フォドラに生まれたので三国共存ルート目指すで(元社畜OLより、愛を込めて) 作:ストレスたまるん
真面目な話、お金で余裕ができた分を将来のために投資に回そうと考えたがために勉強に励んだ結果気がつけばかなり間が空いてしまいました。
マルチタスクは、苦手なんすよ(白目)
一応ちまちまっと手を加えてたりはしてたんですけ…
長いしなんか文の構成がグッチャグチャかもしれませんが、許してください、なんでもしますかr()
あと文字数見て引いた。長すぎな、俺ちゃん反省しろ。
初の討伐戦、歴戦の傭兵が集うジェラルト傭兵団が嵐の如く戦場で暴れまわる中、果敢に前に出て必死に戦い、見事戦果を挙げ、初陣を華々しく飾ることに成功した少女アルディア。
しかし初めて自身の手で人を殺したという事実に彼女の心は大きな傷を負ってしまう。
団員達の助けもあり、一応持ち直したアルディアだったが脳裏に焼き付いてしまった様々な重みは彼女の中から消えることはなく、今も心を蝕み続けていた。
そして初陣を飾ったその日の夜。
野営地内で団員達が各々自由に眠りにつき、辺りが静まり返る中、未だ人を殺めた事実に悩まされ続けていた彼女は、一人眠ることが出来ずに居た…。
ふくろうが鳴き、空には月が浮かび上がる真夜中の森の中。
団員達が野営地内で各々好き勝手に眠る中、私は一人、野営地のすぐ傍にあった切り株に座り、ぼうっと夜空を眺めていた。
理由はシンプルに、眠気が全く来ないから。
疲れ自体はある。
冷蔵庫でも背中に担いでるのかとブチギレたいほど重い体。
剣を握る事はおろか、歩くことすらも拒否したい程の酷い倦怠感。
経験上、これだけのお疲れ様セットが揃っていれば酒なんて無くとも目を瞑ればそのまま死んだように眠ることなんて簡単なはずの状態なのだが…目は24時間営業のコンビニのごとく、冴えに冴えて全く眠れない。
ならそれだけアンハッピーセットの如く疲れが溜まっているのに何故眠れないのか、と聞かれれば、私はこう応えるだろう。
初陣が原因だと。
さらに細分化して原因を言うならば、人を殺したこと、だろう。
正直、戦闘で人を殺す事によって発生する自分の精神に対しての負荷はある程度想定はしていた。
前世で得たネット知識やテレビとかで、軍人が戦争や凄惨な何かを目の当たりにして帰還後に精神疾患を患う事が有ると知っていたし、これから生きていく世界が世界なだけに、そういったものとは切っても切れないと思っていたから。
そしてそれは想通りだったし、お陰でまだ軽症で済んだ、と思う。
初陣にも関わらずそれなりの人数を斬り伏せる事は出来たし、戦闘中においても変に緊張
し、動きを鈍らせるということもなかった。
これはジェラルトやダイナさんによる真剣を使った上での極限まで危険な状況下を想定した訓練のおかげだと思う。あの二人には頭が上がらない。
だけど、ある程度被害を軽減出来たと言っても、何も影響が出なかったわけでもなかった。
むしろそんな低レベルの予防線を張っても全く無駄だと言わんばかりに私の精神をぶち壊そうと負の感情が次々と襲ってきた。
まず手始めに現れた影響は初陣からの帰還後の嘔吐。
戦闘中に見てしまった様々なシーンが、まるでこれがお前の罪だと言わんばかりにスライドショーと化して何度も何度も場面を切り替え、脳内に出力される。それは、まさに地獄としか言いようがなかった。
お陰で木の陰で何度も吐くことになった。
次に出てきた影響は手の震え。
まるで自分がやった事の大きさを示すように、その時の私の手は酷く震えていた。まるで痙攣してるのかとか、別の生き物かって勘違いするほどにね。
結局姿を消した私を探しに来てくれたダイナさんがその手を握ってくれるまで止まることはなかったわ。
そして最後に現在進行系で起きているこれ。
不眠症だ。睡眠障害とも言うのかな。
不眠症なんて前世でも無理やりねじ伏せ、仕事のためにと爆睡してきたのに、今はこれのせいで地獄を見ている。
当然と言えば当然なのかもしれない。
元を辿れば私はテレビのニュースやサスペンスくらいでしか殺人なんて言葉を聞かないような一般人。
