ようこそ伝説の特別試験を起こす教室へ   作:ハァート

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クラスメイトとの交流

入学して1週間が経った。今日もクラスの皆と遊ぶつもりだ。そう、今日"も"なのだ。

 

俺は順調に高校で青春を満喫していた……わけではない。いや、青春を満喫してないと言ったら嘘になるが、本当の目的は他にある。それはクラス内で信頼と立場を得ることだ。

 

信頼、立場を求める理由は2つある。

 

1つ目は、クラス争いが本格化した時に俺の戦略、戦術で戦うためだ。

 

俺はこの実力主義の学校で自分の頭脳が最高だ、と魅せていきたい。

 

学力、身体能力、芸術力、コミュ力。色々な"実力"を持った奴らを俺の思考力、創造力、知力で蹂躙する。これが俺の今の目標だ。

 

ただ、俺の戦略でクラスを動かし戦うなら相応の立場が必要になる。その為に現段階からクラスメイトと交流を深めているわけだ。

 

しかし普通に考えれば、この時期で皆に指示する立場を得られなくても有無を言わさぬ戦略を立てて、それを繰り返していけば、自然と俺の立場も確立されるだろう。

 

だがそれでは遅いのだ。

 

何故なら俺は既にクラス争いに勝つための()()()戦略とそれを達成するための戦術を構想している。そしてその戦術はまだ他クラスがクラス争いに慣れてない、それどころかクラス争いの存在に気づいていないかもしれない今が狙い時なのだ。

 

ちんたらとクラス争い開始の合図を待つつもりはない。

 

2つ目の理由は、その戦略、戦術を実行する為だ。つまり、個々で使える人材、求める盤面を作り出せる組織力。その両方欲しいというわけだ。その為にまずクラスメイトからの信頼とクラス内での立場を手に入れたい、ということになる。

 

気になるこの戦略、戦術の具体的な内容に関してはまた今度説明しよう。

 

 

 

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俺の朝はちょっと早い。朝のHRが始まる20分前には学校に着くようにしている。飛び抜けて早い時間ではないため、数人くらい既に来ている時間。そして、"飛び抜けて"早くはないが、"そこそこ"早い時間帯なので来る人間はだいたい固定化されている。その内の1人、窓際の席で本を読んでいる少女に声を掛ける。

 

 

「おはよう椎名。今日も早いな。これ昨日貸してくれた『高瀬舟』。面白かった」

 

 

椎名とは先日、休み時間に1人で読書していた所に俺が話し掛けたことがキッカケで仲良くなった。

 

 

「もう読み終わったのですか!どうでした?どこが面白かったですか?最後の場面はどう感じました?」

 

 

圧がすごい。矢継ぎ早に質問を畳み掛けてくる。

 

椎名ってもっとお淑やかと言うか、もっと静かな女子じゃなかったか?いや勿論、1日2日の関係で相手のことを分かりきれるわけがないんだが、それにしても第一印象と違いすぎる。

 

 

「そうだな。近代文学は今まで触れてこなかったから新鮮だったよ。テーマが安楽死だったのも面白かった」

「そうですか!そうですか!知ってますか?この小説を書かかれたのって大正なんですよ。今から100年以上前です。そんな時代に既に安楽死の善し悪しを書いていたなんて凄いと思いませんか?」

 

 

やっぱりめちゃくちゃグイグイ来る。俺が1を言えば10で返してくる。

 

 

そうしてペースを引っ張られながらも、『高瀬船』の感想や解釈とか他の小説の話を語り合う。やはり発言量は俺が1で椎名が10くらいだ。

 

 

俺もそこそこ本は読んできたと自負していたが、椎名の読書量と熱意には負ける。

 

 

「それにしても」

「なんだ?」

 

 

え…まだ語りたりないのか?もう充分じゃないか?

 

 

「綾小路君も読書が好きだと聞いてましたが、1日で読み終えてくれるとは。これなら1日に1冊……いや2冊のペースで読めそうですね!」

 

!?

 

「これからどんな本を綾小路君に紹介するか楽しみです!あ、綾小路君からおすすめの本とかありますか?知りたいです!私」

 

 

1日2冊の件さらっと流したな?1日1冊ですら継続して読むのは絶対無理だ。一旦頭を切り替えて、椎名に薦める本を考えるか。

 

 

正直、椎名はどんな本を教えても既に読んでそうだな。だからと言って椎名が読んで無さそうなどマイナーな作品を薦める訳にもいかないし……。何か策はないものか。

 

 

あ。そうだ。

 

 

「そうだな。そう言えば椎名はweb小説って読んだりするか?有名なところだと『小説家になっちゃおう』ってサイトがあったりするけど」

「web小説はまだ手を出してませんねー」

「ならそっちを見てみたらどうだ?プロが書いてるわけじゃないからハズレは多いけど偶に凄い面白い作品もあるしな。『転生したらゴブリンだった件』とか『Re.マイナスから始まる異世界生活』なんかが俺の中ではお勧めかな」

