トレセン学園を卒業したミホノブルボンとトレーナーさんが一緒におそとごはんを楽しむようです

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ラーメンライスも良いけどラーメンチャーハンも捨てがたい

「──それじゃあ今日はここまで! 後はクールダウンして解散していいからね?」

「「「────ありがとうございましたっ!!!」」」

 

 トレセン学園内のとある練習コースで、あるグループの練習が終わった。

 練習を見ていたトレーナーの腕には『教官』と書かれた腕章がある。

 どうやら未デビューやスカウト前のウマ娘達を担当している教官のようだ。

 小さな体に、黒髪が光る。スーツを着ているから何とか大人だと分かるが、もしジャージや私服姿であれば中学生にも間違われそうな格好だ。

 その横には、一人のウマ娘が並び立っていた。

 

「よし、それじゃあ後はコース整備だね。ブルボン、任せられる?」

「了解です、マスター」

「マスターって呼ばれるほど大したことはしていないんだけどさあ…………」

 

 ──ミホノブルボン、『サイボーグ』の異名を持つウマ娘。

 私は彼女の夢に憧れ、彼女を支えた。その結果、達成したことや出来なかったこと。悔しいことなども共有してきた相棒だ。

 ブルボンの腕にも腕章が巻かれている、教官を支える為の役職である『教官補佐』の腕章だ。

 

「それで、大学生活は楽しいかな? ブルボンも今一生懸命に頑張ってくれてると思うけど……結構覚えることが多いでしょう? 『トレーナー試験』」

「はい、確かに多いですね…………難易度はかなり高いかと。それでもマスターのようになると決めたので」

「ふーん…………そっか、ならよかったかな」

 

 トレセン学園から自宅への帰り道。今はブルボンと二人暮らしをしているから、並んで帰っている。

 一応、卒業してからよく担当とトレーナーが結びつくことが多いようだ。

 人が人なら一心同体のようになっているから仕方ないのだろう。

 ──みんなどうせそうなるのだ。

 現に私とブルボンは、恋人なのだから。

 

 ブルボンのようにトレセン学園を卒業したウマ娘が、トレーナー資格を取るために戻ってくる例など多くはない。

 大体はドリームトロフィーシリーズに向かって進むか、実家の仕事を継ぐか、普通に大学に行くかの三択だろう。

 そんな中、ブルボンはトレーナー資格を取るために大学進学を選んだようだ。

 ブルボンからトレセン学園卒業後は、トレーナー資格を取るために大学に行くこと。

 ブルボンのお父さんから一緒にブルボンの面倒を今まで見て欲しいと、卒業前にブルボンの実家に訪問した際お父さんに言われたのを覚えている。

 私としても一緒にブルボンとは過ごしたかったし、お互いに良い内容だったのだ。

 

「あの、マスター少しお願いがあるんですが」

「なに、ブルボン? お願いってどんなお願い?」

「マスター、外食がしてみたいです」

 

 帰り道にふとブルボンから頼まれたお願い。

 それは『外食をしたい』ということ。

 確かにブルボンとの生活を振り返ってきて、今までしてこなかったなと思いだす。

 ブルボンが現役中の食事はトレセン学園内では食堂で完結するし、今は朝昼晩三食私がブルボン用に作っている。もちろんブルボンが大学に行く時の弁当も含めてだ。

 レースに出る際はレース近くの滞在先でほぼ学園と同じくバイキング形式で準備があるため、中々外食をするっていうのは難しい。

 

「よし、じゃあ分かったよ。もうブルボンも大人になるしね。少しは外食の勉強もしないと」

「分かりました。行き先は決まってますので」

「わかったよ、ブルボンがどんなところに連れていってくれるか楽しみにしているね?」

 

 

 さあ、ブルボンは私と一緒に一体何を食べに行くのかな………………

 

 

 

「いらっしゃいませー! お二人ですね。こちらのテーブルへどうぞ! ご注文決まりましたらベルでお願いしまーす!」

 

 選んだのはラーメン屋だった。

 学園からそこまで離れてもいなく、早くて美味しいラーメン。

 あとはブルボンの好み的に、合いそうな感じだし、後は家でも食べているからイメージが。

 深夜でもやっているから、たまに残業で食事できていない頃にはお世話になっていた。

 

「マスター。メニュー確認する限り、ここのラーメンは豚骨ですね?」

「うん、そうだよブルボン。豚骨ラーメン、美味しいんだよねえ」

 

 メニューを見ながらブルボンが話してくる。

 豚骨ラーメン、各自で色々ラーメンの好みはあるが個人的には豚骨ラーメンが一番だと思う。

 色々メニューを見ながら考えているブルボン。

 ──かわいい

 

「マスター、決まりました。このチャーシュー麺とウマ盛チャーハンでお願いします」

「うんうん、分かったよ。麺の硬さはどうする?」

「…………麺の硬さとは?」

 

 ブルボンの表情が一瞬止まった。

 外食も初めてだし、当然家ではラーメンを作るが主だっては醤油だったので豚骨ラーメンなんて食べるのは初めてだったことを失念していた。

 

