ストゼロをキメて書いたネタ回です。
▼五徳は静かに暮らしたい
長かった夏休みが終わった。
学校の中は体育祭に向けて
そんな夏目の朝は低血圧に抗うところから始まる。
朝、6時半には目覚めるも中々布団からは出ない。今はまだ夏場であるためそこまででは無いが、冬場になると1時間は布団から出ないこともざらにある。
ヨレヨレと起き上がると洗面所へ向かい、顔を洗って歯を磨くと、櫛を使い長めの髪の毛をやや強引に撫でつける。鏡に映る顔は仏頂面というよりも寧ろ病人のようだ。
今日は休日であるため、身支度を整えると着流しを身に纏い、文字通り
神社に到着すると直ぐに本の虫になるかと思いきや、まずは掃除から始まる。竹箒を持って境内を掃いてまわる姿は実にサマになっていて、このときばかりは夏目が神社育ちであることが明確に見受けられ、生来の真面目さが
掃き掃除が終われば、本殿の清掃だ。軽く室内用の箒で掃いた後、固く絞った雑巾で土足禁止のフロアを丁寧に手で拭いていく。榊に水をやり、御神酒を入れ替え、朝の祈祷を行う。祈祷と言っても一般的な二礼二拍手一礼だが、拍手の大きさ、礼の時の腰の角度、お辞儀の長さ、それらは一般人よりも洗練されていることは明らかだ。
ここまでやってようやく社務所に向かうかと思いきや、最近新たに追加されたルーティン、猫の“五徳”の世話がある。
飼い始めるとなると五月蝿くなったBクラスの
元は野良ということもあり五徳は暫くのあいだ外で飼われていたが、意外と人懐こく賢いことがわかったので、最近になって中に入ることを許可された。
五徳に餌と水をやり、夏目は社務所に引きこもると自身にお茶を淹れ、五徳を愛でつつ図書室で借りてきた書籍を開く。もしかするとこの学校で、この瞬間が夏目にとって最大の癒やしの時間かもしれない。
何も無い午前中を終えると、持ってきた手包みの中からカロリーバーを取り出してもそもそと食べる。
社務所には簡易なキッチンがあり一口だがコンロもある。電子レンジ、冷蔵庫もあるので作ろうと思えば昼食くらいは作れるはずだが、そこは独り身の性か、面倒が勝って粗食になってしまう。
粗末な昼食を取って一息ついた頃には、長谷部や綾小路などがやってくる。ほとんどが四方山話で中身の無いことが多いが、彼・彼女が誰かを連れてくる時は要注意だ。十中八九、面倒事に巻き込まれる。
「おはよーナッツー。」
「疾うに『こんにちは』の時間だ。」
「もう、そんなの気にしてると禿げるわよ。」
「――で、今日は何しに来たんだね。」
「良い茶菓子が手に入ったんだー。食べる?」
「くれるのか?」
「あー、私、温かいお茶が飲みたくなってきたかもー。」
「――わかった。今からお湯を沸かすから少々待ちたまえ。」
「やっぱ涼しい部屋で飲む温かいお茶っていいわよねぇ。」
「ハァ…。」
「みんな体育祭の練習で平日は疲れるじゃない?私も休日くらいはのんびりしたいのよ。」
「ボクものんびりしたいのだが――。」
「あら、私が居てものんびりしてて良いわよ?私は五徳と遊んでるから。ねえ、五徳ぅ♪」
「にゃあ。」
夏目は猫と女の子には勝てないことを知っているので、長谷部波瑠加のペースから逃げることは早々に諦めた。*1
夕方になり陽が傾いてきた頃、もう一人の飼い主こと一之瀬帆波が現れる。人気者である彼女は毎日来られるという訳では無いが、暇があれば癒やしを求めてやって来る。*2
「中禅寺君、お世話ありがとう!」
「一之瀬さんもお疲れ様。今日は体育祭の準備打ち合わせだったかな?」
「うん。どうしても先生方だけじゃ足りないところもあるからね。…と言っても私達も練習があるからそこまで深く携わるわけじゃないけど。」
五徳を撫でながら帆波は夏目と会話する。五徳が付けている赤い首輪は帆波が買ってきたものだが、それに付いている招き猫のアクセサリーは例の軽井沢恵が置いていったのを夏目が加工したものだ。
「そうなのか。――一之瀬さん、そろそろ帰らないとスーパーの食材が売り切れるが大丈夫かね?」
「あっ!いけない!中禅寺君、思い出させてくれてありがとう!じゃあ、また来るね♪」
来たときより心なしか足取り軽く帰る帆波を見て、或いは構われて少し気怠そうにする五徳を見て、夏目は少しだけ心の中で五徳に謝罪した。
だいたい七時を過ぎると夏目はぼちぼちと帰る準備をしだす。
そして夏目が帰った頃、コソコソと人目を盗んで五徳の縄張りを荒らす者が現れる。
「こいつがあの猫か…。一之瀬がいきなり神社の予算増額を訴えてくるから何かと思ったが、これは中々クセになるな。」
まさかの兄北登場である。どうやらシスコンだけでなく下僕としての才能もあるらしい。
五徳を膝の上で撫でつつ、思いを馳せる。
「ふむ、野良とは言え良いものを食べているのだろうな。肉づきも良いし、清潔にされて毛並みも揃っている。生徒会室で飼うのもアリか…?しかし可愛いな…。*3」
「何してるの、兄さん…?」
「――鈴音か。体育祭前だというのに余裕そうだな、お前は。こんなところで猫と遊んでいる暇があるとは。」
「え、いや、雰囲気に騙されないですよ。まさか兄さんが猫好きだなんて知りませんでした。」
「――じゃあな、鈴音。体育祭の結果を楽しみにしている。」
クールに立ち去る学。学の後ろ姿を見送る鈴音。その姿だけを見れば何とも絵になる二人だが、その合間には
「兄さんは一体どうしてしまったんでしょう…?」
「――という夢をオレは見たんだがどう思う、中禅寺?」
「最後の方はともかく、ボクの生活が大体あっていることについて若干の恐怖を覚えているよ。フロイト先生も助走をつけて殴るレベルだ。」
この二次創作、二年生編って綾小路のラブコメを祓うだけの二次創作になるんじゃないかなぁ…?
え、一年生編から…?
で、できらぁ!