2000年代、RPGツクールで作られたRPGです。
所謂フリーゲームですね。 ロボットに乗ったり降りたりして敵国と闘う、熱血ものなんですが、戦争の非情さも訴えておりました。
スマホアプリで舞台を変えての続編が生まれていき、今現在もUnityで続編が制作中となっております。
神機シリーズ、ないしはPROJECT神機ですね。
続編出る度にガンダム並に次々と製造されていく神機達、戦争や悲劇に狂わされた悪党達が魅力的です。
公式サイトも健在ですが、文字化けというか文字がはみ出てる所があるので、注意して御覧ください。
今回書くものは、絶対的に希少なPROJECT神機の二次創作になります。
オリジナル主人公ですが、御覧ください。
天星歴1000年
ブラック共和国によって領地化されていたレッド帝国が、反旗を翻したことから起きた、世界統一戦争の最中……
古代遺跡から二対の兵器が発掘された
巨躯、鋼の肌による高い戦闘力、近代兵器と似つかぬ構造、その中で確認された生命活動……
人々はこの兵器を神と崇めた
技術者達は辛うじて解析可能な部分から量産機を開発
人の手で造られたその兵器スピアは、オリジナルの二体も含めて、神機と呼ばれるように至った
オリジナル神機の片割れセイバーに乗った新兵の快進撃、レッド帝国皇帝の暴走、真王の共和国乗っ取り、人造人間マッドギアの虐殺を経て……オリジナル神機同士の決着によって、世界統一戦争は終戦となった
しかしやがて、神機技術は世界中に流布し、世界標準兵器は戦闘機や戦車から、神機に置き換わった
神機という新たな玩具を得た一部の人類は、戦争というゲームで各国の大地や命を神機で遊び倒し、世界から火種が消えることはなかった
そうして二年も経過し、それに拍車をかけ、解体された
世界中の民間企業で唯一、神機製造特許を得たマジェスト社による各国への神機キャンペーンだった……
ブラック共和国 田舎町
「つまり、マジェスト社が神機をバンバン売ったおかげで世界中の戦争が激化!
世は今まさに神機戦乱時代の真っ只中というわけさ!」
田んぼに挟まれた道を歩きながら、新聞などで得た情報を大きな声で話すのは、男子中学生。 斜向いに歩く女子中学生と、茶髪もかわいい顔立ちも似ている。
「
光は足を止めると、冷めた目を同い年の弟に向ける。
「はっ!
こんな狭い町じゃ、ぜっったいに起こらないことが都会じゃ起きてるんだよ!?
卒業したら絶対この町から出てやるんだ!」
「むしろ神様に踏み潰されるようなら、都会にも海の向こうにも出たくないし、何より女だからとか今どき古くさい」
後頭をかく流。 二人で暮らしている割には、姉の光とはいつもこうだ。
相反するのに離れないのは、同じ腹の中からの宿縁からなのか。
「光ちゃん、ホントにこんな退屈な町に骨を埋めるつもりかよ?
暖房だって年に掛かるか掛からないかじゃないか」
「作ってるじゃん新しい暖房。 青年団の人達が」
「いや、もっと機械的なヤツが良いだろ?
壊れもしないようなヤツとか……」
「モノはいつか壊れるって、パパもママも言ってたでしょ――」
光ははっと、口を抑えた。 流には
現に流は、身体を震わせ、涙目になっている。
「……都会じゃ人は死なないんだ。
だって神機は、採石場で見たスピアは、あんなに大きいんだよ?
