アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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レポートと試験に追い込まれてて苦しんでいる自分からも愉悦を摂取出来るようになりたいこの頃。




11冊目

 

・月^日

 

こっちの地元まで鉄道の線が通ってくれたお陰で一日で着くことが出来た。馬車だと5日かかることを考えたら人類の発明というのは正に凄いの一言に尽きる。家に着いたのは夜だったが父さんたちは快く俺を出迎えてくれ、労いの言葉をかけてくれた。そして夕食をとって軽く汗を流したあとこうして日記を書いている訳だけど、これを書き終わったあとは隠れ家に行ってデルタたちに会いに行く予定だ。

当初は明日の昼の予定だったんだけど、シドは夜に会いに行ってることが多い+デルタが手紙で俺と会うのが楽しみということを書いてくれていたというわけで、サプライズとして驚かせるのもありかと思って決めた。

 

あまり書くと時間が無くなるからここまでにしよう。デルタたちに会うのが楽しみだ。

 

 

 

・月|日

 

つかれた

 

 

・月\日

 

昨日の日記が一言で終わってしまったがこればっかりは許して欲しい。色々整理したいから日記に書きながら一昨日の夜からの出来事を記していく。

 

まず、俺はスライムスーツを着た状態で家をこっそり出て隠れ家の方に向かい、デルタ達に会いに行ったのだがなんと普通に出迎えられた。誰にも伝えていなかったため驚いたが、アルファが言うには「エル様がもうすぐやってくる!」とデルタが騒ぎ出し、アルファが何度注意しても頑なに譲らなかったため半信半疑で準備をしていたとのこと。うーん、ますますポチすけを思い出すような事をするね。

 

まあ、ここまでは良かったのだが問題は再会した際に飛び込んできたデルタが俺の体にグリグリ頭を押し付けたと思った瞬間、急に固まった。それに嫌な予感を感じた時には既に遅く、デルタは顔を上げると「エル様、この匂いなに?」と酷く冷たい声で聞いてきた。汗臭かったのかと思い謝罪したが、どうやら違ったらしく「エル様以外の匂いがした……誰?」と無表情で聞いてきていた。敬語が抜けているあたりよっぽどそれが嫌だったのだろうか。とりあえず本当に心当たりがないこと、体を洗ってくることをデルタ達に告げ、めちゃくちゃ寒かったが近くの川に行ってめっちゃ体を洗った。それから戻ってきたあとは、落ち込んではいるもののいつもの調子に戻ったデルタがそこにおり、「困らせてごめんなさいなのです」としょぼんとした感じで頭を下げて謝ってきた。正直、デルタに落ち度はないと思っていた俺はすぐに頭をあげるように言って、この前した約束とは別で言うことを聞く、と言った。こんなんでデルタの機嫌を取ろうとしているあたり、俺自身ですら不誠実だと思うがこれ以外彼女に対してしてやれることがないのも事実だった。

結果としてデルタはそれを了承してくれた。が、それをすぐ行使してきた。内容は「王都に戻るまで夜は一緒に寝て欲しい」っていう形で。

 

うん、マジで思考が止まった。なお、それを聞いていたアルファは目を丸くして驚いたような表情を浮かべ、シドは親指を俺に向けて立て、ゼータは額に手を当て「嫌な予感の正体はこれもだったか」と呟き、他の面々は目を丸くしていた。

とりあえずここまでが一昨日の夜の出来事。

 

そして昨日、デルタに言うことを聞くと言ってしまった以上、俺は何とかしなければならなくなったのだが、最終的に俺が父さんにデルタを街で知り合った友人ということにして、訳ありなため暫く泊めてあげて欲しいという形でゴリ押した。自分でも苦しい言い訳だったのだが、父さんは特に深追いはせず了承してくれ、使用人の皆も考える人は何人かいたが納得してくれたため彼女を堂々とウチに招き入れることが出来た。

 

だが流石にデルタのことをそのまま呼ぶわけにはいかないので、急遽ユウナと呼ぶことにし一緒にご飯を食べたまでは良かったのだが、なんと俺がお風呂はいっているところに乱入してきたのだ!まだ幼いとはいえ、デルタは美少女だ。そんな子が全裸でいつもの様に抱きついて体を擦り寄せて来るのだ。これは女の子としてまずいと思ったので、ちゃんと注意したのだが珍しく強情で、説得している間に湯冷めして風邪をひきそうだと思いその場での説得は諦めて一緒に入り、頭を洗ってあげた。てか、使用人の皆は気づかなかったのかよ……。

 

