召喚学園の生徒だけど守護獣が異形すぎて邪教徒だと疑われてます   作:だぶすと

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急に設定が降りてきたので書きました。


入学式

 やあ、僕の名前はヘレシー!

 小さい頃に呼び出した守護獣のおかげで召喚師としての素質を認められた僕は、今日からあの有名なヴァリエール召喚師学園に入学する事になったんだ!

 召喚師っていう職業はみんなの憧れ! 国を築き、国を護るとっても凄い人達だよ! そんな召喚師に自分もなれるんだと思うとワクワクして初日の朝から遅刻寸前まで寝ちゃってたよね!

 

「──で、あるからして、諸君らのこれからの頑張りに──」

 

 入学式では学園長から有り難いお言葉を拝聴したよ!

 内容は薄っぺらくてよく分からなかったけど、周りの生徒達はみんな真剣に聞いていたね! これからの学園生活を想像して気合いが入ってるみたい!

 僕も今日から始まる学園生活の事を考えると、故郷で守護獣が擬態せずに散歩しているのを発見した時のように不安な気持ちになるよ! 勉強の事もそうだけど、貴族の人達と上手くやっていけるのかってね!

 

蟋ソ繧定ヲ※(その例え、)縺縺上↑縺(ひどくない)�〒吶窶��(ですか……?)

 

 あ、ごめんごめん!

 でもあの時君の姿を見て気絶したパン屋のお爺ちゃん、二日間も目を覚まさなかったでしょ? それは紛れもない事実だから結果は受け入れようね!

 

螂ウ縺ョ蟄舌�(女の子を見て)蟋ソ繧定ヲ九※(気絶する方が)豌礼オカ(悪いと)縺吶k譁縺悟(思います……)

 

 そんな感じで守護獣と頭の中で話していたら入学式は終わったよ! そのまま僕達は先生に誘導されて教室に到着したんだ!

 前の黒板に席順が書いてあるね! やっぱり最初は同じ身分の人と仲良くなってから徐々に輪を広げていくのが堅実だと思うし、庶民の子が隣に来てくれると嬉しいなぁ! 召喚師学園には血統書付きのエリートが集まる傾向があるから確率は高くないだろうけどね!

 

「うわ……私の隣、庶民じゃない。面倒な事にならなければいいのだけれど……」

 

 あ! お貴族サマだ! どうやらお貴族サマの隣の席になったみたいだぞぉ! 美人の隣だなんて嬉しいなあ! アハハ!

 訝しむような半目でこっちを見ているのは、いかにも手入れにお金のかかってそうな長い赤髪を揺らす女の子! なんだか初手から突っ掛かってきてるけど、真面目に対応すると労力が勿体ないから適当に受け流すのがいいと思うね!

 

「よろしくー」

「……いや、挨拶する時くらいこっちを見なさいよ」

「よろしくー」

「反応が想像の十倍くらい軽いわ……」

 

 お貴族サマに敬語を使わなくても問題無いのがこの学園の凄いところだよ!

 ここの学生は全員平等な身分として扱われて、学びと研鑽だけに集中できる環境になっているらしいんだ! 学園長のヤマ無しオチ無しの話でも説明されていたね!

 

「おい庶民、何をしている! 俺のレティーシアに近寄るな!」

「うわ。でたわね」

 

 あ! お貴族サマが増えた! 入学初日から随分と賑やかだね! これは楽しいクラスになりそうだなあ!

 この少し制服を着崩して粋がったお貴族サマは、隣の席になった女の子と知り合いみたいだね! 『俺の』って言ってるくらいだし婚約者って線もありそうだけど、貴族の嫁ぎ事情なんて昨日の星占いの結果くらいどうでもいい話だから深く考えないようにしよう!

 

「ジェイド……貴方との婚約は解消になった筈よ。そういう言い方は止めて頂戴」

「レティーシア、俺はその事にまだ納得していない。俺達はきっと昔みたいにやり直せる」

「親同士が決めた婚約を親同士が解消しただけよ。最初から最後まで私達の意志なんて無かったわ」

「いや違う。俺が君を想う気持ちは本物だ。どうか考え直してくれないか。君からも両親に掛け合って……」

「こうなるのが面倒なのよ……はあ」

 

 うん……うん。二人で盛り上がってるところ悪いけど、僕の席を挟んで話すのは止めてくれない? 僕だって終礼前のこの時間を有意義に使って友達を作ったりしたいんだけど?

 

 どうやらジェイド君っていうイキりお貴族サマは、元婚約者である隣の席のレティーシアっていうお貴族サマに今も恋心を抱いていて、彼女の横に僕がいる今の状況が面白くないみたいだね!

 だったら貴族特有の発言力で先生に席替えするよう提案すればいいと思うよ! できれば早急によろしくね!

 

「……あっ、そうだ。えーっと……ヘレシーはどう思うかしら。彼、早く席に戻った方が良いと思わない?」

「……え?」

「おい庶民、レティーシアから離れろと言っただろう! 彼女はお前のような身分の低い人間が会話していい女性じゃない!」

 

 あ、巻き込まれ事故だ!

 これイキり貴族サマもヤバいけど、隣の彼女も相当ヤバいね! こんな肯定しても否定しても打首になりそうな質問、良識のある人間なら振ってこないよ!

 まぁ学園内では生徒は平等っていう決まりがあるから今すぐ大事にはならないだろうけど、僕が急に登校してこなくなったら君のせいだからね!