きっと、神機に乗った人は踏み潰されたりしないんだ」
「い、いつまで経っても子供なんだか……ん?」
ふと上を見ると、赤みがかったヘリコプターが上空を飛んでいる。 弟から外の情報を聞かされてる光には、その紋章に見覚えがあった。
「レッド帝国? 何しに来たのよ?」
「アレ、採石場の方に飛んでない?」
少し調子を取り戻した流には、ヘリが山に近づいてるように見えた。
「……ちょっと行ってみない?」
「え? そりゃ行きたいけど珍しくない?」
「なんかムカつくじゃん」
ブラック共和国を打ち倒したレッド帝国。
その最終的決着が和解だったとしても、共和国人の光には、良い感情が芽生えない。
しかし、光の足を走らせるのは、悪感情だけではない。
嫌な予感だ。 それは、ついてくるように走る流も感じていた。
ブラック共和国 ヘイ山中 採石場
安い型落ち神機スピアが素手で岩を掘る。
青年団の鉱夫達がドリルで岩を掘る。
その風景に、ある異物が紛れ込んだ。
「な、なんなんです、貴方達は!」
鉱夫達の前に、レッド帝国軍人が十人もいる。
赤い軍服に、ゴーグルヘルメットで鼻と口以外の頭を覆っている。
「? そちらから重大な発見があったと連絡が入ったのですが」
田舎出身でも、共和国軍人にも馴染みが薄いが、かつての敵対国相手では馴染みも何もない。
「連絡をしたのは、共和国軍にですよ。 どうして、クリムゾン連合国でもないレッド帝国が!?」
「……もしかして、俺、違う番号入れちゃった?」
痩せ気味の鉱夫が、顔を少し青くしている。 仲間達は痩せ気味鉱夫に一斉に詰め寄った。
「……なんでお前連絡かけてんだ。 文字苦手だろ!?」
「ゴメン、ちゃんと電話できたから、さっきまで調子乗ってて……」
「そもそも、クリムゾンかブラックならともかく、なしてレッド帝国の番号が置いてあんだ!」
「クリムゾン連合国は、我々レッド帝国と、君らブラック共和国の上層部で作った試験的国家。 和平の証、つまり子供だ……」
兵士から身を翻した鉱夫の一人、その後ろから、おどろおどろしい声が響いた。
振り向くと、初老の男が兵士の前に出ている。
「離婚してもいないのに、親同士がダメなんて理不尽じゃないかね?」
白衣の下、緑シャツに少し浮き出てる胸筋。
白髪の下の右目を覆い隠すモノクル、何より瞳孔の開いた左目が、圧迫感を味わせる。
気圧されつつも、屈強な鉱夫は訪ねた。
「あ……貴方も、レッド帝国の?」
「科学者の一人さ。 君達と同じ国民を実験で殺してきたんで、死神博士なんて呼ばれちゃいるがね。 まあ、ここは一つ、仲良くしよう」
おぞましい事実を述べながら差し出された掌に、屈強な鉱夫は、後ずさった。 死神博士は、兵士の一人の、集音性の高いヘルメットに耳を立てる。
「おやおや我ながら嫌われたもんだねぇ」
「当然でしょ……」
帝国部隊長は淀んだ空気を切り替えるように、部下に軽く声を上げる。
「おい、共和国軍に連絡を。 これ以上連絡が遅れたら問題が増えるからな。
それで……重大な発見というのは?」
鉱夫達は顔を見合わせ、ノッポの鉱夫長はため息をつく。
「仕方ない……こちらです」
鉱夫長の後についていく帝国兵達を、岩陰に隠れ、息を切らして双子は見ていた。
ブラック共和国 ヘイ山中 採石場奥地
「おい出てけ! 子供の来るとこじゃねえよ!」
こっそりと後をついてきた双子だが、鉱夫の一人に通せんぼされている。
「す、すいません!
なんかレッド帝国のヘリが見えたもんだからつい……」
帝国兵のゴーグルには、流の嫌らしい笑みが見える。
「あの子達は? 双子のようですが……」
「麓の村の子供です。
親を二人とも亡くしてから、二人暮らしで……姉の方は普通なんですが、弟の方は都会に憧れて、新聞とか読み耽ってる毎日で……前はとんでもない問題児だったんですが」
「なんだ、これは!?」
兵士の大声に、振り向く鉱夫。
その隙に、双子は息を軽く合わせて鉱夫の脇をすり抜ける。
静止の声を聞かずに、軽く走った先、止められた時に、二人は見た。
大きな氷。 その中に眠る、青黒いローブの少年。
それを挟んだ、二対の四角い腕。 水色がかった灰色で、四角い石が積み上がったような様相。
「……これは……人工冬眠、か……?」
「この両腕は、神機のパーツ……?」
「セイバーとブレイドが最初に発見された時と、同じ……?」
双子だけではない。 帝国兵達は呆気に取られていた。
「一昨日辺りに見つかったんです。 何から何まで意味不明で、どう扱ったものか、ワシらも決めかねてて……相談かお渡しするために、共和国軍に連絡しようと……」
「なんと興味深い! ぱっと見たところ、数千年は眠っているように見える!
ユキくんと同じ古代人か!? 君達! 帝国本土への移送準備を!」
更に口を出したのは、部隊長だ。
「いえ! クリムゾン連合国に送った方がよろしいのでは!?
