アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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前回の話から低評価がついたり、お気に入りが減ったりして「まあ、そうなるよな」と思いました。展開が急でしたし、急にアホみたいに強い変なオリキャラ出ましたからね。展開に関しては私の想像不足のせいですので、本当に申し訳ないです。オリキャラが出た理由に関しては察してくださると幸いです……。

そして誤字脱字報告して下さりいつもありがとうございます。

そして今回、キリのいいところがなくて最長の7439文字になってしまいました。本当に申し訳ない。


16冊目

 

 

『私をついに超えたか……』

 

地面に倒れ伏す自分の師である人物を見て青年は剣を下ろす。仲間を殺したこの人物に恨みがあったはずなのに、今の彼はそんな気が起きなかった。それよりも知りたいことがあった。

 

『師匠、何故魔族側に寝返ったんですか?最初に現れた魔王を討伐した勇者パーティの1人にして、救世主と呼ばれた貴方が、何故……』

 

『それは──』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

€月\日

アレクシアを助けることが出来なかった日から4日が過ぎた。安静をアルファから言われているためやることがなく、別の日記帳に状況を纏めるために書いている。

 

まずあの日俺が女性に刀を刺されて意識を失ってからのことなのだが、どうやら俺は証拠隠滅のために水路に落とされたらしく、普通であれば誰も気づかず死んでいた筈だった。しかし、寝ていたデルタが「エル様が死んじゃう!」と突然叫んで、アルファたちの止める声を振り切って王都の隠れ家から飛び出し、水路でプカプカと浮きながら流れている俺を見つけて急いで助けてくれた、とのこと。

マジで死にかけだったらしく、こうして生きているのが不思議なぐらいだとアルファから言われた。一応傷は魔力を使って怪しまれない程度には治したから、この騒動を終わらせた後に学園生活に戻ることは可能だ。なお、スライムスーツとスライムソードは常に持っておきなさい、とアルファに怒られた。本当にすみません……

 

そして次に学園ではどうなっているのか。これに関してはゼータなどが収集した情報だと、アレクシアとその従者である俺が行方不明なのはシドが関係しているとして騎士団が彼を尋問している、との事だった。だが、話によれば俺の父親がシドのことを弁護してくれているらしく、明日には開放されるだろうとのこと。

そして、その明日がシャドウガーデンが動く日だということも教えて貰い、俺も動くと言ったらめちゃくちゃ反対された。特にデルタ。だが、あの女性とまともにやり合えるのは俺かシドぐらいしかいない。デルタもやり合えるとは思うが、それでも勝率はかなり低いことを考えると、保険も兼ねて俺が出るべきだろう。……本当の理由を言うと早くアレクシアを助けたいというのがあるけど。

 

と言ったのが今の現状だ。そして現在、付きっきりで看病してくれたデルタのお願いで彼女は俺の隣でスヤスヤ寝ている。看病した見返りとしては安すぎると思うんだけど……まあいっか。

 

それにしてもシドには本当に悪いことしたな……俺がこうなっていなければあいつの無実を晴らせたというのに。

 

いや、それよりも気になるのはアレクシアとあの女性だ。恐らくアレクシアの命は無事とみていい。黒幕はディアボロス教団ということから、身代金の要求はないだろうし、彼女を殺すならわざわざ誘拐するわけが無いというのを考えれば、アレクシアの何か……例えば血が必要なのかもしれない。前世でも勇者の子孫だ!って自慢してた男を誘拐してその血で強くなろうとしたやべーやつもいた訳だし。だが、だからといって彼女の精神が無事かはまた別だ。手遅れになる前に助けられればいいんだけど……

 

そしてあの女性。気配も何もかも感じれなかったけど、あの剣は師匠が振るっていた「攻めの剣の極致の一つ」だ。シドもあの剣を習得しているから、別の人が出来ても何らおかしい話ではないけどあまりにも師匠に似すぎていた。でも、師匠はあの時確かに俺が殺したはずだ。いや、まさか俺と同じように……?

