※要素があるので念のためクロスオーバータグつけていますがほぼファフナー関係ありません
ごく普通に暮らし、交通事故で死に、そして何故か転生というやつを果たした俺は、生まれ変わったこの世界がどこで、その時代がいつなのか、それを理解した瞬間に膝から崩れ落ちた。
「な゛ん゛でだよ゛お゛!!!!!!」
と某俳優ばりに濁点をつけた声で、顔面をしわしわのピ◯チュウにしながら思い切り怨嗟を込めて叫んだ。
それもそのはず。この世界は『ワールドトリガー』の世界で、自分が暮らしている場所は三門市。
俺は『ワールドトリガー』という作品に初めて触れた時、「……わりと暗い展開があり得るSFロボットアニメの系統かな?」と思ったものだ。
まずその点だけでも命の保証は絶対ではない、むしろ危険な方であるというのに。
「おいおい、急にどうしたんだ」
「大丈夫か?」
そう言って崩れ落ちた自分の顔を覗き込んでくる人たちは、登場人物で。名前を相馬健吾と甲斐学といって──そして、物語が始まった頃より幾分
もしくは、この2人を含めて、原作開始時には『既にいない』者たち。極め付けに──。
しおしおと顔を上げた先、ばちりと目が合った『少年』。──間違いない、主人公のひとり、迅悠一。
ただし、前述の通りまだ『少年』という言い方が正しい、原作開始時より幼い容貌。
要するに。俺こと
そう、『旧ボーダー』────そのほとんどのメンバーが、原作開始前に起こった近界での戦争で命を落とす組織だ。
一体俺が何をした。前世でも不慮の事故で死んだのに、生まれ変わったと思ったらまたしても命の危機しかない時代と世界と環境だ。
せめて、せめて原作が開始していてくれたら危険度は段違いに低かったはずなのに……!!!!
頭を抱えて唸り始めた俺を仲間達は戸惑ったように見つめたあと、「>そっとしておこう」コマンドでも選んだかのようにそっとその場を立ち去った。
「お前なら大丈夫だと思うけど、流石にそろそろ準備しとけよ、明日にはアリステラへ出発なんだからな」という、とんでもない最後通牒を突きつけて。
そう。つまりは、【悲報】俺の余命、あと1日(移動時間も含めたらもっとあるかもしれないが)────というやつだった。言っても詮無いことなのだが、何故もっと早く前世の記憶を思い出さなかったんだ俺は。バカ……!
うん、もはやここまで。さすがに何か対策をするにも時間が全く足りない。
俺は戦闘が下手なわけではなく、トリオン量も多めだが、トップレベルの人たちほど強くはない。例えばそう、忍田さんとか、林藤さんとか。
実はサイドエフェクトも持っているのだが、万全に使いこなせているとは言い難い、とかく不器用な人間で──そこまで考えて顔を上げると、改めて、パチリと視線がかち合った。
「……あの、霧島さん」
「……ああ、迅。ごめんな、見苦しいところを」
「全然。……それより、……何が変わった?」
はた、と俺の思考が止まる。迅は言葉を選びながら、慎重に俺に問いかけてきた。
「さっき霧島さんが取り乱してから、……未来が変わった。……負け戦には変わりがないけど、犠牲になる人の数が減った。……本当は、もう、ここには戻ってこれないはずの、みんなが……」
ぐっと唇を噛み締める迅の姿に、俺は頭を思い切り鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
幼い、──まだ少年の域の迅に、未来視のサイドエフェクトがあることの、なんと残酷なことだろうか。
ああそうか、迅ひとりが抱え込むはずだったものを、俺は今、少しでも減らせたのかもしれない。
手を伸ばして、彼の頭をくしゃりと撫でた。
「──そうだな。覚悟を、決めた……いや、思い出したというべきか。
……昔、俺は、戻れる場所があることを、当たり前のように思っていた。だけど、それは当たり前じゃなかったんだ」
「もしかしたら、他のみんなも、何かを心に決めて戦いに行く。負け戦だと理解している者も多いだろう。それでも、『戻りたい場所があれば戦える』と、考えている人だっているかもしれない」
平和な日々を。皆で笑って過ごした、この旧──まだ旧ではないけど──ボーダーという組織に、場所に、戻って来れるようにと。
「だったら、せめて、俺ができることをやらなくちゃな。1人でも多く、仲間をここに戻せるように」
迅が瞳を潤ませて俺を見上げる。──まだ、子供だ。だけど若い方が成長するというトリオンの性質上、子供が戦場に立つことは、きっと止められない。
仲間たちにも、俺より年下がたくさんいるというのに、全く──不甲斐ないものだ。それでも。
