ようこそ伝説の特別試験を起こす教室へ   作:ハァート

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主人公のホワイトルーム脱落が不評だったのでこの話でテコ入れする事にしました。テヘッ

前回の感想で小物小物言ってくれた人たち、悲しかったけどそれはそれとしてこの設定が生まれたので差し引きで感謝です。ありがとうございますっ。

遅くなったのは、期末があったからです。でも、逆に言えばこれから夏休み! 今までのだいたい週一ペースに+αくらいの速度くらいで更新出来ればと思います。


【番外編】綾小路龍一郎の独白

"勝利"を求める俺の性格は、遺伝子や本能で元々そうだったのか、それともホワイトルームの環境がそうさせたのか。

 

根源がどちらなのか分からないが、初めて俺が勝利に愉悦を覚えた瞬間の事は今でも覚えている。

 

アレは2歳の時。俺たちはリバーシ(オセロ)の試験を行っていた。

 

試験内容は決められたペア同士で3回リバーシを行い1回も勝てなかったら脱落、というモノだった。

 

試験の性質上、八百長じみた事も可能だが、そんな事ホワイトルームが許す筈ない。

 

今思えば、本人の手で直接誰かを蹴落とさせる事で、他人を切り捨てることを躊躇しないサイコパス性を測る、育てるという側面もあったのかもしれない。

 

とにかく、そんな試験で俺は手を抜く事なく3回勝利した。

 

3回目の対戦中、泣き叫び手を抜いてくれと懇願する対戦相手。

その後、無慈悲に負けて外に無理矢理連れて行かれる対戦相手。

 

そんな姿を見て俺は罪悪感ではなく、快感を覚えた。

 

それが始まりだった。

 

俺はホワイトルームのトップをひた走り、どんどん他人を蹴落として"勝利"を手に入れていった。

 

更には、『自分が1番』という自尊心がただ勝つのではなく、自分にしか出来ないやり方で勝つという目的、目標に変化させた。

 

そしてある時、他の分野がホワイトルームで1,2を争う程度のレベルだったのに対し、常に圧倒的トップだった自分の知力の凄さを自覚し、"自分にしか出来ない勝ち方"を自分の頭脳に見出した。

 

その結果、教官を誘導してカリキュラムの進度を爆発的に速めさせた上で、トップの成績に合わせて難易度が変化する筆記試験で100点を取り続け脱落者を出して、"自分にしか出来ない勝利"を手に入れていった。

 

更には、未履修の範囲(既に履修した内容から推測自体は可能)すらも筆記試験で出すという無茶振りを教官に頼む事もあった。それでも100点を叩き出せたあの快感も"俺にしか出来ない勝利"の一つだ。

 

そんな中、台頭してしたのが清隆だった。あいつは簡単に言うと、この施設に"慣れて"次々と実力を伸ばしていった。後に聞いた話だが、清隆は"適応能力の天才"という奴らしい。

 

最終的に知育系のカリキュラム以外では俺を超える成績を叩き出し、総合力では清隆の方が上だと言えるレベルになった。

 

しかしそんな状況で折れる俺ではなく、むしろ総合力では俺より上な敵に持ち前の頭脳だけでどうやって蹴落とすか考えて燃えていた。

 

だが、それを実行する前に俺はあの施設を去る事になる。その理由が今の俺の父親である綾小路篤臣だ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

龍一郎 10歳。

 

「龍一郎、お前俺の下で暴れる気はないか?」

 

ただの生徒に過ぎない俺が教官室に呼び出されてそんな提案をされた。が、少し意味が分からないな。いきなり呼び出して何の話だ?

 

「具体的にどういう意味でしょうか?」

「俺は今度の参議院選挙に平和党で出馬することにした。お前にはその手伝いをしてもらいたい」

ここ(ホワイトルーム)を出るってことですか?」

「そうなるな」

 

今までヴァーチャルや紙でしか知らなかった"社会"に出される不安で返事に少し躊躇していると、綾小路教官は更なる情報を投下してきた。

 

「実を言うと、もう知育面でお前に教える内容はない」

 

初めて聞かされた話だったが、驚きはなくむしろ納得出来る内容だった。

 

学問では、教官たちの理解の方が不十分だと感じる場面が何度かあった。

将棋やチェスはもっと分かりやすい。対局すれば、明らかな実力差を感じられる。今では三面指し+n枚落ちのハードモードが主流だった。

 