そしてその後一緒のベッドに潜り込んで「エル様、暖かいのです~」と呑気に言いながら抱きついてきたデルタのことを意識しないように頑張ったのだが、悲しいかな女性特有の不快にならない程度のいい匂いと柔らかさ、そして幸せそうに寝ている彼女のお陰で俺はあんまり寝れなかった。

 

んで今日は冬の割には暖かく、日差しも良かったのでデルタの提案もあってピクニックに行ってきた。お弁当に関しては「デルタが作る!」と言っていたので後ろから見守る形でその様子を見ていたのだが、以前一緒に作った時と比べると当たり前と言ったらそこでおしまいだとは思うがかなり上達していた。まあ、それでもまだぎこちない部分や失敗してしまったところはあった訳だが、そこは勿論フォローしたし、上達しているところも褒めた。

味の方も良く、彼女が沢山努力したというのも分かるし、それを考えると自分が作った物よりも何十倍も美味しく感じた。そのことを褒めたら尻尾を振りながら喜んで俺の体にグリグリと頭を押し付けてきたのだが。

 

その後はお互い眠くなってきたのでお昼寝をすることになり、彼女は俺の腕を枕にしてすやすやと眠り始め、俺も彼女に上着をかけてから寝た。

 

それで今日は夕方になる前に起きてウチに帰り、案の定お風呂に突撃してきたデルタに説教するのを諦めて一緒に入り、今は日記を書いている。デルタは先にベッドに入っており、「早く寝ないの?」と言わんばかりに布団の隙間から顔だけを出してこちらを見つめている。

 

とりあえずある程度整理は出来たので書くのはこれぐらいでいいだろう。明日はどうやって過ごそうかな。

 

 

 

 

*****

 

 

 

その日、根拠は無いけれどエル様が会いに来るというのをデルタは確信した。だから出迎えの準備をするべきだと皆に言っていたのですが、アルファ様が「エルが来るっていう話は聞いてない」「迷惑をかけるのはやめなさい」と怒られたのですが、デルタは諦めずに言い続けたら折れてくれたのです。

それでエル様が来てくれて、デルタは我慢できずに飛びついて大好きなエル様の匂いを嗅いだ瞬間、別の雌の匂いがしました。

それも、ただすれ違ったりや数分話した程度ではつかないって確信を持って言えるぐらいにはべったりと付いてた。

 

なんで?

 

デルタ、良い子にして待ってたのに。

 

なんでエル様から別の雌の匂いがこんなにするの?

 

デルタ、エル様に喜んで欲しくていっぱい頑張ったのに。

 

なんで──

 

 

 

 

──こんなに匂いが付くくらいその雌と近くにいたの?

 

気がついたらエル様は居なくなってて、それでデルタは見捨てられたのかと思ったのですがアルファ様たちが言うにはこんな寒いのに川まで体を洗いに行ったと聞いて反省しました。その後、エル様に謝ったのですがエル様は「デルタに落ち度はないはずだから頭を上げて欲しい」と言ってくれただけではなく。

 

「俺のせいで不快な思いをさせてすまない。代わりと言ってはすごい不誠実だと思うけど、この前の約束とは別で何でも言う事を聞くよ」

 

といつもの優しい声で言ってくれたのです。悪いのはデルタのはずなのに、エル様は本当にお人好しなのです。最初はピクニックでいいかな、と思ったのですがさっきのことを思い出すと、胸がムカムカしてきたというのと、またエル様に会えなくなるのを考えると凄い嫌だったので、「王都に戻るまでは一緒にいて欲しい」ってお願いしたのです。エル様は暫く固まっていましたが「何とかしてみせる」と言って下さり、その日はそれで解散してしまいました。

 

 

次の日、エル様はデルタのことを街で知り合った友人、ということで家族の人を説得してくださったのです!そして名前はデルタではなく「ユウナ」という名で通すこと、エル様のことは「ルイス」と呼ぶようにお願いされたのです。

そして早速エル様の家に入ったのですが、皆さん良い人でした!でも、髪の毛が凄い白くて黒い服を着たおじいちゃんが「これでエア家は安泰です……」と泣いていたのはなんでなんだろ?あと、エル様のお父さんともお話したのですが最後に「ルイスのことをよろしくね」と言ってたのですが……なんであんな何かを思い出すような顔をしてたのか不思議です。

 

その後はエル様と一緒にお風呂に入りました!メイド?の人もデルタが一緒に入るのを応援してくれたのでエル様と頭を洗いっこ出来たのです!でもエル様は次からはやらないように言われて、ちょっと寂しかったのですがここで引いたら後悔するような気がして最後まで譲らなかったのです。

そしてエル様と一緒のベッドで寝たのですが、やっぱりエル様の近くは胸がポカポカして暖かったのです!えへへ。

 

次の日はデルタの特訓の成果を診てもらうためにピクニックに行くことにして貰ったのです!ちょっと失敗しちゃったところもあったのですが、エル様は手際が良くなっていること、頑張ったことを頭を撫でて褒めてくれて凄い嬉しかったのです!