そんな人間が、この血も涙も無い道徳0点を地で行く世界に産まれ、目標を建て、前世でも出すことのなかった一所懸命さと根性を発揮し、訓練の虫と化したからと言って果たして人を殺すという最大の禁忌を犯して、平然としていられる精神力を得られると思うだろうか。
間違いなくそれは無理だと思う。
もし平然としていられる事が出来る人間が居たとしたら、人への害を及ぼすことに何かを感じる根本がヤバい人間か、目的の為ならば自身の命を消し飛ばしても構わないと言える程己を殺すことが出来る覇王のように固い意志を持っている人間くらいだと私は思う。
「はぁ…」
溜息とともに星が煌めく空を見る。
私は宝石の如く輝く星々で埋め尽くされている夜空を見て、あ~…あの星やマリオのスター状態みたいにアホみたいに輝いて無敵になれればいいのに、なんて嫌な現実から逃げるかのように、小学生染みたことを考える。
初陣を飾ったはずなのに、酷いもんだわ。
「…?」
その時、ふと背後の方から覚えの有る気配を感じた。
感じは…少し小さめという感じだろうか。
なんとなく気配を隠しているような…あれ? この気配、覚えというか、めちゃくちゃ分かりやすいというか。
私はそれが何かを察すると呆れや億劫さを混ぜたような溜息を吐き、念のための安全確保の為に警戒も兼ねてその覚えの有る気配がする方へ顔を向ける。
「ほほぉ、良いカンしてるじゃねぇか」
「団長…」
するとそこにはやはりというか、案の定、団長ことジェラルトが少しだけしたり顔みたいな笑みを浮かべて私を見下ろしていた。
何でわざわざ気配を殺すんですかねぇこの人。
しかもわざとらしく微妙に残り香の如く気配を漏らし続けやがって。
ぶちころすぞ(明確なる殺意)
こちとら今ダウナーなんやぞ? おお? しばくぞゴラァぁ!?(情緒不安定)
「どうした、こんな夜更けにいっちょ前に一人で黄昏れやがって」
「クソガキの背伸びみたいなもんですよ」
ガキらしく、小さな意趣返しも込めて返すが、ジェラルトはそうか、いいじゃねぇか、と、軽く受け流すといつもするように私の頭を撫でた。
ええい、やめんかおっさん!
こちとらおばさんやぞ!(精神年齢的に)
思春期の子供のように、ジェラルトの硬い手を退かそうと彼の手を掴む。
だけど、そこは子供と大人。
両手で掴んで引き離そうとするも、びくともせず、そのまま撫でられ続けた。
「はは、ボサボサだな」
「誰のせいですか」
無駄な抵抗を続けながら撫でられること少しして、地獄の撫で撫でから開放された私の髪の毛はものの見事にボッサボサヘアーに早変わりしていた。
セミロングなのでボサると素直にうぜぇ! 毎朝大変なんだぞゴラァ!
その髪型も悪くねぇと子供を弄る親のように笑うジェラルトに、若干の苛立ちを感じた私はムッとした表情で睨み返すと、ボサボサヘアーを直そうと必死に手櫛で髪を梳き始めた。
「少しは気が紛れたか?」
「……」
ふと聞こえたジェラルトの言葉に私は手櫛を止める。
「お前の様子が変だったのは知ってたからな。少し手荒な事をしちまった」
悪いな、と人差し指で自身の頬を掻きながら少しだけバツが悪そうに視線と顔をこちらから逸らす。
どうやらさっきのあれは不器用な彼ながらの慰めだったようだ。
彼のそんな不器用だけど、しっかり人を見ていたらしいジェラルトの観察力と、大人としてのレベルの高さに素直に感服すると、ゆっくりと手櫛をしていた手を下ろす。
そしてゆっくりと、言葉を吐き始めた。
「正直、人を殺すことはいずれ通る道だから覚悟さえしていればなんとかなるだろうって思ってたんですよ。だからある程度は覚悟していたんですよ。でも実際剣を手にとって、戦場に立って、盗賊と言えども同じ人を殺して…」
「……」
「想像を超えてましたよ。すごく、心に来ました。まるでドラゴンがのしかかってきたみたいに」
私は情けない表情を浮かべながら続ける。
まるで吐き出すように。
「ついさっきのことだから、忘れられないってこともあるんでしょうけど…それを抜きにしても、今はすごくしんどいです。あんなに持ち慣れた木刀すらも、持ちたくないと思えるほどに」