 

「えっと、揉め事なら召喚師らしく勝負で白黒つければいいんじゃないかな?」

「召喚師らしい勝負……それは守護獣を使っての決闘という事かしら。貴方、意外と荒事に躊躇しない性格なのね」

「ほう。いいだろう、その勝負受けてやる。俺が勝ったらお前は二度とレティーシアに近付くな。それでいいな?」

「は? ……え? いやいや、僕が言ったのは君達二人が勝負すればいいんじゃないかっていう話で……」

「ふふ。グレード家の守護獣は当主が代々継承してきた召喚獣だから侮れないわよ。それじゃあ、私は放課後に予定があるから彼の相手はよろしく頼むわね」

 

 あっ、見て見て! 隣のお貴族サマが僕に微笑んでくれているよ! とっても可愛いね! こんな美人の笑顔が見られるなんて入学早々得しちゃったなあ!

 

 ……おクソアマぁ!

 なんで僕が初対面の貴族と決闘するって話になってるの? 完全に無視しなかった僕の負け? こんな理不尽な事ある?

 僕はあまり他人のことを嫌いになるタイプじゃないけど、隣の彼女の事は嫌いになれそうな気がするよ! 新しい自分を発見しちゃったね! 人との出会いに感謝! 召喚師学園最高ッッ!!

 

縺倥c縺ゅ€(もしかして、)∫√�(いつか)莠九b雖(私の事も)後>縺(嫌いに)ォ縺ェ縺」(なったり)縺溘j(します)縺励∪縺(か……?)

 

 いや全然? 君はなんというか……外見以外は人間の基準でも素晴らしい女性だと思うよ。ホラーが苦手な人は見るとビックリしちゃうから、もう少し擬態は上手くなってほしいけどね!

 

「この決闘、グレード家次期当主のこの俺が受けて立つ。使用人に召喚場を用意させておくから、そこで放課後に決着をつけるぞ。二度と舐めた事ができないよう俺が直々に教育してやる……!」

「あら怖い。ヘレシー、陰ながら応援しているわ」

「……明日さ、学園内でのパートナーを召喚する最初の授業があるよね? 家元から継承できる守護獣より、自分だけの力で呼び出したそっちの召喚獣で決闘した方が正々堂々とした実力勝負って感じで良いと思わない?」

 

 なんだかもう決闘は回避できそうにないから、せめて守護獣の姿を見せなくてもいい展開になるよう頑張って説得してみるよ! 守護獣同士の決闘なんて実家の太さを競うだけで、召喚師の勝負としては意味が薄いもんね! プライドの高いお貴族サマならちゃんと自分の実力で決着をつけたいよね!

 

「いいや駄目だ。明日まで待つ事はできない。たった一日でもレティーシアに庶民の影響を与える訳にはいかないからな」

「……じゃあここの席、替わろうか?」

「は? ちょっと貴方……」

「舐めるな。庶民の情けなど受けん。座席を交換するのはお前との決闘に勝ってからだ! ……待っていてくれレティーシア。明日からは俺が隣で君を守ってみせる……!」

「こっちにも飛び火してきたのだけれど」

 

 面倒事を押し付けておいて自分だけ高みの見物なんて許さないよ! 死ぬ時は一人でも多く道連れにしろっていうのが母さんの教えだからね!

 そうして決闘を宣言するだけして、イキりお貴族サマは自席に戻って取り巻きのクラスメイト達と話し合いを始めたよ! 戦いの作戦でも考えているのかな? あんまり見ているとまた絡まれちゃいそうだからこれ以上は気にしないでおこうっと!

 

 隣の席から聞こえてくる小言を無視しつつ待っていると、担任の先生が教卓に上がって終礼が始まったよ!

 内容は……薄味! 想定通りの普通の挨拶! 終礼終わりッ!

 

 という訳で放課後になったんだけど、決闘を無視して寮に帰ろうと思ったら隣のお貴族サマにがっちり腕を組まれて逆方向に連行されたよ!

 そんなに元婚約者が隣の席になるのが嫌なら最初から僕に喧嘩を売らないでほしいな! 次からは気を付けてね!

 

 どうやら着痩せするタイプらしい彼女に連れて行かれたのは少し離れた校舎の召喚場! 中にいたのはイキりお貴族サマ一人だけ! 護衛や取り巻きを連れていない理由は分からないけど、かなりの男っぷりだね!

 

「ジェイド……護衛はどうしたの?」

「君だけに見ていてほしいんだ。この学園に入学して、初めて俺が勝利する瞬間を」

「えぇ……」

 

 ジェイド君、恋に真っ直ぐなのは良い事だけど、何事にも限度があると思うよ!

 想像とは違う展開になったけど、今からの決闘を見るのがこの二人だけなら守護獣を出しても大丈夫かも知れないね! 貴族の子供だったら精神修行もしているだろうし、僕の守護獣を見ても大して驚かないでしょ。

 

「庶民、初手は譲ってやる。守護獣を呼び出すがいい。……出てこい! シルバー!」

 

 ジェイド君が正面に手をかざすと、床に出てきた魔法陣から光が立ち昇ってトカゲみたいなシルエットが浮かび上がったよ! 竜種かな? 竜種っぽいね!

 現れたのは銀色の翼竜! 翼爪までしっかり手入れされているし、鱗も磨き上げられていてピッカピカ! とっても格好良いね!

 正直、こうやって愛情込めて仲良くしてる相手と戦うのは抵抗があるよ!

 

縺薙■繧(こちらも)峨b雋(負けて)�縺代(いられ)※縺�i(ません。)繧後∪縺帙(見せつけて)s縲り(やりま)ヲ九○縺、縺(しょう……!)

 

 おっ、随分とやる気だね! 守護獣としては頼もしい事だけど、相手も強そうだから油断しちゃ駄目だよ! 頑張ってね!

 

縺縺�(はい、)√€€鬆大シオ(頑張ります!)繧翫∪縺呻(顕現しても)√€€鬘慕樟(いいですか?)

 

 うん。じゃあ、いこうか!

 

「おいで、ハッピー」

 


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