アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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初めましての方は初めまして。

カゲマスの広告で見たアレクシア王女がどストライクだったのでアニメとかを見た上で見切り発車致しました。


1冊目

 

「……し……ね……!」

 

気がつけば体が動いていた、と言えばいいだろうか。倒したはずの魔王が起き上がり魔法をこのパーティのリーダーと言える彼女に当てるつもりだと分かった瞬間、彼女を突き飛ばしていた。

 

直後に飛んできた魔力のビーム。体が貫かれ焼かれる不快な感覚と重い吐き気、そして体が別の何かで蝕まれるような感覚。それで、放たれたものがただの魔力砲ではなく、何かしらの呪い──それも魔法に耐性がある自分でさえ防ぎきれない強力なものが付与された魔法だと分かり、背筋がゾッとすると同時に、彼女を庇えてよかったと安堵する。

 

「いった……ユウト!いきなりなにす……!?」

 

「しぶ、とい……やつだ、な……」

 

先程の魔法の影響か、魔力をたくさん収束することが出来なかったものの、込めれるだけだけ込めて放った俺の魔力弾は魔王にあたりその体を完璧に吹き飛ばした。そして同時に自分の中の何かが切れた様な感覚がし、地面に倒れ込んだ。

 

「「「ユウト!」」」

 

暗くなっていく視界の中、あの無表情な武闘派聖女であるマリアが、毎回俺をからかっては倍返しにされて半べそかくシーフのユラが、そして聖剣に選ばれた勇者のレイが泣きながら駆け寄ってくる。

良かった、思いっきり突き飛ばしたから怪我してないか不安だったんだけど……走って来れるぐらいなら大丈夫かな。

 

そう安堵した瞬間、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

****

 

 

 

 

☆月☆日

 

てな感じで死んだはずだったのに、何故か俺はまた転生していた。いや、なんでやねん。転生1人1回までとかルールで決まってないんですか?

……まあ、これは今更言っても仕方ないので現状の整理だ。まず、俺が転生した世界は1度目の転生先同様中世風のファンタジー世界であり、加えて俺は今年で10歳になる。まあ、そんな世界だが前の転生先と違うところは魔力関連のところだろうか。まず、この世界でも魔力自体は存在する。しかし魔法と言う概念は存在せず、魔力自体の使い道は身体と武器の強化がメインとなっている。更にこの世界の魔力は自分の体から離れると途端に制御が効かずに霧散するといった性質があるせいで実戦での遠距離攻撃手段としては実用化されてない。そのせいか、魔力伝導率が高い剣が戦闘の主流となっており、近接戦闘が基本的な戦闘手段として成立し、それを駆使して戦うものたちを『魔剣士』と呼び、これが最もポピュラーな戦闘職だ。

 

……脳筋かな?

 

まあ、それは置いといて。次の違いは物質の魔力の通りがめちゃくちゃ悪いことだ。比較的魔力を通しやすいと言われるミスリル、その中でも最高品質なものでも伝達率は50%ぐらいしかない。

 

……バグかな?

 

いや、これで一体どうやって戦えばいいんだって思うほどにこの世界の魔力関連の事情は酷い。前の転生……もう前世でいっか。前世の魔法が恋しい……。

 

まあ、取り敢えず今は前世の魔王を討伐しに行ったのと同じレベルの魔力操作と剣技及び身体能力にすることだ。幸い、うちの家の庭はまあまあ広いし、魔力操作の方は魔力弾を出すのは相変わらずだが、切り札である時限式の身体強化のように前世の技術の方も幾つか再現出来た。剣の鍛錬も順調だし、前世の全盛期に戻れるのもそんな遠くはないだろう。

 

俺の3度目の人生はここからだ!!

 

……そういえば、息子さんのシドくんが頻繁に夜中どっか出かけているのが最近再現出来た魔力探知で分かったけど、何やってるんだろ?

気になるしちょっとついて行ってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

☆月♪日

 

色々ありすぎて考えをまとめたい。

 

 

 

 

☆月→日

 

これからも頑張ろう+シドくん追跡してみようと思った昨夜、色んなことがあった。箇条書きでまとめると。

 

・シドくんは転生者だった。

・彼がかなりの実力者だった。

・彼は『陰の実力者』に憧れる厨二病だった(重要)

・とんでもない発明品を作っていた。

・そして昨日はその発明品のテストとして盗賊団を襲った

 

はい、という訳で中々濃い時間を過ごしちまったよ。因みに彼には俺の経歴……つまり2回転生していることを伝えており、一応協力関係を結ぶことになった。彼からしたら俺が転生者であること、現段階では俺の方が彼より魔力操作や剣技といった部分は勝っている、というのが理由だろう。

 

さて、そんなことがあったのだが今俺らはとあることをしている。

それは昨日倒した盗賊団に襲われた商人の馬車にあった『悪魔憑き』と呼ばれている肉塊──元人間を使った実験だ。

まず、この『悪魔憑き』というのはどういったものなのかを簡単に纏めると、突然体が腐り出して死に至る不治の病、と言ったところだろうか。そしてその名前から分かるように、『悪魔憑き』になってしまった者は教会が引き取って虐殺している、という話まである。流石中世、ここは前世と変わらんな()

 

話を戻して、俺ら……というかシドが行っているのは魔力制御の練習だ。そもそもな話、この世界では魔力関連の技術は自己流で何とかしていくのが常識みたいなところがある。一応、俺のやり方をシドに教えてもいいのだが、あくまでそれは俺の感覚であってシドがそれに合うかは別の話。極端な話になるが相性が最悪で進歩が全く見れないということも有り得る。そのため、この『悪魔憑き』には悪いけどシドの練習の被検体になってもらった。