ブラック共和国内で見つかったモノを、連絡が入ったからといって勝手に持ち出すのは、外交問題が増えてしまう」
「だがねキミ……いや、クリムゾン軍のセドリックは、力に飢えてるみたいだったな……恩を売っておくか」
「では、クリムゾン連合国へ移送準備を」
「お待ち下さい。 共和国兵を待ちましょう。
彼らの国内で許可なく事を進めるのは如何なものかと……。
割とすぐに来るはずです」
死神博士と話し合う帝国兵を見て、胸を撫で下ろす鉱夫達。
「やれやれ、なんとかなるみたいだな」
「あんなよくわからんお宝、高値で売ってもどうなることやら……」
瞳を光らせた流が帝国兵に近づく。
「すいません、セイバーとブレイドって最初のオリジナル神機ですよね?
古代神機の! アレと同じって、人工冬眠された人がいたってことですか!?」
「民間人は気にしないで。 ホラ、さっさと帰った帰った」
流を手で払う帝国兵に対し、今度は姉が近づく。
「……その子、どうなるの?」
眉を顰めて、不安げな面持ち。
「うん? それを今決めてるところだけど?」
「死んじゃったりしないわよね?」
訝しんだ鉱夫が尋ねる。
「あの子のことをなにか知ってるのか?」
「知らない子。 でも、長い間寝てたところを、珍しいものだからって、勝手に連れ出されるなんて……」
鉱夫達はため息をついた。
光はこういう娘だ。 虫も殺さないほどに心優しい。
亡くなった父親譲りの性分を、この時ばかりは鉱夫達は呆れていた。
「あのなぁ、数千年も寝てるなんて話だぞ?
見たことない神機の腕もだ。 厄ネタ以外の何物でもない、町の日常に必要ない」
光は目を見開いて兵士に近づく。
「ま、まさか、こんな子を殺す気じゃないでしょうね!?
十歳くらいじゃない! アタシより四歳か三歳くらい違わない!」
「だ、だから決まってないんだって!」
年配の鉱夫が怒声を上げる。
「いい加減にしろ! これは重大な問題だ、子供の出る幕はない!」
「この子も子供じゃないの!?
自分の生き死にの選択もさせてやらないとか言うのアンタ達!?
いつから青年団は、そんなきったない大人になったのよ!?」
鉱夫が拳をふりかぶったその時、男の声がした。
「何の騒ぎですか?」
黒い軍服の一団が、洞窟内を狭くする。
「あ……共和国の!」
黒い鉄ヘルメットを被った、共和国の軍兵士を確認すると、帝国兵は敬礼をし、鉱夫達も一斉に頭を下げる。
「報告したモノについて揉めてたぐらいです」
「それで、その例のモノは……」
隊長格と見られる兵士が、大きな氷と腕を捉えると、身を強く固めた。
「……これは……古代神機絡み、か?
どういう経緯で?」
ブラック兵隊長は、鉱夫達とレッド兵士、及び死神博士から事の経緯を聞き入れる。
「……よし、クリムゾン連合国へ搬送準備!」
光が声を上げようとした時、
「……いいえ、班長。
これは……」
ブラック兵士の一人が、腰から
「抹殺すべきです」
共和国拳銃だった。
「何のつもりだ、伍長! 銃を下ろせ!」
周りから押さえつけてくる同僚を意に介さず、拳銃の狙いをブレさせないでいる曹長。 その瞳は焦点を失わないながらも、血走っている。
「古代神機は危険です!! 今の世の中みたいに、世界全てを狂わせる!!」
「落ち着け! なに言い出すんだ!?」
同僚への返答の代わりに、
銃声が響いた。
誰もが轟音に驚き、抑えつけてた共和国兵の一人が倒れる。
鼻に
キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!
うああああああああああああああああああああああ!?!
