ようこそ百鬼夜行の跋扈する教室へ   作:桜霧島

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短編集です。神様に関する部分は異論もあろうかと思います。「こんな説もあるよね」程度でご理解ください。


閑話 百器徒然袋 〜雨〜

 

 

▼生徒評価

 

 中禅寺 夏目(1−D)  170cm/50kg

 

 学 力 :A−

 

 知 性 :A

 

 判断力 :A−

 

 身体能力:D−

 

 協調性 :D−

 

 

学校からの評価:

 入学試験はトップクラスの成績であったが、面接試験では必要最低限の言葉しか話さず、時に面接官を煙に巻くような回答が散見されたため、面接官からの評価は割れている。だが入学間もなくからSシステムの本質に気付いていたことから、注意深さや観察力の高さが垣間見える。一方、痩せ身で体育の授業は欠席が目立つことから、身体能力は高くないものと推測される。学校(生徒会)から委託されている神社の運営はよくやっているようだ。

 

 

 

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▼道祖神

 

 

 入学式を間近に控えた生徒会室。二人の男女が執務をしていた。

 

 「橘、ちょっと良いか。」

 

 「どうしたんです、堀北会長。」

 

 「この人工島の端に神社があるのは知っているか?」

 

 「え!?そんなものあったんですか!?」

 

 「ああ、あるにはあったが、この人工島が出来てすぐ何故か忘れ去られていたそうだ。最低限の手入れはされているようだが…。それで今しがた、学校からの依頼があった。今年入学した生徒で神社の息子がいるらしい。そいつに神社が荒れないように面倒を見させて欲しい、とのことだ。」

 

 「そうなんですね…。ちなみにどんな生徒なんですか?」

 

 「こいつだそうだ。1−D、中禅寺夏目。成績はまあまあだな。一応、機密情報だから気をつけてくれ。」

 

 「入試の結果はトップクラスなのにDクラスとは・・・。よっぽどコミュニケーション能力が低いのか運動が出来ないのか・・・。」

 

 堀北学はどこかで聞いたような話に極力表情を変えないように注意しながら書記である橘茜に依頼する。

 

 「問題児であることは間違いないだろう。そんな話をした後で申し訳ないが、神社の維持管理の件で彼に依頼と説明があるから、クラブ紹介の翌日で面談を調整してくれないか?」

 

 「わかりました!お任せください!」

 

 橘茜は淡い好意を抱く生徒会長からの依頼に張り切っている。

 

 入学三日後、担任の茶柱先生を経由して夏目を生徒会室へ呼び出すと、この世の不幸を全て経験したかのような仏頂面で出頭してきた。

 

 「・・・ということで、この依頼、受けてもらいたい。」

 

 「実際に見てみないと何とも言えません。神社にもそれぞれの流儀があり、守らなければならないことがあります。」

 

 「わかった。だが俺は少々立て込んでいる。そこの橘に地図を渡しておくので、共に現地を視察してくれ。」

 

 「わかりました。ですが依頼料というか、報酬はあるのですか。」

 

 「予算として月に3万PPが与えられている。苦しい懐事情だが、斟酌してくれると助かる。一応、榊や御神酒は買える値段だろう。余ったお金が君個人への報酬となる。大型の修繕は予算編成が必要なので生徒会に申し立ててくれ。」

 

 「少し不満ですが、見てから考えましょう。橘先輩、今週土曜は如何です。」

 

 「いいわよ!(お参りなら堀北会長と行きたかったなあ…。)」

 

 

 

 

 

 

 週末、橘は夏目と“晴明稲荷神社”へやってきた。

 

 「どう、中禅寺くん。管理できそう?」

 

 夏目は険しい顔をして神社を検分している。

 

 「気に食わないことは多いですが、まあいいでしょう。ところで社務所にある書物は…。」

 

 「見たところ、この人工島が出来たときの資料やこの神社の管理日誌、あとは…巻物?何かの文献かしら…。」

 

 「これはですね、多分ですがうちの実家から持ってきたものです。」

 

 「ええ!?何でそんなものが…。」

 

 「うちの実家は“武蔵晴明神社”というのです。この関東に“晴明”と名のつく神社はそれほど多くありません。あと神社自体の作りなどから察するに、うちから分祀したもので間違い無いでしょう。」

 

 「へぇ。そんな縁があったのねぇ。でも気に食わないとはどういうこと?」

 

 「元々うちには“猿田彦大神”は祀っていません。元来、“猿”と“狐”の仲は良くないのです。童話なんかだと、どちらも人を騙すものでしょう?…にも関わらず、そうなっているということは、何か意味があるはず。また、わざわざ“稲荷”としたことにも疑問があります。」

 

 「“稲荷”ってどういうものなの?」

 

 「ざっくりと言えば、豊作や商売繁盛を願うところです。この学校の主旨から言えば豊作はわかりますが、であれば天神様、学問の神様である菅原道真公などを別棟等で素直に祀っておけばよいのです。」

 

 「ほぇ~。深いのねぇ。」

 

 「ええ、ですから気に食わないのです。どうせこの神社の建立にはうちの親父か祖父さんが関わっている。そしてボクは親父に半分無理やりこの学校に入学させられた。まるで『どうだ!謎を解いてみろ!』と言われているような気分です。」

 

 「少し勉強になったわ。じゃあ、社務所や倉庫にあるものは自由に使ってくれて構わないし、何か不便があったら私に連絡して。会長には報告しておくわ。」

 

 そう言って連絡先を交換する。

 

 「ありがとうございます、橘先輩。」

 

 「ところで中禅寺くん、この神社では、その、縁結びとか…?」

 

 「さあ?やってみては如何です?それで上手く行けばこの神社のおかげ、ダメなら貴女の実力不足です。」

 

 (この偏屈男!な!ま!い!きー!!)

 

 橘は少し学を恨んだ。

 

 

 

 

 

 

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▼しょうけら

 

 

 

〜綾小路と堀北が来る数分前〜

 

 

 

 

 「キミ、榎木津という男を識っているだろう。」

 

 「ハッ!ボーイからまさかその名が出てくるとは思わなかったよ!」

 

 晴明稲荷神社の社務所で夏目は高円寺の訪問、突撃を受けていた。もちろん拒みはしたが、聞き届けるような相手ではない。

 

 「似たような境遇で、似たような仮面を被った人間がいたら、関連を疑うのも無理はないだろう。」

 

 「ふむ。君は私を知っていたというわけではないのだね、ボーイ。」

 

 「ああ、()()()()()()。」

 

 「彼とは父の会社のパーティで会ってねえ。お互い意気投合したものだ。」

 

 「ウソを吐くな。お前とアレが仲良くなれる筈が無い。お前はまだ常識の側に居る人間だ。アレに影響される理由も、アレを模倣する理由も無いだろう。」

 

 「…実に的はずれだ。彼とは仲が良いのかい?」

 

 「冗談でも止めてくれ。唯の知人だ。私の言いたいことは終わりだ。帰り給え。」

 

 「…また来るよ、ボーイ。」

 

 

 

 

 

 






妖怪は決まったけどストーリーが思いつかないから無人島編は年末年始の宿題ということで。
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