転生したらベトベターだった件   作:BREW

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ごめん、待った?(白目)

……ハイ、すみません。ファイアーエムブレムの新作等の他のゲームに夢中で執筆遅れました。私が筆が乗っている時に物語を考えながら一時間に書ける量は大体2000文字なので、そう考えるとそこそこの時間を費やしてますね。


そして、主人公君がポケモン同士の捕食行為を異様に思っている事について、おかしいという感想が度々あるので今回は前書きをば。
(興味が無いなら本編まで飛ばして大丈夫です。)

一応、ふたつほど理由がありまして。

主人公の元ベトベターは二十歳或いは二十一歳なので、図鑑で説明されているような捕食関係を知ってはいるものの、実際にポケモンの死体なんて見た事ないし、食べられると言っても現実世界でも被捕食者と捕食者関係にあるようなポケモンだけだと思い込んでいます。実際にそういうシーンがあるゲームや漫画などには触れてこず、犬系やドラゴン系などは食われる事は無いと高を括っています。(竜が実在してたら共食いしてそう)昔のポケモンの漫画等には、ポケモンの死体がゾンビのように出てた時もあったんですけどね。



後、余りにも雑食性過ぎるからですね。ドラクエ等の顔のあるものとは違った、硬くて小さいコアの周りにゼリー状の物を纏っているタイプのスライムが、魚や小動物は兎も角、大型の熊や象を襲って溶かして食べてたり広い作物地帯を荒し回っていたら生物としての脅威度がとても高くなるだろう、といった心境からですね。ベトベターの融合の件は生きたままの共食いでしたしね。次は違う種族も食べるかも、といった心配から群れから追い出すといった心境のポケモン達といった場面を主人公目線で描写しております。

特に後者は私もそう思いますね。例え捕食するのだとしても、まだ息があるかも分からない状態で溶かして食らうよりも、丸焼きでも焼いて身だけを食らっている方が人間へ与える印象は良い筈です。(高い知能が脅威認定されるかは兎も角) 逆にポケモンの世界では浮いている可能性もありますが。


ヌシポケモン、そして魔王覚醒?

ラルトスとコイルが仲間になったことで、狩りが楽になった。俺が居る時点でオーバーキルだと思うかも知れないが、俺が盾役をすると二匹だけで相手を倒しきる事が出来る。つまりポケモンの群れに突っ込んで、俺は向こうからの攻撃だけを庇い続け、触手で逃げ出せないように牽制したり掴んで引き寄せたりするだけで群れを壊滅させることが出来る訳だ。コイルみたいな、浮いていて且つ群れているポケモンは偶に逃げられそうになるが、逃がすよりはマシなのでマッドショットで撃ち落としている。特性頑丈のコイルじゃない限りワンパンで、頑丈で耐えたコイルは俺のマッドショットに気付いた二匹のどちらかが遠距離攻撃で倒していく。

 

大体俺が二匹を庇いに行っているが、俺に向かって来る時は触手で「はたく」か「まもる」で弾くか守るかしているが一度だけ、本気で攻撃した時がある。

 

俺はこの体になって以来、自分の頭が何処にあるのか分からなくなった。正確には、頭に該当する部分が無いといったところか。全身が目であり口であり、また腕(触手)でもあるのだ。それで不定形なのだから、そりゃあ困惑もするさ。ベトベターの時の足と腹が何処か分からなかったやつよりも遥かに酷いからな、今回。

 

それで今、人の姿や声帯を模す練習を戦闘中に行っていたんだが、夢中になり過ぎて「まもる」の残りPP(回数制限)を忘れていた。シシコの「ひのこ(火の粉)」攻撃を食らう直前に技が出せない事でPPが切れた事を悟ったが後の祭り、顔面(を作ってた部位)に直撃し10%でしかならない「火傷」状態になった。

 

顔面火傷て。普通にヒリヒリすんるだが。

 

ポケモンにおいて火傷状態とは、物理技のダメージが半減し毎ターン最大HPの16分の1減少するバッドステータスだ。

 

だが、そんなただ状態異常にかかった事よりも、今の俺にとっての雑魚相手の攻撃を受けてダメージ+状態異常になった事の方が苛つく。

 