 

ダメだ、これ以上は完全に空想の域だ。どちらにせよ、あの女性がまた出た時は刺し違える覚悟で殺しにいかないといけないだろう。

 

……ネックレス、マジでどこ行ったんだろう。

 

 

 

 

****

 

 

 

──あれからどれぐらい日が過ぎたのだろうか。

 

アレクシアは化け物が壊した壁の先にあった薄暗い廊下を歩いている中、ふとそんなことを考えた。最初今の状況に気がついた時は隣にいる化け物に驚いたり、気味の悪い白衣を着た男に血を抜かれたりと色々思うところがあったが、それでも彼女の心が折れなかったのは首にかけているネックレスと大事な従者であるルイスの存在があったからだ。

 

武神祭以来、少々関係がぎこちなくなったもののアレクシアはルイスのことをずっと想っていたし、彼の気を引くために彼と幼馴染というシド・カゲノーと付き合ってみたし、なんならシドから幼い頃のルイスの話を金を払って聞いた。それでも、あの日ルイスの頬にキスした憎き獣人の正体は分からなかったのだが。

監禁生活に心が挫けそうになる度にネックレスを見ては自身を奮い立たせ、同時にルイスに会ったらなんて文句を言ってやろうかとあれこれ考えていたのもあって、頭がおかしくなるほどストレスが溜まるということにはならなかった。

 

そしてつい先程、元から錯乱していた様子であった白衣の男が発狂した様子で化け物に何かを注入し、その結果更に体がでかくなった化け物に男は殺され、自身はその化け物が拘束台を破壊してくれたお陰でこうして脱出に向けて足を動かすことが出来ている。

 

(本当、ルイスに会ったらなんて言ってやろうかしら)

 

アレクシアはそんなことを思いながら廊下の角を曲がった瞬間。

 

「勝手に逃げられては困るな」

 

「あ、あなた、どうしてここに……」

 

アレクシアは驚愕に目を見開いた。

 

「なぜって、ここは私の施設だからだよ。私があの男に投資した。それだけのことさ」

 

金髪に端正な顔立ちで自信に満ちあふれた笑みを浮かべる、ミドガル魔剣士学園の剣術指南役であるゼノンがそこに立っていたからだ。

アレクシアはゼノンがいることに驚愕で流されそうになる思考を繋ぎ止めて、ゼノンの発言を思い返す。そしてこの男が自身を攫った黒幕ということに気がつき、冷や汗を流す。

 

「よかった。私とルイス、あなたのこと頭おかしい狂人なんじゃないかってずっと思ってたのよ。私たちの予想通りやっぱりおかしかったのね」

 

アレクシアは一歩、二歩、後ろへ下がりながら気丈に言いながら目だけを動かして周囲を確認する。横は壁しかないものの、ゼノンの後ろには階段があり恐らく出口に繋がると見ていいだろう。

 

「そうかな。どうでもいいさ。君の血があれば」

 

「どいつもこいつも血の話ばっか。吸血鬼の研究でもしてるの?」

 

「君にとっては似たようなものかもしれないな」

 

「説明はいらないわ、オカルトには興味ないもの」

 

「だろうね」

 

「分かっていると思うけど、もうじき騎士団と私の従者が来るわ。あなたも終わりよ」

 

「終わり?いったい私の何が終わるんだ」

 

変わらぬ笑みで、僅かに嘲笑するようにゼノンが言った。

 

「地位も名誉も剥奪、そして当然処刑。ギロチンは私自ら下ろしてあげるわ」

 

「そうはならないさ。私は君と隠し通路から脱出する」

 

「ロマンチックな誘いだけど、私あなたのこと大嫌いなの」

 

「来てもらうさ。君の血と、研究があれば私はラウンズの第12席に内定する。剣術指南役などというくだらない地位ともおさらばだ」

 

「ラウンズ? 狂人の集まりか何かかしら」

 

また分からない単語が出てきた、とアレクシアは内心ため息を吐いた。

 

「教団の選び抜かれた12人の騎士ナイツ・オブ・ラウンズ。地位も名誉も富も、これまでとは比べ物にならないほど手に入る。私は既に実力を認められている。後必要なのは実績だけだが、それも君の血と研究成果で満たされる」 

 

ゼノンは大仰に手を広げて笑うのを他所にアレクシアは必死にゼノンが言っていることを頭に刻み込む。もしこれがゼノンの狂言や妄言でないのならば、とんでもない組織が王国にいるということになるからだ。