「お前が爆速でカリキュラムを進めさせるせいで、お前はどの分野でもどの教官よりも賢くなっちまった」

「俺が進度を早めている事が分かっていたなら何故放置していたんですか?」

「お前たちの世代は、脱落することが前提の世代で1人でも成功体が出来上がれば儲け物だったからだ。だから、カリキュラムをトップのお前に合わせても問題は無かった。むしろお前に合わせてやった方が実験としては良いデータが取れるとも考えていた」

 

なるほど。そんな事情があったのか。

 

「『未履修の範囲を筆記試験で出す』というお前の無茶振りに答えてやったのもその一環だ。それにこちらとしてもお前の思考力の上限を測っておきたかったしな。それでもお前は100点だったが」

「たまたま想像で考えていたことが学問として扱われてただけです」

 

 

ある日授業を受けていた時、『10って人間が決めた数だよな。もし7や8で繰り上がって10になる世界だったらどうなるんだ?』みたいな事を考えていると、本当に2進数という概念が存在していた。

ある日IQテストを受けていた時、『この数の並びから次の数を推測しろって問題、そんな事するより抽象化して文字と記号で表した方が気持ち良いんじゃないか?』みたいな事を考えていると、本当に数列という学問が存在していた。

ある日ニ次関数を習った時、『この二次関数の曲線ってすごく拡大して見たら実質、直線だな』みたいな事を考えていると、本当に微分という学問が存在していた。

 

こんな事が繰り返し起こり、俺は未知はそれを知覚した瞬間に既知へと変えられるようになっていた。

 

「フン。相変わらず気味が悪い奴だ。それで話を戻すが、もうホワイトルームがお前に施せる教育は、ボクシングや水泳を始めとした運動系とピアノ、書道、茶道を始めとした芸術系だけだ。だが、それらの能力を習熟度を上げさせるより、今まで習得してきた知識を実践で使える機会を与える方が有意義だと考えているんだが……どうする? 俺の下で暴れる気はないか?」

 

再度の提案。しかし、眼光の鋭さが『提案』ではなく『命令』であると伝えていた。もし断ると仕置き部屋で拷問みたいな目に合うのだろう。

 

それに、こちらとしても断る理由はない。実践で俺が鍛えてきた知識を動員できる。なんとも楽しそうな話だ。きっと俺にしか実現出来ない"勝利"が待ってる筈だ。

 

「清隆は?」

「あん?」

「清隆はどうすんですか? あいつも連れて行くんですか?」

「あいつはまだここに居させる。どのカリキュラムもまだ終わってないしな。それに、お前は頭脳労働出来る場所にいるのが1番輝くだろうが、あいつは過酷な環境にいるのが1番輝く。ホワイトルームに居させるのが最善だ」

 

それは確かにそうだ。

 

「次に行う格闘テスト。そこで表向きには、お前をホワイトルームから脱落させる。いいな?」

「了解」

 

そうして、俺は齢10歳でこの施設を去る事になった。 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その後、俺は親父を当選させる為の策略を練り、無事当選させた。そしてそれ以降、俺たちの主従関係を逆転させたり、親父を裏からサポートしたりして約5年で平和党の幹事長の立場まで押し上げた。そしてこの学校に入学する事になったのだが……まさか清隆がいるとは思わなかった。あいつと会った日はついテンションが上がってしまったが、俺が求めるのは"俺にしか出来ない勝利"。清隆を倒すのはその一種に過ぎず、固執しなくてない。今はもっぱら"作戦X"狙いだ。勿論、その"作戦X"においても清隆が最大の障害になるだろうが。

 

さて、今日は5月1日。"作戦X"の第一フェーズ『他クラスのポイントを減らす』の現状を確認する為にも他クラスに振り込まれたポイントを確認するのはマスト。全クラスの友人にラインを送る。

 

数分後。まずDクラスの櫛田から一通のラインが届いた。清隆がいるし1番確認したかったクラスだ。

 

 

『その事なんだけどさ、ポイント振り込まれなくない?綾小路くんは振り込まれてたの?』

 

は?……0ポイント?

 

 

次章:荒稼ぎする5月




令和最新版こしょこしょ噂話。実は元々の設定では、龍一郎を自分からワザと脱落したキャラにするつもりだったのですが、それより前に原作で志郎が出てきて「被っちまったー!」となり、辞めたなんて裏話があります。

今回の話で無事、志郎とは違う形で自主脱落に着陸させられました。


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