俺は大きめな鞭状の触手を体から作り出し、「ポイズンテール(威力50)」という技として繰り出した。特別威力が低い訳では無いこの物理技だが、物理特化した俺がタイプ一致の火力(1.5倍)で打てば火傷状態なのを加味してもシシコの頭を一撃で粉砕する事だって可能なのだよ。……因みにポイズンテールを採用(一度に装備出来る技は4つまで)している理由はPPが多いからだ。

 

そして流石に、そろそろポケモンのグロ映像を作り出すことに抵抗が無くなってきた。と言っても、ポケモンの死体というとアニメやゲームのポケモンしかして来なかった俺にとっては未だにインパクトが強いが、ポケモンを動物の一種だと思えば、田舎の地元で道に潰れ広がっている色んな小動物の死体やグロゲーで生き物切り刻みまくっている(モンハンとか)ような物と思えば、全く心が動かなくなる。それに、この世界の人々にとって殺ポケは当たり前だ。観察して気づいたが、当然の如く食物連鎖がある。この分だと俺の知らないものも沢山あるだろう。人間に残酷に利用されたり食料にされてたりもする。逆にポケモンによる殺人や都市伝説等も沢山あったはずだ。……ポケモンが現実世界になってなおアニメ調っぽいから、余計に嫌悪感が強いんだろうか。リアルの動物の死体は見ると「あーあ」ってなる位に慣れてるし、人の死体は生では無いが無修正のグロ死体を幾つか見た時は想像以上に嫌悪感強かったが、ポケモンの場合それとは別種の嫌悪感に似た感情がせり上がってくる。

 

 

 

まあ、そんなものは関係無しと言うように火炎放射で木を燃やしてポケモンを調理してるがな。

 

 

 

ヌシポケモンを狩りに行こうと何度も思いながらも、現在ラルトスとコイルのレベル上げと努力値稼ぎを優先し生活している。

 

考えてみれば、この島には4対1で強大なポケモンを倒すレイドバトルが存在し、ヌシポケモン狩りの目的である秘伝スパイスを継続的に手に入れるには一箇所から淡々と採取を続ける訳にはいかないので、必然的にヌシポケモンの住む洞窟以外で唯一秘伝スパイスが手に入る高難易度レイドバトルをする必要が出てくる。この高難易度のレイドバトルというのが問題で、強いポケモンの最大レベルでも殺られる時は簡単に殺られる。これに俺一人……一匹で勝つのは難しいと思ったのも、ラルトスとコイルを育てている理由のひとつだ。というか、レイドバトルは主人公がソロ(一人)で挑んでもNPCとして学生が三人補助に付いてくれるのだ。故に必ず4対1となる。それに比べ、俺に手を貸してくれるトレーナーが皆無だと予想される今、俺のタイプじゃ有効打にならないポケモンやタイプ対策、他のメンバーとして仲間のポケモン、それもきちんと育成されたポケモンが必要なのだ。高難易度のレイドバトルに勝つには、ガチガチにそのタイプのレイドバトルの対策をして育成し尽くしたポケモンが必須。なので、ゲームではレイドバトルに向いていなかったとは言え、仲間の育成も必須なのだ。

 

……長々と解説したが、只只普通に俺が強くなってトレーナーを六枚抜き(一人のトレーナーが基本的に一度に持てるポケモンが六匹で、○枚抜きとは○匹のポケモンを一匹のポケモンで連続して倒す事を言う)出来るようになるだけでは、この世界で無双の如く勝ち抜く事は出来ないという事を理解して貰いたいだけだ。

 

限界を超えて強くならなければ、レイドバトルを俺一匹で制す事は不可能。なら、そこまで辿り着く迄を皆で行こう!と若干論理的に理にかなって居るようで辿り着いたら仲間はどうするの?と言われてそうなジャンプ漫画的思考をしている訳である。

 

……勿論、ラスボス且つラストポケモンが俺なだけでラスボスの手持ちとして仲間意識ガンガンあるから大事にするよ?

 

 

 

そして今、ラルトスとコイルの同時育成を初めて三日目。まずラルトスの素早さを上げ終わり、ここに来てラルトスとコイルの特攻を上げ終わり、そしてコイルの体力が上げ終わった。

 

……そして目出度い事に、ラルトスがキルリアに進化したのだ。

 

幼児らしきサイズから子供サイズに。色違いたらしめる白と空色の色彩。静かな印象から少し活発になった印象を受けるようになり、ラルトスからの成長を感じた。

 

ははは、クルクル回って楽しそうだな! 中々進化が嬉しかったと見える。コイルも仲間の進化が嬉しいようだ。

 

……ん? 何、褒めて欲しい?