 

(少しでも情報を覚えて持ち帰らないと。それに隠し通路があるならそこを探しながらの逃亡も視野に──)

 

「本当はアイリス王女の方が良かったが、君で我慢するさ」

 

「ぶっ殺す」

 

冷静に脱出の算段を考えていたアレクシアはゼノンの言葉で一瞬で冷静さをなくした。ゼノンはアレクシアが激昂する言葉を敢えて言ったのだが、予想通りにことが進み内心ほくそ笑む。

 

「失礼、君は姉と比べられるのが嫌いだったね」

 

「……ッ!」

 

怒りが籠ったアレクシアの気迫の一撃が戦闘開始の合図となった。

 

「恐い恐い」

 

アレクシアのとてつもない殺意が込められた一撃をゼノンは寸前で弾き返し、そして一撃目を防がれる前提で振るわれていたアレクシアの追撃も難なく受け止める。剣が衝突し空中で何度も火花を散らす。

 

何度目かの剣戟の果てにアレクシアは幾分か冷静になり、これ以上は分が悪いと判断すると、仕切り直しと言わんばかりに後ろに下がって距離をとる。

 

「しばらく見ないうちに、随分と安物の剣を使うようになったね」

 

ゼノンの発言にアレクシアは小さく舌打ちをする。戦いが始まって数分も経っていないと言うのに、アレクシアの剣には既に無数の刃こぼれが出来ていた。

脱出する際に丸腰は心もとなかったため、見張り兵と思しき死体から拝借した低品質のミスリルの剣では実力者と打ち合えば剣がすぐにボロボロになるのは明白だった。

 

「達人は剣を選ばないって言うでしょ」

 

しかし、ここで動揺しているところを晒せばそこを突かれて負けに繋がる、というのをルイスから嫌という程教わったアレクシアは何ともないと言わんばかりに口を動かす。

 

「なるほど。達人ならそうだろうけど、残念ながら君は凡人だ。それは剣術指南役の私が保証するよ」

 

その一言でアレクシアの顔が一目で分かるほど歪んだ。

 

「だったら見てなさい。本当に私が凡人かどうか……!」

 

そして、猛者であるはずのゼノンでさえ僅かに竦むような気迫を伴って仕掛けた。

 

アレクシアは知っていた。自身の実力では普通に戦ってもゼノンには勝てないということを。しかも今使っているのは安物の剣で、保ってあと3回、下手するとこの一撃で壊れる可能性があることを彼女は予想していた。

 

だが、アレクシアは日々何も考えず剣を振ってきたわけではない。(憧れ)を目標に自分に足りないものを理解し、それを埋める努力をしてきた。そして誰よりも(憧れ)の剣を間近に見てきた。

アレクシアは多くの研鑽を積んだ成果として、既に(最強)の剣を寸分の狂い無く思い描く事が出来るまでになっていた。 

 

ならば、それを振るのは容易い。

 

「ハアアァァァッァ!!」

 

その剣はまさしくアイリス王女(最強の剣)を彷彿させた。

 

「ッ……!」

 

ゼノンの顔から初めて笑みが消え、その一撃を迎え撃つために自身の剣に魔力を込めて剣を振るう。

 

(ダメだ、このままだと防がれてこいつを倒すことが出来ない)

 

そしてアレクシアは剣を振りかぶっている最中、このままでは負けるのを予期した。この一撃で仕留めなければこちらの剣が打ち合いの果てに先に壊れ敗北する。だから何としてもこれで仕留めなければならなかったが。

 

(どうする!?一体どうすればこの剣を当てられ──)

 

『なんで俺の剣が防げないか、って?』

 

──その瞬間、思い出したのはまだルイスと剣の稽古が出来ていたある日のこと。どうしても防ぐことが出来ないルイスの剣が疑問で聞いた時の事だった。

 

『あんたの剣が来るって思った方向に剣を構えたはずなのに、攻撃当たってるのはなんでよ?』

 

『あー、それはちょっとした小細工でさ。俺の目線だったり、剣を振り下ろす時だったり、あとは殺気とかそういうのを囮にしてるんだよ』

 

『はぁ?そんなこと出来るわけ──』

 