「ありがとう、迅。お前たちが
そうだな、ひとつ、受け売りを託しておくか。
「この戦争が終わったあと、城戸さんや忍田さん、林藤さん──残った人たちに伝えてくれてもいい。──────」
その時迅に遺した言葉が、きっと生き残った仲間たちにも届いてくれることを、信じている。
***
「クローニンさん、王女様がた、こちらへ!! 急いで!! 殿は俺が務めます、とにかく走って! 俺の仲間のところまで!!」
崩れゆく城の中を、大事な『母トリガー』『冠トリガー』とともに、アリステラの王族たちが駆け抜ける。──また、子供だ。1人は赤ん坊だった。
しかしここで万が一があれば、戦ってきたことが全て無駄になる。
敵を切り伏せ、撃ち落とし。時には躊躇なく止めを刺して──命を奪いながら。
ここで、俺のサイドエフェクトに引っかかる〝思考〟があった。
「霧島!!」
「風間……!!」
風間進。言わずもがな、蒼也という弟がいる同い年の友人だった。ああそうだ、このままではこいつも────
「
あ。
「──────霧島?」
間一髪で物陰に風間を引っ張り込んで、庇うのが間に合った。サイドエフェクト様々だ。
しかしまあ、容赦のない連射で。トリオン供給機関が破損してトリオン体が解除され、生身に戻った後も、体のあちこちに、胸にも腹にも穴が空いて、これは、まあ──無理だろうな。
「──帰すよ。お前のことは、絶対に。弟が待ってんだろ」
「それ、は……!! お前だって家族が……!!」
「いいんだ、分かってた。じゃなきゃ、出発前に、あんな奇行しないっての」
俺は血に塗れ、震える手で、自分のトリガーを風間に渡した。
「一世一代の、大勝負だ。ここで俺が、〝黒トリガー〟になれれば──帰れる仲間は多くなる」
言葉にならないのか、風間が目を見開いて唇を戦慄かせている。
「ま、〝博打〟ってのも一回、やってみたかった。じゃ────頼んだぜ」
どんなトリガーになるかは全く持って予想できない。ああでも、黒トリガーってのは戦況をひっくり返せるレベルのものらしいし、強いの確定だから、まあいいか。ああでも、どうせなら──SFっぽくて、恐ろしくて、広範囲対象の──ガハハ、迅にあの台詞を託したからかな、イメージが
急速に意識が薄れていく中、風間が俺の名を必死に呼んでいるのを認識した。酷いことを託したのは分かっている。だけど、ああ、代わりにいい知らせもあるんだ。
俺は。前世の記憶を取り戻した俺は、そして──悲しく優しいサイドエフェクトを持つ子供だけは、知っていた。この戦争で、絶対に帰れない人間が出ること。
昔、皆で駆け抜けたあの三門の地を二度と踏めないこと。夕暮れに染まる美しい地球の空を。
戻れない場所と知っていながら、俺はずっと夢見ていたんだ。俺が戻れないその場所に、
だから、いいんだ。いいんだよ。
◆◆◆
「──〝僕たちは常に、誰かが勝ち取った平和を譲ってもらっているんだ。たとえそれが一日限りの平和だったとしても、僕はその価値に感謝する〟」
かつて、その言葉を迅に教えた者がいた。好きだっ た物語の受け売りだとの注釈付きだった。
師匠の最上宗一ではない。しかし、旧ボーダーのメンバーではあった。
そして、5年前の戦争でその命を落としたうちの1人だ。
彼は今、適合者がひどく限られる
その〝黒トリガー〟の名は、『帰還』。その黒トリガーを身につけた者がトリオン兵を含む他者のトリオン体に触れると、他者のトリオン体は瞬間的に緑色の結晶と化し、砕け散る。が、そのトリオンは『帰還』のトリガー使いに吸収され、その者のトリオンとして回復に当てることができる。その他複数の機能有り。
研究者、そして数少ない適合者の黒トリガー発動時の証言より〝同化〟と名付けられた歪な能力を持った、強大かつ危険なトリガーである。
あの日、戻ってこなかった者は確かにいた。それでも、最初に迅が見た未来より、よほど多かった。
あの1日で霧島に何の変化があったのか、迅にも未だ理解は出来ていない。
しかし、彼の献身で変わった未来だ。城戸たちにも、あの言葉を約束通り伝えることもできた。
迅はまた、次の未来の分岐点のために、歩き出さねばならない。それが、彼の思う〝平和の価値〟を守ることだから。
ネタを吐き出したかった書き殴り小説。クロスオーバーではないと思っていますが必須タグなので念のためつけました 基準がわからぬぇ……
旧ボーダー、絶対ROL(概念)だろ……と思っており、作者が読みたいワートリを書いてみました。旧ボーダー編どころか遠征編もいつになるかわからないからもう書いちまえ精神。ほぼほぼ情報がないのでキャラクターとかほとんど捏造。