 

ハッハッハ!良かろう!存分に褒めてやる!

 

よーしよーし! 良くやったな! ラル……キルリア。強いぞ!可愛いぞ!美しいぞ! えー、っと……

 

 

 

暫く褒め殺した後、キルリアから疑問と提案があって、なぜ敵も仲間も同じ名前を(心の中で)呼んでるかということ。呼びにくいならニックネームを付けてはどうかの二つだ。

 

俺は少し悩んだ末、昔見たポケモンの図鑑で見た種族名で呼んでる事を話した。二匹ともニュアンスで何となく分かっていたらしいが、人間由来の呼び名という事に少し驚いていた。そんなに俺が昔人間と居たという嘘に信憑性が無いだろうか?

 

そして、俺を含む全員にニックネームを付けるのはどうかと言う話だが、かなり難航した。というのも、俺が適当なニックネームを付ける事が嫌いでキャラ等の命名にとても時間をかける人種()であるからだ。結局、洒落た名前を思いつく事は稀で外国語の名詞や動詞から取ったり、他作品のキャラからのリスペクトだったりに落ち着く。最終的に、三日目の狩りの最中ずっと考えていて夕方になった今思い付いた。俺のセンスでは洒落てると思う。

 

……最近つけた俺流の洒落てる命名はダイパリメイクで毒パ縛りの時に「ズバット」に【バズット】(バズると掛けた)と名付けた。これを洒落てると感じるかどうかは、その人次第ではあると思うが。

 

そして本命だが、キルリアに【ミスラブ】(ディスタブ、妨げる者をもじったもの)、コイルに【コイレバント】(イレバント、不遜なる者をもじったもの)、そしてショゴスたる俺に【ウーズアウト】(滲み出る者)という名前を名付けた。

 

……ダサい? ほっとけ!

 

ほらぁあ! 俺に命名権をくれた二匹もちゃんと喜んでるから! これで良いだろ! 変な電波送ってくんな俺の理性!

 

 

 

次の日の朝。とうとう東一番エリアにヌシポケモンを狩りに行く時が来た。

 

寝床として使っていた高台の上の影を片付け、木の実等を塩の棺桶…箱に入れる。キルリア……ミスラブ(呼び慣れないな…)は初日以外崖はコイル……コイレバントに乗ったりぶら下がったりして移動している。…名前とは別にニックネーム付けるか。てか、普通ポケモンは名前っていうよりニックネームじゃん。何名前付けてんだよ。気付けよ、俺。

 

そうして辿り着いた東一番エリアは、前より少し狭く感じた。……前回通った時は全力疾走だったからか?或いは仲間がいるからか。

 

何にせよ、まずはヌシポケモン……岩壁のヌシである巨大ガケガニを探すか。

 

 

 

とは言え、居る場所をゲームで予め知っている…というか初めてここを探索した際に見つけた俺が探せばすぐに見つかった。岩に擬態している(出来てないと思う)とは言ってもあの大きさだ。余裕で気付く。

 

そしてあの真下に、岩で入り口を塞がれた秘伝スパイスのある洞窟がある訳だ。

 

そこも前回確認済みだな。ガケガニのせいで近くまで行けなかったが、入り口を塞ぐ不自然な大岩は確かに確認した。

 

そして今回、ちょっと偵察してみたがガケガニは洞窟から離れて少し移動して行くのが見えた。

 

今なら、戦闘よりも先に秘伝スパイスをゲット出来るだろうと思うが、洞窟の入り口が思っていたよりも小さい。いや、俺が大き過ぎるのか。体高2.5mで大雑把に見て茶碗をひっくり返した様な形をしてるんだ、尋常な体積じゃない。

 

仕方なく、ミスラブとコイレバントを近くの岩山に離し、単独で乗り込む事に。ボールに直しても良かったが、対トレーナー戦以外ではサトシ(アニメ主人公)のピカチュウのように放し飼いの相棒スタイルでポケモンを育てて行こうと思っている。それに、どうやら複数体での経験値の取得法則が、戦闘の貢献度での分散らしい。レベルが低く技の威力が低いミスラブが中々進化しなかったのはこれが原因だと思われる。キルリアへの進化はLv.20からだが、進化して一日のミスラブはLv.23で覚える「いのちのみず」という技を既に覚えている。今までのレベル上げ速度からして有り得ない速度だ。これは進化による攻撃力(特殊攻撃力)の上昇が相手ポケモンへ与えるダメージに繋がり、これが貢献度の上昇に繋がり取得経験値が上がったからだと思われる。それが分かったのはいいが、これからのレベル上げに困ったものである。