そして膝を抱え込み、顔を埋めるように膝に額を押し当てながら言葉を漏らし続ける。
「ジェラルトさん、教えてください。私はどうすれば良いんですか?」
「……」
「人を殺すことに慣れるなんて、したくないです。でもだからといって、逃げたくもないんですよ」
逃げることは今までの自分がやってきたことを否定することになる。
オタクが妄想するかのように願っていた三国共存というIFが、いつの間にか否定したくないレベルまで大きな願いになっていた私には、それがとても許せなかった。
私が話を終えると、ジェラルトは腕を組み、目を瞑る。
馬鹿にする素振りを見せることもなければ感じさせることもなく、ただ黙り込んだジェラルトを見て、私は何か助言か、欲を言えば答えを教えてくれるかもと淡い期待を込めながら、彼を見続ける。
「踏ん切りをつけろ、としか言えねぇな」
だが返ってきた言葉は何とも言えない中途半端なものだった。
踏ん切りをつけろ? それが出来ないからこっちは困ってるっつってんのに。
思わず内心で舌打ちする。
もちろん理不尽なことだって分かってる。
自分で勝手に期待して、勝手に自爆してるだけなんだから。
だけど今の私にはその理不尽な感情を制御する術はなんて無く、ただわがままな子供のように感情ををぶつけることしか出来なかった。
まだ心の内で留めるだけマシ、と言えるのかもしれないけど。
「技術的な部分は簡単に教えてやれるんだよ。実演して、基礎を教えりゃ誰だって身に付くもんだからな。だがな、心ってのはどれ程の手練が師匠であっても、簡単にどうこう出来るもんじゃねんだよ。何故か分かるか?」
「……いえ」
「鍛える為に使えるものが言葉しかねぇんだ。実演して見せれるものがねぇんだよ。こうすれば気持ちが安定するだとか、ああすれば恐怖は薄れるとか、その程度しか言ってやれることがねぇんだ」
「……」
「だからこそ、心の問題ってのは、自分でどうにかして踏ん切りをつけるしかねぇんだよ」
厳しいけど、納得するには十分な言葉だと思う。
体は怠ること無く毎日鍛えればどうとでもなる。
技術も、人から学び、体と頭に叩き込めば問題無い。
だけど心は、心だけは鍛え方が分からない。
原始的な方法だけど、ひたすら滝に打たれれば良いのか、それとも親や生活が厳しい環境に身を置けば良いのか。考えてもどれが効果があるのかも分からないし、必要なことなのかも分からない。
「まぁ、とは言ってもお前はまだまだガキだ。泣きたくなったり、どうしようもなくなったりしたら俺達大人を頼れば良い。今の間くらいならある程度は助けてやれるからよ」
私の頭を軽く撫でると、よっこらせっ、っとおっさんくさい掛け声と共に、ジェラルトは腰を上げた。
そしてわざとらしいくらい大きなあくびをすると、間を置いて柔らかな笑顔を浮かべ、こちらを見下ろす。
「ともかく、どうしたいかは自分で考えてみろ。初めて戦場で人を殺して辛いってのはあるだろうが、お前ならなんとかなるだろうさ」
言いたいことは言い終えたのか、ジェラルトは早く寝ろよ。明日も早いからな、と言葉を残し、手を振りながらのんびりとした歩調で野営地に帰っていってしまった。
「踏ん切り、ねぇ」
自分の口から漏れた言葉。
結局ジェラルトは自分でなんとかするしかないとしか言ってくれなかった。
だけど、彼と話したことで少しは気が晴れたのか、幾分気分がマシになっていた。
空を見上げる。
先程と変わらない、星だらけの綺麗な空。
だけど少しだけ、本当に気持ち程度だけ、さっきより綺麗に見えた気がした。
次の日の朝。
結局気がつけば切り株の傍でそのまま眠っていた私は、起きて早々野営地内に戻ると既に起きて野営地の撤収作業を始めていたジェラルトを見つけ、その場で、頑張ってみます、と宣言みたいな形で告げた。
ジェラルトからの返答は作業中もあってか、短く、そうか、とだけ告げると、どこか満足そうな表情を浮かべて作業に戻っていった。
正直まだ尾は引いている。
まだはっきりと前に進んだわけではないし、なんなら今もまだ倦怠感が残っている。
それにこれから出撃の機会は増えるだろうし、その度に、虹色を放出することになるかもしれない。