双子の悲鳴が二重奏。 それに続くように鉱夫達も叫び出す。
「バカヤローッ!! なにしてる!!!」
銃を抜いた同胞にも、返答代わりに、ヘルメットに覆われてない口元へ鉛を放つ伍長。
その隣の、同じ共和国兵にも。 その又隣の、親友にも。
呆気に取られた隊長にも、鼻の穴を二つ開けた。
悲劇に慌てふためく鉱夫達、その前に出て銃を構える帝国兵、目を輝かせる死神博士。
同胞から命と銃を奪い奪って一人残った共和国兵は、
「鉱夫達も、にっくき帝国兵も、命と口を塞いでもらう!!」
「何を考えてる!! 悪逆非道の共和国兵といえど、やって良いことと悪いことがあるはずだ!!」
帝国兵の言葉が、鉱夫達の混乱を、更にかき混ぜた。
共和国人にとって悪逆非道といったら、レッド帝国。
共和国民をさらい、永遠の毒地まで作った帝国……。
しかし、この混乱を招いたのは、自国を守るはずの……
「悪逆非道は貴様らだ。 貴様らレッドがセイバーなどを見つけなければ、この世界は狂わずに済んだものを!!」
伍長が撃った先は、班長の遺体の胸元。
一瞬で意味を悟ったのは、帝国隊長と死神博士だけ。
奥地の入り口から、地震のように音が響いた。
ブラック共和国 首都
都市の街頭テレビに、ニュースキャスターが冷静に言葉を紡ぐ後ろの映像は、驚くものを写していた。
「速報です。 ヘイ山中にて、戦闘獣が出現しました。
付近には神機の姿は、工事用のスピアが数体。
我が国の軍ヘリだけでなく、レッド帝国のヘリが鎮座しているとのことです。
続報が入り次第、お伝えします」
ブラック共和国 採石場
神機が発見される以前、世界には大きな獣が屯していた。
各国の一部はそれを機械で制御することにより、戦闘獣として戦争で使役していたが、神機の台頭で殆どが殲滅されるか、自然に帰っていった。
ただ、数体ほどはブラック共和国に飼われたまま。 羊悪魔の如き様相のギーガニックは、採石場にて野に放たれ、炭鉱の中へ、奥へ奥へと進んでいく。
ブラック共和国 採石場 奥地
「せ、戦闘獣を放ったのか!!」
帝国班長の焦りの言葉に、共和国伍長は笑って返す。
「戦闘獣の権限を許されたのは、班長だけだったからな。
胸の信号の途絶えたここへ向かってくるぞ……古代神機の腕と共に貴様らも私と心中してもらおう」
「な、なんでこんなことするんですか!?
仲間まで殺して心中なんてイカれてる!!」
光の抗議を聞き、歯茎を剥き出しにして叫ぶ曹長。
「馬鹿娘が!! お前こそイカれてると思わないか!?
人型した巨人が、世界中の戦場を跳梁跋扈してるんだぞ。
戦車砲もミサイルも通じないってだけで、時代遅れの倉庫行きか、神機用武器のパーツにリサイクル行き。
我々軍人の戦う戦場は、あんな姿ではなかった!!
それもこれも、貴様らレッドが、我らブラックに従属していれば!!!」
怯える鉱夫長が声を荒げる。
「や、やめろ!
神機は採掘にも便利な道具になってる!
もう争いごとなんてまっぴら……」
銃声が響いた。
「敗北と神機を受け入れた国民は、生きる価値なし!」
目を見開く鉱夫長。 顔や胸に返り血が飛び散っている。
「神機で世界を歪めた敵国民も同じこと!!」
彼の前で、帝国兵の一人が倒れていく。
「と……とんだ、名手だ……急所、ドンピ、しゃ……」
帝国人が、自分達を守った。
いや、今も。 自国軍人へ銃を構えて守っている。
「皆さん伏せて!!」
帝国軍人のその言葉に、鉱夫達は思わず素直に従った。
銃撃戦が始まろうとする、その時。
「起きなさい!!!」
光が、涙ながらに叫んだ。 流も鉱夫達も、帝国兵の一部も思わず光を見た。
「起きなさいよアンタ!!!
殺されちゃうのよ!!?」
叫んでる先は、氷の中の少年。 目を閉じて、穏やかに眠っている。
「あたし達の国の軍人が、トチ狂って、アンタも! 青年団も! あたしも! 弟も! 皆殺しにしようとしてるのよ!!
戦闘獣まで使って!!!」
狂った銃口が、少女へ向く。
「いつから寝てるか知らないけど!!