 

話を戻して、二匹は俺が行ってる様子を遠くから伺うつもりらしく、茂みに隠れて顔(ミスラブ)と目の一部(コイレバント)を出している。……ミスラブは兎も角、コイレバントは全く隠れられているようには見えないが。

 

そんなこんなで、例の洞窟に近付く。

 

どうやら巨大ガケガニは岩山の上の方で戦闘でも行っているらしく、少し音を出した位ではこっちに来ないだろう……いや、縄張り意識的な感じで異変を感じたら直ぐに駆け付けてくるか? まあ、すぐに出れば問題ない。例え、洞窟から出る時に鉢合わせてもドレインパンチ一発で昏睡させる事が出来る位には彼我の実力差は離れている。

 

因みに、今の俺の技構成はドレインパンチ、守る、ダストシュート、噛み砕くの四つ。守る以外は物理攻撃技で、不慮の事故が起こった時用の守る以外は攻めだけを意識した構成だ。大体の相手には弱点をつけるし、レベル帯を考えるとトレーナーでも出てこない限りワンパンだ。転生したての頃の様な戦闘は暫くは無い筈。

 

それでは、岩砕きの代わりにドレインパンチで岩を破壊する。

 

……それなりに大きな音がしたな。ガケガニが帰って来ない内に秘伝スパイスを取りに行くか。

 

洞窟の中に入る……入ろうとすると、目の前にピンク色の茎と葉だけで構成されたように見える淡く光る植物があった。

 

これが、秘伝スパイスのひとつ「あまスパイス」。

 

何の効能があるかは忘れたが、この輝きから惹き付けられるものを感じる。というか、本能がこれを欲している気さえする。

 

……奥にもまだ甘スパイスは有るな。なら、取り敢えず目の前にある分は採取し、残りは後にでも来ようか。

 

そう思い振り向くと、そこにはたった今、岩山の上の方から飛び降りて来たガケガニと目が合った。

 

 

……静寂が辺りを包む。体感はもう少し長く感じたが、恐らく十秒程でガケガニの目線が動く。

 

 

その先には俺の手(触手)…の中にある甘スパイス。

 

 

二、三往復ほど目線を俺の目(一番大きな目玉)と行き来した後、両手のハサミを広げ怒り狂ったように声を荒らげ始めた。

 

 

が。その瞬間に、俺の上部に拳を模した触手塊を造り、のしかかるようにガケガニの頭上へ振り下ろした。

 

 

手加減無しの全力「ドレインパンチ」!

 

 

質量×速さ=威力はあらゆる現実世界に有効だ。それこそゲームの中でも無い限り、不変の法則。それを、ショゴスの大部分を注ぎ込んだ触手塊サイズ×高密度の毒性粘液という質量(ここでは単純に体積×密度)に、上から振り下ろすという筋力(?)に重力加速度を加えた速さの一撃。

 

俺のステータスを客観視し、このドレインパンチの威力を現実世界……地球でこの威力を表すと、一瞬で民家を押し潰す局地的土石流に匹敵する。

 

そして、それを一身に受け、地面に罅が入る程強力に叩き付けられたガケガニはと言うと、甲羅には巨大な亀裂が走り、口から泡と共に吐瀉物や血と思われる薄い青色の液体が飛び出ている。白目を剥き、ハサミや足をひくつかせているが、未だ生きている。瀕死も瀕死であるが。

 

……割と咄嗟の攻撃とはいえ、やり過ぎたかなぁ……。

 

ここでゲームでも戦ったコイツを殺すのも少し忍びないので、この怪我だと焼け石に水だろうけど傷薬…「すごいキズぐすり」でも使ってやるか。拾い物だけど全然使えそうだし、なんなら拾い物の傷薬系に偶にお世話になってるしな。

 

そうして、体表に晒し出した塩の棺桶から傷薬を取り出そうとした瞬間、全方向をカバーしている俺の視界が二つの人影を捉えた。

 

……って言うか、主人公ズじゃん!?