「ああ分からないよね。ごめんごめん。豚骨ラーメンの麺って結構細いの、だから硬さでこの『やわらかめ』から硬い『粉落とし』まで色々あるんだけど…………」

「分かりました。ちなみにマスターは?」

「私? 私は『粉落とし』だから初めてのブルボンにはちょっとあわ「マスターと同じのが良いです」ないと思うけど…………」

 

 麺の硬さを説明し、改めて麺の硬さを聞こうとするともう目の前には自分と同じものを食べると目で訴えているブルボンがいる。

 あまり最初から硬いのはどうかと思うが、ここまでブルボンがアピールしている以上止められない。

 ベルを押して店員さんにメニューを伝えることにしよう。

 

「えっと、粉落としでチャーシュー麺2つ、ウマ盛チャーハンと特盛チャーハンが一つずつでお願いします」

「かしこまりました! 薬味セット持ってきますのでお待ちください!」

 

 注文をした後はテキパキと店員さんが準備をしてくれる。

 ここはトレセン学園からさほど離れていないし、ウマ娘の店員も多い。

 そう言う意味では、始めて来てもブルボンには良かったのかもしれない。

 

「マスター、ここはウマ娘の店員が多いんですね」

「そうだねブルボン。ここはトレセン学園からあんまり離れていないからね」

 

 一応ウマ娘店員が少ないわけではないが、比率では大体のお店では多くないだろう。

 ここはトレセン学園から近いこともあるのか、ウマ娘店員が多い。

 いや、

 例えば奥の調理場ではウマ娘店員がラーメンの湯切りをしている。

 お店の中では小柄なのによく頑張っている。

 いや……奥のウマ娘店員がどこかで見たような顔をしている。あの子は確かファイ…………

 

「お待たせしました! チャーシュー麺2つにウマ盛チャーハンと特盛チャーハンになります!」

「ああっ、ありがとうございます。置いておいてもらえればこっちでやりますから」

「ありがとうございます。伝票ここに置いてますのでごゆっくり!」

 

 直接顔は見れず、本当に知っている彼女なのかは分からない。

 それでもまずはメインのラーメンとチャーハンだ。

 この豚骨の香りが癖になる。

 この夕飯を目にして、やることはただ一つ。

 

「それじゃあ、いただきます」

「──いただきます」

 

 美味しく、そして楽しく食事をすることだ。

 

 

 

 

「マスター、この麺かなり硬いです」

「だから言ったじゃん……粉落としは硬いからおすすめしないって」

「でもマスターが……」

 

 ああ言わんこっちゃない。

 だから硬いとあれほど言ったのに、ちょっとむくれるなブルボン。

 

「少し置いてれば柔らかくなるから待ってな?」

「分かりました、待機します」

 

 待てをしている犬のようにも見えるブルボン。

 大型犬のようでとても可愛い。

 

「いつも食べるラーメンとは違って、これはこれで美味しいです」

 

 少し時間を置いた麺を食べて、少し笑みが見えた。

 

「それに……このチャーハンもマスターが作るのと同じぐらい美味しいです」

「言い過ぎだよブルボン。けどお店のみたいって褒められると嬉しくなるかな?」

 

 二人でああだこうだ言いながら食べるのは、とても楽しい。

 二人での食事は、あっという間に過ぎて行った。

 

 

 

「────ありがとうございました! またお待ちしてます!」

 

 食事を終えた帰り道、少し冷たい風で肌寒さも感じながら歩いている。

 結局その後お互いに替え玉も追加注文したからか、お互いに中々な量を食べたと思う。

 途中、ちょっと試しにラーメンにいれた辛子高菜で涙目になっていたブルボンは可愛かった。

 ニンニク潰し器に興味津々で大量のニンニクをつぶして少しニンニク臭が残っていたこと。

 チャーハンをラーメンスープに入れ込んで食べる悪魔の食事に虜になっていたこと。

 

 

 

「マスター、おそとで食べるラーメンってここまで美味しいんですね」

「そうだよブルボン。ラーメンは美味しいの、それでももっと別な理由で美味しくなるんだよ?」

「別な理由…………ですか?」

 

 疑問がっているブルボン。

 こういうところを見ると、初めてであった時の子供のようなブルボンを思い出す。

 

「それはね、『誰かと一緒に食べること』だよ?」

「誰かと一緒に…………じゃあこれからもずっと楽しく食べるためにマスターと一緒にご飯が食べたいです」

 

 唐突な発言に、思わず目を丸くする。

 

「マスターはこの先、私から離れるんですか?」

「そうだよ、これからもずっと一緒に過ごしていこうね。ご飯もそうだし、嬉しいことも悲しいことも、わけっこすると良いんだよ?」

 

 ブルボンの発言に押されるような形で、続いている今の生活。

 告白された時もそうだった、確か『マスターの味噌汁が毎日飲みたい』だったかな? 

 

「マスター、これからも私と『おそとごはん』に行きましょう」

「──そうだね、一緒に食べようね? ブルボン」

 

 さあ、次はどんな『おそとごはん』を食べに行こうか。


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