「へ〜。興味が湧いたので少し見てみますね。読み終わったら、綾小路君に報告しようと思います」

「了解。あーすまん。他の人とちょっと話してくる。また、本貸してくれな」

「はい、いってらっしゃい」

 

 

にっこりと微笑んでいる椎名を尻目に俺は逃げ出………他の友人の方へ向かうことにした。

 

 

昨日は早く読み終わった方が好意的に写るだろう、とか考えていたが悪手だった。絶対ペース落とそう。椎名から借りた本は一周間に1冊くらいのスローペースで読もう。俺はそう心に誓った。

 

 

 

 

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さっき椎名には「他の友人と話してくる」と言ったが、あれは別に嘘ではなく、本当に話したい相手がいた。

 

それが今目の前にいる2人、野村雄二と園田正志である。2人共ゲーム好きでちょっとオタク。

 

 

龍一郎「おっーす野村、園田!俺も遂にハンターウィッチ買ったぞ!今日の夜オンラインでやろうぜ」

 

 

ハンター・ウォッチ。通称ハンウォチ。世界で累計480万本以上売れている大人気ゲーム。この4月に新作が出たらしく、俺も買うことにした。

 

 

園田「やっとかよ!おせーよ!俺なんかもうハンターランク4まで行ったぞ」

野村「はい俺の勝ちー。俺はハンターランク7!」

園田「はぁ〜?まじかよお前」

野村「当たり前だろ。むしろ園田遅すぎ」

龍一郎「まぁまぁ。俺からしたら2人ともすげぇって」

 

園田「まぁな!て言うか俺は野村と違って寮で勉強もしてるからなー。むしろこれくらいの早さが普通なんだよなー」

野村「ぬるいな。勉強とか将来とか捨てる覚悟があって初めてプロハンになれるから」

 

龍一郎「でも俺の見た実況者とかもうハンターランク100とか行ってたぞ?ハンターランク7ってほんとにプロハンか?」

野村「は!?お前さっきまで俺たちのこと、すげぇとか言ってただろ!なんで敵に回ってんだよ!」

 

龍一郎「いやすごいとは言ったけど、プロハンと言った覚えはないぞ?」

野村「ぐぬぬ……」

園田「あはは。綾小路はもうプレイしてみた?」

龍一郎「ちょっとだけな。武器は(ロッド)使おうと思う」

野村「まぁハンウォチと言えば(ロッド)だしな」

 

園田「初心者でも使いやすいし、かと言って上級者も普通に使ってる武器だし良いと思うよ」

龍一郎「へーそうなのか。早くやりたくなって来たわ」

園田「いいねいいね。ハンウォチに染まっていってんねー!」

野村「沼ったら底なしだからな。ハンウォチは」

 

園田「そういや、いきなり俺らとやっていいのか?最初の方は1人で進めたい、とかない?」

龍一郎「ああ。お前ら2人とやりたくて買ったからな。一緒にやって欲しい」

 

 

俺にとってゲームはあくまでコミュニケーションの1つだ。みんなとやらないとあまり意味はない。一緒にやらなくても話題作りくらいにはなるだろうが。

 

 

園田「オッケー。そういうことなら分かったわ」

野村「仕方ねえな。俺がお前らを手伝ってやるよ。このハンターランク7の俺様がよ!」

龍一郎「お、期待してるぜ。似非プロハン」

野村「エセじゃねえし!」

 

園田「あはははは。確かにな。よろしく頼むよエセプロハン」

野村「だからエセじゃねえって!」 

園田「いやーでもハンターランク7じゃなあ。やっぱプロハン名乗るならハンターランク100くらい欲しいよな?綾小路?」

 

龍一郎「だな」

野村「あーもう!そんな言うなら一緒にやってやらねえぞ!」

龍一郎「悪い悪い。揶揄いすぎた」

 

 

その後、またハンター・ウォッチの話を続ける。どのモンスターがかっこいいだとか、どの女装備がエロいだとかそんな話だ。

 

 

園田「あー早く放課後なって欲しいー。帰ったら速攻やるわ」

龍一郎「あーごめん。放課後遊ぶ予定あるからさ。やる時間夜でもいいか?」

 

 

2度目になるが、ゲームはあくまでコミュニケーションツール。オンラインで夜に交流できる利点を考えると、夕方の放課後は他の人とケヤキモールやカフェで交流した方が得だ。

 

 

野村「おうおうおう?ハンウォチより大事なもんがあるってのか?」 

園田「まぁまぁ。先そっち約束してたならしょうがないよ」

一郎「本当ごめん。先に2人でやっててくれ」

園田「おうそうさせてもらうわ。てか誰と遊ぶわけさ?」

龍一郎「木下たち。今日は陸上部オフらしいから」

 