 

ミライドンに乗った女の子とコライドンに乗った男の子、アオイちゃんとハルト君が岩場の上部に続く坂の上から降りてきた。

 

……状況的にアレか。ストーリーのひとつ、レジェンドルートの一つ目に鉢合わせたって所か。秘伝スパイスに興味津々の先輩ペパーに誘われてヌシポケモンを探すストーリー。そのヌシポケモンの一体目がまさに巨大ガケガニで、基本二戦構成のヌシポケモン戦の一戦目を終えて、秘伝スパイスを食べて回復する為に戻ってきたガケガニを(順序が逆だが)俺が潰して秘伝スパイスを奪い、そこへガケガニを追ってきた二人と出会った(イマココ!)って感じか。

 

「アイツは!?」

 

……おーおー、驚いてるな。ガケガニを追ってきたと思ったら唐突に俺とエンカウントだもんな。そりゃ固まるよな…と思ってたが、驚愕こそしてたものの、即動き始めた。

 

「私が治療してみる!」

「じゃあ俺は足止めを!」

 

アオイが瀕死のガケガニへスプレー(多分すごいキズぐすり)で応急処置をし、その間ハルトが俺の前に仁王立ちで立ち塞がる。ボールから出て来たホゲータも頑張って俺の前に健気にも立っている。

 

……健気なのはハルトもか。常人なら高確率で発狂する俺の佇まいを見て、その上でこうして対峙している。その歳で、良くやると思うよ。ウチのミスラブやコイレバント………言いづらいな、ニックネームとして略して「ミラ」(ミス、ラブと分けた頭文字。ミ=ラでも可)と「コイレ」(進化したらレアコイレ、ジバコイレか?笑) とでも呼んでおこうか。なら俺は「ウズ」かな?まあ、今は呼ぶ相手も呼ばれる相手も居ないので後でも良かったか。ウチのミラもコイレも、どのポケモンも今の俺を見て逃げ出す中、敵意無しに俺の方へ寄ってきた唯二のポケモンだ。ある意味、俺の中でこの外見への反応が他の存在へのフィルターとして機能しているな。

 

そうこうしてる間に、ガケガニの応急処置が終わったらしく、痙攣が止まったガケガニを背にアオイとハルトが立ち塞がった。

 

「治療終わったよ!」

「こいつどうする!? 多分俺たちじゃどうにも出来ないと思う!」

「けど、あのポケモンも見殺しに出来ないよ!」

 

これは……あれかな? 俺がガケガニを襲っている様に見えてたから、ガケガニを庇っているのか?

 

「あ!」

「どうした!?」

「あの触手の先を見て! あいつが持ってるのってペパー先輩の言ってた秘伝スパイスじゃない?」

「確かに、何か光ってるスゲー植物だな。多分そうかもな!」

 

御明答。これが秘伝スパイスのひとつ、「あまスパイス」だよ。と、俺が喋る事が出来たら悪役ぶってそう言いたい。

 

そこへ近く、もうひとつの人影を俺は捉えた。

 

「うわあああ! なんだこいつ!」

「あ!ペパー先輩!」

 

うむ、ペパー先輩だった。そのイヌ科のような特徴的な髪型はペパー先輩だと思ったよ。大きなリュックサックも背負ってるし。

 

俺を見て驚愕し、顔面蒼白なペパー先輩だったが俺の持つ秘伝スパイスを見て表情が変わる。

 

「ペパー先輩!あいつが手に持ってるのを見て!」

「ああぁぁぁ……あ? あれ秘伝スパイスじゃないか!? クソっ、こうなったらあいつを倒すしか無い!」

「嘘ですよね!? あいつかなり強いんですよ!?」

「折角三人も居るんだ。何とかなるかもしれないだろ!」

 

ペパー先輩もしかしてだけど発狂してない? 発狂までは行かなくても正常な判断が出来ているかは怪しい所かな? あんなに欲しがっている秘伝スパイスが目の前にあるんだ、そりゃあ取りに行こうとも思うか。ともあれ、先程のフィルターの話を踏まえるなら、ペパー先輩はギリ俺と向き合う資格があるという事になる。まあ、何処から目線で言ってるんだって話だが。

 

うーむ、ここで一戦交えるのもいいが、あまり主人公ズやその仲間にトラウマ植え付けるのも良くない。かといってここで主人公ズを避けて逃げるのも何か違う。悩ましいところだ。

 