生きるために寝てたんじゃないの!?」
地面が、天井ごと揺れていく。
「さっさと起き」
言葉の続きは、大きな雄叫びにかき消された。
この奥地まで地面を掘って来た、戦闘獣の巨体に、双子はもちろん、伏せた鉱夫達も、帝国兵も慄いた。
羊の悪魔が大口開けて剥いた牙は。
石のような拳に、顎ごと砕かれた。
「あ"っ!?」
自ら掘った穴にギーガニックがパワーで吸い込まれた様を見て、思わず声を上げた共和国伍長は、帝国兵も振り返る。
青黒いローブをはためかせ、銀髪の少年が、黄緑の瞳を晒して
ローブがはためき、肩の肌を露出している……が、肩があるべき場所には
右の石柱拳がギーガニックを殴った。 左の腕は、地面に掌を置いている。
少年の真下には大量の水跡が、湯気と共に残っている。 光含む皆が戦闘獣に驚いた一瞬で、あの巨大な氷が蒸発したのだ。
「……起きた」
光が呟きで状況を解説した途端、少年は可愛らしい第一声を放った。
「……あなた方は、どなたですか?」
光は軽く腹が立った。 自身の驚きをよそにやって、少年の下へ近づく。
「さっき大声出してたでしょ」
「ごめんなさい、アポリュオン並の大きな敵性反応がないと、起動しないようになってたんです。
あ、そうだ。 今の暦は? 何年ですか?」
アポリュオン。 聞いたことのない単語に光が首を傾げてる間に、マイペースに質問する少年。
その彼と腕に、死神博士は、流と共に目を爛々と輝かせていた。
「……おい小僧」
銃口を少年に向け直す、狂気の伍長。
「お前のその腕は古代神機関係のものか!?」
「あっはい、僕のこの義手ワンダームは、神機の強化パーツにもなります。
でも大丈夫ですか? なんだか顔色が悪いようですけど」
歯を食いしばった瞬間、息苦しく呻く。
隙を見て背後に回っていたレッド兵士が、伍長の首と後ろ頭を抑えつけている。
銃を後ろの敵に向けようとした震える片手も、もう片方の腕ごと他の帝国兵と、鉱夫長に抑えられる。
「この野郎!!!」
一人の鉱夫が目を血走らせて、振りかぶったツルハシは、口へ突き立てられた。
脳幹近くを大きな穴で開かれた狂兵は、弾丸を壁にめり込ませながら、生暖かい体温のまま、御霊を地獄に落としていった。
光はへたり込んだ。 生命がまた閉ざされたことへの絶望に。 でもこれで終わったのだと。 大きな問題を見捨てながら。
流は目を更に見開いた。 兵士は不死身でなかったと。 どこにいても自分は死ぬ運命にあるのだと、絶望した。
狂気を殺めた鉱夫は、涙した。
「……畜生っ!! 初めて人を殺した……アンタらと同じ穴の狢だ」
鉱夫は力なく帝国軍服の勲章に拳を立てる。
「なんで……レッド共和国が、俺達を助けたんだ」
「なに、こっちには
アンタらにとっては大敵だろうが、我が国を闇ごと救い上げた英雄……彼らに顔向けできないことは犯せん」
鉱夫達には、イマイチ理解が出来なかった。 しかし、なんでか。 子供の頃に感じた思いが、憧憬が元敵兵に向けて蘇った。
少年は、全部の状況に理解が及ばず、確認の言葉を大多数に取った。
「あの、今の時代って、人を区別なく殺しても良いんですか?」
「ダメです!!!」
大勢の否定に、ぴっ、と悲鳴を上げて縮こまる少年。
「じゃ、じゃあ、あの敵性存在は……?」
指差す方向には、殴られた大羊が呻いている。
「「「ハイッ、コイツなら殺してオールオッケーです!!」」」
兵隊や鉱夫がグッと指を立てる。
絶望に包まれつつも流は、安心した。 あの子供に任せれば、自分は生き残れると。
「よ、よし! あ、あの出口が空いたら、ひひ、避難しよう!」
しかし、光は疑問を感じ入った。 あんな小さな子に化け物を任せても良いのか、と。
「……私、残る。 こんな小さな子を一人にさせたくない!」
「さっきまであんな目に遭っておいてバカかお前は!!
親父お袋の病が、頭に回って……」
鉱夫の言葉を、巨拳が遮った。
鉱夫の隣の空気を抉り、羊の胴に大きくめり込んだ。
涙をじわりと浮かべる鉱夫に向けて、少年は言った。
「あのー、下がった方がよろしいかと……」
「アッハイソーデスネ」
鉱夫達も少年の後ろに下がった。 銃を構えつつ帝国兵達も。 光と流も。
少年の大きな腕は、サイズと反した拳速で、ギーガニックの反撃を許さないでいる。
笑みの沈黙を貫き続けていた死神博士も、少年から離れた後方で、少年の動きを見る。
「私は戦闘は不得意だが……戦法には理解がある。
遠隔巨腕のパンチの鋭さ、レスポンスタイムが殆ど無きに等しい。
それにあの足運び……おそらく少年兵としての訓練を受けたな。 ユキくんと同じ世代か? 興味深い」
その声を耳で拾った光の疑問が加速した。
子供を兵隊に変える時代? アポリュオンという言葉は一体?
考えてる内に、大羊が出口の穴へ突っ込んだ。
仁義はもちろん容赦なき連撃が、悪魔羊の身体を折り潰していく。
少年の足は悪魔羊の返り血を踏むと、悪魔羊は両拳の衝撃を受け、洞穴を通って吹き飛んでいく。
はい、続きますねー