肝心のピクニックは天気が悪くなることもなかったのですが、お昼寝した際にエル様より先に起きてエル様の寝顔を見れたのです。いつもどこか遠くにいるような感覚があるのですが、この顔を見ると近くにいると再認識できて安心できたのです。あ、上着からはエル様だけの匂いがして安心したのです。

 

帰ってからはまた一緒にお風呂に入って、今ベッドに先に入っているのですがエル様は何か書いていて全く来てくれないのです。でも、エル様の匂いが付いてるベッドから出るのも嫌でじーっと見ていたら、気がついたのかデルタの方を見て「今いくよ」と言ってすぐに来てくれたのです。

 

エル様はやっぱり優しい人なのです。

 

 

 

 

だから、他のメスが近寄ってきちゃう。強い雄に雌が集まるのは、前にいた集落でもあったし、デルタもそういう環境で暮らしてきたから分かることではあるのです。エル様の場合は、強いし、優しいし、お日様のように暖かいから余計にそうなるのは想像がつくのです。

でも、デルタはそれが嫌なのです。エル様の良さを知ってるのはデルタだけでいい。だから……

 

「エル様の隣はデルタのもの、ってことを残してやるのです」

 

デルタは寝ているエル様の体にしがみついてしっかり匂いを付けるのです。




そういえばスプ○3でポチすけという方とトリカラで味方としてマッチングした時、なんか運命を感じました。

キャラ紹介

ルイス
アレクシアと寝たというのを忘れているアホ。だが、真冬の川で体を洗うという苦行をやってのけたあたり男は見せた。デルタのお風呂突撃の自分の口から辞めさせるのはもう諦めて、アルファにお願いしようと思っている。

デルタ
慕っている人が帰ってくるのを健気に待ってた+来るのを勘で察知したのにも関わらず、自分やシャドウガーデンのメンバー以外の女の匂いがして脳みそを破壊された。最初は錯乱していたものの、落ち着きを取り戻してからは王都に戻るまで一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たり、果てにはマーキングするという行動に出る。アレクシアよりも完全に先を進んでいる。

エア家の皆さん
ルイスくんが仲のいい異性を連れてきたことでお祭り騒ぎ。
ルイスが女の子連れてきた>>>>越えられない壁>>>>突然のことによる怪しさ









──ザッザッ

自身が住んでいる屋敷の裏を帯剣している男は1人歩いていた。その男は片手に花束を持ちながら、ただ真っ直ぐ歩く。

「……こんばんは」

男は目的地に着くと一言そう告げる。彼は花束をそこに置いてから服が汚れるのを気にせず地面に座り、独り話し始めた。

「昨日、あの子が獣人の女の子を連れてきたんだ。その女の子は街で知り合った子なんだけど訳ありだから、自分が王都に行くまで家に泊めていいかってお願いしてきたんだ。……そう、今までお願いなんてことあまりしなかったあの子がね」

男は寂しそうに、そして嬉しそうに笑みを零す。

「その子会って話してみたんだけど、ルイスのことをかなり慕っているみたいで、しかも素直な良い子だったよ。名前もユウナって言うらしくて、なんか色々驚いちゃったよ」

男はそこまで話すと口を閉じ、夜空を見上げる。

「……多分、ユウナって名前は嘘であの子はルイスが夜中にこそこそ出かけるようになってから知り合った子なんだと思うんだ。そしてやっぱりルイスは僕らが想像していないことをやっているんだと思う」

男はそう言いながら花束を置いたところ──最愛の人が眠っている場所を見る。

「……僕はルイスが本当のことを話すまで見守ることにしたよ。あの子の事だからいつ話すのか分からないけどね」

そういって男──アイク・エアは立ち上がる。

「これ以上はセバスチャンに怒られるから戻るね……おやすみ、クライネ」

アイクは名残惜しげに立ってその場を去る。

残ったのは置かれた花束と「我が最愛の妻クライネ・エアここに眠る」と記された墓石のみだった。



キャラ紹介
アイク・エア
ルイスの実父。かつては有力な魔剣騎士として名を馳せていたらしいが……

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)

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