……そうだ、いい事を思い付いた。まだ主人公ズはヌシポケモンバトルの二戦目はまだの筈。なら俺が二戦目を演出してみるのも良いのでは無いだろうか。かつて入り江の洞窟内で練った「主人公ズと仲良くしようぜ」作戦は失敗に終わったので、ストーリーのラスボスとして君臨するのも悪くない。過程として、レベル上げと秘伝スパイス集めを並行して行えるし、ゲームのファンとしてストーリーを追えるのも良い。

 

よし。そうと決まれば、やる事はひとつ。

 

 

食おう。

 

 

 

 

ペパーが最後に話してから約三十秒。長く感じられた無言での対峙は化物の行動により均衡が破られる。

 

化物は触手を動かし、その手に持つ秘伝スパイスを胴体に創り出した巨大な口で食べたのだ。

 

「あーーー! 秘伝スパイスが!」

 

ペパー先輩が手を伸ばして叫び、近付こうとするがアオイとハルトの二人に止められる。その間にも化物は咀嚼を続け、遂に咀嚼を止め口が消失する。

 

瞬間、化物から放たれる威圧感が跳ね上がる。

 

桃色の可視化出来るほどのオーラを纏い、体積が増大していく。お椀をひっくり返したような形でいて2.5m程もある巨体の体高は3m近くまで巨大化し、それと同時に直径も増えて体積が増し、その体色を彩る嫌悪感を感じる玉虫色の色彩は色味を増し、体表に付いた目玉はその数を増し、増えに増えた冒涜的要素は余計に恐怖を煽る。

 

「テケリ・リ!」

 

その怪物は、「ベタモン」と名付けられた冒涜的な暗黒恐怖の厄災だった。

 

 

 

「逃げよう!」

 

そう叫ぶアオイもハルトとペパー先輩も恐怖で動けないでいた。無理も無い。今まで対峙するだけで限界だった化物が、更にその脅威を増したのだから。

 

「に、逃げ切れるのかよ!?」

「立ち止まってたらどの道何も出来ないよ!」

「お前ら、逃げるぞ!」

 

真っ先に動いたのはペパー先輩だった。未だ足の竦んでいる後輩二人の手を引き、後ろに下がろうとしている。

 

「ミライドン!コライドン! お前らも手伝え!」

 

過去の事情から二匹を嫌っているペパー先輩も、今だけは心から協力を願っていた。

 

その心の奥にあるのは「後悔」。

 

実は、あの化物の情報は学生にはある程度周知されていたのだ。校長自らがその存在を公表し、それが強力な上に危険な性質を持っており、尚且つこの東五番エリアの方への目撃情報があるとも。

 

それを加味して尚、秘伝スパイスを求めるのを止めなかった。そしてそれに、後輩二人を巻き込んでしまったのだ。

 

「(謝るのは後だ、今はこいつらだけでも逃がさねぇと。)」

 

この場からどうにか逃げる算段を立てようとするも、思考も体も思う様に動かない。不格好に後輩二人を引っ張る事しか出来ていない。それでも、ペパーは二人をここから逃がそうとしていた。

 

一方で、ミライドンとコライドンは震えていた。「強さ」において、目の前のアレよりは自分達の方が強いだろう。しかしそれは、自分達が万全の状態で、そして戦う勇気を持っていたらの話だ。事情があり消耗しきっていて、自信も消失している自分達にはどうする事も出来ないと悟っていた。その上、この二匹も過去にこれ程までにおぞましいものを見た事が無かった。只管に嫌悪感を掻き立ててきて、これ以上この場に留まっておく勇気はこの二匹には無かった。

 

未知の化物を前に誰もが逃げ腰である中、ただ一匹、戦意を漲らせるポケモンがいた。

 

そのポケモンはハルトの腰のモンスターボールから出ると化物の前に立つ。

 

「!? ヘルガー!」

 

そのポケモンとはヘルガーだった。かつて、入り江の洞窟で未だベトベターだった化物と戦ったヘルガーは、不意打ちで倒された事を恨んでいたのだ。それ故に、怪我が治り動ける様になった今も、仇敵との遭遇率の高い人間について行っているのだ。たとえ、それが実力の低い人間であっても。

 

そして今、かつての雪辱を晴らすチャンスがやってきた。

 

仇敵は更に強大になった。かつて、自分と争っていた頃の面影など欠片も無い醜悪な化物に、己のプライドを掛けて自分は一矢報いなければならないと、その瞳を、体躯を、闘志を漲らせ震わせていた。

 

その様子を見ていた三人と二匹は、その様子に、心に、胸を打たれていた。

 