だけど自分で決めたことだから、きっちりと前に進もうと思う。
かなりしんどい道だけどね。
さて、とりあえずの一歩前進となったわけなんだが…今、私は重い装備を背中に付けている。
いや、付けている、と言うより、憑いている、と言ったほうが良いのかもしれない。
一応誤解のないように言っておくと、生きてる人が憑いているので霊ではない。
そして生霊でもない。
普通に実体を持った、よく知ってる人が私の背中に張り付いているのだ。
正確には、抱きしめられている、というのが正しいかな。
首辺りに感じる安心感を大いに煽り、そして男子であるならば大いなる夢の塊と呼べる、乳。
あいにく私は前世も含めて女性なので男子諸君に比べるとそこまでだが、はっきり言おう。
最高っす(恍惚の笑み)
そして私の頭の上に顎を乗せ、楽しげに鼻歌を歌う乳の持ち主。名を、ダイナと呼ぶ。
そう、あの人に私は今、後ろから乳を感じながらハグされているのである。
なんで?(疑問)
朝からだ。
ジェラルトに報告を終え、すぐにこうなった。
とりあえず作業しないとねぇ、と動き始めたところに、突然やってきたかと思えば、この状況である。
もう一度言おう。
なんで?(二度目の疑問)
いや、良いんですよ? 大きなおっぺぇを首に感じ、幸せの悦に浸れる。
これは男子でなくとも、オタク女子であるならば分かると思うんだ…分かれ(脅迫)
一応何度か、今は作業中なので、と遠回しに今はやめときましょうよと告げても、のらりくらりと躱され、まるで磁石の如く離れないのだ。
正直なところこうなる覚えがない。
一応該当するものがあるとすれば昨日の戦闘の後くらうだろうけど、いくらダイナさんが心配症と言えどここまで引っ付くもんだろうかと疑問に思っている。
いや本当になしてこうなった?
今も鼻歌を歌い、たぶん笑顔を浮かべて楽しそうにしているんだろうということは分かる。
それはいいんだけど…あの、作業、させてください。
ほら、見て。団員達がお前またかよ、とか呆れた顔してますし。
ね? ダイナさん! お願いしますなんでもいた…しませんので、お願いします。
「前に進めそう?」
「へい?」
どうやって脱出しようかと考えているところに突然ダイナさんの声が聞こえ、何とも言えない返事を返してしまった。
いや、あの、前に進めそう? ってどういう…?
質問の意図が見えない私は多少混乱しながらも、とりあえず黙ってダイナさんが動くのを待つことにした。
そうして周りの団員達が撤収作業を続ける中しばらくして。
ダイナさんは満足がいったのか、前触れもなくハグを解くと私の前に回り込むと、笑みを崩さないままじっと私の顔を見続け始めた。
いや、あの、そんなじーっと見つめられると、照れるといいますか…
美人に見つめられ続けることで変に気恥ずかしさというのか、恥ずかしさを感じ、顔が熱くなってくる中、逃げるように顔を逸らす。
ダイナさんは私の行動に何か不満を感じた様子もなく、ただ微笑ましいものを見るように見続けてくると、よし、と小さく声を出し、私の頭をなでてきた。
「うん、大丈夫そうね」
そしてまた彼女だけ何かに納得したのか、最後に私の髪の毛を整えるように手櫛で梳くと、そのまま何の言葉もなく作業に加わり始めた。
突然の発言と、突然の放置。
まるで絵に描いたようにポカーンと口を開け、ボッチと化した私は、しばらくどうすることも出来ず、団員の一人がぼさっとするなよ、と背中を叩いてくれるまでその場で呆然と過ごすことになった。
なんやねん、さっきの……大人って不思議~~~()
「どうだった、アルディアの様子は」
「えぇ。あれなら大丈夫よ。しっかりと前に進んでいくわ」
「そうか」
「ふふ」
「なんだ?」
「いいえ。ただもう少し何か言ってあげればよかったのにって思って」
「……俺には無理な話だ。気恥ずかしくてたまらん」
「ふふ、そういう割にはあの子の事をしっかりと見てるくせに。相変わらず不器用な人ね、団長」
「ちっ…ここの撤収作業を終わらせといてくれ。俺は別のところを見てくる」
「は~い。ふふ」