普段であればこういったことは効率的でもやらせないけど、俺の予想だけど上手く行けば……

 

 

1ヶ月ほどシドの魔力操作に関してや再現出来た技術に関しての内容が続く。

 

 

♪月→日

 

あれから1ヶ月が経った。まず結論から言うとシドの魔力暴走を完全に制御すること出来、そして予想通り「悪魔憑き」の肉塊は元の姿であろうエルフの少女になった。そしてシドは後からそれに気が付き驚いていたが、そこでエルフの少女が目を覚ましかけ、2人して慌てたがなにか閃いたのかシドが「僕に任せて」と自信ありげに言い、いきなり距離を取って木箱の上に片膝を立てて座った。俺はとりあえずシドを信じて彼の言った通りに腕を組んで壁にもたれかかった。──もし時を巻き戻せるなら、俺はシドの言うことを聞かずに自分から説明すべきだった。

 

──そんな後悔は置いといて、シドは目を覚ました少女に説明した。

箇条書きでまとめると。

 

・教典に記された三人の英雄が『魔神ディアボロス』を倒し、世界を救ったお伽噺は本当だった(大嘘)

・魔神は死の間際、その英雄達に呪いをかけた(大嘘)

・結果として『英雄の子孫』はその呪いの影響で腐りかけの肉塊になり、何者かの陰謀で『悪魔憑き』と呼ばれ始めた(大嘘)

・『ディアボロス教団』が黒幕(大嘘)

 

──なんということでしょう。

聞いたこともない話をまるであったかのように話すこのアホを見て俺は白目を剥きかけた。いや、こんなん誰だって分かる作り話だ、と思い少女の方を見ると、ガッツリ信じてしまっていた。

 

──なんということでしょう。

そしてここで俺の存在に気がついた少女に「あなたは?」と聞かれ、答えようとした瞬間、シド──『シャドウ』と名乗った──は俺のことを自分の相棒の『エル』と紹介しやがった!

そしてシドは『ディアボロス教団』に立ち向かう組織として『シャドウガーデン』と名付け、完全に乗り気になった少女──アルファと名付けられた──はノリノリで組織の資金稼ぎやら人員の確保とか考え出してしまった……

 

とりあえず、癖が強い!シドもそうだし、コロッと騙されてるアルファも!!こんなことで頭抱えたの前世のパーティ以来だわ……頼むからこれ以上癖が強い人間には会いたくない……神様、マジでお願いします。

 

そういや、父さんが大事な話があると言っていたがなんだろうか?

 

♪月°日

 

父さんの話を一言で纏めると「王都に行ってアレクシア王女の従者として働け」だった。

え?10歳なのに労働強いられるの?この世界の労働基準法はどうなってんだ、労働基準法は!

 

因みに理由としては王国の騎士である父さんが王都にいる友人に俺の事をべた褒めした手紙をしょっちゅう送っていたらしく、そこから「そんな優秀なら」という訳で護衛兼従者兼友人としてアレクシア様に仕えろ、ということになった。

父さん騎士だったのかよとか、なんで田舎の方にいんのとか、色々聞きたいことはあるが、謝ってくる父さんを見ると怒りたい気持ちは無くなった。まあ、行くのは1週間後と猶予を持たせてくれたのは幸いだった。とりあえず王都に行くまでにアルファには自分が教えられる技術は全て教えておこう。特にアルファは自衛のために力を身につけるのは間違いでは無いはずだ。シドは……まあ、あいつ個人に教えてなくても俺の動きやアルファに教えてるところを見て勝手に自分のモノにしていくだろうから放置だ。あいつは努力家だし、俺の事を追い越すのもそんな遠くない未来だろう。

 

そして、それが楽しみな自分がいる。

 




アレクシア出てないのは自分のガバが原因です。

キャラ紹介

ルイス・エア
本作のオリ主。既に1度転生を経験している稀有な転生者であり、何の因果かシャドウガーデンの一員+アレクシアの従者になってしまった。これ以上癖がある人と関わりたくないと思っているが、そんな願いは儚くも崩れさる。アレクシア分からせ思考になるまであと○○日。
なお、この段階では魔力制御及び戦闘技能はシャドウよりまだ上。転生2度目の肩書きは伊達じゃない!(戦闘技能は今世込で35年、魔力制御は25年ほどやってる)

ユウト
本作オリ主の1度目の転生をした世界での名前。勇者パーティで唯一まともに魔法を使えるものであり、イメージ的にはffでいう赤魔道士と魔法戦士をミックスした感じ。白魔法が苦手なせいでモーニングスターを前線で振り回す脳筋聖女、聖剣と巧みな剣技でごり押す勇者、背後からブスッ☆を得意とするシーフと誰も魔法を使えないせいで、遠距離攻撃やバフ、回復は基本的に彼一人で回してた。そして3人も彼のことを高く評価しており、唯一無二な仲間として大事に想っていた。なお、魔力量は凡人の中ではトップクラスだった。凡人の中では。

アレクシア・ミドガル
ミドガル王国の第2王女。「陰の実力者になりたくて!」で見た目が性癖どストライクで、めんどくさい女臭がしてるのもどストライクだったせいで創作意欲が爆発。これから彼女にはルイスによって分からされたり、曇ってもらいます。

シド・カゲノー(シャドウ)
原作主人公。陰の実力者になるために全てをかけたやべーやつ。彼のやばさは原作見た方が早い。因みに近いうちにオリ主を追い越す。

アルファ
金髪美少女エルフ。めちゃくちゃ強く、シャドウガーデンの実質的なトップになる。



ルイスの秘密:1
実は前前世、前世、今世込でも卒業出来ていない。

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)

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