ここにきてやりたいことが増えてきたので多分更新ちょっと遅くなるかもしれません。
ちなみに今ラニ様とのデート(等身大とは言ってない)に向けてバクシン中です。
「「スリぃ?」」
「はい…」
客足も少ない、サボるのにとっておきの昼下がり。
まあサボったら店長に怒られる羽目になるし、いつも通りカウンターを占拠していると、金木君がそんなことを言い始める。
どうやら昨日の夜、イトリ君の店から帰る時に財布を持っていかれたらしい。
「珍しいね? 今のご時世でスリなんて。」
「確かにそうっすね…喰種出るわけだし、よっぽど度胸なきゃできないですし。」
私の言葉にヒデくんが頷く。
彼のいう通り、夜は喰種の時間だ。人間が出歩こうものなら路地裏に連れ込まれて食われる。
それがたとえ泥棒であろうとも。
だから昔はともかく、最近はそういう事件は減っていたのだが…。
「君がピンポイントで狙われるとはねぇ、金木君。運がいいんだか悪いんだか。」
「あはは…」
「そういやなに取られたんだよ。てか警察行かなくていいのか?」
「ああ、そんなに大事なものは言ってなかったからいいかなって。学生証くらいだし。」
「うわー、それ作り直すのめんどいやつじゃん…」
「そうなんだよね…」
二人の何気ない会話を聞き流しつつ、少し考える。
捜査官相手に派手にやった直後の金木君がスリにあって学生証を取られる、ねぇ。
「…ま、流石に偶然かねぇ。」
「へ? なにがです?」
「ああいや、狙われた理由を考えていただけさ、ヒデ君。君も金木君の二の舞になりたくなかったら気をつけたまえよ。」
「うひぃ、学生証作り直しは勘弁だしなぁ…そうします。」
彼の言葉に少し笑いつつ、コーヒーを口に含む。
…うん。やっぱり自分で挽くに限るねぇ。
そんなふうにしていると、気になるニュースが耳に入ってくる。
『…和修常吉最高議長の決定により、11区並びに20区の捜査官を増員しました。』
「へぇー。…ここってそんなに物騒なのかねぇ。」
「さっき話したように、喰種が出るのは路地裏だ。見えないところは危険なのかもしれないねぇ。」
「…バランス、崩れちゃったのかな。」
そう、ヒデ君がポツリと呟く。
…ほう?
「えっ?」
「…ああ、俺、20区には喰種の組織みたいなのがあると思ってたんだよ。」
「…な、なんでそう思うの?」
金木君がそう問いかける。
「他の区に比べて捕食事件が圧倒的に少ないんだよ、ここ。これって20区の喰種が連携してたからだと思うんだ。…大食いとかグルメも、捕食が活発になった時期に行方不明になってる。ってことはさ、その組織がCCGに睨まれそうなやつを粛清したとも考えられる。」
「ふーむ…確かにそうだねぇ。…ヒデ君、私君を見直してしまったよ。なかなか面白い推理だった。」
「ええ? そうっすかぁ? いやぁ〜、ドクターさんに褒められると嬉しいなぁ〜?」
ヒデ君にそう言いつつ、金木君の顔をチラリと見る。
すると彼と目が合った。彼の方はすぐ背けてしまったが、随分青い顔をしていた。
「…ん? 金木? なんか顔色悪いぞ?」
「…あ、だ、大丈夫…。…ヒデはその…喰種とか興味あるんだね。」
「…ああ、それはさ…この本が超おもろかったからなんだよネ!!」
そう言ってヒデ君が出してきた本は、明らかに都市伝説集とかそっち系の本だった。
………はぁ。
「期待した私がバカだったかな。」
「うぐお!? 心に刺さる一言!?」
「あはは…」
放心しすぎて落として割れてしまったカップを片付けつつ話を続ける。
「いやしかし、その本に20区の話はあったのかい? 私の記憶ではなかったはずだが。」
自慢ではないがこの私、結構本を読んでいる方なのだ。もちろん雑食なのであの本も読んでいる。
そしてその本は20区について書かれていたことはなかったとも記憶している。
「ドクターさん読んでるんすね…。まあなかったですよ? さっき話したの軽く調べて自分なりに考えてみただけだし。」
「えっ。」
「…ふーん? やっぱり君、地頭はいい方だねぇ。」
「やったぜまた褒められちゃった!」
でへへ、と満面の笑みのヒデ君と対照的に、また顔が青くなる金木君。
…何か勘違いしてそうだね?
「…ってやば!? そろそろ講義じゃん!? ごちそー様でした!」
「うん、お粗末様。またきたまえよ。」
「うぃっす! そんじゃ金木! じゃあな!」
「…あ、うん…」
そう言ってヒデ君はそのまま店から出て行った。
後に残されたのは金木君と私のみだった。
「…金木君。」
「…なん、ですか?」
金木君に声をかけると、彼は覚悟を決めたようにこちらをみた。
…これは。
「…別に彼を殺すか殺さないかなんて考えてないからね?」
「…え?」
あー、やっぱりそっちにしこう言ってたかー。
豆を棚にしまいつつ、話を続ける。
「あー…大体トーカ君が脅したんだろうが…私たちを喰種だと通報するようなやつでもない限り、一般人は殺さないというのが店長の方針だからね。だから安心したまえ、君のお友達を殺したりしないさ。」
「よ、よかった…」
そういうと金木君は、ヘナヘナと床に座り込む。
おいおい、怖がりすぎじゃないかい?
「いや…ドクターさんすごい強いじゃないですか…」
「そうかい? 店長の方がよほど強いよ?」
「えっそうなんですか!?」
あー、と少し考える。
そういえば金木君はまだみたことないのか。ならまあ…話さなくてもいいか。
「伝説になるほど強いのさ、うちの店長は。…さ、それより掃除するよー。」
「あ、はい。」
この後サクッと掃除を終わらせた。
ちなみに本来いるはずのニシキSANはこの世界では非番になってます。どーせいちゃついてるんだろうな。リア充爆発しろ。