フォドラに生まれたので三国共存ルート目指すで(元社畜OLより、愛を込めて) 作:ストレスたまるん
エンゲージ。
なんか動画見てるとシリーズを詰め込んだハッピーセットみたいに感じたんやが…
ジェラルト傭兵団と共に旅して早8年たった1170年。
未だ実戦経験を積んだことは無いものの、そんなことは関係なしとばかりに日々鍛錬に励む少女、アルディア。
ダイナやジェラルトなどの強者達から手ほどきを受け、彼らの厳しい鍛錬を物ともせずに食らいつく彼女はいつしか団員達が感嘆の声が上げるほどの実力を示すようになっていた。
そしてそんな彼女を見て、誰かが言った。
そろそろ戦場に出てもいいのでは? と。
初めはダイナを中心に、もう少し待った方が良い(ダイナに関しては過保護とも言える取れる理由を述べていた様子)という声が挙がり、どうするべきかと話し合いになった。
これほどの逸材をこのまま鍛錬漬けにしても成長は薄い。実践を経験させるべき
という声と
こんな可愛い子を実践とか頭おかしいのかしら(発言者はダイナ)
という声が挙がり、両者一歩も譲らない展開となり、挙げ句には殴り合いに発展してしまったこともあった(大体がダイナによる一方的なフルボッコ劇場)
団員同士の愛のある喧嘩を見てジェラルトは頭を抱えると、そろそろ結論を出すべきかと考える。
そして青海の節のある日。
結論を出したジェラルトはアルディアを呼び出すと今節引き受けた盗賊の討伐依頼をアルディアの初陣にすると告げる。
突然の初陣決定に、いよいと実践なのかと覚悟を決めるアルディア。
今の自分が実践でどれだけそれを通用するのか。
実践の空気とはどういうものなのか。
盗賊との戦闘を前に、彼女は前哨陣地で淡々と準備を始めていくのだが…。
太陽が真上に上り、頭上からサンサンと日光をぶつけてくる真っ昼間の中、平原に臨時で設立された前哨陣地内を慌ただしく駆け回る団員達。
初陣が決まり戦闘に参加する事が決まった私も例に漏れず、武器の点検や、道具、物資の確認等で大忙しで、せっせと準備を急ぐ。
今回の依頼は盗賊討伐。
戦闘地区はファーガス王国内の小さな平原。
交渉をしていたジェラルト曰く、今回の目標である盗賊共は元々少数の烏合の衆で、早々に潰す予定だったのだが、逃げ足が早かったせいもあり中々殲滅は愚か、補足も困難だったそうだ。
で、手こずっている内に盗賊達の規模がどんどん大きくなっていき、いくつかの村が壊滅寸前までに追い込まれてしまったそうだ。
相当苛ついていたんだろうね。
完全に堪忍袋の緒が切れた依頼主は、完膚無きまでに殲滅することを決意し、自身の持つ兵に他に傭兵を使うことを決断。
そしてその傭兵を探す過程でジェラルト傭兵団の話を聞き、私達に話が来たそうだ。
本気で潰す気でいるせいか、報酬は少しお高いらしく、団員達はやんややんやと喜んでいた。
近頃は仕事の量が少なく、取れても報酬が少なかったりして狩りで食料を調達して過ごすことも少なくなかったからだろう。
中には女と遊べるぞぉ! と叫んでた人が居たが笑顔()を顔に張りつけたダイナさんの無言の渾身の腹パンで沈んでいた。
馬鹿なのかな?(辛辣)
ともかく、そういったこともあってか団員達の士気が割と高い。
しかしそれに反して、私の士気はそこまで高くない。
理由は簡単。
今回が初陣です()
ええ、初陣ですとも、初の陣と書いて初陣ですよ。
今日の明け方、寝てる私を叩き起こして告げられました。
今回の依頼がお前の初陣だ。覚悟しとけ。って
正直に言いましょう。
すごく…怖いです(顔面蒼白)
一応それなりにきつい鍛錬はしてきたよ?
例えばジェラルトやダイナさんとの真剣を使った鍛錬。
めちゃくちゃ怖いよぉ? 真剣だから、一つの油断で簡単に体の何処かが欠損するし、何なら簡単に死ねるし。
他にも盗賊に襲われたのか、死人しか転がっていない壊滅状態の村も見たし、嬲れられ後に殺されたのか自害したのか分からないけど、裸のまま放置された女性の死体も見たし、腹を斧か何かで斬られ、体の中身をぶちまけたまま死んでいた子供の遺体も見たし、それ以外の放送出来ないような数々の遺体も見てきた。
もちろん吐いた。盛大に。
見る度に何回も吐いた。
狩りとかで見る獣達の死体を見慣れたからある程度大丈夫だと思ったんだけど、盛大に吐いてた。
だから初の実践でも、それなりに大丈夫だろうと思ってたし、ある程度覚悟もしていた。
自分の実力がどの程度なのか知りたいとか思ったりして、多少舐めてた部分もあった。今までの経験だってあるし、って。
でも結果は――
「やっべ…手が震えてきたで」
これである。
点検作業を続けながら自分の手を見るとどこか動きが硬いし、無駄に力が入っている感覚もある。
もちろんそんな状態になってるのは手だけではない。
心なしか呼吸は早いし、心臓の鼓動も、これから来るであろう初陣から逃げたいって言いたいのか普段よりも暴れ始めてる。
今でこれなら戦闘になればどうなるかなんてアホでも分かる。
よくそんな状態でここに居られるなぁって自分でも思う。
はっきり言ってこんな状態で戦闘になれば間違いなく誰かの足を引っ張り、下手すれば自分が死ぬか誰かが死ぬことになる可能性もある。
ジェラルトにも言われたけど、体が硬くなると戦闘時の影響は悪い意味で大きくなる。
剣の持ち方、力加減、足さばき、判断力。
挙げればキリが無いよ全く。
やっぱり実践と見てるだけとか、鍛錬するだけっていうのは色々と違いすぎるってことなんだろうね。
でもこの震えの原因はそれだけじゃないんだと思う。
人を殺す。人に殺される。
私の予想だと、原因はこの2つだと思う。
そりゃそうだわ。
前世では人殺しとか、人の殺されるなんて無縁。
喧嘩はともかく、人同士の争いでの生き死になんてニュースくらいでしか見聞きしなかった。
そんな奴が、戦争が主な題材であるこのファイアーエムブレムシリーズの世界に来て、理由はともかく戦場に立とうとしてるんだ。
ビビるわ、んなもん。
いやー逃げたいわ。
マジ逃げたい。
怖すぎるわ。
死にたくない、人を殺したくない、そんな気持ちが溢れてくる。
自分のそんな状態を考えると、言い方は酷いけど、敵と言えど人間を容易く殺せる人って怖いと思っちゃう。
これを言うとジェラルト達に対しても失礼だとは思うんだけどね。
「はぁ…」
溜息が出る。
重い溜息だ。
分かってはいるんだ。
自分で選んだんだから、やらないと駄目だってことは。
でもやっぱり、殺すも殺されるも、辛いし怖いし、考えたくない。
私……戦えるのだろうか……