『まあ、すぐには無理だろうね。けど、俺の知ってるアレクシアはすぐには出来ないからって諦めるたまじゃないでしょ?』

 

『……そう。なら教えなさい』

 

『はいはい、それじゃあ──』

 

──それを思い出したアレクシアは、正に彼が言っていた条件が揃っていることに気がついた。ならばと彼女は自身の剣とゼノンの剣がぶつかるほんのちょっと前に、剣をそのまま振り下ろさずに腕を畳み姿勢を低くしゼノンの懐に潜り込んだ。

 

「何──!?」

 

「はああああっ!!」

 

ゼノンは自身の読みが外れたことに驚き、アレクシアはそれを見逃さずに自身の全てを込めた一撃を斜め下から上へ斬りあげるようにゼノンの体に叩き込んだ。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「……まさか、そんなことが出来るとは思わなかったよ」

 

「はぁ……はぁ……くっ……」

 

ゼノンは胸に刻まれた浅い傷を見て何の含みもなく呟く。アレクシアの渾身の一撃は、ゼノンが反射的にバックステップをしたことにより完全に捉え切る事が出来ず彼を倒すには至らなかった。

そしてその結果を見てアレクシアは悔しそうに顔を歪ませるも、再度剣を構える。その目はまだ諦めておらず、それがゼノンにとってはイラつくものであった。

 

──茶番はここまでにするか。

 

ゼノンはそう結論づけると無言で剣を構え、魔力の質を更に高め、先程とは比べ物にならないほど濃密で鋭利な刃物を連想させるかのように鋭くさせていく。

 

「……っ!」

 

「一つ言っておこう」

 

ゼノンの変わりように息を飲んだアレクシアに特に驚くことも無く、ゼノンは淡々と言葉を続ける。

 

「私は今まで一度も部外者の前で本気を出したことはない。これから見せる剣こそが、正真正銘の私の剣であり、次期ラウンズの剣だ」

 

 

「くっ!」

 

反射だった。長年の鍛錬の成果か、アレクシアは自身の命を刈り取らんとばかりに迫ってきた刃をボロボロの剣で防いだ。しかし、予想していた衝撃はなく、視界に映るのはついに耐えきれなくなったのか、刃が粉々になって砕け散るミスリルの剣。

 

それは凡人では一生天才に辿り着くことが出来ないと暗喩しているようで、アレクシアは自身ではどうにもならない、姉には一生追いつくことが出来ない、と視線を下に向けて諦め──

 

「……あっ」

 

視界にネックレスが入った。どんなに屈辱的な扱いを受けようとも、姉と比較されてバカにされるアレクシアを見ても、情緒不安定なアレクシアを見ても、ずっと支え続けてくれた従者の事を彼女は思い出した。

 

──本当は分かっていた。

 

諦めて冷えかけていた心が再度熱をともす。

 

──自分があいつに対して向けている想いが何なのかぐらい。

 

刃が砕け散った剣を持つ。

 

──でも、それを自分から告げると自身の弱さを認めてしまうような気もして。

 

体の節々は痛むが、まだ動ける。

 

──だからあいつから想いを告げてくるように回りくどいことをやった。それでもあいつは自分に対して告白とかしなかった。

 

「まだ、諦めないのか?」

 

「当たり前でしょ……!」

 

だからこそ──!

 

 

 

 

 

「ルイスに私の想いを伝えるまで諦めない──!」

 

 

 

 

アレクシアの決意が空間にこだます。

 

そしてそれを聞いたゼノンは嘲笑を浮かべてから懐に手を入れると。

 

「そういえば渡すのを忘れていたよ」

 

──カシャン

 

アレクシアの方へ無造作に投げられた物が彼女の足元に音を立てて落ちた瞬間、彼女は目を見開いた。

 

「え……?」

 

血が固まって変色したのか赤黒いものが付着しているのを除けば、自分が着けているのに酷似しているペンダント。

 

──嘘だ。

 

「実はね、君の従者のルイスくんに君を連れて行ってるところを目撃された挙句妨害されてね」

 

──聞きたくない。

 

「見られたからには生かす訳にはいかないだろう?」

 

──まだ、何も伝えられてないのに。

 

「抵抗されたけど、まあ我々の敵ではなかったわけだ」

 