野村「女子かよこの野郎」

園田「そういう所は何気に陽キャだよな綾小路」

龍一郎「そうか?普通じゃない?」

野村「いや間違いなく陽。普通そんな女子と遊べねぇって」

龍一郎「そんなことねえよ。多分、お前らも誘ったら普通に遊べると思うぞ」

 

野村「いやそれはお前がイケメンだからだ。俺らには無理だ」

園田「勝手に『俺ら』にするな」

野村「は?どう考えてもお前はこっち側だが?見栄張んな」

園田「いーや。俺本気出せばイケるタイプだから」

龍一郎「10年後、20年後も同じこと言ってそう」

 

園田「なんだと綾小路!?イケメンの余裕か?!ちょっと顔がいいからって調子乗るなよ!」

龍一郎「『デュフフそこのJKちゃ〜ん。僕とパンツ交換しなぁいぃ?』」

園田「は!?何の真似だよ!!キモすぎだろ」

龍一郎「10年後の園田」

 

園田「殺すぞお前ぇ!」

野村「ていうか、綾小路はなんで『パンツ交換を迫る』を思い付くんだよ。頭ん中キモすぎだろ……。」

園田「一回刑務所の中に入ってくれ。世のJKのためにも」

龍一郎「やってないんだが」

園田・野村「「そんなこと思い付く頭の時点でアウト」」

 

 

思ったより下ネタは受けないみたいだな。いや、内容の問題かもしれない。咄嗟に浮かんだ変態行為が『パンツ交換を迫る』だったんだが、よく考えたら意味わからなすぎるな。

 

とか考えていたら、HRのチャイムが鳴った。もうすぐ坂上先生が来るはずだ。さっさと席に戻るか。

 

 

「じゃあ、席戻るわ。今日やるの夜7時くらいでいい?またラインで連絡するわ」

「待て。お前が戻るべき場所はそっちじゃないぞ」

「は?どういうこと?」

 

マジでどういうことだ?

 

「「警察だよ。隣の真鍋さんが危ないだろ」」

 

………………。

 

「うっせえ黙れ」

 

ホント馬鹿なこと言うじゃなかった。

 

 

 

俺が席に座るのとほぼ同時に、坂上先生が教室に入ってくる。特に重大な報告はなく軽い連絡事項だけ伝えられて、すぐHRは終わった。

 

「ねぇさっきさ」

「うん?」

 

教科書の準備でもするか、と考えていると真鍋が話しかけて来た。

 

「さっき、園田くんたちと私のこと話してた?」

「いや気のせいだ」

「えー絶対嘘!『真鍋』って聞こえたもん」

 

カクテルパーティー効果だろうか。騒がしい所でも自分の名前や興味関心がある話は自然と耳に入ってくる、ってやつ。

 

「あーもしかして恋バナとか?『綾小路は真鍋のことが好き』とか言ってたわけ?」

 

よくこいつ攻め気になれるな。チョロいくせに。

 

「そうだと言ったら?」

「え」

「だから、俺が真鍋のことが好きで好きでどうしようもなくて、あいつらに相談してたとしたら?」

「そう……なの?」

 

みるみる内に頬が朱色に染まっていく。

 

「いや違うけど」

「ハァァ!?からかわないでよ!この!アホ!バカ!」

 

バシッバシッと脛を蹴ってくる。普通に痛い。

 

「でも」

「?」

「照れて顔が真っ赤になった真鍋は可愛いかったよ。これは本当」

「〜〜〜〜ッ!!」

 

蹴るのをやめて、今度はバンバンと机を殴り出す真鍋。そこに山下と藪、諸藤がやってくる。

 

「まーた真鍋ちゃんのことからかってるの?綾小路くん」

「真鍋ちゃんこう見えてピュアなんだからやり過ぎちゃダメだよ」

「別に最後のは嘘じゃないんだけどな」

「もう綾小路君、キライ」

 

机に顔を伏せてそう答える。俺に負けまいと抵抗してきた天の邪鬼も可愛いと思った。

 

「ごめんごめん。照れてる真鍋が見たすぎて。許してくれ、()()

「」

 

さっきのような反応はなく、逆にピタッと動きが停止した。なるほど。そういうこともあるのか。

 

「「「だからそういうの禁止!」」」

 

3人から総ツッコミを喰らう。

 

 

かくして俺の日常は進み、クラスメイトと交流を重ねていく。俺はだんだんとクラスの中心になっていくのだった。




野村と園田は原作でも名前だけ出てるキャラ。どっちのセリフか分かりづらい部分が多いと思ったので誰が言ったか分かるようにしました。

おそらく細かくて伝わらないのでセルフ解説
野村、園田、龍一郎の3人が会話してる時、2人がイジる側、1人がイジられ側、かつそのイジられる人が固定されず回されるように龍一郎が調整していました。イジられる時のセリフの発端は全部龍一郎です。

まぁだからなんだよって思うかもですけど、龍一郎の目的はクラスメイトと仲良くなることなんでその為に上手く会話の流れコントロールしてるよ、という話です。
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