「……やれるか?」

「勿論!」 「おう!」

 

三人はその心に勇気を貰い、闘志を漲らせて。

 

「「グガアアア」」

 

二匹はその様子に渇望を抱き、自信を僅かに取り戻した。

 

ハルト、アオイ、ペパーはそれぞれホゲータ、ニャオハ、ホシガリス(リスのようなポケモン)を繰り出した。彼らは未熟ながらもヘルガーの隣へ、勇気を持って化物の前に立つ。

 

ヘルガーはそれに、眉をひそめながらも見つめ、振り返り、ハルトを見つめる。それに確かな意志を感じたハルトは腕を上げ、勢い良く振り下ろした。

 

 

「さあ! バトル開始だ!」

 

 

4対1のそれは、まるでレイドバトルようだった。一度、恐怖に膝を折った者も、戦士のように、或いは勇者の一団のように強大な魔物へと挑む勇者の物語、その最終戦の如き白熱とした幕開けとなった。

 

 

 

 

 

 

 

「……………テケリ・リ?」

 

 

ただ一匹の、化物(アホ)を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

種族・ベタモン(ショゴスのようなナニカ)

名前・ウーズアウト(ウズ)(※ニックネーム)

Lv.52

状態(秘伝スパイスの効果の比喩表現)

幼体→若年(ヤング)

 

タイプ・どく、あく

 

相性

2倍・じめん

半減・くさ、どく、ゴースト、あく

無効・エスパー

 

H 125 すばらしい +α

A 125 かなりいい ↑(性格補正) +α/2

B 115 すごくいい

C 75 すごくいい

D 120 かなりいい

S 40 すごくいい ↓ (性格補正)-α/2

 

α=(サイズ分)

 

合計種族値 600

 

特性

ふしょく(タイプに関係無く毒状態にできる)

(特性不安定)

 

ゆうかんな性格。暴れることが好き。

 

努力値

H 極振り

A 極振り

B 微振り

 

持ち物・塩の棺桶(内容量80%)

 

 

種族・キルリア (♀)(色違い)

名前・ミスラブ(ミラ、ミ=ラ)

Lv.24

 

H 38 かなりいい

A 35 まぁまぁ

B 35 まぁまぁ

C 65 さいこう

D 55 すごくいい

S 50 かなりいい

 

(個体値の下から。ダメかも、まぁまぁ、かなりいい、すごくいい、すばらしい、さいこう=きたえた!)

 

合計個体値 相当優秀な能力

 

(合計個体値の下から。まずまずの能力、平均以上の能力、相当優秀な能力、素晴らしい能力!)

 

合計種族値 198 → 278

 

特性

シンクロ(相手の効果で「毒」、「麻痺」、「火傷」状態になると、相手もその状態異常にする)

 

てれやな性格。物音に敏感。(性格補正無し)

 

努力値

H 微振り

C 極振り

S 極振り

 

 

 

種族・コイル (性別無し)

名前・コイレバント(コイレ)

Lv.28

 

H 22 さいこう +α(巨体分)

A 35 さいこう +α

B 70 すばらしい

C 95 さいこう +α ↑(性格補正)

D 55 すごくいい

S 45 ダメかも -α ↓(性格補正)

 

(個体値の下から。ダメかも、まぁまぁ、かなりいい、すごくいい、すばらしい、さいこう=きたえた!)

 

合計個体値 素晴らしい能力!

 

(合計個体値の下から。まずまずの能力、平均以上の能力、相当優秀な能力、素晴らしい能力!)

 

合計種族値 325

 

特性

がんじょう(頑丈、ワンパンされない)

 

れいせいな性格。打たれ強い。

 

努力値

H 極振り

C 極振り

D 微振り




ただヌシ戦二回戦を演出したかっただけなのにラストバトル手前の戦闘を演出しちゃってるアホ。私が昔プレイしていたドラクエVで言えば、魔王ミルドラース手前のゲマ戦(ただし本人はパパスを殺した記憶が無い状態)で伝説の魔物使いと勇者がパパスの仇!と全力で殺しにかかってくる場面。


一応、今後も度々主人公ズが登場する予定なんですけど、第三者目線の主人公ズサイドやショゴスくんらが全く出て来ない主人公ズやチリちゃん達大人の舞台裏なんかも書いた方が良いですかね?

親愛なる読者達の事を知る為、或いは今後に反映させる為に知りたい。文章について。

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