──一緒にやりたいこと、沢山あったのに。

 

「彼の死体を持ってくる訳にはいかなかったから、代わりにということでそれを持ってきてあげたよ……彼も君が持っていた方が嬉しいだろうからね?」

 

──気がつけば、剣を離してそのペンダントを持っていた。

 

あ、……ああ……」

 

 

 

 

 

 

「ああああああぁァァァァァッッッ!!」

 

 

 

 

少女の号哭が一筋の雫が落ちると共に薄暗い廊下に響き渡った。

 

 


 

 

キャラ紹介

 

ルイス

デルタのファインプレーで一命を取り留めた。今回の件で常にスライムスーツとスライムソードを持つことを決意する。体の方は最初こそ魔力操作が上手くいかず苦戦したが、学園に戻った際に怪しまれない程度には傷を治している。ネックレスがどこにいったのかガチで分からず困惑中。なお、ゼノンのアレクシアに対する発言を全部聞いていた場合、後先考えずゼノンの首を斬り飛ばしている。

 

 

デルタ

ルイスが死ぬ夢を見て、それがただの夢じゃない予感がして急いで匂いをたどったら水路を赤く染めてドンブラコしてるルイスを発見し、すぐに飛び込んで救出、息がなかったことからルイスから教わった人工呼吸と心臓マッサージを急いで行った結果無事に成功。それから目を覚ますまで付きっきりで看病し、治ってからはルイスの横で寝れてご満悦。

──大丈夫、冷たくない。──大丈夫、動いてる。

 

 

シド

描写少なくてすまん。今回はアレクシアだけではなくルイスも行方不明なため、本来より拘束時間が長いことになっていたが、ルイスパパことアイクの弁護による原作通り5日目で釈放された。

 

 

アレクシア

ルイスとの教えが活きたり、ネックレスのお陰で折れなかったのに血だらけのルイスのネックレスを見て絶望。心が死にかける寸前。あーあ、ルイスが負けた挙句ネックレス奪われたせいで原作より酷くなっちゃった。

 

 

ゼノン

ルイスとシドのことは下に見ている。次期ラウンズだからちょっと調子に乗ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──やけにあっさり壊れたな。

 

ゼノンは未だに血だらけのネックレスを抱えて蹲るアレクシアを見て、他人事のようにそんな感想を抱いた。

彼女が従者であるルイスに並々ならぬ想いを持っていたのは、日々の生活で彼女がルイスに向けて熱い視線を向けているのに気づいていたから知ってはいたが、まさか彼の死後が分かっただけでこんなことになるとは思わなかった。

 

(人の想い、というのは儚いものだ)

 

ゼノンは剣を鞘にしまい、アレクシアの腕を掴もうとした瞬間。

 

──とてつもない悪寒を感じた。

 

「!!」

 

ゼノンは躊躇なく体を低くしその場から転がるように離れる。その刹那、自身が立っていたところに2つの漆黒が立っていた。

 

「エル……急いでいるからって、僕の腕を掴んで跳ぶのはやりすぎじゃない?」

 

「……悪い、冷静じゃなかった」

 

1人は漆黒のロングコートを身にまといフードを深く被り片手に漆黒の剣を、もう1人は同じく漆黒のロングコートを身にまといフードを深く被っているが、更に口元を布で覆って漆黒の刀を持っていた。

 

「漆黒を纏いし者……。君が近ごろ教団に噛み付いてくる野良犬か」

 

ゼノンは2人の姿を見て鋭い眼光と共に剣を構える。

 

「我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者……」

 

「我が名はエル。同じく陰に潜み、影を狩る者」

 

対して2人から出たのは深く、低く、深淵から発せられたような声だった。




キャラ紹介

エル
アレクシアの号哭を聞いてシャドウの静止の声も聞かずに彼を掴んで全力であの場に割り込んだ。流石にアレクシアにリアルアンパンマンを見せる訳にはいかないため、敢えて特大の殺意をぶつけてゼノンが躱すように仕向けた。

シャドウ
エルから大体の話を聞いて「主人公っぽいことに巻き込まれてるなー」と思いつつ、相棒を傷つけた落とし前ぐらいはつけさせてもらおうと内心張り切ってる。

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)
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