題にすることでチップを犠牲にクラピカの勝利を確定させる。

 

「これで俺達の勝ちだ。そこを通して貰うぜ!」

 

 

 

 レオリオは俺とゴンとクラピカの3勝でこちらの勝ちを宣言してここを通ろうとするが、そこは相手の方が一枚上手だった。

 

「でも貴方はさっき私の勝負に乗ったわけでしょ?この勝負までは受けてもらうわよ」

 

「ちっ、まあいい。後は俺が勝つだけでいいんだしな」

 

 相手は自分達が負けることを踏まえて自分の刑期を少しでも減らそうと賭け勝負に持ち込んだのだ。マジタニの狸寝入りがバレるのにも時間の問題はあるだろうしかなり狡猾な奴だ。

 

 そしてそんな狡猾な奴を相手にレオリオが勝てるわけもなく……

 

 

 

「すまねぇ!博打には自信があったんだが……」

 

「クラピカが勝ったのはレオリオのお陰なんだし気にしないでよ」

 

「そうだな、私の尻拭いをしたことは感謝する」

 

「50時間ちゃんと休憩を取れば後の10時間フルで動けるわけだし、そこまで絶望的でもないな」

 

「…まあでもレオリオはギャンブルしない方がいいと思うぜ」

 

「…ハイ、肝に銘じます……」

 

 キルアの忠告にレオリオは部屋の隅に籠る。俺達は先にある空き部屋で50時間を過ごすことになった。

 

 

 

ーーーCASE6 魔法の正体ーーー

 

 

 

「ステラ、私に魔法を見せてくれないか?」

 

「え?いいけど……」

 

「あ、オレ達も見たい!」

 

 なんとかキルアのジョネス殺害を食い止めた俺はホッと一息ついていたのだが、そこにクラピカから魔法を見せるようにお願いされる。そこに欲求不満そうなキルアや興味ありそうなゴンとレオリオも混ざり、俺は4人の前で魔法を見せることになった。学芸会ちゃうんやぞ!(12年ぶり2度目)

 

 

 

「これでどうだ!」

 

「うわっ、あんな遠いところからコップに水を注いでる!」

 

「こんなこともできるぞ!」

 

「そのコップを触れずに移動させやがった!」

 

 俺は4人の前でとりあえず物体を浮遊させたり(隠をした分身に持たせただけ)離れた物体を移動させたり(隠をした分身に持って来させただけ)したのだが、しばらくするとクラピカは、

 

「礼を言う、これでおおよそ分かった」

 

「おおよそ分かった……って、一体何が分かったんだよクラピカ」

 

「ああ、ステラの魔法の正体について推測がついた」

 

「え?」

 

「凄いやクラピカ!そんなことが分かるの!?」

 

「確証はないがな」

 

「えーオレも知りたい!アイツ何言っても魔法としか言わないしさ!」

 

「いや……流石に本人の同意なしにそういうのを言うには……」

 

 え?

 

 

 

 いやいやいや流石に念使いでもない人間に能力分かるなんてことあり得ないって!まず俺の具現化した分身は隠で見えなくしてるから念使いじゃない人には絶対に見えないし、気配だって俺自身が分身を通して視線を送ってようやく野生児のゴンが気づくか気づかないかだぞ!まずその存在を気取られることはあり得ない!!!

 

「ステラ、よろしいか?」

 

「え?あ、ああ。いいよ?だって魔法だし?正体なんかないし?余裕だし?」

 

「(露骨に動揺してる……!!!)」

 

 だがこの時俺は忘れていたのだ。作中のクラピカの行動を仲間としての視点で見た場合、彼がどれだけ有能であるのかを……

 

 

 

「まず最初に私が推測に至った根拠は4つあり、私とレオリオしか知らない情報があることを言っておく」

 

「え?オレも知ってるのか!?」

 

「まずは遠くにいる人を同時に一瞬で倒す魔法だ。これに関する根拠が2つある。1つはその時に発生する破裂音や発射音に似た音だ。これを聞いた時には私は彼女が銃かなにかを使ったのかと思ったが、彼女にはそんな様子はなかった。もう1つはレオリオと一緒にヒソカに巻き込まれた時に聞いた、ワンダーバルーンという単語だ。これは恐らく魔法の名前かその詠唱であると推測でき、バルーンという名前から風船が関係していると私は思った」

 

 や、やばい。

 

「つまり、彼女が一瞬で人を倒した原理はこうだ。他人のすぐ横に人間には見えない風船を発生させ、それを破裂させる。その音にビックリした人間はショックで気絶する。音の大きさは周囲に分散するうちに小さくなるため、私たちにとっては風船の破裂音は気絶するほどのものではなかった」

 

「ふ、風船だぁ!?」

 

「けど、それじゃさっきの空中浮遊はどう説明するわけ?まさか風船に吊るして浮かせたとは言わないよな?」

 

「それも説明する。彼女が物体や人を浮遊させていたのは私達も何度も見たわけだが、明確な根拠を得たのはこのトリックルームの隠し扉に入った直後のことだ。彼女の足元に落ちていた私達の分のタイマー、あれは嵌められた状態のままだった。腕時計型のタイマーを5つも嵌めるには彼女の腕だけでは足りないだろう。また彼女が全てのタイマーを付け外ししていたとしても、タイマーを外してもう一度タイマーを嵌められた状態にするという不可解な行動をしていたことになる」

 

「あー、よく分かんねぇよ!結論だけ言ってくれ!」

 

「つまり、彼女は人間の形をした風船を操ることができるのだ。だから人や物を持ち上げられるし、腕時計型のタイマーを身に付けることができる。そしてその風船はタイマーを身につけたまま消えたことで、タイマーは嵌められた状態で彼女の足元に落ちていたのだろう」

 

「そして最後の根拠はキルアとゴンとの会話だった」

 

「ま、まだあんの!!?勘弁して〜」

 

「一次試験が終わった時、キルアとゴンは途中まで一緒にいたはずのステラが消えて瞬時に私とレオリオの場所に移動したことを不思議に思っていた。それに対して彼女は瞬間移動だと言ったわけだが、私は彼女が走ってあの場所に着いたのを見ている。私はそこで瞬間移動以外の方法かつ、今までの人間の形をした風船を操るというやり方でこれを再現できるか考えたのだが、ひとつだけ存在した。それは風船の見た目だ」

 

「風船の見た目?」

 

「そうだ。もし、風船の見た目がステラ自身にそっくりであり、それをキルアとゴンがステラ本人だと勘違いしていたとしたら?あの時の霧は濃く周囲の様子を見ることは難しかったし、他人をじっくりと観察できるような状況でもなかった」

 

「確かに……あの時のオレとキルアはそこまでステラを見たわけじゃない、そうだよねキルア?」

 

「ああ、オレ達は隣にいるのが当然ステラだと思っていたし、アイツの服は全身を隠しているから違いにも気づきにくい。声だって風船にスピーカーでも仕込めば誤魔化すことも可能だ!」

 

 

 

「つまり魔法の正体とは、ステラとそっくりな風船でできた人形を動かしそれを見えなくすることもできる、というものだと私は思ったのだが……どうだステラ?合っていたか?」

 

「………」

 

「ステラ?」

 

「し、失神してる……」

 

 

 

 念使いでもない人間に発見破られる念能力者いる?

 

 いねぇよなぁ!!?

 

 

 




 ステラがクラピカとクルタ族の謎を考察し、クラピカがステラの能力の謎を考察する、これもう相思相愛ですね。
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