東方百年記   作:暁桃源郷

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見参!万事屋零ちゃん!

ここは幻想郷。

忘れ去られた者の最後の楽園。

人間、妖怪、妖精、神、・・・・etc.

さまざまな種族が暮らしているこの幻想郷の最東端に位置しているとある神社に彼女たちは居た。

 

「ほら、働けバカども。今日中に終わらなきゃ十三代目にボコされんだからな」

 

気だるそうに境内を歩く小さな二本の角を生やした少女が水色の髪の傘を持った黒と少年と赤髪の同じ首を幾つも浮かしている少女に声をかける。

 

「つっても姉ちゃん何にもやってねぇじゃん!」

「そうだよ!手伝ってよ!」

「バカ野郎!姉ちゃんは社長だぞ!」

「社長だから何なんだよ!社長なら部下に示しが付くように働きやがれ!」

「てめ!それが姉ちゃんに対する言葉か!」

 

二本角の少女と青髪の少年が取っ組み合いになり境内をゴロゴロと転がっていく。

それを止めようと赤髪の少女が二人を追いかけるが二人の向かう先を見て次第に足を止める。

 

「アンタ等真面目に働け!」

 

仁王立ちをした赤い巫女服の少女が陰陽玉を転がる二人に投げて二人を止める。

 

「何すんだよ。霊夢!」

 

霊夢と呼ばれた巫女服の少女を睨み付ける二本角の少女を霊夢が睨み返す。

 

「あ"ー?アンタ等が真面目に働かないからでしょうが!」

「だいたい俺ら依頼で来たがよ、金あんのかよ?」

「心配しなくても、最近霊奈のお陰でお金が一杯あるのよね」

 

スカートのポケットから煎餅を取り出して噛り始める。

 

「働かずして食う煎餅は上手いか!?」

「えぇ、美味しいわよ。そもそもこの神社の神様は私なんだから」

 

悪びれもせずに煎餅を頬張る。

これ以上話すのは無駄だと諦めたのか青髪の少年が踵をかえて仕事に戻る。

 

「お兄ちゃん・・・」

蛮鬼、戻るぞ」

「う、うん」

 

青髪の少年の後ろを赤髪の少女、赤蛮鬼が着いていく。

そのまま二人は神社の境内に置かれた酒や食料を運び入れ始めた。

しばらくそれを見ていた霊夢が縁側に座り皿に入った煎餅を食べ始める。

二本角の少女が霊夢の隣に座り煎餅を一枚取る。

 

「昔は下克上を企ててたアンタが今や幻想郷の何でも屋だものね。人生長生きしてみるものね」

「それはこっちのセリフだ。只の人間だった博麗の巫女が今や転生して神なってるんだからな」

 

鳥居の向こうから見える幻想郷を見下ろしながら霊夢がお茶を飲み、二本角の少女が二枚目の煎餅を取る。

 

「・・・・・・もう、"百年”になるのね。アイツが居なくなって」

「あぁ。ったく、何処行ったんだろうな。幻想郷が、こんなことになってんのに」

 

二人の視線の先にあったのは百年前まで見ることの出来た自然豊かな楽園と呼ばれた幻想郷等ではなく技術革新により急速に発展した近未来的な幻想郷だった。

 

「・・・・・・ところで正邪。アンタも働きなさいよ。社長でしょアンタ」

「社長は座して武運を祈るのみだ」

 

 

 

日が傾いて空が赤くなってくる時刻。

正邪が万事屋兼自宅に待機していた針妙丸を呼びに行く間にそれは起こった。

 

「ねぇねぇ、知ってる?」

 

十四代目博麗の巫女である博麗霊奈が青髪の少年に話しかけてくる。

 

「霊夢様が教えてくれたんだけどね、向こうの小道にお墓があるんだって」

「墓?誰の?」

「十二代目さまの」

 

青髪の少年が少し考えてから立ち上がろうとして周りに霧が集まって来る。

 

「まぁまぁ、せっかくの年末の宴会だ。湿気たツラせずにパーッと行こうじゃないか!」

「す、萃香姉ちゃん・・・」

 

伊吹萃香が少年の肩を持ち焼酎瓶を口に突っ込む。

 

「ほら、呑め呑め!」

「ちょ!うぷ!」

 

少年の口から酒があふれて萃香の手を振り払う。

萃香が少し振り払われた手を見た後に笑いながら酒を一気に飲み干す。

 

「・・・・・・・ぷは!お前は本当にアイツに似ているね」

「アイツ?」

「お前の父親、にさ」

 

そう言って萃香がその場に座り込み横をポンポンと叩く。

少年は黙ってしばらく萃香を見ると萃香の言う通りに隣に座り席に置かれているカルピスに口を付ける。

 

「・・・・・零もカルピスが好きだったねぇ」

「知らねぇよ。顔も見たことがねぇ、テメェのガキも母ちゃんもほっぽってどっか行く奴の事なんて」

 

少年はカルピスを飲み干すと更に隣のカルピスを手に取る。

しかしその手を霊奈に止められて仕方なく少年はカルピスを元に戻す。

 

「飲み過ぎだよ。糖尿病になっても知らないから」

「・・・・・うす」

 

少年がコクンと頷き霊奈は納得したように笑顔を見せる。

そして急に音楽がなり始めて三人が振り向くとそこには少年が食料を運ぶ前に設置した舞台があり、その上で後戸の二童子が踊り、後ろでは金髪の少年がバイオリン、鳥の羽が生えた少女がエレキギターを弾きながら歌っていた。

少年はバックダンサーなのにメインで踊るのか?、等とおもいつつ月を見上げるのだった。

 

 

 

「お嬢様、今宵は月が綺麗ですね」

「そうね」

 

宴会の席でメイド服の銀髪の女性が見た目六歳くらいの羽の生えた幼女に紅茶を差し出しながらそう言った。

 

「・・・・ところで咲夜、あの子達は?」

「妹様は湖の妖精達と遊んでおられます。咲螺美麗(メイリ)はその付き添いで美鈴(メイリン)と一緒にいます」

「・・・・・・そう」

 

幼女はフッと笑い、紅茶を飲みながら月を見上げる。

 

フランもまだまだ子供ね。まぁ、仕方ないわ。こんなに月が綺麗ですもの」

「ですね」

「・・・・・咲夜、とっておいたおやつのプリンあるかしら?」

「はい、こちらに」

 

咲夜がパッとプリンを出しパァァァっと笑顔になる幼女を見て隣にいた彼女がボソッと呟いた。

 

「あなたも十分子供っぽいわよ」

 

 

 

「さぁさぁ、皆さん年末のお待ちかね!力試しのお時間ですよ!視界進行は清く正しい文々。TVの射命丸文が行います!さて、最初の挑戦者!誰か・・・・」

 

いませんか?そう言いかけたところで文の前に誰かが吹っ飛んで落ちてくる。

文が落ちてきた人物を確認する。

 

「き、君は・・・・・・!?」

「おぉ、文。最初は私とソイツだ」

「す、萃香様!?で、でも・・・・」

 

文が落ちてきた人物と萃香の顔を交互に見る。

そして、萃香に何かを言い出そうとして言葉を飲み込む。

 

「・・・・・・・ハァ。分かりました。では始めましょう。一試合目は小さき百鬼夜行、伊吹萃香様!vs万事屋零ちゃん一番槍、多々良傘!」

 

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